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わたしにはわたしの考えがある。
壱
カーテンの隙間から細く降り注ぐ明るい光に誘われ、深く心地好い眠りのなかから意識が浮上していく。
「ぐぇ……」
——ぐるしい。い、息が!
わたしの首を緩やかに絞めているのは、首に巻き付いている男の盛り上がった上腕二頭筋。無駄に鍛えたお飾り筋肉がこんなところでイイシゴトをしている。
背後から抱え込まれたわたしの胸にはもう一方の手が。細やかな胸の膨らみをモミモミ。
下半身にはどっかりと重い足が絡みつき、尻には硬いなにかが押し付けられ。
剥き出しの項には生暖かく湿った息がスースーと規則正しくかけられている。
なんなのよこれ。
覚醒した脳が状況を把握するとともに、昨夜の記憶が鮮やかに蘇ってきた。
小説の一次元、漫画の二次元、映像の三次元。こと男女の営みについて、これまで多種多様の情報源より一般常識レベルの知識を得てきたと自負はしているが、それらは所詮、傍観者の立場としてのもの。
事実は小説よりも奇なり。リアルは——想像を絶するスゴさだった。うわーい。
あれされてこれされてあんなこともこんなこともぎゃあ! ほんの一場面を思い出すだけで身体中に余韻を感じ、鳥肌が立つ。
転げ回り叫びたいところだが、如何せん身動きが取れない。
相沢優香。苦節二十五年。ついに、めくるめく官能の扉を開く。か——って、暢気によろこんでいる場合じゃなくて。
遣ってしまったのだ。ついに。専務、と。
専務と知り合って約四年。思い起こせば、楽しく充実もしていたが、長く辛い道程だったのも間違いではない。
祖父母の援助があり、入学にかかる費用と四年分の学費だけはなんとか手当てできていた。
しかし、それ以外の学業と生活に纏わるもろもろの費用——教科書参考書代、家賃、光熱費、食費、被服費等々を、研修生名目の雑用でいただく雀の涙程度の報酬だけで賄えるほど、大都会での文化的生活は、甘くない。
故に、生き抜くため、生活のために学業を優先した残りの睡眠時間を削って始めた、ホテルの客室清掃アルバイト。それがすべての始まりだった。
客室清掃は、体力的に辛くはあったがその分実入りはよく、とりあえず生活の心配から逃れられる満足のいく仕事であった。
だがそこで、偶然拾ってしまったあの専務が、わたしの人生を変えたのだ。
従業員としてあたりまえのお客様への対応。ただそれだけだったはずなのに。
救助したのち暫くして、わたしを探し当てた専務は、暇さえあればわたしに纏わり付き懇々と説得を続けた。
その熱意と提示される条件に絆されたわたしは、目指していた将来とそれを天秤にかけて現実を受け入れ、彼の専属秘書となった。
「ぐぇ……」
——ぐるしい。い、息が!
わたしの首を緩やかに絞めているのは、首に巻き付いている男の盛り上がった上腕二頭筋。無駄に鍛えたお飾り筋肉がこんなところでイイシゴトをしている。
背後から抱え込まれたわたしの胸にはもう一方の手が。細やかな胸の膨らみをモミモミ。
下半身にはどっかりと重い足が絡みつき、尻には硬いなにかが押し付けられ。
剥き出しの項には生暖かく湿った息がスースーと規則正しくかけられている。
なんなのよこれ。
覚醒した脳が状況を把握するとともに、昨夜の記憶が鮮やかに蘇ってきた。
小説の一次元、漫画の二次元、映像の三次元。こと男女の営みについて、これまで多種多様の情報源より一般常識レベルの知識を得てきたと自負はしているが、それらは所詮、傍観者の立場としてのもの。
事実は小説よりも奇なり。リアルは——想像を絶するスゴさだった。うわーい。
あれされてこれされてあんなこともこんなこともぎゃあ! ほんの一場面を思い出すだけで身体中に余韻を感じ、鳥肌が立つ。
転げ回り叫びたいところだが、如何せん身動きが取れない。
相沢優香。苦節二十五年。ついに、めくるめく官能の扉を開く。か——って、暢気によろこんでいる場合じゃなくて。
遣ってしまったのだ。ついに。専務、と。
専務と知り合って約四年。思い起こせば、楽しく充実もしていたが、長く辛い道程だったのも間違いではない。
祖父母の援助があり、入学にかかる費用と四年分の学費だけはなんとか手当てできていた。
しかし、それ以外の学業と生活に纏わるもろもろの費用——教科書参考書代、家賃、光熱費、食費、被服費等々を、研修生名目の雑用でいただく雀の涙程度の報酬だけで賄えるほど、大都会での文化的生活は、甘くない。
故に、生き抜くため、生活のために学業を優先した残りの睡眠時間を削って始めた、ホテルの客室清掃アルバイト。それがすべての始まりだった。
客室清掃は、体力的に辛くはあったがその分実入りはよく、とりあえず生活の心配から逃れられる満足のいく仕事であった。
だがそこで、偶然拾ってしまったあの専務が、わたしの人生を変えたのだ。
従業員としてあたりまえのお客様への対応。ただそれだけだったはずなのに。
救助したのち暫くして、わたしを探し当てた専務は、暇さえあればわたしに纏わり付き懇々と説得を続けた。
その熱意と提示される条件に絆されたわたしは、目指していた将来とそれを天秤にかけて現実を受け入れ、彼の専属秘書となった。
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