23 / 90
第二章 ヒノデの国(上)
ルナ
しおりを挟む
肌には何も纏っていないがベタつきなどは感じず、見た目に反して甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる男が風呂に入れてくれたのだろうなと予想した。その男、アルフレッドはラファエルを背後から抱き込むようにして眠っている。
もぞもぞと身体の向きを変えて正面からアルフレッドの顔を見てラファエルはゆるりと柔らかな笑みを浮かべた。普段一分の隙もない男が、ラファエルと眠る時だけは気を緩めていることに胸の奥がじわりと暖かくなる。
こうして見ると、まだ昔の面影があるなと思う。
共に旅に出た二年前に比べてアルフレッドは随分男らしくなった。垢抜けたとも、色気が出たとも言えるだろうか。同性であるラファエルから見てもアルフレッドは見た目も中身も頼り甲斐のあるいい男だった。
「……何年か前までは結構子供っぽかったのにな」
数年前までは取っ組み合いの喧嘩だってしょっちゅうだったが、もう今では相手にされないのだろうなと少し寂しさを覚える。頭一つ分違う身長も、ほとんど一回り違うのではないかと思える体格差も、そして物事に対する捉え方も、もう冒険に出ようと誓い合った日から随分と変わってしまった。アルフレッドは大人になっていた。
けれどけしてそれを悲観しているわけではない。アルフレッドが成長しているように同じ時間がラファエルにも流れている。だがラファエルは自分が前に進めているのかはわからなかった。
神と名乗る人物からこの身体を与えられてから、自分は何か成長しただろうか。
「……外に行こう」
考えても仕方のない問いが浮かんて、ラファエルは早々に気分を切り替えることにした。いくら考えたところでこの問いに答えが出せないなんてことはラファエル自身が一番良くわかっているからだ。
慎重に身体に回る腕を下ろしてラファエルはベッドから降りた。少し体が重たいが問題ない程度だ。もちろん服を着ているなんてことはなくて、床に落ちているアルフレッドのシャツを羽織って下は自分の服を適当に引っ張り出して来て足を通した。そのまま音を立てずに部屋を出ると甲板を目指して歩き出す。
客船でもあるが交易船でもあるため装飾は余りなくシンプルな通路を歩いていれば深夜なこともあって人の気配はせず、誰ともすれ違うことなく甲板へと続くドアを開けるとまず最初に感じたのは潮の香りだった。そのまま船首の方まで歩こうかと思ったが予想よりも風が冷たく感じて行くことをやめ、顔を横に向けたら見える側面へと行くことにした。
手すりに頬杖を付いて顎を乗せると海面を見る。海面と夜空の境界と言った方が正しいかもしれない。今日は満月で、その柔らかい光は海面で反射して太陽とはまた違う柔らかせで辺りを照らしていた。深夜でも当たり前に船は動いていて風が髪を膨らませた。
波の音と風の音がよく聞こえてラファエルは目を細めた。良い夜だなと、素直に思えた。
「こんな夜中に散歩っすか?」
聞こえた声に目を丸くし、反射で距離を取って発生源を睨む。
気配に気づけなかった自分に舌打ちしそうになっていたのに、自分を見た人の顔が共学に染まったのを見てラファエルは目を瞬かせた。
「め、めちゃくちゃ美人っすね…!う、うわ、うわ、オレこんな美人生まれて初めて見た…」
引っ込みそうになった舌打ちが今度こそ漏れそうになったがラファエルはすんでのところで堪えた。
しまった、顔を隠すのを忘れていた。
「ど、どこから来たんすか?いやあの港街から乗って来てるんですよね?あ、オレは」
「近いです」
