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第一章 僕の話
数多の気が付かなかったこと
二人で森を進むと何体かの魔物と遭遇した。
組んでみて初めてわかったが、ヤードは案外シリウスとタイプが似ている。あいつ程力でゴリ押しという訳ではないが、ある程度の魔物なら火力だけで押し切れる。そのことに僕は純粋に驚いていた。
「……ヤードは、どうして僕よりも実技の成績が低かったんだ?」
何体目かの魔物を灰にした時、思わずそんな言葉が口から出た。
そしてすぐに失言だったと眉間に皺を寄せた。
「悪い、他意はないんだ」
「…うん、わかってる。俺が実戦でこんな戦い方するようになったのはここに配属されてからだから、学園の頃とは全然違うと思う。あの頃はさ、もうなんていうかルーヴっていう同い年のバケモノがいて、俺なんか努力してもって腐っちゃって、適当に授業とか受けてたんだよな」
地面に刺さった剣を抜いて、そこに付着した土を払い鞘に収める。
その洗練された一連の動作を見ながら、かつて自分も陥った心境だったなと目を細めた。どれだけ手を伸ばしても背中に指先がかすりもしないあの虚無感と、それでも追いつかなくてはと必死になった焦燥感は今思い出しても胸の辺りが苦しくなる。
「それに比べて、スタクはすごいよ」
「? どうしてだ」
自嘲めいた響きのある声に首を傾げる。
「だってずっと努力し続けてるじゃないか。学園にいた時も、今も、俺はスタクが手を抜いた所を見たことなんて一回もない」
ヤードの視線は下を向いていた。
眉間に皺を寄せ、どうしてだか苦しそうな顔をしている。
「いつだって一生懸命でさ、サボるなんて言葉知りませんって顔していろんなことしてたよ。苦手な火の魔法で苦戦してた時も、学園であったダンスパーティの時も、ルーヴの世話だって、全部スタクは一生懸命にやってた」
「…どうして僕が火属性魔法が苦手だって知ってるんだ…」
「え、そこ?」
それまで下を向いていたヤードが毒気を抜かれたような顔をして僕を見た。そして僕の顰め面を見て可笑しそうに吹き出すと慌てて口元を手の甲で隠す。
「あは、ん、んん…! ごめ、…うん。…知ってるんだ、見てたから」
「そうなのか。…まあずっとシリウスと一緒だったからな、僕は。否が応でも目立ってたのか…。クソ、油断してたな」
「……」
弱みを見せてしまっていたという数年越しの出来事に僕は悔しさから細く息を吐き出す。当時のことを思い出しながら立ち止まった足を前に出そうとした時「スタク」固い声が名前を呼んだから僕は振り返る。
「…スタクは、これからもずっとルーヴと一緒に」
「無理だろ」
間髪入れずに答えた僕にヤードの優しげな目が僅かに丸くなる。
「僕じゃ力不足だ」
思い出すのはさっきの空気を震わせる程の魔力。
研ぎ澄まされた美しい力の波形だった。乱れもせず、粗くもなく、安定した、「ああこれなら大丈夫だ」と無条件に思わせるような、そんな圧倒的な力だった。
シリウスはそれを使って見せた。
僕が隣にいなくとも、問題無く使って見せたのだ。
間違いなく喜ぶべき事柄で、「やっと独り立ちかあの馬鹿」と罵ってやって良いくらいなのに、今僕の胸に巣食うのはどうしようもないくらいの喪失感だった。
「…さて、先に進もうヤード。国境までもう少しだろ」
喪失感の答えを、きっと僕は求めてはいけない。そんな気がして、浮かべるべきではない思考を振り切るように肺の中の酸素を全部吐き出して、湿気を多く含んだ森の空気を吸い込んだ。「ああ」ヤードは静かに返事をして、僕の後を着いて来る。
靴底の厚いブーツで湿った土を踏み締めながら先を進む。
まるで夕方のように薄暗い森の中を歩いているともう少しで国境という付近で後ろにいたヤードが「待って」と声を上げた。
「どうした」
「ここから七時の方向、多分二百メートルくらい先に何かある」
言われた方向に顔を向け、そちらに集中して魔力探知を行う。
