17 / 358
第一章 王子への転生と冒険者修行
第17話 転移魔法と魔導エンジン
しおりを挟む
ウインドドラゴン討伐から二週間がたった。
俺の周りの雰囲気はガラリと変わった。
フリージア王国中に噂が広がっているらしい。
「アンジェロ王子がドラゴンを討伐した!」
「なんと雷魔法一発で仕留めたらしいぞ!」
「魔法の才は本物であったか!」
そのせいで母上と俺が住む橙木宮に、貴族と商人の出入りが増えた。
どうやら俺は『有力な王族』と貴族社会で認められたらしく、俺や母上に顔をつないでおこうとする人がひっきりなしにやって来る。
今も俺の前に見知らぬ貴族が座っている。
なんたら伯爵で、髭面+マッチョ+大きな傷と三拍子揃ったいかにも『戦場の狼』的ないかつい男だ。
「――で、ありまして。騎士団といたしましては、ぜひアンジェロ王子に演習参加して頂きたいと考えております」
俺は、ろくすっぽ話を聞いていない。
相手が上流貴族の伯爵なので一応俺も顔を出してはいるが、俺は五才の子供なのだ。
こういうのは隣に控えるじい、ことコーゼン男爵が守役として対応する。
「うーん、伯爵様。そうはおっしゃいましてもアンジェロ様はまだ五才です。騎士団の演習に参加するのは、あまりにも早すぎるのではありませんか?」
「これはしたり。アンジェロ様はドラゴンを魔法一発で倒したと伺いましたぞ! 魔法の才に年は関係ありますまい!」
「しかしですな……」
マッチョ髭伯爵は騎士団の偉い人らしく、俺を騎士団つまり軍部に取り込みたいのだ。
じいと押し問答をしている。
どうも軍部は、俺がドラゴンを討伐した事を高く評価しているらしい。
この二週間、軍関係の貴族からの接触が多い。
マッチョ髭伯爵が急に声を潜めた。
「……それに、アンジェロ様が将来王位を望まれるのでしたら、騎士団を中心に支持する貴族を募りますぞ」
「伯爵様! それは!」
「我々軍を預かる貴族としては、強力な魔法を持つアンジェロ王子に次期王となって頂ければ大変心強いのです。なにせ戦場で役に立つのは、力ですからな」
こういう事らしいのだよね……。
俺を神輿に担ぎ上げたいらしい。
軍関係の貴族に会うと必ず言われる。
そして、俺は必ずこの答えを返すのだ。
「伯爵。私は王位継承争いのゴタゴタには巻き込まれたくないのだ。誰が王になろうとも、その方を支えるのが私の務めだと思っている」
そして必ず似たような答えが返ってくる。
「なるほど……。今は時機にあらずという事ですな。時来たらば、遠慮なく我らにお声がけ下さい。では!」
これだ! これなのだ!
その時は来ねーよ!
俺は平和主義、争い事が苦手な元日本人だ。
この異世界で平穏に暮らしたい。シコシコ技術開発したいだけだよ!
マッチョ髭伯爵は、言いたい事を言うだけ言って帰った。
「じい……どうにかならないの?」
「こればかりはどうにも……。今まで軍部系貴族は、王位継承について様子見でしたので……」
「どういう事?」
「いわゆる外交族の貴族は第一王子のポポ様を支持、内政族は第二王子のアルドギスル様を支持しております。軍部は中立……というよりも、どちらか決めかねていたのです」
「そこにドラゴンを倒した俺か……」
「左様でございます。軍部の仕事には、強力な魔物討伐が含まれておりますからな……」
「俺はドラゴンを倒して冒険者でミスリル級。強力な魔物が出た場合に一緒に戦ってくれそうだもんな」
「強力な魔法の援護があるというだけで、頼もしく感じる者もおりましょう」
「そうだな」
これはもう仕方がないか……。
一人一人失礼のないように、お断りしていくしかなさそうだ。
「アンジェロ様。今日の面会はここまでです。今日はこれから乗馬のお稽古です」
「わかった」
王子と言っても毎日気ままに過ごしている訳じゃない。
剣術の基礎、乗馬、マナー、国内事情、外国事情等を教わっている。
算数も習ったが、これは一日でOKが貰えた。
この異世界では、四則演算が出来れば十分優秀な部類に入るらしい。
日本の義務教育が凄いのか、この異世界のレベルが低いのか……。
そのうち算数の本でも書いてみよう。
しかし、女神ズやニート神は、まったく顔を見せない。
神様のサポート期間は終了なのかな?
なんて考えると少し寂しい。
乗馬の稽古が終わるとルーナ先生が俺の部屋にやって来た。
ルーナ先生は、橙木宮の一室に住んでいる。
俺に魔法の稽古をつける以外は自由にしていて、料理をしたり、庭の一角で薬草を育てたりしている。
「アンジェロ。妹から返事が来た」
ルーナ先生は、妹さんからの手紙を持って来た。
エルフの里で魔道具師をやっている妹さんだ。
「妹は飛行機に興味を持っている。製作に加わりたいそうだが、仕事の整理をするので数年待てとの事だ」
おお!
異世界飛行機プロジェクトの魔道具師を確保だ!
それにしても返事が届くのが早いよな?
エルフの里って近所なのか?
「ありがとうございます! それにしても返事が来るのが早いですね。エルフの里は、ここから近いのですか?」
「いや遠い。エルフの里は西方の海にある島だ。ここから一年はかかる」
「……じゃあ、妹さんからの手紙はどうやって?」
「転移魔法と魔道具だ」
「そんなのがあるんですか!」
当たり前だが、この異世界にはネットやメールはない。
それどころか郵便制度もない。
一般人の場合は、行商人や旅人に金を払って届けて貰うと聞く。
当然ながら手紙のやり取りには、数か月から年単位の時間がかかる。
それなのに転移魔法と魔道具で、遠方と二週間で手紙のやり取りが出来るのか?
「やってみせた方が早かろう。そこのドアの脇に転移して見せよう」
ルーナ先生の横に蜃気楼の様な空気の揺らぎが発生した。
「アンジェロ。ドアの横を見よ」
言われるままにドアの横を見ると、同じように空気が揺らいでいる。
人が一人通れる位の大きさだ。
ルーナ先生が、空気の揺らぎの中に入ると、ドアの横の空気の揺らぎから現れた。
「このように魔法で場所と場所をつなげるのが転移魔法だ。ただし……」
「ただし?」
「魔力の消費が激しい。空気の揺らぎを見たか?」
「はい、見ました。蜃気楼みたいな感じでした」
「アレをゲートと言う。ゲートが大きく、転移する距離が長いと魔力の消費が大きくなる」
「なるほど。ルーナ先生は、どれくらいの距離を転移出来るのですか?」
「ここから隣の国の王都くらいの距離だな。それで一日分の魔力を使い果たしてしまう」
それでも馬車で移動するよりも驚異的に早い。
「でだ。このゲートを小さいこれ位の円にするのだ。それで魔力はかなり抑えられる」
ルーナ先生は右手の親指と人差し指で円を作って見せた。
「そして、エルフの里の私の家に小さな円でゲ-トを繋いで、そこに丸めた手紙を放り込むのだ。小さな円なら魔力消費を抑えられるので、エルフの里まで繋げられる」
「ああ! そうすれば、こちらから手紙を送るのは一瞬ですね。じゃあ、あちらからの返事も転移魔法ですか?」
「いや。転移魔法は一度行った事のある場所しかゲートをつなげる事が出来ない。妹はフリージア王国に来たことがない。だから冒険者ギルドの連絡用の魔導具でリレーして貰う」
どういう事なのか詳しく聞いてみると、冒険者ギルドには手紙を転送できる魔道具があるらしい。
これで各地の冒険者ギルド間で連絡を取っているそうだ。
ただし、転送できる距離は短く、隣の冒険者ギルドか、もう一つ隣の冒険者ギルドくらいまでしか一度に転送出来ないらしい。
そこで、リレー方式になる。
妹さん
↓
エルフの里の冒険者ギルド
↓
冒険者ギルドA
↓
冒険者ギルドB
↓
~中略~
↓
フリージア王国王都の冒険者ギルド
↓
ルーナ先生
料金は銀貨十枚、日本円で十万円だそうだ。
一瞬高いと感じたけれど、よく考えるとそうでもない。
もしルーナ先生の妹さんが、人を雇って手紙を届けるとなると銀貨十枚ではとてもきかない。
それなら冒険者ギルドで手紙を転送して貰った方が良い。
「アンジェロ。何か妹に伝える事はあるか?」
「そうですね……。手紙を書くので転送して貰えますか?」
「良いだろう」
俺はルーナ先生の妹さんに、異世界飛行機プロジェクトで必要となる魔道具のスペックを書いて送ることにした。
魔道具師の妹さんに開発を頼みたいのは、『魔導エンジン』だ!