鼻息も荒く近づいて来ようとした男を顔の前に手を翳すことで制する。「すんません」と言いながら一歩引いた男を改めてラファエルは観察した。年はラファエルと同じ頃だろうか。月明かりしかないためきちんとした判断はできないが髪は茶髪で癖があり、身長も自分とそう変わらないが緩いシルエットの服を着ているためその男が鍛えているかどうかまではわからない。
だがこの時間にいること、その口振りから男が船乗りではなくラファエル達と同じようにあの港街から乗船して来ていることだけはわかった。印象としては商人が近い。
「あー…急に話し掛けてすんません。あ、最初に言っとくんすけどマジでナンパとかじゃないっす!マジで偶然あなたを見かけて、声かけてみよーって思って声かけたらとんでもねえ美人で」
「わかった、わかったから静かにしてください」
そしてこの男は声が大きい。夜で辺りが静かな分男の声はよく響いた。「すんません」と男は心底申し訳なさそうな顔で謝って肩をガクッと落としていた。見る限り悪い人ではなさそうだが、ラファエルの警戒はまだ解けていなかった。男の動きを観察しながらもいざとなればどういった動きで部屋に戻るか、そればかり頭の中でシミュレーションしている。
「…え、えっと、オレ、タリヤっす。この船にはパーティのみんなと港街から乗ってきて、あ、パーティメンバーにヒノデの国の出身者がいるんすよ。だから今回そいつの里帰りついでにみんなで行こーってなって。…あ、またオレばっか喋ってすんません。仲間からもうるさいってよく言われるんすよね」
ラファエルが警戒しているとわかったのかタリヤと名乗った男は慌てた様子で身振り手振りで早口に身の潔白の証明を始める。その慌てっぷりやラファエルが口を挟む暇もない程の情報量を喋り、そしてまた一人で勝手に落ち込んでいる姿にラファエルは警戒するのが馬鹿らしくなって肩の力を抜いた。
「…失礼な態度を取ってすいません」
「いいいいや、いいんすよ!あなたみたいな美人だったらそりゃ警戒するっすよね」
「あはは、まあ、はい」
心の底からの苦笑いが出た。ラファエルがアルフレッドの前以外で顔を隠す理由の大体はこれである。ラファエルの顔はあまりにも整い過ぎていた。笑い話にできるのであればしたいのだが、これが大真面目に語ってしまう程ラファエルは美し過ぎた。
どれだけ身体を鍛えても、ハンターになっても、まともに風呂にも入れない生活が続いても、ラファエルは美しいままだった。なんでだと大真面目に考えたのは一度や二度ではない。なんなら今でも毎日鏡を見ては思っている。
アルフレッドは年齢を重ねるごとに雄々しく逞しく男前になっていくのにラファエルは美しさに磨きが掛かるばかりで、冒険を始めた頃はこの顔のせいで人攫いにもあったし怪しい薬を盛られるし常に声は掛かるしで散々だった。だから今ラファエルはどれだけ怪しいと言われても頭の先から爪の先まで徹底的に隠しているのだ。
「えっと、その、名前教えて貰ってもいいっすか…?いやあの!お近づきになりたいとかそんなんじゃなくて!ただその!お、お友達になれたらなって!」
タリヤの顔がタコのように赤くなって何故だか照れ笑いしながら言われた内容にラファエルは困ったぞと顎に手を当てて考えた。名前を教える気は全くない。なぜなら先程タリヤはパーティで乗船していると言っていた。ということは、高確率でラファエルの名前を知っているだろうしそうなってしまえば今後の活動に支障が出るなと、視線を海に流した。その先にあるのはまん丸い大きな月だった。
「いやっ、あのっ、無理だったら全然」
「ルナ」
「え」
「ルナです。名前」
名前を知ったタリヤは文字通り跳ねるように喜んで、ラファエルはその様子にさすがに良心が痛んだが背に腹は変えられないと笑顔で乗り切った。
もぞもぞと身体の向きを変えて正面からアルフレッドの顔を見てラファエルはゆるりと柔らかな笑みを浮かべた。普段一分の隙もない男が、ラファエルと眠る時だけは気を緩めていることに胸の奥がじわりと暖かくなる。
