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第三章
定期的な食事会
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リュシアンと食事をする時は普段よりも時間が遅くなる。
公爵の代わりとして軍港を治めているのだから、業務は日々山のようにある。それなのにリュシアンは人を増やそうとは考えていないらしく、必要最低限の人数で全てをこなしている。
だから必然的に仕事以外の予定が全て後ろになっていくのだ。
「お待たせいたしました」
「待ってない。むしろ急かしたようですまないな」
「謝る必要はありませんぞ、フィリアス様。このご予定がなければリュシアン様はいつものお食事ですらおざなりにされますからな」
「エルダー」
リュシアンが眉を下げてエルダーを見る。それに視線を向けることなく食事の準備を整える姿にゴードンが「違いねえ」と明るく笑った。
この食事会もこれで数回目だ。
相変わらずリュシアンは忙しいし、服装だって一切の乱れがない。見た目からの威圧感は変わらないけれど、それでも目に見える変化だってあった。
「フィリアス様は今日は何を?」
「いつもと変わらない。朝も昼もゴードンと一緒だった」
「毎日一緒なもんだからもう息子みてえなもんですわ」
「そうですか」
「ああでもそうだ、今日はリオルがいなかったな」
テーブルに料理が並べられていく。立食パーティーの時以降、二人での食事の際はリュシアンの目の前で料理が盛り付けられるようになった。さすがに場所は厨房ではないけれど。
「あの歳にしては十分優秀だと思うが、しっかりと勉強をしていて偉いな」
「そうですね。リオルには、期待をしているので」
「やっぱりリュシアンの目から見てもリオルは優秀なんだな」
「我が家で優秀でない者はいません」
きっぱりと返ってきた言葉に苦笑する。けれどその通りだ。フォークナー家は代々公爵として国を支えてきた重鎮だ。優秀でないはずがない。
そんな公爵家の令嬢に俺はとんでもないことをしてしまったんだなと胸が重たくなるが、それを察してかエルダーが声を掛けた。
「さあお食事にしましょう。ゴードン、こちらに」
前菜から主菜までが並ぶ中、リュシアンの目が追っていたのは魚料理だった。
「これは」
「初めてリュシアンに出した料理だ。あの時は味までわからなかっただろう? けど今ならわかるんじゃないかと思って」
そう言ってゴードンに目配せをすれば頷いていた。視線を移すと、そこにはあの時よりもさらに美しく盛り付けられた料理があり、あの時からゴードンも何度も試作を重ねてくれていたんだとわかって嬉しくなる。
早速一口食べてみれば、味も始めの頃よりずっと美味しい。
どうしてこんなに味が違うのかはさっぱりわからないが、ゴードンが何か魔法でも掛けたに違いない。それくらい美味しかった。
「美味しいな、ゴードン」
「当たり前だろ。作ってんの、俺だぜ」
「ゴードン」
自信満々な姿に笑い、リュシアンを見る。
彼も料理を切り分け、一口食べようとしている頃だった。
リュシアンも随分と抵抗なく食事を口に運べるようになったと思う。はじめは料理を睨んで微動だにしなかった頃もあったが、今ではそれがない。
「……どうです、リュシアン様」
どれだけ食べられるようになったと言っても、やはりこの瞬間は誰もが緊張する。
静かな部屋に無音の時間が流れ、それからリュシアンが口を開いた。
「美味いな。こんな味だったのか」
エルダーがほっと胸を撫で下ろし、ゴードンは無言で両腕を天に突き上げた。俺はその三人の様子に笑みを浮かべて「よかった」と呟く。
「何よりです、リュシアン様。ですがご無理はなさらず」
「ああ、ありがとう」
結果、その日はなんと一皿食べ切ることができた。
これにはゴードンが感動のあまりに泣き出してしまって、さすがのリュシアンも困惑気味だった。けれど表情に少しだけ嬉しさが滲んでいたのを俺は知っている。
自分のことを思って涙を流してくれている人がいるというのは、きっととても幸せなことだろう。
後書き
ここまで読んでくださってありがとうございます!
ゆっくりとしたペースで二人が距離を縮めております!
まだまだイベントは盛り沢山なので、引き続き楽しんでいただけますと幸いです!
連日の♡や感想など、とても励みになっております。本当にありがとうございます!
皆様のおかげでランキング全てにおいて過去最高順位をいただけております。
重ねて御礼申し上げます。
また、この作品はただいまBL大賞に参加しております。
気に入ってくださったら、投票で応援していただけますと幸いです!
