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あえかなる夜の知覚
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「とりあえず、無事でよかった」
雪子の安堵が伝わる。
うん。と力なく頷く侑梨を雪子が見つめる。
「ごめんなさい。連絡しなくて」
「うん。心配した……今もしてる」
侑梨の隣に座る。
心配させてしまった申し訳なさはあるが、
雪子に心配してもらえた嬉しさもある。
「どうしてここが分かったの?」
「それより、侑梨はずっとここにいるつもりなの?」
侑梨にも分からない質問だ。
「死んだ目をしてる。ここにいちゃダメだよ」
それでも、ここしか侑梨の居場所はない。
「──『櫂』に会ったよ」
突然の言葉に侑梨の身体が自然と震える。
「侑梨!なにがあったか知らないけれど、2人はちゃんと話し合った方がいい!」
やだ。櫂に会いたくない。
「アンタの性格は知ってる。自己肯定感が低いことも。だけど、アンタが思ってる以上に、侑梨を好きな人間もいる‼︎ そんなアタシら無視しないで!」
「そんなの知らない‼︎ 今まで、誰も私を愛してくれなかった!愛され方なんて分からない!」
愛していると言ったジーノは侑梨を無理矢理抱いた。
『櫂は愛していても侑梨を許さない』だろう。
誰も彼もが侑梨の望む愛なんてくれない。
「──夫人は私の欲しいものをくれるの……」
優しい言葉、穏やかさ、母のような愛情。
「それでアンタは高崎夫人の人形として生きるの?」
それのどこがいけないのか。
涙を流しながら睨む侑梨を見て、雪子が泣く。
「お願いだから…信じて。侑梨のこと好きなの。アンタが不幸になるのは我慢ならない」
いつも毅然とした雪子が泣くなんて思いもしなかった。
「……だって……私……櫂を裏切ったの」
次の言葉が出ない侑梨を彼女は根気よく待つ。
「あの日……私がジーノに会いに行かなければ……彼に何度も言われたのに。気をつけろって。なのに……私」
雪子の膝に蹲り懺悔をする様に呟く。
「……櫂は絶対に私を許さない」
「でも侑梨の所為じゃない。無理矢理だ」
それでも許されないのに──
「無理矢理だったけれど──わたし──何度も──」
言葉にしたくない。
「侑梨。女の身体は抱かれれば気持ちよくなるようになってる。アンタの所為じゃない」
「嘘よ!レイプされて苦しんでる人は沢山いる!」
「それでもアンタの苦しみも嘘じゃない」
軽蔑されると思っていた。
無理矢理なのに何度も快感を味わったなんて淫乱でフシダラな女だと。
櫂のことを好きなのに、その気持ちさえ否定する様な自分の反応が余計に侑梨を追い詰めた。
「……私がここに来たのは櫂が手を回したからよ。
……ある程度なにがあったか想像はしてると思う。
彼も侑梨をここから救いたいと思ってる」
「……今はまだ櫂に会えない」
「せめて私の家に来て」
「もう少し、ここに居させて。ちゃんと考える。雪子の言葉嬉しかったし、櫂とも……櫂に伝えて。今は会えない。けれど──許してくれなくても逢いたい」
伝えるわ。雪子が侑梨を抱きしめる。
「貴方も私を抱きしめて」
雪子の言葉に涙がでる。
愛されることばかり望んでいたんだろうか?
愛しい人に侑梨の愛をあげたい。
価値のないものをあげるのが怖かった。
でも、それを必要としてくれる人がいるのなら、
愛しい人に侑梨の愛をあげたいと思った。
雪子の安堵が伝わる。
うん。と力なく頷く侑梨を雪子が見つめる。
「ごめんなさい。連絡しなくて」
「うん。心配した……今もしてる」
侑梨の隣に座る。
心配させてしまった申し訳なさはあるが、
雪子に心配してもらえた嬉しさもある。
「どうしてここが分かったの?」
「それより、侑梨はずっとここにいるつもりなの?」
侑梨にも分からない質問だ。
「死んだ目をしてる。ここにいちゃダメだよ」
それでも、ここしか侑梨の居場所はない。
「──『櫂』に会ったよ」
突然の言葉に侑梨の身体が自然と震える。
「侑梨!なにがあったか知らないけれど、2人はちゃんと話し合った方がいい!」
やだ。櫂に会いたくない。
「アンタの性格は知ってる。自己肯定感が低いことも。だけど、アンタが思ってる以上に、侑梨を好きな人間もいる‼︎ そんなアタシら無視しないで!」
「そんなの知らない‼︎ 今まで、誰も私を愛してくれなかった!愛され方なんて分からない!」
愛していると言ったジーノは侑梨を無理矢理抱いた。
『櫂は愛していても侑梨を許さない』だろう。
誰も彼もが侑梨の望む愛なんてくれない。
「──夫人は私の欲しいものをくれるの……」
優しい言葉、穏やかさ、母のような愛情。
「それでアンタは高崎夫人の人形として生きるの?」
それのどこがいけないのか。
涙を流しながら睨む侑梨を見て、雪子が泣く。
「お願いだから…信じて。侑梨のこと好きなの。アンタが不幸になるのは我慢ならない」
いつも毅然とした雪子が泣くなんて思いもしなかった。
「……だって……私……櫂を裏切ったの」
次の言葉が出ない侑梨を彼女は根気よく待つ。
「あの日……私がジーノに会いに行かなければ……彼に何度も言われたのに。気をつけろって。なのに……私」
雪子の膝に蹲り懺悔をする様に呟く。
「……櫂は絶対に私を許さない」
「でも侑梨の所為じゃない。無理矢理だ」
それでも許されないのに──
「無理矢理だったけれど──わたし──何度も──」
言葉にしたくない。
「侑梨。女の身体は抱かれれば気持ちよくなるようになってる。アンタの所為じゃない」
「嘘よ!レイプされて苦しんでる人は沢山いる!」
「それでもアンタの苦しみも嘘じゃない」
軽蔑されると思っていた。
無理矢理なのに何度も快感を味わったなんて淫乱でフシダラな女だと。
櫂のことを好きなのに、その気持ちさえ否定する様な自分の反応が余計に侑梨を追い詰めた。
「……私がここに来たのは櫂が手を回したからよ。
……ある程度なにがあったか想像はしてると思う。
彼も侑梨をここから救いたいと思ってる」
「……今はまだ櫂に会えない」
「せめて私の家に来て」
「もう少し、ここに居させて。ちゃんと考える。雪子の言葉嬉しかったし、櫂とも……櫂に伝えて。今は会えない。けれど──許してくれなくても逢いたい」
伝えるわ。雪子が侑梨を抱きしめる。
「貴方も私を抱きしめて」
雪子の言葉に涙がでる。
愛されることばかり望んでいたんだろうか?
愛しい人に侑梨の愛をあげたい。
価値のないものをあげるのが怖かった。
でも、それを必要としてくれる人がいるのなら、
愛しい人に侑梨の愛をあげたいと思った。
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