こうして見ると、まだ昔の面影があるなと思う。
共に旅に出た二年前に比べてアルフレッドは随分男らしくなった。垢抜けたとも、色気が出たとも言えるだろうか。同性であるラファエルから見てもアルフレッドは見た目も中身も頼り甲斐のあるいい男だった。
「……何年か前までは結構子供っぽかったのにな」
数年前までは取っ組み合いの喧嘩だってしょっちゅうだったが、もう今では相手にされないのだろうなと少し寂しさを覚える。頭一つ分違う身長も、ほとんど一回り違うのではないかと思える体格差も、そして物事に対する捉え方も、もう冒険に出ようと誓い合った日から随分と変わってしまった。アルフレッドは大人になっていた。
けれどけしてそれを悲観しているわけではない。アルフレッドが成長しているように同じ時間がラファエルにも流れている。だがラファエルは自分が前に進めているのかはわからなかった。
神と名乗る人物からこの身体を与えられてから、自分は何か成長しただろうか。
「……外に行こう」
考えても仕方のない問いが浮かんて、ラファエルは早々に気分を切り替えることにした。いくら考えたところでこの問いに答えが出せないなんてことはラファエル自身が一番良くわかっているからだ。
慎重に身体に回る腕を下ろしてラファエルはベッドから降りた。少し体が重たいが問題ない程度だ。もちろん服を着ているなんてことはなくて、床に落ちているアルフレッドのシャツを羽織って下は自分の服を適当に引っ張り出して来て足を通した。そのまま音を立てずに部屋を出ると甲板を目指して歩き出す。
客船でもあるが交易船でもあるため装飾は余りなくシンプルな通路を歩いていれば深夜なこともあって人の気配はせず、誰ともすれ違うことなく甲板へと続くドアを開けるとまず最初に感じたのは潮の香りだった。そのまま船首の方まで歩こうかと思ったが予想よりも風が冷たく感じて行くことをやめ、顔を横に向けたら見える側面へと行くことにした。
手すりに頬杖を付いて顎を乗せると海面を見る。海面と夜空の境界と言った方が正しいかもしれない。今日は満月で、その柔らかい光は海面で反射して太陽とはまた違う柔らかせで辺りを照らしていた。深夜でも当たり前に船は動いていて風が髪を膨らませた。
波の音と風の音がよく聞こえてラファエルは目を細めた。良い夜だなと、素直に思えた。
「こんな夜中に散歩っすか?」
聞こえた声に目を丸くし、反射で距離を取って発生源を睨む。
気配に気づけなかった自分に舌打ちしそうになっていたのに、自分を見た人の顔が共学に染まったのを見てラファエルは目を瞬かせた。
「め、めちゃくちゃ美人っすね…!う、うわ、うわ、オレこんな美人生まれて初めて見た…」
引っ込みそうになった舌打ちが今度こそ漏れそうになったがラファエルはすんでのところで堪えた。
しまった、顔を隠すのを忘れていた。
「ど、どこから来たんすか?いやあの港街から乗って来てるんですよね?あ、オレは」
「近いです」
鼻息も荒く近づいて来ようとした男を顔の前に手を翳すことで制する。「すんません」と言いながら一歩引いた男を改めてラファエルは観察した。年はラファエルと同じ頃だろうか。月明かりしかないためきちんとした判断はできないが髪は茶髪で癖があり、身長も自分とそう変わらないが緩いシルエットの服を着ているためその男が鍛えているかどうかまではわからない。
だがこの時間にいること、その口振りから男が船乗りではなくラファエル達と同じようにあの港街から乗船して来ていることだけはわかった。印象としては商人が近い。
「あー…急に話し掛けてすんません。あ、最初に言っとくんすけどマジでナンパとかじゃないっす!マジで偶然あなたを見かけて、声かけてみよーって思って声かけたらとんでもねえ美人で」
「わかった、わかったから静かにしてください」