何卒よろしくお願いいたします!
公爵の代わりとして軍港を治めているのだから、業務は日々山のようにある。それなのにリュシアンは人を増やそうとは考えていないらしく、必要最低限の人数で全てをこなしている。
だから必然的に仕事以外の予定が全て後ろになっていくのだ。
「お待たせいたしました」
「待ってない。むしろ急かしたようですまないな」
「謝る必要はありませんぞ、フィリアス様。このご予定がなければリュシアン様はいつものお食事ですらおざなりにされますからな」
「エルダー」
リュシアンが眉を下げてエルダーを見る。それに視線を向けることなく食事の準備を整える姿にゴードンが「違いねえ」と明るく笑った。
この食事会もこれで数回目だ。
相変わらずリュシアンは忙しいし、服装だって一切の乱れがない。見た目からの威圧感は変わらないけれど、それでも目に見える変化だってあった。
「フィリアス様は今日は何を?」
「いつもと変わらない。朝も昼もゴードンと一緒だった」
「毎日一緒なもんだからもう息子みてえなもんですわ」
「そうですか」
「ああでもそうだ、今日はリオルがいなかったな」
テーブルに料理が並べられていく。立食パーティーの時以降、二人での食事の際はリュシアンの目の前で料理が盛り付けられるようになった。さすがに場所は厨房ではないけれど。
「あの歳にしては十分優秀だと思うが、しっかりと勉強をしていて偉いな」
「そうですね。リオルには、期待をしているので」
「やっぱりリュシアンの目から見てもリオルは優秀なんだな」
「我が家で優秀でない者はいません」
きっぱりと返ってきた言葉に苦笑する。けれどその通りだ。フォークナー家は代々公爵として国を支えてきた重鎮だ。優秀でないはずがない。
そんな公爵家の令嬢に俺はとんでもないことをしてしまったんだなと胸が重たくなるが、それを察してかエルダーが声を掛けた。
「さあお食事にしましょう。ゴードン、こちらに」
前菜から主菜までが並ぶ中、リュシアンの目が追っていたのは魚料理だった。
「これは」
「初めてリュシアンに出した料理だ。あの時は味までわからなかっただろう? けど今ならわかるんじゃないかと思って」
そう言ってゴードンに目配せをすれば頷いていた。視線を移すと、そこにはあの時よりもさらに美しく盛り付けられた料理があり、あの時からゴードンも何度も試作を重ねてくれていたんだとわかって嬉しくなる。
早速一口食べてみれば、味も始めの頃よりずっと美味しい。
どうしてこんなに味が違うのかはさっぱりわからないが、ゴードンが何か魔法でも掛けたに違いない。それくらい美味しかった。
「美味しいな、ゴードン」
「当たり前だろ。作ってんの、俺だぜ」
「ゴードン」
自信満々な姿に笑い、リュシアンを見る。
彼も料理を切り分け、一口食べようとしている頃だった。
リュシアンも随分と抵抗なく食事を口に運べるようになったと思う。はじめは料理を睨んで微動だにしなかった頃もあったが、今ではそれがない。
「……どうです、リュシアン様」
どれだけ食べられるようになったと言っても、やはりこの瞬間は誰もが緊張する。
静かな部屋に無音の時間が流れ、それからリュシアンが口を開いた。
「美味いな。こんな味だったのか」
エルダーがほっと胸を撫で下ろし、ゴードンは無言で両腕を天に突き上げた。俺はその三人の様子に笑みを浮かべて「よかった」と呟く。
「何よりです、リュシアン様。ですがご無理はなさらず」
「ああ、ありがとう」
結果、その日はなんと一皿食べ切ることができた。
これにはゴードンが感動のあまりに泣き出してしまって、さすがのリュシアンも困惑気味だった。けれど表情に少しだけ嬉しさが滲んでいたのを俺は知っている。
自分のことを思って涙を流してくれている人がいるというのは、きっととても幸せなことだろう。
後書き
ここまで読んでくださってありがとうございます!
ゆっくりとしたペースで二人が距離を縮めております!
まだまだイベントは盛り沢山なので、引き続き楽しんでいただけますと幸いです!
連日の♡や感想など、とても励みになっております。本当にありがとうございます!
皆様のおかげでランキング全てにおいて過去最高順位をいただけております。
重ねて御礼申し上げます。
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