魔力探知とは言葉の通り、魔力を探知するために行う初級魔法だ。敵や魔道具の位置を性格に把握する為に学園に通い始めた時一番に習うものでもある、所謂基礎中の基礎。ただこの基礎魔法は使用する人によって精度が全く違う。
ちなみに僕は精度が高い方だ。その僕でも気が付かなかった魔力のほんの僅かな、さざなみのような揺らぎをヤードが捕らえたことに何度目かの驚きを覚える。
「…ヤードお前、在学中本気を出して学んでたら絶対に僕より成績良かったぞ」
「成績が良くても」
「ん?」
「……成績が良くても一番にはなれなかっただろうから、まあ、良いんだよ。俺は。これで」
へらりと力なく笑うとヤードの口角が弱々しく上がった。
「…そうか」
「うん」
そこから僕たちの間に必要最低限以外の会話は無く、魔力探知に引っ掛かった場所へと慎重に足を伸ばした。
そこで見つけたものは仄暗いオーラを発する大木。数日前発見した物よりも小さく、魔力もそれ程でもないが間違いなくあの時のものと同じ現象だった。木の根本や、広がった枝の下には罠のように赤い果実がいくつも転がっている。あれの一つ一つに魔物が入っているのだと思うとゾッとしない。
「…これが、寄生されている植物…」
呆然とした声に振り返ると声と同じ表情をしたヤードがいた。
「ん、ああ。そうか、ヤードはこの前の木を見てなかったな。初めの木はもっと大きくて魔力もこんな物じゃなかった。多分相当長い間寄生されていたんだろうな」
「…気になる事は山のようにあるけど、とりあえず報告だな。スタク、連絡を頼んでいいかな。俺は木の実拾って、あとちょっとこの木を観察したい」
「ああ、大丈夫だ」
ヤードの表情にはこの寄生された木に対する嫌悪とそれを上回る好奇心がよく現れていた。未知のものに対する興味が強い性格なんだなというのもこの時初めて知った。
どうして知らなかったのだろうかと、ふと思った。
魔力の適正によって割り当てられたクラスは入学から卒業まで変わらない。だから僕はヤードと十歳の頃からの、決して短くない付き合いの筈なのに知らないことばかりだ。背が僕よりも高いことだって、つい先日気がついたばかりだ。
そこまで考えて、思考がもう一段深くなりそうだったところでハッとして無意識に組んでいた腕を解き、班長たちと連絡を取るために少し離れる。
「班長、聞こえますか」
『はいはいどしたの~』
「宿木を発見しました。こちらに来ることは可能ですか」
『おお、お手柄だったねー。了解、すぐそっちに行くからちょっと待っててぇ。あ、そだ。木の実とか拾っといてくれるとありがとサンキューって感じ』
「それはもうヤードがやってくれてます」
『さすがヤード。ありがとサンキューって伝えといてー』
「はい。僕たちがいる場所ですが──」
それから少しして通話を終え、通信機をしまい木の方へと振り返る。
「…ヤード、何をしてるんだ」
木の根本で座り込み、ヒビが入ってる箇所をじっと見ている姿は兵士というよりも研究員と呼んだ方がいくらかしっくりと来る。
「虫の魔物がどうやって木に寄生するのかを考えてた。多分侵入経路はここで間違いないし、報告書にあった核みたいなのもこのすぐそばにあるんだと思う。でも寄生っていう言葉はなんとなく腑に落ちないなぁって思って。…この木の状態はすごく良いし、実りだってこんなにある。他の木に比べて栄養が十分に行き渡っていると仮定するなら、この木と魔物は共生関係にあるのかなぁ」
顎に手を当て、最初は聞かせるようにゆっくりと話していたのが段々とペースが早くなる。
「んんん、断面図とか見れたらまた全然違う見解が出来るのかもしれないけど、さすがにそれは難しいよなぁ。安全が第一だから」
「ヤード」
「うわあ!」
「驚き過ぎだろ。そろそろ班長たちが来るぞ」
思考の海へと沈んでしまったヤードに息を吐き、近くで声を掛けると僕よりも大きな体がその見た目に合わない俊敏さで字の如く飛び退いた。それを見ながら言葉を続けるとヤードは照れ臭そうに頭の後ろを掻く。
ヤードが座り込んでいた場所のそばには中身が詰まった袋が有り、その中にはきっと虫が入った果実があるのだろうと思い、また視線をヤードに向ける。
「ありがとサンキュー」
「え?」
「班長が」
「……うん、そっか」
組んでみて初めてわかったが、ヤードは案外シリウスとタイプが似ている。あいつ程力でゴリ押しという訳ではないが、ある程度の魔物なら火力だけで押し切れる。そのことに僕は純粋に驚いていた。
「……ヤードは、どうして僕よりも実技の成績が低かったんだ?」
何体目かの魔物を灰にした時、思わずそんな言葉が口から出た。
そしてすぐに失言だったと眉間に皺を寄せた。
「悪い、他意はないんだ」
「…うん、わかってる。俺が実戦でこんな戦い方するようになったのはここに配属されてからだから、学園の頃とは全然違うと思う。あの頃はさ、もうなんていうかルーヴっていう同い年のバケモノがいて、俺なんか努力してもって腐っちゃって、適当に授業とか受けてたんだよな」
地面に刺さった剣を抜いて、そこに付着した土を払い鞘に収める。
その洗練された一連の動作を見ながら、かつて自分も陥った心境だったなと目を細めた。どれだけ手を伸ばしても背中に指先がかすりもしないあの虚無感と、それでも追いつかなくてはと必死になった焦燥感は今思い出しても胸の辺りが苦しくなる。
「それに比べて、スタクはすごいよ」
「? どうしてだ」
自嘲めいた響きのある声に首を傾げる。
「だってずっと努力し続けてるじゃないか。学園にいた時も、今も、俺はスタクが手を抜いた所を見たことなんて一回もない」
ヤードの視線は下を向いていた。
眉間に皺を寄せ、どうしてだか苦しそうな顔をしている。
「いつだって一生懸命でさ、サボるなんて言葉知りませんって顔していろんなことしてたよ。苦手な火の魔法で苦戦してた時も、学園であったダンスパーティの時も、ルーヴの世話だって、全部スタクは一生懸命にやってた」
「…どうして僕が火属性魔法が苦手だって知ってるんだ…」
「え、そこ?」
それまで下を向いていたヤードが毒気を抜かれたような顔をして僕を見た。そして僕の顰め面を見て可笑しそうに吹き出すと慌てて口元を手の甲で隠す。
「あは、ん、んん…! ごめ、…うん。…知ってるんだ、見てたから」
「そうなのか。…まあずっとシリウスと一緒だったからな、僕は。否が応でも目立ってたのか…。クソ、油断してたな」
「……」
弱みを見せてしまっていたという数年越しの出来事に僕は悔しさから細く息を吐き出す。当時のことを思い出しながら立ち止まった足を前に出そうとした時「スタク」固い声が名前を呼んだから僕は振り返る。
「…スタクは、これからもずっとルーヴと一緒に」
「無理だろ」
間髪入れずに答えた僕にヤードの優しげな目が僅かに丸くなる。
「僕じゃ力不足だ」
思い出すのはさっきの空気を震わせる程の魔力。
研ぎ澄まされた美しい力の波形だった。乱れもせず、粗くもなく、安定した、「ああこれなら大丈夫だ」と無条件に思わせるような、そんな圧倒的な力だった。
シリウスはそれを使って見せた。
僕が隣にいなくとも、問題無く使って見せたのだ。
間違いなく喜ぶべき事柄で、「やっと独り立ちかあの馬鹿」と罵ってやって良いくらいなのに、今僕の胸に巣食うのはどうしようもないくらいの喪失感だった。
「…さて、先に進もうヤード。国境までもう少しだろ」
喪失感の答えを、きっと僕は求めてはいけない。そんな気がして、浮かべるべきではない思考を振り切るように肺の中の酸素を全部吐き出して、湿気を多く含んだ森の空気を吸い込んだ。「ああ」ヤードは静かに返事をして、僕の後を着いて来る。
靴底の厚いブーツで湿った土を踏み締めながら先を進む。
まるで夕方のように薄暗い森の中を歩いているともう少しで国境という付近で後ろにいたヤードが「待って」と声を上げた。
「どうした」
「ここから七時の方向、多分二百メートルくらい先に何かある」
言われた方向に顔を向け、そちらに集中して魔力探知を行う。
魔力探知とは言葉の通り、魔力を探知するために行う初級魔法だ。敵や魔道具の位置を性格に把握する為に学園に通い始めた時一番に習うものでもある、所謂基礎中の基礎。ただこの基礎魔法は使用する人によって精度が全く違う。