飛行機を飛ばす時に最もネックになりそうなのがエンジンだ。
この世界には内燃機関がない。
そもそも石油があるのかさえ分からない。
石油は化石燃料と言われている。
大昔の植物や動物が地面の中でドロドロになった物だという説もある。
生態系の違うこの異世界に化石燃料があるのか?
あるかもしれないが、なさそうな気もする。
そこで俺は考えた。
あるかないか分からない石油を探して内燃機関を開発するよりも、魔法で何とかした方が良いんじゃね?
目を付けたのは魔石だ。
魔石と言う物がこの世界にはある。
魔物の体内から出てくるガラス玉に似た石で、魔力が込められている。
この魔石を使った魔道具という物があって、例えば火の玉を発射する杖や水を生成する水筒なんかがある。
そんな物が作れるなら、魔石の持つ魔力を回転運動に変換する事も可能じゃないか? と考えた。
最初は魔力をエンジンの中で爆発させピストンを動かす『魔力内燃機関』をイメージしたのだけれど、金属加工にかなりの精緻さが必要になるので『魔力内燃機関』はあきらめた。
いくらドワーフが金属加工を得意としていても、現代日本の技術には劣るだろう。
そこでこの異世界の技術レベルで実現可能な……、と考えた時に思いついたのが、『魔石の持つ魔力を回転運動に変換する』だ。
魔導モーターと言った方がイメージ的には近いかもしれない。
まあ、俺の言葉の好みで『魔導エンジン』と名付ける事にした。
魔導エンジンに必要なスペックは下記だ。
一 魔石の魔力を回転運動に変換する事
二 プロペラを回転させる程度のパワーがある事
三 アクセルを踏むことで、回転数のコントロールが出来る事
四 あまり大きくないサイズ、飛行機に設置できるサイズである事
俺は『魔導エンジン』の概要と必要なスペックを記し、『エルフの里で空いている時間で開発を進めて欲しい、ただし極秘で』とメッセージを添えた。
俺の手紙と差し当たりの報酬金貨二十枚、約二千万円をルーナ先生に送ってもらった。
金貨二十枚は多い?
いや、ここでケチッてはいけないと思う。
材料費とかもかかるだろうし、準備金は必要だよ。
ほんの少しだけれど異世界飛行機プロジェクトが進んだ事に、俺はドキドキした。
そしてルーナ先生に転移魔法を教わる事にした。
俺の周りの雰囲気はガラリと変わった。
フリージア王国中に噂が広がっているらしい。
「アンジェロ王子がドラゴンを討伐した!」
「なんと雷魔法一発で仕留めたらしいぞ!」
「魔法の才は本物であったか!」
そのせいで母上と俺が住む橙木宮に、貴族と商人の出入りが増えた。
どうやら俺は『有力な王族』と貴族社会で認められたらしく、俺や母上に顔をつないでおこうとする人がひっきりなしにやって来る。
今も俺の前に見知らぬ貴族が座っている。
なんたら伯爵で、髭面+マッチョ+大きな傷と三拍子揃ったいかにも『戦場の狼』的ないかつい男だ。
「――で、ありまして。騎士団といたしましては、ぜひアンジェロ王子に演習参加して頂きたいと考えております」
俺は、ろくすっぽ話を聞いていない。
相手が上流貴族の伯爵なので一応俺も顔を出してはいるが、俺は五才の子供なのだ。
こういうのは隣に控えるじい、ことコーゼン男爵が守役として対応する。
「うーん、伯爵様。そうはおっしゃいましてもアンジェロ様はまだ五才です。騎士団の演習に参加するのは、あまりにも早すぎるのではありませんか?」
「これはしたり。アンジェロ様はドラゴンを魔法一発で倒したと伺いましたぞ! 魔法の才に年は関係ありますまい!」
「しかしですな……」
マッチョ髭伯爵は騎士団の偉い人らしく、俺を騎士団つまり軍部に取り込みたいのだ。
じいと押し問答をしている。
どうも軍部は、俺がドラゴンを討伐した事を高く評価しているらしい。
この二週間、軍関係の貴族からの接触が多い。
マッチョ髭伯爵が急に声を潜めた。
「……それに、アンジェロ様が将来王位を望まれるのでしたら、騎士団を中心に支持する貴族を募りますぞ」
「伯爵様! それは!」
「我々軍を預かる貴族としては、強力な魔法を持つアンジェロ王子に次期王となって頂ければ大変心強いのです。なにせ戦場で役に立つのは、力ですからな」
こういう事らしいのだよね……。
俺を神輿に担ぎ上げたいらしい。
軍関係の貴族に会うと必ず言われる。
そして、俺は必ずこの答えを返すのだ。
「伯爵。私は王位継承争いのゴタゴタには巻き込まれたくないのだ。誰が王になろうとも、その方を支えるのが私の務めだと思っている」
そして必ず似たような答えが返ってくる。
「なるほど……。今は時機にあらずという事ですな。時来たらば、遠慮なく我らにお声がけ下さい。では!」
これだ! これなのだ!
その時は来ねーよ!
俺は平和主義、争い事が苦手な元日本人だ。
この異世界で平穏に暮らしたい。シコシコ技術開発したいだけだよ!
マッチョ髭伯爵は、言いたい事を言うだけ言って帰った。
「じい……どうにかならないの?」
「こればかりはどうにも……。今まで軍部系貴族は、王位継承について様子見でしたので……」
「どういう事?」
「いわゆる外交族の貴族は第一王子のポポ様を支持、内政族は第二王子のアルドギスル様を支持しております。軍部は中立……というよりも、どちらか決めかねていたのです」
「そこにドラゴンを倒した俺か……」
「左様でございます。軍部の仕事には、強力な魔物討伐が含まれておりますからな……」
「俺はドラゴンを倒して冒険者でミスリル級。強力な魔物が出た場合に一緒に戦ってくれそうだもんな」
「強力な魔法の援護があるというだけで、頼もしく感じる者もおりましょう」
「そうだな」
これはもう仕方がないか……。
一人一人失礼のないように、お断りしていくしかなさそうだ。
「アンジェロ様。今日の面会はここまでです。今日はこれから乗馬のお稽古です」
「わかった」
王子と言っても毎日気ままに過ごしている訳じゃない。
剣術の基礎、乗馬、マナー、国内事情、外国事情等を教わっている。
算数も習ったが、これは一日でOKが貰えた。
この異世界では、四則演算が出来れば十分優秀な部類に入るらしい。
日本の義務教育が凄いのか、この異世界のレベルが低いのか……。
そのうち算数の本でも書いてみよう。
しかし、女神ズやニート神は、まったく顔を見せない。
神様のサポート期間は終了なのかな?