そしてこの男は声が大きい。夜で辺りが静かな分男の声はよく響いた。「すんません」と男は心底申し訳なさそうな顔で謝って肩をガクッと落としていた。見る限り悪い人ではなさそうだが、ラファエルの警戒はまだ解けていなかった。男の動きを観察しながらもいざとなればどういった動きで部屋に戻るか、そればかり頭の中でシミュレーションしている。
「…え、えっと、オレ、タリヤっす。この船にはパーティのみんなと港街から乗ってきて、あ、パーティメンバーにヒノデの国の出身者がいるんすよ。だから今回そいつの里帰りついでにみんなで行こーってなって。…あ、またオレばっか喋ってすんません。仲間からもうるさいってよく言われるんすよね」
ラファエルが警戒しているとわかったのかタリヤと名乗った男は慌てた様子で身振り手振りで早口に身の潔白の証明を始める。その慌てっぷりやラファエルが口を挟む暇もない程の情報量を喋り、そしてまた一人で勝手に落ち込んでいる姿にラファエルは警戒するのが馬鹿らしくなって肩の力を抜いた。
「…失礼な態度を取ってすいません」
「いいいいや、いいんすよ!あなたみたいな美人だったらそりゃ警戒するっすよね」
「あはは、まあ、はい」
心の底からの苦笑いが出た。ラファエルがアルフレッドの前以外で顔を隠す理由の大体はこれである。ラファエルの顔はあまりにも整い過ぎていた。笑い話にできるのであればしたいのだが、これが大真面目に語ってしまう程ラファエルは美し過ぎた。
どれだけ身体を鍛えても、ハンターになっても、まともに風呂にも入れない生活が続いても、ラファエルは美しいままだった。なんでだと大真面目に考えたのは一度や二度ではない。なんなら今でも毎日鏡を見ては思っている。
アルフレッドは年齢を重ねるごとに雄々しく逞しく男前になっていくのにラファエルは美しさに磨きが掛かるばかりで、冒険を始めた頃はこの顔のせいで人攫いにもあったし怪しい薬を盛られるし常に声は掛かるしで散々だった。だから今ラファエルはどれだけ怪しいと言われても頭の先から爪の先まで徹底的に隠しているのだ。
「えっと、その、名前教えて貰ってもいいっすか…?いやあの!お近づきになりたいとかそんなんじゃなくて!ただその!お、お友達になれたらなって!」
タリヤの顔がタコのように赤くなって何故だか照れ笑いしながら言われた内容にラファエルは困ったぞと顎に手を当てて考えた。名前を教える気は全くない。なぜなら先程タリヤはパーティで乗船していると言っていた。ということは、高確率でラファエルの名前を知っているだろうしそうなってしまえば今後の活動に支障が出るなと、視線を海に流した。その先にあるのはまん丸い大きな月だった。
「いやっ、あのっ、無理だったら全然」
「ルナ」
「え」
「ルナです。名前」
名前を知ったタリヤは文字通り跳ねるように喜んで、ラファエルはその様子にさすがに良心が痛んだが背に腹は変えられないと笑顔で乗り切った。
197
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
【完結】伯爵家当主になりますので、お飾りの婚約者の僕は早く捨てて下さいね?
MEIKO
BL
【完結】伯爵家次男のマリンは、公爵家嫡男のミシェルの婚約者として一緒に過ごしているが実際はお飾りの存在だ。そんなマリンは池に落ちたショックで前世は日本人の男子で今この世界が小説の中なんだと気付いた。マズい!このままだとミシェルから婚約破棄されて路頭に迷う未来しか見えない!
僕はそこから前世の特技を活かしてお金を貯め、ミシェルに愛する人が現れるその日に備えだす。2年後、万全の備えと新たな朗報を得た僕は、もう婚約破棄してもらっていいんですけど?ってミシェルに告げる。なのに対象外のはずの僕に未練たらたらなのどうして?