ちなみに僕は精度が高い方だ。その僕でも気が付かなかった魔力のほんの僅かな、さざなみのような揺らぎをヤードが捕らえたことに何度目かの驚きを覚える。
「…ヤードお前、在学中本気を出して学んでたら絶対に僕より成績良かったぞ」
「成績が良くても」
「ん?」
「……成績が良くても一番にはなれなかっただろうから、まあ、良いんだよ。俺は。これで」
へらりと力なく笑うとヤードの口角が弱々しく上がった。
「…そうか」
「うん」
そこから僕たちの間に必要最低限以外の会話は無く、魔力探知に引っ掛かった場所へと慎重に足を伸ばした。
そこで見つけたものは仄暗いオーラを発する大木。数日前発見した物よりも小さく、魔力もそれ程でもないが間違いなくあの時のものと同じ現象だった。木の根本や、広がった枝の下には罠のように赤い果実がいくつも転がっている。あれの一つ一つに魔物が入っているのだと思うとゾッとしない。
「…これが、寄生されている植物…」
呆然とした声に振り返ると声と同じ表情をしたヤードがいた。
「ん、ああ。そうか、ヤードはこの前の木を見てなかったな。初めの木はもっと大きくて魔力もこんな物じゃなかった。多分相当長い間寄生されていたんだろうな」
「…気になる事は山のようにあるけど、とりあえず報告だな。スタク、連絡を頼んでいいかな。俺は木の実拾って、あとちょっとこの木を観察したい」
「ああ、大丈夫だ」
ヤードの表情にはこの寄生された木に対する嫌悪とそれを上回る好奇心がよく現れていた。未知のものに対する興味が強い性格なんだなというのもこの時初めて知った。
どうして知らなかったのだろうかと、ふと思った。
魔力の適正によって割り当てられたクラスは入学から卒業まで変わらない。だから僕はヤードと十歳の頃からの、決して短くない付き合いの筈なのに知らないことばかりだ。背が僕よりも高いことだって、つい先日気がついたばかりだ。
そこまで考えて、思考がもう一段深くなりそうだったところでハッとして無意識に組んでいた腕を解き、班長たちと連絡を取るために少し離れる。
「班長、聞こえますか」
『はいはいどしたの~』
「宿木を発見しました。こちらに来ることは可能ですか」
『おお、お手柄だったねー。了解、すぐそっちに行くからちょっと待っててぇ。あ、そだ。木の実とか拾っといてくれるとありがとサンキューって感じ』
「それはもうヤードがやってくれてます」
『さすがヤード。ありがとサンキューって伝えといてー』
「はい。僕たちがいる場所ですが──」
それから少しして通話を終え、通信機をしまい木の方へと振り返る。
「…ヤード、何をしてるんだ」
木の根本で座り込み、ヒビが入ってる箇所をじっと見ている姿は兵士というよりも研究員と呼んだ方がいくらかしっくりと来る。
「虫の魔物がどうやって木に寄生するのかを考えてた。多分侵入経路はここで間違いないし、報告書にあった核みたいなのもこのすぐそばにあるんだと思う。でも寄生っていう言葉はなんとなく腑に落ちないなぁって思って。…この木の状態はすごく良いし、実りだってこんなにある。他の木に比べて栄養が十分に行き渡っていると仮定するなら、この木と魔物は共生関係にあるのかなぁ」
顎に手を当て、最初は聞かせるようにゆっくりと話していたのが段々とペースが早くなる。
「んんん、断面図とか見れたらまた全然違う見解が出来るのかもしれないけど、さすがにそれは難しいよなぁ。安全が第一だから」
「ヤード」
「うわあ!」
「驚き過ぎだろ。そろそろ班長たちが来るぞ」
思考の海へと沈んでしまったヤードに息を吐き、近くで声を掛けると僕よりも大きな体がその見た目に合わない俊敏さで字の如く飛び退いた。それを見ながら言葉を続けるとヤードは照れ臭そうに頭の後ろを掻く。
ヤードが座り込んでいた場所のそばには中身が詰まった袋が有り、その中にはきっと虫が入った果実があるのだろうと思い、また視線をヤードに向ける。
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「え?」
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