わたしたち、いまさら恋ができますか?

樹沙都

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§ あなたは、わたしの何ですか?

03

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 仕事で外出する場合、身なりにはそれなりに気を配るが、作業中はお構いなし。作業が立て込んで外出もままらならないと、ある日外へ出たら季節が変わっていて慌てることもある。今年は春夏の服をまだ一度も見ていないことを思い出し、ファッションビルへ入ったところで、携帯が鳴った。

 俊輔だ。

 私のことなぞとっくに忘れただろうと高を括っていたが、どうやら甘かったらしい。着信音は鳴り続け、切れる様子も無い。躊躇したが、このままあいつを放置するわけにもいかないだろうと諦めて、通話ボタンを押した。

「おまえ、なにしてんだよ?」

 電話の主は、酷くご機嫌が悪そうだ。

「なにって……今、打ち合わせの帰りだけど?」
「そういうこと訊いてんじゃねえの! なんでメールの返事寄越さないのかって訊いてるの!」
「メールの返事? なんのこと?」
「クッソ! とぼけてんじゃねえぞ!」
「とぼけてなんていないわよ! メールなんて知らないもん」
「知らないもんじゃねえだろ? 何通送ったと思ってんだよ!」
「だって、知らないものは知らないもん! どうせあんたのことだから、送信先でも間違えたんじゃないの? あれからもう一ヶ月だよ? なにがメールよ? 自分から付き合おうとか言ったくせに、一ヶ月も電話すらしてこないって、そんなのあり?」
「んじゃ、電話すればよかったのかよ? おまえ、いつ仕事していつ寝てるかもわかんねえのに、電話すれば必ず出るんだろうな? わかったよ。次からそうしてやるよ」
「な、なによその言い方! 私の所為だって言いたいの?」
「もういい。週末飯食い行くぞ。それだけ。じゃあな」

 捨て台詞とともに通話が切れた。

「ちょっ……、もうっ! 勝手に決めないでよ!」

 今のはいったいなんだ。もしかして、週末デートの誘いだったのだろうか。

「もうちょっとマシな誘い方ってあるんじゃないのかなあ……」

 何通メールを送っても返事は皆無、痺れを切らして電話をしてきたわけだ。それにしても一ヶ月とは……気の長い。

 すっかりウィンドウショッピングをする気が失せた私は、お腹を空かして仕事をしているであろう彼女たちに、デパ地下でちょっと贅沢な惣菜を買い、仕事場へ戻ることにした。

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