【完結】推しを死亡フラグから救済したら溺愛ルートに入りました⁉︎

白(しろ)

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第二章

毎夜の恒例行事(予定)

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 その日の夜、風呂から上がったオレはリビングで仁王立ちしていた。
 時間は深夜、もう少しで日付を越えようかというところだ。
 外からはたまに酔っ払いの声が聞こえるくらいで、夜らしい静寂が部屋の中に漂っている。そんな中でオレは、腕組みをして考えていた。

「ハードル高いって」

 その言葉の意味はとても簡単だ。
 オレは今、ルークの抱き枕になっているのだ。推しの安眠のためならオタクの尊厳なんてどうでもいいと思っていたが、今日からは事情が違う。
 なぜならオレは自覚してしまったからだ。オレは不覚にもルークに好意を抱いてしまった。
 万死に値する。
 それくらいの重罪だ、オレにとっては。

「あ~~、マジでどうしよう」

 顔を両手で覆ってしゃがみ込む。
 今オレの中にあるのは二択だ。一つはソファで寝る。その場合明日のルークの機嫌は絶対に悪くなる。
 もう一つはおとなしく同じベッドで寝る。この場合オレの心臓が大変なことになるだけだ。
 オタクであるならば前者を取るべきだ。だがしかし、ルークはオレを抱き枕にしている。推しの安眠のためにはオレが必要なのだ。
 答えは出ているが踏み切れない。そんな状態が数分続いたところで、きしりと床の軋む音がした。

「リアス」
「……ルーク」
「早く来い」

 眠たげに目を細める姿にまた胸が騒ぐ。
 こんな無防備な姿を知っているのも、多分オレだけなんだろうな。
 そんな優越感が顔出した瞬間、オレは頬の内側の肉を強く噛んだ。己を律するためだ。

「あ、あのさルーク」
「なんだ」
「その、やっぱ別々で寝るとかは」
「ない」
「ですよね」

 食い気味の答えに乾いた笑みが漏れた。
 渋々ルークの側に行くと徐に抱き上げられて目を丸くする。

「る、ルーク⁉︎」
「こっちの方が早い」

 魔法で灯りを消した途端、あたりは真っ暗になる。
 その中を慣れたようにルークが進み、寝室にやってきた。
 ほのかな月明かりが照らす中、思いの外ベッドに優しく降ろされてそのすぐ後にルークが横になる。

「リアス」

 枕に腕を伸ばしたルークがオレの名前を呼ぶ。そこに頭を置けというのだ。

「……今日はちょっと離れて寝ても」
「おとなしく来い」
「うぃっす」

 おずおずと横になり、ルークの二の腕に頭を乗せる。そうするとルークの腕が体に巻き付いて、距離が0になる。
 ふわりとルークの匂いがする。風呂で同じものを使っているはずなのに、ルークからは異国の香水のような香りがする。そして体温も高い。
 昨日まで無心で受け入れられていたそれが、今日は意識してしまってしょうがない。

「今日は」

 すぐ側で息混じりの声がする。

「やけに心臓がうるさい。今更緊張か?」

 少しだけ腕の力が緩んで、ルークがオレの顔を見ようとする。それが嫌で追い縋るように首元に顔を埋めると、少し驚いたようだった。

「緊張はする。ていうか寝る時は毎日してるわ」
「いい加減慣れろ」
「無理。一生無理」

 ルークが喉を震わせるように笑った。

「そうか、一生か」

 大きな手が頭を撫でる。その優しい手つきに目を細めるが、ドキドキは治りそうにない。

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