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第二章 学園編

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 教科書と筆記用具出さなきゃ。

 ごそごそと鞄を漁っていると、ちょうどマリア様の姿が目に入った。
 何やら必死に鞄の中を探している様だがしばらくすると落胆した様子で探すのをやめてしまった。 
 机には筆記用具がないし、もしかして、忘れてきたのかしら。

 実は初日に私に絡んできたマリア様は、クラスメイト達から「公爵家に喧嘩を売る非常識な令嬢」として認識されたようで、すっかりクラスから孤立した存在になっていた。
 そのため、筆記用具を貸し借り出来るクラスメイトもいないようだ。

 正直マリア様とはあまり関わりたくない。
 でも、この状況じゃまるでマリア様を虐めているみたいで嫌な気分になるわ。
 私から友好的な態度を示せばクラスメイト達の当たりも和らぎそうだし、一回きりなら貸してあげてもいいかな。

 私は筆記用具を持ち席を立つと、マリア様の元へと歩み寄り机に置いた。

「あの、マリア様。筆記用具をお忘れでしょうか? もし宜しければ使ってください」

 マリア様はハッと顔を上げた。

「イザベル様、いいのですか?」
「ええ、私は少し多めに持ってきていますし、どうぞ使って下さい」
「ありがとうございます!」

 マリア様はパァッと明るい笑顔で私にお礼を言ってきた。
 ああ、流石はヒロイン。
 その笑顔が眩しいっ!

「では、私はこれで」

 このまま突っ立っていても仕方ないので、私はそう言い残し、そそくさと席へ戻った。

「イザベル嬢は優しいな。絡んで来た相手に物を貸すなんて」
「私は多く持っていた筆記用具を貸しただけですし、マリア様がクラスメイトから孤立している状況がなんだか虐めのように感じて嫌な気持ちになったものですから」

 ヘンリー殿下と話していると視線を感じたため横目でその方向をみるとマリア様とバチッと目が合った。
 マリア様はポッと顔を赤らめると、ささっと視線を逸らした。

 あれ、マリア様なんで顔が赤いんだろ。
 
 そんな事を思っていると、教師がガラリと教室の扉を開けた。
 おっと、授業に集中しなきゃ。
 そのまま真剣に教師の話を聞いているとあっという間にチャイムが鳴った。
 私は筆記用具を閉まって立ち上がると、マリア様がこちらに近付いて来るのが視界に入った。
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