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本編
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しおりを挟むクラブロンティルは開店から十年。
前オーナーから引き継いだ今井の体制になってから約二年。
以前までのロンティルは、品位あるクラブとして老若男女に好かれる重東も贔屓にしていた場所であった。
けれど今井は『品位』や『格』より『効率よく稼ぐ』を優先した。
女性達を力で押さえ付け、辞めようとすれば脅しや恐喝で店に縛り付ける。嫌がる女性を無理矢理ウリに出し品格あるロンティルはいつしか風俗紛いの低俗店。
店の経営方針が変わるだけならば、重東も上もここまで不快感を出すことは無かった。
廃人と化した女の一人を重東の部下が保護し話を聞いたとき、うわ言のように出た言葉が『ロンティル』『飯島』『気に入られろ』というもの。
飯島という名前は重東や重東の親がこの上なく嫌いで滅んで欲しいと切に願っている厳道会の頭。
榊と飯島は決して交わることのない、源平の戦いのように相反する敵対組織。
今井が住むこの街でそれを知らぬ愚か者は居やしない。それなのに今井が手を出したのは、彼が金の亡者であったから。
ダラダラと油汗を流し叶真に後ろを取られ、逃げ場を失い命乞いの言葉を考えるのに必死な今井に『ケジメ』を要求した重東にエリカやサチたち女性たちは恐怖を感じた。ただ、冷酷に見詰めていたのなら相応の感情で済んだであろう。
重東は愉しそうに今井の言葉を待ち続けていた。
「ささ榊さ、さ榊組を裏ぎ切るななんてお恐れ多いッ!げ厳道会の情報をお渡し致しますのでッどうか……ッ」
今井は必死に自分の利用価値を語ってみせた。
厳道会の情報を渡せる、幹部と繋がっている希望さえあればここに呼び出すことも出来る。今まで渡した榊組の情報は表面的なものしかなく中身はなかったのだと。
口を止めたら殺される、その恐怖から喋り続ける今井を横目にエリカが今井の言葉を遮り重東に向かい「重さんは榊組の方なのですか」と問うた。
今井は流石に水を差されたと、このアマッ!と声を荒らげたがふと今井の眼前に座る重東が愉しそうにふふっと笑ったことでなにも言えなくなり重東の方へ恐る恐る目を向けた。
「うん、榊組の人なの。奥星会直系榊組、榊重っていうの、良ければ覚えて帰ってね」
優しく笑う重東の裏の意図が全くエリカにはわからなかったが奥星会を知っていて地域最大の極道組織でありテレビでも奥星会会長が挨拶をするなんていう姿を見てきた。極道に頭を下げ媚を売るのが正しい事ではあるのかもしれないが今のエリカにはそれを確認する術も余裕もなかった。
「奥星会の方ならオーナーを処分できますよね。私だけじゃない、みんな売り物にされて…最年少のユカちゃんなんて処女なのに。使えなくなったら薬の試し打ちで廃人にしたり、使えるやつには勝手に借金背負わせたりして逃げられないように縛り付ける。
私は病気の母を担保にされて…毎月のように金額は増えていく………お願いです、この人を…こ、ろ…」
エリカの最後の言葉を重東は遮った。言ってしまえば今井に何かあれば彼女が関係者になってしまう。
たった一言でも、言ってしまえば取り返しがつかない。
「良いんだよ、言わなくて。元からケジメはつけなきゃならない。叶真、今井を運んでおいて。最後の挨拶を」
叶真は重東の許しが出た瞬間、水を得た魚のように生き生きとした顔で今井の首に腕をかける。「大丈夫、今は落とすだけだから」とルンルンで力を強める。
「おお願いですぅ、ッ!!俺ッッ死にた、ぐ、無いッッ!!」
今井の叫び声は店内中に響き渡り、店の女の子の中には耳を塞ぎしゃがみこむ子もいたがほとんどの子が今井が落ちるその瞬間までしっかりと目をそらさずに見詰めていた。
ダランと意識を落とした今井を叶真は軽々と持ち上げて「じゃあ先に運んでおきます、すぐ戻りますんで」と店の外へと運び出した。
重東と残された女の子達の間には絶妙な空気が流れていたが重東は再度座り直し、少し申し訳なさそうに「ねぇ、お冷や貰ってもいい?あとこの店の女の子全員ここに集めてくれると嬉しいなぁ。あ、黒服くんは帳簿とか全部わかる分持ってきて欲しい」と言えば、逆らえば今井の二の次になるかもしれないという恐怖で全員が足を動かす。
店内に居た十名の女の子、エリカが手際よく氷と水を注いだお冷や、黒服が裏から取れるだけ取ってきた店内の情報が詰まったファイルの数々が重東の前に揃い踏みした。
「ありがとう」
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