溺愛令息は今日も彼女の前で猫をかぶる

夢宮れい

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夕飯

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「おかえりなさいませ。リーゼット様、シャロン様。」



家に入ると、リーズ付きのメイドであるアンが出迎えてくれる。リーズの体調を考慮して、リーズの母君が雇ってくれたのだ。


現在はリーズの学校がある都の近くに家を建てて俺とリーズとアンの三人で暮らしている。体の弱いリーズのために俺の両親に融資してもらった。

これのために俺は、国で一番厳しいと言われるウェールズ騎士養成学校に通うことになったのだが、リーズのためだと思えば首席で卒業できた。これには両親も驚いていた。友人は少し引いていた。仕方がない、これも愛の力である。

「ただいま、アン」


「夕飯の準備ができております。」


「ありがとうアン。でも今日は体育で汗をかいたから、夕飯の前に体を清めたいわ。」


「かしこまりました。用意してまいりますので、リビングでお待ち下さいませ。」


「えぇ。」




さて、ここからは俺の至極の時間だ。



「リーズ、おいで。」

「はい、シャロン様。」


リビングのソファーに座り、リーズを膝に乗せる。ここからは2人の時間だ。俺はこの時間を楽しみに一日頑張っているようなものだ。


「今日もお疲れ様。」



「シャロン様も、お仕事お疲れ様でした。」



ハグをするとストレスが緩和されるという、古代からの言い伝え(大嘘)を口実にこのリーズタイムは始まった。今ではすっかり習慣化されていて、リーズからハグを求められることもしばしば。その度に頬が緩みそうになるが、リーズの前ではイケメンでありたいので、なけなしの理性で保っている。


はぁー癒される。いつもより少し汗の混ざった匂いがたまらない。ストレスが全て吹っ飛んだ。さすがリーズ、恐るべし。これは医療法として確立するべきだと思う。俺限定で。



こうやって触れ合うことができるのは、リーズのご両親からの信頼があってこそである。
幼い頃から培ってきたこの関係が揺るぐことはリーズに嫌われない限りないだろう。嫌われたら心中ルート真っ逆さまである。ないだろうが。いや、無いだろ。多分。
…ないよな?


とにかく、オルヴェーニュ家の隣に領地を持つことになった先祖に感謝である。


なんやかんやで俺もリーズも一緒にいる時が一番落ち着くらしい。リーズの安心しきったゆるふわベビーフェイスを見られるのも俺の特権である。あっ可愛い。ずっと見ていたい。絵にして飾っておきたいくらいだ。


「お風呂入る前に、お水飲もうか。」

「はい。」


リーズはのぼせやすいうえに貧血体質のため、こまめに水を飲ませるようにしている。


テーブル上に置いてあった水瓶からコップに果実水を注ぐ。

「はい、リーズ」

コク、コク、コク


リーズの口元にコップを近づけ、飲ませてやる。
俺の手から水を飲むリーズは幼子のようで大変愛らしい。マジで結婚したい。いやするけど。


「お風呂の用意ができました。」

思っていたよりも早かったな…。
最初の頃は抱き合っている姿をみて驚かれた物だが、今では平然としている。


「ありがとうアン。」


スッ

本当は一緒に入りたいところだが、まだ結婚前なので一応別に入ることにしている。どのみち結婚するから、見放題だがな。今から妄想が膨らむ。ついでに息子も。









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