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──雨が降らない。
ロンはこんな時期も偶にはあるさと言う。
まぁ、もう少し降らなきゃ溜池の水が枯れて後々影響が出るからなぁと付け加える。
「リヴィア。顔色が悪いけれど大丈夫か?」
「うん。少し──体調が悪いから今日はもうお店閉めようかな。ごめんねロン」
「ゆっくり休めよ」
そう言って帰ったロンを見送り、店を閉じる。
湯浴みをして少し早めに寝よう。
人気のいない時にはリヴィアはオリヴィアに戻る。
男から女へ。
この術はシィ様の力だ。
出来るだけ負担をかけないようにと思っているけれど、最近は男性の変身を維持するのが難しい。
それは──シィ様に何かあったからなのだろうか?
考えてもどうにもならないのに、オリヴィアの心を締め付ける。
──どうしようもない。
私は自分の事だけを選んでこんな場所まで逃げてしまったのだから。
浴槽から立ち上がり長いブロンドの髪をタオルで拭く。
「リヴィア。どこだ?浴室か?」
ロンの声に驚愕する。
ロンが帰って一刻は過ぎている。
リヴィアの体調を気遣って戻ってきてくれたのだろうか?
けれど、今は全然ありがたくない。
声も出せば女性だとバレてしまう。
一瞬でリディアにはなれない。
リヴィアは黒髪の青年だが、オリヴィアは金髪の女性だ。同一人物とは思われないとは思うけれど、では誰なのかと言うことになる。
扉を開けないで欲しいと切に願うが、ノブを回す音がする。
「リヴィアー?」
「‼︎ ごめん」
湯船に再び浸かり身体を隠し、タオルを頭から被り顔を隠すのが精一杯だった。
ロンも慌てて出て行ってくれたからあまり見ていないかも知れない。
「蜂蜜のいいヤツ貰ったから置いておくな!」
そう言った声を最後に物音がしなくなった。
ほっと息を漏らす。
次にロンに会うまでにどう説明しようかと悩む。
妹の話をしようか。
それともリヴィアの恋人ではどうだろう。
──ダメだ。今は考えたくない。
明日にでも考えよう。
そう思い浴室を出る。
心臓が止まるかと思うほどの衝撃が走った。
「ロン……」
扉に背中を預けてコチラを見ている。
「へぇ。俺の名前を知ってるの?」
その言葉にしまったと思うけれどもう遅い。
壁に預けていた身体を起こしゆっくりとオリヴィアに近づく。
「誰?」
どうしよう考えが纏まらない。
明日考えようなど思わなければよかった。
「リヴィアの……妹よ」
「なぜ、俺の名を知ってるの?会ったことないよね?」
「兄から話を聞いていたの」
なんだかロンが怖い。
いつもはもっと子猫のようなのに、今は大型の獣みたいに思えてしまう。
「女性の浴室の前で待つのは騎士として失格よ」
冷静になれと心で呟く。
「なんでリヴィアは俺に君を紹介してくれないのかなー?」
「それは──私が男の人が苦手だから…よ」
ロンが腕を組んだままオリヴィアの身体を眺める。
バスローブ越しだけれど、裸を見られている気分だ。
「苦手?そうなの?」
鼻をクンッと嗅ぐように動作をし、オリヴィアの髪に触れる。
「さすがリヴィアの妹だね。極上の香りだ」
顔を背け視線を外す。
「リヴィアはどこ?」
「……買い出しに行ってる」
「そっかーじゃあ2人きりだね」
「‼︎」
「──もうすぐギルフォードが来るわ」
思わず嘘をつく。
それほどにロンが異様な気がした。
「なに──もしかして隊長の女神様って貴方のこと?」
なに? 声が一段階落ちた。
「知らないわ──」
尋問のような間もずっとオリヴィアも眺める。
「名前──なんて言うの?」
答えず黙るとロンが一歩近づく。
なんで近づくの?
「聞こえないのかなー?じゃあ──近くで話さないとね」
もうオリヴィアとロンの間は距離がないくらいに近い。
「オ、オリヴィアよ」
そう答えると一歩下がってくれた。
「──いいね。美しい名だね」
「お願い。出て行って。出ていかなければリヴィアに二度と貴方をここに入れないでって言うわ」
「そうは嫌だね。ここに来ないともう癒されない身体になっちゃったからなぁ。じゃあ今日は帰るよ。確かに女性の浴室後を覗くなんて騎士としてはあってはならない振る舞いだ。それに──なんだか情事の後みたいだよねー」
オリヴィアが冷たく睨む。
「もう少し恥ずかしがるかと思ったけれど、オリヴィアはもう男を知ってる感じだね」
もう無言で通す。
ロンは構えば構うほど戯れてくる。
「その男──隊長?」
不意を突かれた言葉に思わず表情が乱れる。
「──まっいいや。じゃあ俺にも少しだけオリヴィアを頂戴」
そう言ったかと思うとオリヴィアの顔を上に向かせ唇を塞ぐ。
「んっ!ロン…ちょっ…んっ」
口を閉じたまま必死に舌の侵入を阻止するオリヴィアにロンが微笑む。
「──入れさせてくれないの?」
話せば口を開くことになる。
必死に目だけで訴える。
「残念」
そう言ってオリヴィアの唇にクリームでも付いているかのように舐める。
「──これ以上は出禁にされそうだ──でもオリヴィア。俺は君が欲しいよ。また会いにくるね」
そうオリヴィアの両手に蜂蜜の瓶を手渡し、去っていく。
もう!……なんなの──ロンが意味わからない。
ロンはこんな時期も偶にはあるさと言う。
まぁ、もう少し降らなきゃ溜池の水が枯れて後々影響が出るからなぁと付け加える。
「リヴィア。顔色が悪いけれど大丈夫か?」
「うん。少し──体調が悪いから今日はもうお店閉めようかな。ごめんねロン」
「ゆっくり休めよ」
そう言って帰ったロンを見送り、店を閉じる。
湯浴みをして少し早めに寝よう。
人気のいない時にはリヴィアはオリヴィアに戻る。
男から女へ。
この術はシィ様の力だ。
出来るだけ負担をかけないようにと思っているけれど、最近は男性の変身を維持するのが難しい。
それは──シィ様に何かあったからなのだろうか?
考えてもどうにもならないのに、オリヴィアの心を締め付ける。
──どうしようもない。
私は自分の事だけを選んでこんな場所まで逃げてしまったのだから。
浴槽から立ち上がり長いブロンドの髪をタオルで拭く。
「リヴィア。どこだ?浴室か?」
ロンの声に驚愕する。
ロンが帰って一刻は過ぎている。
リヴィアの体調を気遣って戻ってきてくれたのだろうか?
けれど、今は全然ありがたくない。
声も出せば女性だとバレてしまう。
一瞬でリディアにはなれない。
リヴィアは黒髪の青年だが、オリヴィアは金髪の女性だ。同一人物とは思われないとは思うけれど、では誰なのかと言うことになる。
扉を開けないで欲しいと切に願うが、ノブを回す音がする。
「リヴィアー?」
「‼︎ ごめん」
湯船に再び浸かり身体を隠し、タオルを頭から被り顔を隠すのが精一杯だった。
ロンも慌てて出て行ってくれたからあまり見ていないかも知れない。
「蜂蜜のいいヤツ貰ったから置いておくな!」
そう言った声を最後に物音がしなくなった。
ほっと息を漏らす。
次にロンに会うまでにどう説明しようかと悩む。
妹の話をしようか。
それともリヴィアの恋人ではどうだろう。
──ダメだ。今は考えたくない。
明日にでも考えよう。
そう思い浴室を出る。
心臓が止まるかと思うほどの衝撃が走った。
「ロン……」
扉に背中を預けてコチラを見ている。
「へぇ。俺の名前を知ってるの?」
その言葉にしまったと思うけれどもう遅い。
壁に預けていた身体を起こしゆっくりとオリヴィアに近づく。
「誰?」
どうしよう考えが纏まらない。
明日考えようなど思わなければよかった。
「リヴィアの……妹よ」
「なぜ、俺の名を知ってるの?会ったことないよね?」
「兄から話を聞いていたの」
なんだかロンが怖い。
いつもはもっと子猫のようなのに、今は大型の獣みたいに思えてしまう。
「女性の浴室の前で待つのは騎士として失格よ」
冷静になれと心で呟く。
「なんでリヴィアは俺に君を紹介してくれないのかなー?」
「それは──私が男の人が苦手だから…よ」
ロンが腕を組んだままオリヴィアの身体を眺める。
バスローブ越しだけれど、裸を見られている気分だ。
「苦手?そうなの?」
鼻をクンッと嗅ぐように動作をし、オリヴィアの髪に触れる。
「さすがリヴィアの妹だね。極上の香りだ」
顔を背け視線を外す。
「リヴィアはどこ?」
「……買い出しに行ってる」
「そっかーじゃあ2人きりだね」
「‼︎」
「──もうすぐギルフォードが来るわ」
思わず嘘をつく。
それほどにロンが異様な気がした。
「なに──もしかして隊長の女神様って貴方のこと?」
なに? 声が一段階落ちた。
「知らないわ──」
尋問のような間もずっとオリヴィアも眺める。
「名前──なんて言うの?」
答えず黙るとロンが一歩近づく。
なんで近づくの?
「聞こえないのかなー?じゃあ──近くで話さないとね」
もうオリヴィアとロンの間は距離がないくらいに近い。
「オ、オリヴィアよ」
そう答えると一歩下がってくれた。
「──いいね。美しい名だね」
「お願い。出て行って。出ていかなければリヴィアに二度と貴方をここに入れないでって言うわ」
「そうは嫌だね。ここに来ないともう癒されない身体になっちゃったからなぁ。じゃあ今日は帰るよ。確かに女性の浴室後を覗くなんて騎士としてはあってはならない振る舞いだ。それに──なんだか情事の後みたいだよねー」
オリヴィアが冷たく睨む。
「もう少し恥ずかしがるかと思ったけれど、オリヴィアはもう男を知ってる感じだね」
もう無言で通す。
ロンは構えば構うほど戯れてくる。
「その男──隊長?」
不意を突かれた言葉に思わず表情が乱れる。
「──まっいいや。じゃあ俺にも少しだけオリヴィアを頂戴」
そう言ったかと思うとオリヴィアの顔を上に向かせ唇を塞ぐ。
「んっ!ロン…ちょっ…んっ」
口を閉じたまま必死に舌の侵入を阻止するオリヴィアにロンが微笑む。
「──入れさせてくれないの?」
話せば口を開くことになる。
必死に目だけで訴える。
「残念」
そう言ってオリヴィアの唇にクリームでも付いているかのように舐める。
「──これ以上は出禁にされそうだ──でもオリヴィア。俺は君が欲しいよ。また会いにくるね」
そうオリヴィアの両手に蜂蜜の瓶を手渡し、去っていく。
もう!……なんなの──ロンが意味わからない。
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