なんて考えると少し寂しい。
乗馬の稽古が終わるとルーナ先生が俺の部屋にやって来た。
ルーナ先生は、橙木宮の一室に住んでいる。
俺に魔法の稽古をつける以外は自由にしていて、料理をしたり、庭の一角で薬草を育てたりしている。
「アンジェロ。妹から返事が来た」
ルーナ先生は、妹さんからの手紙を持って来た。
エルフの里で魔道具師をやっている妹さんだ。
「妹は飛行機に興味を持っている。製作に加わりたいそうだが、仕事の整理をするので数年待てとの事だ」
おお!
異世界飛行機プロジェクトの魔道具師を確保だ!
それにしても返事が届くのが早いよな?
エルフの里って近所なのか?
「ありがとうございます! それにしても返事が来るのが早いですね。エルフの里は、ここから近いのですか?」
「いや遠い。エルフの里は西方の海にある島だ。ここから一年はかかる」
「……じゃあ、妹さんからの手紙はどうやって?」
「転移魔法と魔道具だ」
「そんなのがあるんですか!」
当たり前だが、この異世界にはネットやメールはない。
それどころか郵便制度もない。
一般人の場合は、行商人や旅人に金を払って届けて貰うと聞く。
当然ながら手紙のやり取りには、数か月から年単位の時間がかかる。
それなのに転移魔法と魔道具で、遠方と二週間で手紙のやり取りが出来るのか?
「やってみせた方が早かろう。そこのドアの脇に転移して見せよう」
ルーナ先生の横に蜃気楼の様な空気の揺らぎが発生した。
「アンジェロ。ドアの横を見よ」
言われるままにドアの横を見ると、同じように空気が揺らいでいる。
人が一人通れる位の大きさだ。
ルーナ先生が、空気の揺らぎの中に入ると、ドアの横の空気の揺らぎから現れた。
「このように魔法で場所と場所をつなげるのが転移魔法だ。ただし……」
「ただし?」
「魔力の消費が激しい。空気の揺らぎを見たか?」
「はい、見ました。蜃気楼みたいな感じでした」
「アレをゲートと言う。ゲートが大きく、転移する距離が長いと魔力の消費が大きくなる」
「なるほど。ルーナ先生は、どれくらいの距離を転移出来るのですか?」
「ここから隣の国の王都くらいの距離だな。それで一日分の魔力を使い果たしてしまう」
それでも馬車で移動するよりも驚異的に早い。
「でだ。このゲートを小さいこれ位の円にするのだ。それで魔力はかなり抑えられる」
ルーナ先生は右手の親指と人差し指で円を作って見せた。
「そして、エルフの里の私の家に小さな円でゲ-トを繋いで、そこに丸めた手紙を放り込むのだ。小さな円なら魔力消費を抑えられるので、エルフの里まで繋げられる」
「ああ! そうすれば、こちらから手紙を送るのは一瞬ですね。じゃあ、あちらからの返事も転移魔法ですか?」
「いや。転移魔法は一度行った事のある場所しかゲートをつなげる事が出来ない。妹はフリージア王国に来たことがない。だから冒険者ギルドの連絡用の魔導具でリレーして貰う」
どういう事なのか詳しく聞いてみると、冒険者ギルドには手紙を転送できる魔道具があるらしい。
これで各地の冒険者ギルド間で連絡を取っているそうだ。
ただし、転送できる距離は短く、隣の冒険者ギルドか、もう一つ隣の冒険者ギルドくらいまでしか一度に転送出来ないらしい。
そこで、リレー方式になる。
妹さん
↓
エルフの里の冒険者ギルド
↓
冒険者ギルドA
↓
冒険者ギルドB
↓
~中略~
↓
フリージア王国王都の冒険者ギルド
↓
ルーナ先生
料金は銀貨十枚、日本円で十万円だそうだ。
一瞬高いと感じたけれど、よく考えるとそうでもない。
もしルーナ先生の妹さんが、人を雇って手紙を届けるとなると銀貨十枚ではとてもきかない。
それなら冒険者ギルドで手紙を転送して貰った方が良い。
「アンジェロ。何か妹に伝える事はあるか?」
「そうですね……。手紙を書くので転送して貰えますか?」
「良いだろう」
俺はルーナ先生の妹さんに、異世界飛行機プロジェクトで必要となる魔道具のスペックを書いて送ることにした。
魔道具師の妹さんに開発を頼みたいのは、『魔導エンジン』だ!
