158 / 160
そんなの知らない
156
しおりを挟む
左手で握っていた櫂の手が引き抜かれた。
ここで泣くのは卑怯だ。
けれど──
「マウロと別れるなら別れればいい。侑梨にマウロが必要だろうとそんなの知らない。俺が幸せにする。
……確かに修司さんの事は今でも大切だけど、前のような気持ちではなくなった。だからこそ、侑梨を一人の女性として愛してる。仕事も沙織には俺は必要ない。寧ろ邪魔だ。他の仕事を探すさ」
薬指にホワイトゴールドの指輪を通す。
「──いいの?」
「ああ。それにさっきの話なら侑梨は俺の子なら産めるって事だ」
ビクリと身体が揺れる。
ジーノの手の甲に置いた手を離しそうになる。
けれど指を絡められ引き寄せられる。
「バカな子だね」
そのまま指を口元に持っていきキスされる。
「ジーノ!」
櫂の握っていた左手を奪いゴールドの指輪を通す。
左の薬指に細身のリングが二つ連なる。
「夫人は今年53歳だ。しかも今も精力的に動いている。
これからはもっと忙しくするんだろう?あの人は長生きしないよ。愛人していた頃から疲れが見えてた。その点、君は22歳。まだ若い。一生僕の子を産めない?賭けてみるかい?君は絶対に僕の子を産むことになるよ」
「──ダメかも知れないわ」
「そんなの知らないさ……僕は強欲で嘘つきで可愛いい君がいれば後はどうでもいいんだから。君が大きな駄犬を飼いたいのなら飼えばいいよ」
そう言って櫂を見る。
「ちょ…」
「なんなら無職の人に新たな事業計画に参加させてあげてもいい」
なんだか二人で喧嘩し始めた。
……二人とも侑梨を選んでくれたと思っていいのだろうか?
「ねぇ、二人に愛しているって言ってもいいの?」
喧嘩していた二人が侑梨を見る。
「そんなのしらねぇよ。自分で考えろ」
喧嘩中だからか言葉が荒い。
「僕もそんなのしらないよ。君の想いは君だけのものだ」
ジーノも少し不貞腐れている。
「侑梨。俺はコーヒーはブラック派だ。ヤツの好みを優先しないでくれ」
……こんな形で侑梨の邪な画策が裏目に出るなんて。
でも嬉しい。
「大好きよ」
二人とも。
きっとずっと死んでも愛してるわ。
───完───
ここで泣くのは卑怯だ。
けれど──
「マウロと別れるなら別れればいい。侑梨にマウロが必要だろうとそんなの知らない。俺が幸せにする。
……確かに修司さんの事は今でも大切だけど、前のような気持ちではなくなった。だからこそ、侑梨を一人の女性として愛してる。仕事も沙織には俺は必要ない。寧ろ邪魔だ。他の仕事を探すさ」
薬指にホワイトゴールドの指輪を通す。
「──いいの?」
「ああ。それにさっきの話なら侑梨は俺の子なら産めるって事だ」
ビクリと身体が揺れる。
ジーノの手の甲に置いた手を離しそうになる。
けれど指を絡められ引き寄せられる。
「バカな子だね」
そのまま指を口元に持っていきキスされる。
「ジーノ!」
櫂の握っていた左手を奪いゴールドの指輪を通す。
左の薬指に細身のリングが二つ連なる。
「夫人は今年53歳だ。しかも今も精力的に動いている。
これからはもっと忙しくするんだろう?あの人は長生きしないよ。愛人していた頃から疲れが見えてた。その点、君は22歳。まだ若い。一生僕の子を産めない?賭けてみるかい?君は絶対に僕の子を産むことになるよ」
「──ダメかも知れないわ」
「そんなの知らないさ……僕は強欲で嘘つきで可愛いい君がいれば後はどうでもいいんだから。君が大きな駄犬を飼いたいのなら飼えばいいよ」
そう言って櫂を見る。
「ちょ…」
「なんなら無職の人に新たな事業計画に参加させてあげてもいい」
なんだか二人で喧嘩し始めた。
……二人とも侑梨を選んでくれたと思っていいのだろうか?
「ねぇ、二人に愛しているって言ってもいいの?」
喧嘩していた二人が侑梨を見る。
「そんなのしらねぇよ。自分で考えろ」
喧嘩中だからか言葉が荒い。
「僕もそんなのしらないよ。君の想いは君だけのものだ」
ジーノも少し不貞腐れている。
「侑梨。俺はコーヒーはブラック派だ。ヤツの好みを優先しないでくれ」
……こんな形で侑梨の邪な画策が裏目に出るなんて。
でも嬉しい。
「大好きよ」
二人とも。
きっとずっと死んでも愛してるわ。
───完───
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる