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一六章 まるで……彼氏みたいじゃない
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こうして、あたしの太陽ドルを目指す挑戦ははじまった。
学校が終わるとすぐに野々村さんの所に行って畑仕事の手伝い。それから、武緖先生のもとで歌のレッスン。ダンス部の方もつづけていたからかなり大変だった。武緖先生は相変わらずの『意地悪おばさん』振りで悪口全開、レッスン中は腹が立って、腹が立って仕方なかったけど。
それでも、そんな毎日はいままでにない充実感があった。単にスクールカーストでの立場を守るために表面を飾り立てるためだけじゃない。本気でなにかを目指して打ち込んでいる。そのことが我ながら誇らしかったし、そんな挑戦ができることが楽しかった。
武緖先生のレッスンは厳しくて容赦のないものだったから、なかなかOKが出ずに遅くなることもよくあった。ようやくOKが出て『帰れる……!』となった頃には外はもう真っ暗。そんなことが普通だった。
そんなときには必ず、野々村さんが家まで送ってくれた。レッスン中は必ず側にいてスポドリやタオルを手渡してくれたり、声をかけて励ましてくれる。それはもちろん、嬉しいんだけど――。
「すごいよ、内ヶ島さん。今日もかわいかったよ」
「唄って踊る内ヶ島さん、すごいカッコいいよ」
「本当、すごいよ。武緖先生の厳しいレッスンにちゃんとついていけるなんてさ。僕にはとても無理だなあ」
なんて、毎度まいど言い立てるってどういうことよ⁉ そんなことを言われつづけたら顔が赤くなっちゃうじゃない!
これがもし、あたしをその気にさせるためにわかって言っているんだったら、こっちとしてもスルーできるんだけど。こいつときたらキラキラお目々で無邪気そのものの表情と口調で言うものだから……ほんとにもう、この天然無自覚だけは!
そうやってさんざん、あたしの顔を赤くしておいて、さらに追い打ちをかけるのよね。帰りが遅くなれば必ず『家まで送るよ』って言い出すんだから。
「べつに、毎日まいにち家まで送ってくれなくてもいいのに」
「そうはいかないよ。僕が太陽ドルに誘ったために夜が遅くなって、なにかあった……なんてことになったらご両親に顔向けできないからね。ちゃんと、送るよ」
メガネの奥の目であたしを見つめ、真顔でそう言ってのける。小学生みたいに小柄でひ弱な男の子のくせに、騎士気取りとかカッコ付けすぎでしょ!
ほんとにもう、顔が赤くなりっぱなしじゃない。厳しいレッスンのあとだから顔が赤くなっていてもごまかせるから、まだいいんだけど……。
どっぷり日が暮れたなか、野々村さんとふたり、家に帰るとママが満面の笑顔で出迎える。
「あらあら、宏太くん。いつも騎士役ご苦労さま」
って、ママ。なんで娘に『お帰り』の一言もなしに野々村さんに話しかけるのよ。
「いえ。当たり前のことですから」
「まあ、良い子ねえ。こんな子をもててご両親がうらやましいわ」
って、ママは、意味ありげな視線でチラチラあたしを見る。あたしは野々村さんとはちがってその視線の意味がわかる程度にはおとなだから、もう恥ずかしいやら、いたたまれないやら。
――野々村さんみたいに鈍感だったらよかったのにっ!
思わず、心のなかでそう叫んでしまう。
ママと来たらそんな娘の心も知らずに――でなきゃ、知っていても無視して――上機嫌に野々村さんに言う。
「よかったら、夕ご飯、食べていきなさい。多い方が賑やかでおいしいから」
そう言って、強引に野々村さんを家にあげる。
居間に入ると、パパがいつも通りのエプロン姿で料理をテーブルに並べている。その数、きっちり四人前。最近ではもう、明らかに最初から四人分、用意してある。野々村さんが一緒に食べていくことが前提なのだ。
四人でテーブルについて、
「いただきます」
って、食事がはじまる。
でも、実際にはじまるのは食事ではなく、トークタイム。パパが開口一番、
「今日の静香はどうだった?」
って、尋ねると、野々村さんと来たら普段のおとなしい陰キャ振りはどこへやら、これがもう喋る、しゃべる。あたしが太陽ドルのレッスンをどんなにがんばってるか、唄い、踊る、あたしの姿がどんなにかわいいか、喋りまくる。スマホを取り出して点検用に撮っている動画を見せる。パパも、ママも、奪い合うようにして画面に見入り、歓声をあげる。パパなんてもう、あたしのレッスン姿を見て感動の大泣き。
お願いだから、そこまで感動しないでっ!
あたしはもう恥ずかしいやら、照れくさいやら、いたたまれないやら、はたまた腹が立つやらで食事どころじゃない。って言うか、まわりがこんなふうに自分のことで盛りあがっている状況でご飯を食べられる人がいたら見てみたいもんだわ。その人はきっと、神経がお相撲さんの胴体ぐらい太いにちがいない。
それにしてもよ。
――なんで、うちの両親、ふたりそろって野々村さんのことをこんなに気に入ってるの⁉
いや、べつにきらうべきだとか、そう言うことを言ってるわけじゃないけど。野々村さんがいい人なのはたしかだし。でも、気に入りすぎでしょ。これじゃまるで、なんていうか、その……。
――両親公認の彼氏みたいじゃない!
あたしは思わず、心に叫ぶ。『彼氏』というワードに思わず、頬が熱くなる。そんなあたしの顔を野々村さんがキョトンとした表情でのぞき込んできた。
「どうかした? 内ヶ島さん。顔が真っ赤だよ?」
「な、なんでもない……!」
あたしはそう叫んで、必死にご飯をかきこむ。そんなあたしを――。
ママがニマニマしながら見つめている。
ああ、もう!
腹が立つ!
その一方で、あたしの中学生活には変化が生まれていた。太陽ドルとしてのレッスンがいそがしいので、中学の連れたちと一緒に過ごす時間が短くなった。そんなあたしに向かって一番、付き合いの長い紗菜が心配そうに声をかけてきた。
「ねえ、静香。『のび太』と付き合ってるって本当?」
「『のび太』じゃなくて、『野々村さん』でしょ」
あたしは思わず、そう言い返していた。あまりの口調の強さに紗菜はびっくりして引いてしまった。
無理もないわ。自分だって驚いたもの。そんなキツい声を出したことに。
でも、なんか野々村さんを『のび太』呼ばわりされてやけに腹が立ったのよね。そういえば、いつの間に『のび太』って呼ばなくなったんだろう。ちょっと前まで『のび太』としか呼んでいなかったのに……。
あたしはひとつ、咳払いした。口調をせいぜい穏やかなものにかえて紗菜に言った。
「付き合うって言うのが『恋人として』っていう意味なら全然ちがうわよ。太陽ドルになるために一緒に行動してるだけ」
「太陽ドルって……本当に、アイドルになんてなれるつもりなの?」
紗菜はやけに不安そう。
あたしは正直、腹が立った。『なれるつもりなの』って、その言い方に。
――なによ、その言い方。あたしはアイドルになれないって言うの? そりゃあ、なれるかどうかなんてわからないけど、でも……。
「挑戦するのはかまわないでしょ」
あたしは紗菜にそう言った。我ながら、またしてもキツい言い方になってしまった。
「挑戦すれば確実に成長する。成長それ自体を人生の目的とすれば、人生に失敗なんてあり得ない。それが、うちの親の方針だしね。なれる、なれないはただの結果。とにかくいまは、太陽ドル目指して全力でがんばるつもり」
きっぱりと――。
あたしは紗菜に向かって、そう言った。
紗菜はそんなあたしから黙ってはなれていった。そのときのあたしを見る目がやけに気にかかった。そして――。
あたしの中学生活は一変した。
学校が終わるとすぐに野々村さんの所に行って畑仕事の手伝い。それから、武緖先生のもとで歌のレッスン。ダンス部の方もつづけていたからかなり大変だった。武緖先生は相変わらずの『意地悪おばさん』振りで悪口全開、レッスン中は腹が立って、腹が立って仕方なかったけど。
それでも、そんな毎日はいままでにない充実感があった。単にスクールカーストでの立場を守るために表面を飾り立てるためだけじゃない。本気でなにかを目指して打ち込んでいる。そのことが我ながら誇らしかったし、そんな挑戦ができることが楽しかった。
武緖先生のレッスンは厳しくて容赦のないものだったから、なかなかOKが出ずに遅くなることもよくあった。ようやくOKが出て『帰れる……!』となった頃には外はもう真っ暗。そんなことが普通だった。
そんなときには必ず、野々村さんが家まで送ってくれた。レッスン中は必ず側にいてスポドリやタオルを手渡してくれたり、声をかけて励ましてくれる。それはもちろん、嬉しいんだけど――。
「すごいよ、内ヶ島さん。今日もかわいかったよ」
「唄って踊る内ヶ島さん、すごいカッコいいよ」
「本当、すごいよ。武緖先生の厳しいレッスンにちゃんとついていけるなんてさ。僕にはとても無理だなあ」
なんて、毎度まいど言い立てるってどういうことよ⁉ そんなことを言われつづけたら顔が赤くなっちゃうじゃない!
これがもし、あたしをその気にさせるためにわかって言っているんだったら、こっちとしてもスルーできるんだけど。こいつときたらキラキラお目々で無邪気そのものの表情と口調で言うものだから……ほんとにもう、この天然無自覚だけは!
そうやってさんざん、あたしの顔を赤くしておいて、さらに追い打ちをかけるのよね。帰りが遅くなれば必ず『家まで送るよ』って言い出すんだから。
「べつに、毎日まいにち家まで送ってくれなくてもいいのに」
「そうはいかないよ。僕が太陽ドルに誘ったために夜が遅くなって、なにかあった……なんてことになったらご両親に顔向けできないからね。ちゃんと、送るよ」
メガネの奥の目であたしを見つめ、真顔でそう言ってのける。小学生みたいに小柄でひ弱な男の子のくせに、騎士気取りとかカッコ付けすぎでしょ!
ほんとにもう、顔が赤くなりっぱなしじゃない。厳しいレッスンのあとだから顔が赤くなっていてもごまかせるから、まだいいんだけど……。
どっぷり日が暮れたなか、野々村さんとふたり、家に帰るとママが満面の笑顔で出迎える。
「あらあら、宏太くん。いつも騎士役ご苦労さま」
って、ママ。なんで娘に『お帰り』の一言もなしに野々村さんに話しかけるのよ。
「いえ。当たり前のことですから」
「まあ、良い子ねえ。こんな子をもててご両親がうらやましいわ」
って、ママは、意味ありげな視線でチラチラあたしを見る。あたしは野々村さんとはちがってその視線の意味がわかる程度にはおとなだから、もう恥ずかしいやら、いたたまれないやら。
――野々村さんみたいに鈍感だったらよかったのにっ!
思わず、心のなかでそう叫んでしまう。
ママと来たらそんな娘の心も知らずに――でなきゃ、知っていても無視して――上機嫌に野々村さんに言う。
「よかったら、夕ご飯、食べていきなさい。多い方が賑やかでおいしいから」
そう言って、強引に野々村さんを家にあげる。
居間に入ると、パパがいつも通りのエプロン姿で料理をテーブルに並べている。その数、きっちり四人前。最近ではもう、明らかに最初から四人分、用意してある。野々村さんが一緒に食べていくことが前提なのだ。
四人でテーブルについて、
「いただきます」
って、食事がはじまる。
でも、実際にはじまるのは食事ではなく、トークタイム。パパが開口一番、
「今日の静香はどうだった?」
って、尋ねると、野々村さんと来たら普段のおとなしい陰キャ振りはどこへやら、これがもう喋る、しゃべる。あたしが太陽ドルのレッスンをどんなにがんばってるか、唄い、踊る、あたしの姿がどんなにかわいいか、喋りまくる。スマホを取り出して点検用に撮っている動画を見せる。パパも、ママも、奪い合うようにして画面に見入り、歓声をあげる。パパなんてもう、あたしのレッスン姿を見て感動の大泣き。
お願いだから、そこまで感動しないでっ!
あたしはもう恥ずかしいやら、照れくさいやら、いたたまれないやら、はたまた腹が立つやらで食事どころじゃない。って言うか、まわりがこんなふうに自分のことで盛りあがっている状況でご飯を食べられる人がいたら見てみたいもんだわ。その人はきっと、神経がお相撲さんの胴体ぐらい太いにちがいない。
それにしてもよ。
――なんで、うちの両親、ふたりそろって野々村さんのことをこんなに気に入ってるの⁉
いや、べつにきらうべきだとか、そう言うことを言ってるわけじゃないけど。野々村さんがいい人なのはたしかだし。でも、気に入りすぎでしょ。これじゃまるで、なんていうか、その……。
――両親公認の彼氏みたいじゃない!
あたしは思わず、心に叫ぶ。『彼氏』というワードに思わず、頬が熱くなる。そんなあたしの顔を野々村さんがキョトンとした表情でのぞき込んできた。
「どうかした? 内ヶ島さん。顔が真っ赤だよ?」
「な、なんでもない……!」
あたしはそう叫んで、必死にご飯をかきこむ。そんなあたしを――。
ママがニマニマしながら見つめている。
ああ、もう!
腹が立つ!
その一方で、あたしの中学生活には変化が生まれていた。太陽ドルとしてのレッスンがいそがしいので、中学の連れたちと一緒に過ごす時間が短くなった。そんなあたしに向かって一番、付き合いの長い紗菜が心配そうに声をかけてきた。
「ねえ、静香。『のび太』と付き合ってるって本当?」
「『のび太』じゃなくて、『野々村さん』でしょ」
あたしは思わず、そう言い返していた。あまりの口調の強さに紗菜はびっくりして引いてしまった。
無理もないわ。自分だって驚いたもの。そんなキツい声を出したことに。
でも、なんか野々村さんを『のび太』呼ばわりされてやけに腹が立ったのよね。そういえば、いつの間に『のび太』って呼ばなくなったんだろう。ちょっと前まで『のび太』としか呼んでいなかったのに……。
あたしはひとつ、咳払いした。口調をせいぜい穏やかなものにかえて紗菜に言った。
「付き合うって言うのが『恋人として』っていう意味なら全然ちがうわよ。太陽ドルになるために一緒に行動してるだけ」
「太陽ドルって……本当に、アイドルになんてなれるつもりなの?」
紗菜はやけに不安そう。
あたしは正直、腹が立った。『なれるつもりなの』って、その言い方に。
――なによ、その言い方。あたしはアイドルになれないって言うの? そりゃあ、なれるかどうかなんてわからないけど、でも……。
「挑戦するのはかまわないでしょ」
あたしは紗菜にそう言った。我ながら、またしてもキツい言い方になってしまった。
「挑戦すれば確実に成長する。成長それ自体を人生の目的とすれば、人生に失敗なんてあり得ない。それが、うちの親の方針だしね。なれる、なれないはただの結果。とにかくいまは、太陽ドル目指して全力でがんばるつもり」
きっぱりと――。
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