飛行機を飛ばす時に最もネックになりそうなのがエンジンだ。
この世界には内燃機関がない。
そもそも石油があるのかさえ分からない。
石油は化石燃料と言われている。
大昔の植物や動物が地面の中でドロドロになった物だという説もある。
生態系の違うこの異世界に化石燃料があるのか?
あるかもしれないが、なさそうな気もする。
そこで俺は考えた。
あるかないか分からない石油を探して内燃機関を開発するよりも、魔法で何とかした方が良いんじゃね?
目を付けたのは魔石だ。
魔石と言う物がこの世界にはある。
魔物の体内から出てくるガラス玉に似た石で、魔力が込められている。
この魔石を使った魔道具という物があって、例えば火の玉を発射する杖や水を生成する水筒なんかがある。
そんな物が作れるなら、魔石の持つ魔力を回転運動に変換する事も可能じゃないか? と考えた。
最初は魔力をエンジンの中で爆発させピストンを動かす『魔力内燃機関』をイメージしたのだけれど、金属加工にかなりの精緻さが必要になるので『魔力内燃機関』はあきらめた。
いくらドワーフが金属加工を得意としていても、現代日本の技術には劣るだろう。
そこでこの異世界の技術レベルで実現可能な……、と考えた時に思いついたのが、『魔石の持つ魔力を回転運動に変換する』だ。
魔導モーターと言った方がイメージ的には近いかもしれない。
まあ、俺の言葉の好みで『魔導エンジン』と名付ける事にした。
魔導エンジンに必要なスペックは下記だ。
一 魔石の魔力を回転運動に変換する事
二 プロペラを回転させる程度のパワーがある事
三 アクセルを踏むことで、回転数のコントロールが出来る事
四 あまり大きくないサイズ、飛行機に設置できるサイズである事
俺は『魔導エンジン』の概要と必要なスペックを記し、『エルフの里で空いている時間で開発を進めて欲しい、ただし極秘で』とメッセージを添えた。
俺の手紙と差し当たりの報酬金貨二十枚、約二千万円をルーナ先生に送ってもらった。
金貨二十枚は多い?
いや、ここでケチッてはいけないと思う。
材料費とかもかかるだろうし、準備金は必要だよ。
ほんの少しだけれど異世界飛行機プロジェクトが進んだ事に、俺はドキドキした。
そしてルーナ先生に転移魔法を教わる事にした。
34
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
神の手違い転生。悪と理不尽と運命を無双します!
yoshikazu
ファンタジー
橘 涼太。高校1年生。突然の交通事故で命を落としてしまう。
しかしそれは神のミスによるものだった。
神は橘 涼太の魂を神界に呼び謝罪する。その時、神は橘 涼太を気に入ってしまう。
そして橘 涼太に提案をする。
『魔法と剣の世界に転生してみないか?』と。
橘 涼太は快く承諾して記憶を消されて転生先へと旅立ちミハエルとなる。
しかし神は転生先のステータスの平均設定を勘違いして気付いた時には100倍の設定になっていた。
さらにミハエルは〈光の加護〉を受けておりステータスが合わせて1000倍になりスキルも数と質がパワーアップしていたのだ。
これは神の手違いでミハエルがとてつもないステータスとスキルを提げて世の中の悪と理不尽と運命に立ち向かう物語である。
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる