【完結】推しを死亡フラグから救済したら溺愛ルートに入りました⁉︎

白(しろ)

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第六章

騒動の終わりとそれから

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「エスタ!」

 よく知る人の声にエスタは下を見た。
 たくさんいる野次馬の中に最近隊長に昇進したかつての仲間の姿を見つけ、ゆっくりと地上に降り立つ。
 途端に周囲から「聖女様」「エスタ様」と声を掛けられるけれど、一旦それを無視してノクトの元に向かう。

「何をしているんだ! まだ店の中にはオルロンがいたんだぞ!」
「知ってるわよそんなこと!」

 怒鳴り声に怒鳴り声で返したことで周囲が一瞬で静まり返る。
 燃え盛っていたリアスの店はもう跡形もなく消失してしまっている。エスタが魔法でそうしたのだ。

「ならどうして⁉︎」
「中にあの男がいたわ。ダリアの腹心だったあの男よ」
「ダリア⁉︎」

 エスタの出した名前に周囲がざわつき、それはやがて大きな波になる。遠くからは悲鳴が聞こえ、またあるところからは怒号も聞こえた。あの戦いからまだそう時間は経っていない。
 直接ダリアの被害に遭うか、もしくは目の当たりにした人がいるのであればこの混乱は当然の事態だった。

「でも問題ないわ。あの男は私が天に還しました」

 エスタが放ったのは超火力の光魔法だ。
 神の雷とも呼ばれるそれは、草の一本すら残さない程の威力を持つ攻撃魔法だ。それを受けて生きていられる人間は、少なくともこの世界にはもう存在しない。
 その存在はエスタたちの手によって確かに滅されたのだから。

「だがオルロンまで巻き込むことは」
「リアスはもう中で死んでいたわ。手遅れだった」
「——は?」

 ノクトの顔から表情が抜け落ちた。

「ごめんなさい、私がもっと早く来ていたら……っ」

 両手で顔を覆い、その場に泣き崩れたエスタをノクトは呆然と見ることしかできなかった。

「隊長! ダリアの残党が見つかりました! うち一名はひどい傷を負っています!」
「隊長、指示を!」

 ノクトは歯を食い縛り、エスタから視線を外した。

「残党の確保を最優先にしろ。傷を負っている者は治療し、持っている情報を全て聞き出せ。他の者は引き続き街の警護を。怪しい人物がいたら捕らえてよし。怪我人は一度騎士団で預かる! 手が空いている者はこちらへ!」

 その言葉をきっかけに騒ぎは徐々に収束へと向かっていった。
 リアスが営んでいた店は跡形もなく消え去り、そこに人が住んでいたとは信じられない光景となった。
 夜が終わり朝を迎えてもその光景に変わりはなく、ただリアスを悼む人々が更地になった場所に花を供えていく。

 この一夜限りの騒ぎを持ってダリアの残党は正式に全て捕らえられたと国民に知れ渡ったのは、それから数日後のこと。
 一撃で悪を消し去った聖女エスタは改めて人々から感謝され、今度こそ世界に真の平和が訪れた。激動だった日々がゆっくりと日常に戻っていく。
 リアスの店があった場所は空き地となり、時の流れとともに緑が覆うようになった。

 誰しもの記憶から一夜限りの騒ぎが薄れてきた頃、王都に幸せな知らせが広がった。
 それは聖女エスタと王太子ギルバートの結婚式が執り行われるというものだった。

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