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第一章
先生、俺さ。
しおりを挟む「ホームルーム始めるぞ~」
このクラスの担任をしている、中原翔真先生の掛け声で皆の話し声が小さくなり、椅子がガタガタと動く音がする。なんてことはない、ただの日常。
話を聞かない生徒ばかりなのにわざわざ声を張って真剣に話をしている先生をぼんやりと眺めながら、俺は眠りに落ちた。
「ん………」
光が眩しくて目を開けると、夕焼けの赤が目に飛び込んできて思わず顔を顰める。どうやら長い間眠ってしまっていたようだった。皆、起こしてくれれば良かったのに……なんてブツブツと小さく悪態をつきながら立ち上がると、俺の肩に掛けられていたらしい誰かの上着が下に落ちた。少しくたびれた、男物のスーツ。
「もしかして…ナカちゃんか?」
ナカちゃんというのは、俺達の担任のあだ名だ。みんな親しみを込めてそう呼んでいる。
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