※R対象話には『*』マーク付けます。
転生先のぽっちゃり王子はただいま謹慎中につき各位ご配慮ねがいます!
梅村香子
BL
バカ王子の名をほしいままにしていたロベルティア王国のぽっちゃり王子テオドール。
あまりのわがままぶりに父王にとうとう激怒され、城の裏手にある館で謹慎していたある日。
突然、全く違う世界の日本人の記憶が自身の中に現れてしまった。
何が何だか分からないけど、どうやらそれは前世の自分の記憶のようで……?
人格も二人分が混ざり合い、不思議な現象に戸惑うも、一つだけ確かなことがある。
僕って最低最悪な王子じゃん!?
このままだと、破滅的未来しか残ってないし!
心を入れ替えてダイエットに勉強にと忙しい王子に、何やらきな臭い陰謀の影が見えはじめ――!?
これはもう、謹慎前にののしりまくって拒絶した専属護衛騎士に守ってもらうしかないじゃない!?
前世の記憶がよみがえった横暴王子の危機一髪な人生やりなおしストーリー!
騎士×王子の王道カップリングでお送りします。
第9回BL小説大賞の奨励賞をいただきました。
本当にありがとうございます!!
※本作に20歳未満の飲酒シーンが含まれます。作中の世界では飲酒可能年齢であるという設定で描写しております。実際の20歳未満による飲酒を推奨・容認する意図は全くありません。
冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる
尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる
🌟2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟
ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。
――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。
お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。
目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。
ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。
執着攻め×不憫受け
美形公爵×病弱王子
不憫展開からの溺愛ハピエン物語。
◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。
四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。
なお、※表示のある回はR18描写を含みます。
🌟第10回BL小説大賞にて奨励賞を頂戴しました。応援ありがとうございました。
🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。
目指すは新天地!のはず?
水場奨
BL
ケガをして、寝込んで起きたら記憶が2人分になっていた。
そのせいで今までの状況が普通でないと気づいてしまった俺は、新天地を目指して旅立つことにした。……のに、ついてくんなよ!ってか行かせてくんない?!
逃げたい主人公(受)と手に入れたい彼(攻)のお話。
5回も婚約破棄されたんで、もう関わりたくありません
くるむ
BL
進化により男も子を産め、同性婚が当たり前となった世界で、
ノエル・モンゴメリー侯爵令息はルーク・クラーク公爵令息と婚約するが、本命の伯爵令嬢を諦められないからと破棄をされてしまう。その後辛い日々を送り若くして死んでしまうが、なぜかいつも婚約破棄をされる朝に巻き戻ってしまう。しかも5回も。
だが6回目に巻き戻った時、婚約破棄当時ではなく、ルークと婚約する前まで巻き戻っていた。
今度こそ、自分が不幸になる切っ掛けとなるルークに近づかないようにと決意するノエルだが……。
【完結】婚約者の王子様に愛人がいるらしいが、ペットを探すのに忙しいので放っておいてくれ。
フジミサヤ
BL
「君を愛することはできない」
可愛らしい平民の愛人を膝の上に抱え上げたこの国の第二王子サミュエルに宣言され、王子の婚約者だった公爵令息ノア・オルコットは、傷心のあまり学園を飛び出してしまった……というのが学園の生徒たちの認識である。
だがノアの本当の目的は、行方不明の自分のペット(魔王の側近だったらしい)の捜索だった。通りすがりの魔族に道を尋ねて目的地へ向かう途中、ノアは完璧な変装をしていたにも関わらず、何故かノアを追ってきたらしい王子サミュエルに捕まってしまう。
◇拙作「僕が勇者に殺された件。」に出てきたノアの話ですが、一応単体でも読めます。
◇テキトー設定。細かいツッコミはご容赦ください。見切り発車なので不定期更新となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる