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第二章 流刑地への追放
第28話 領地開発会議3~開発方針
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「まず場所を変えよう」
俺たちは台地から、海が見える場所へ移動した。
俺の考えた領地開発の方向性を説明するには、ここが良いのだ。
「じゃあ、北部王領……、いや、もう、アンジェロ領だな。領地の開発について話をする」
じい、ジョバンニ、ルーナ先生、黒丸師匠が、俺を見る。
「まず知ってもらいたいのは、この領地で飛行機を作るのが俺の目標だ。そこが今目指しているゴールだ」
ジョバンニにも飛行機の話はしてある。
全員コクリとうなずいた。
王都の後宮にいた時は、遠慮もあって自分の好きには出来なかった。
だが、今は自分の領地がある。異世界飛行機を開発するのに、誰に遠慮する必要もない。
「飛行機を作るには、人も雇わなくちゃならないし、色々お金がかかる。その為に、領地を開発し領地経営を安定させるつもりだ」
そう、あくまで領地を開発するのは手段であって、目的じゃない。
目的は異世界飛行機の開発だ。そこはブレないようにしたい。
「それを踏まえてなんだが、俺は特産品を作ろうと思う」
「特産品ですか! 良いですね!」
商人のジョバンニが反応した。
金の匂いに敏感だな。
「具体的には酒、ウイスキーだ」
「う、うい?」
「ウーイスキ?」
「ういすき?」
「アンジェロ少年、ウイスッキとは、それはどんな酒であるか?」
うん。みんなちゃんと発音出来てないね。
そこはスルーして話を進めよう。
「ウイスキーは、アルコール度数が高い、つまり酒精が強い酒です」
全員の目がキラリと光った。
ルーナ先生と黒丸師匠は、間違いなく酒好き。冒険の後は必ず居酒屋で打ち上げ飲み会をやっていたからね。
じいとジョバンニもここ数日の居酒屋会議で見ていたけれど、結構イケル口だ。
「アンジェロ、ういすき、についてもっと具体的に説明せよ。魔法の師匠命令だ!」
ルーナ先生もそんなにがっつかないで下さい。
「ウイスキーは、大麦が原料のお酒です。大雑把に言うと、エールを作って、そこから『蒸留』という作業を行います。『蒸留』した酒を樽に入れて、寝かせると……。あーら不思議! 香り豊かで強い酒が出来上がるのです!」
「おおお!」
「おおお!」
「おおお!」
「おおお!」
皆の反応が凄く良い。
これはウイスキーが出来上がっても、皆に飲まれないように気を付けなくては。
エールというのは、この世界のビールだ。
厳密に言うとウイスキーとビールでは、使う酵母が違うらしい。
だが、そこまでのクオリティは俺も異世界では求めない。
アルコール度数の高い酒をこの異世界に誕生させて儲けるのが大事だ。
「アンジェロ少年は、ウイスッキを寝かすと言っていたのであるが、どれ位寝かすのであるか?」
「最低でも三年。長い物は十年以上寝かしますね」
「そんなに待つのであるか!?」
黒丸師匠は、絶対自分が飲みたいだけだな。
そこも考えてあるよ。
「ウイスキーは、最低でも三年寝かさないと味が熟成しないのですよ。けど、味が悪くても酒精が強ければ良いと言う人には、寝かしてないウイスキーも売ろうと思います」
「その方が良いと思います。領地の現金収入は、早い段階からあった方が、経営が安定すると思います」
「ジョバンニの意見は、商人の意見だから尊重するよ。寝かしたウイスキーは物凄い高く、寝かしてないウイスキーは高く売ろうと思う」
「どっちでも高いのですか?」
「そりゃ『蒸留』して『寝かす』からね。手間、暇、時間が掛かるのだから、高く売らないと!」
日本だと数千円だけれど、この異世界にはウイスキーのようにアルコール度数が高い酒はないのだ。
だから相当高くても、貴族や金持ちの商人が買うはずだ。
それにウイスキーの生産方法を確立して、大量生産するまで時間が掛かる。
その間は少数生産品で領地の財政を賄わなきゃならない。
最初の内は、仲の良い人にこっそりと『非常に高い値段で』お分けする事になるだろう。
「まず特産品で考えているのは、ウイスキーだ。他にも特産品は開発していくけれど、まずはウイスキーからやるよ」
じいが心配そうな顔で聞いて来た。
「アンジェロ様、それでは食べ物はどうするのでしょうか?」
「基本的に他所から買う。幸いこの領地は人数が少ない。人を増やすけど、しばらく食料は他所から調達で間に合うだろう。俺が商業都市ザムザからアイテムボックスで運ぶよ」
「なるほど……。その、う……、うい……、ういすきーが売れれば、他所から食料品を買っても黒字になる計算ですな?」
「そうそう!」
「そこまでは良うございます。気になるのは、あの村はどうするのですか?」
「色々面倒は見るが、すぐに拡張はしない。村を拡張するよりもウイスキー作りに注力したい。村、正確には農地だな。農地を広げるのは、ウイスキー作りがうまく行って、人が増えた段階だと思っている」
「なるほど。ドラゴン二匹に戦いを挑む者は、二匹の炎で焼かれる……という事ですな?」
これは『二兎を追う者は一兎をも得ず』と同じような意味のこの異世界の格言だ。
村も大事だけれど、何せ規模も小さい。村の開発に力を入れても、領地全体に劇的な変化は生まれないと思う。それより特産品だ。
「うん。もちろん良い農作物が見つかったら農地を増やす事も考えるけれど、今のところ大麦と限られた野菜しか、ここでは作れないからね」
「何せ寒いですからな……」
「うん、寒いのはどうしようもない。もちろん村からエールに使う大麦は買い上げるけれど、最初は他所からエールを樽で買ってウイスキーを作っても良いと思っているよ。大麦が必要だからって、無理に農地を広げなくて良い」
「それでは村人たちから訴えが来ている件は、いかがいたしましょうか?」
若い村人が出て行ってしまって、畑を耕す人手が足りないって話だ。
そこは農作業を効率化して対応するしかない。
「あそこの農具は木製だろ? 村には鉄製の農具を与えて、今の人数でも畑を維持出来るようにする。鉄の農具以外も考えているから、農作業は何とかなると思う」
「それは良いお考えです! 後は魔物の襲撃ですが、いかがいたしましょうか?」
「俺が土魔法で村の周りに壁を作るよ。そうすれば、魔物の襲撃は防げるだろう」
「そんな事が!? 確かに土魔法で壁が作れる事は存じておりますが、村の周りにというとかなり長い壁になってしまいますぞ」
じいは驚いた顔で俺を見ている。
まあ、仕方ない。じいは俺の魔法をあまり見た事がないからな。
「じい、俺を誰だと思っているの? 魔力量だけなら誰にも負けないよ」
「うむ、じい殿。アンジェロの魔力量は師匠の私よりも遥かに多い。おそらく世界一の魔力量だ。村の周りに壁を作る程度は問題ない」
「失念しておりました。規格外でしたな……」
いや、その人外扱いは忘れて良いから。
さて、もう一つ大事な事を皆に伝えよう。
「それと本拠地はここにする」
「ここでございますか? 村から離れておりますし、騎士ゲーの領地へ抜ける道からも離れておりますが」
「うん。けど、それはあまり気にしないで良いや」
「気にするなと言われましても……」
「ここに港を作り、船が立ち寄れるようにする。そうすれば船便で大量輸送が出来る」
「確かに商業の点で言うと、港があるのは大きいですね」
じいはここに本拠地を置くのは反対だけれど、ジョバンニは賛成だ。
けど、理由は港だけじゃない。
「うん。そしてこの荒れ地は幸いにも平地だ。飛行機の開発施設……つまり工房を作る。ウイスキーの生産場もこの平地に作る。農地としてダメでも、工房を建てる平地としてなら荒れ地にも使い道がある」
特に飛行機開発は、色々やる事が多い。開発が進めば、飛行場や格納庫も必要になる。
広い平地は大歓迎だ。
「それから飛行機が完成すれば、飛行機で高額な特産品を素早く輸送出来るようになる。内陸部にもウイスキーを素早く届けられる」
この異世界で大量輸送は、海なら船、陸はキャラバン、馬車を連ねた商隊だ。
飛行機が出来ればそれ以外にスピードのある輸送手段が出来る。
ウイスキーを一樽運べるスペックの飛行機を開発できればな。
みんなこの話はピンと来てないみたいだ。
現物の飛行機を見た事もないし、乗った事もないのだから仕方ない。
見ていろよ! 物流革命を起こしてやるから!
「さて、ざっと説明したけど、俺の持っている領地開発のイメージはどう?」
なかなか反応が返ってこない。
たぶん、みんな地道に農地を広げて……とか考えていたのだろうな。
それが見た事も聞いた事も無いウイスキー造りや飛行機開発の話だもの、理解が進まないのも無理はない。
そんな中、ジョバンニが手を上げた。
「私からよろしいでしょうか?」
「うん。商人としてどう?」
「大変面白いですね! その酒精の強いウーイスキという酒も売れると思います。何よりアンジェロ様のお話を聞いていてワクワクしました!」
「ありがとう! ジョバンニは協力してくれるかな?」
「喜んで!」
ジョバンニは十八才と若い。
好奇心が旺盛なのだろうな。
次にルーナ先生と黒丸師匠が賛意を示してくれた。
「良いのではないか。新しい酒が楽しみであるし、私も協力しよう」
「アンジェロ少年は、色々な事を考えるのであるな。新しい事に挑戦するのは、ロマンである! 大いにやるべしである!」
「ありがとうございます。お二方にも色々お願いするので、よろしくお願いします」
残りはじいだ。
さっきから黙って考え込んでいる。
じいは良くも悪くも保守的で、慎重な所がある。
「わたくしも基本的には賛成です。ただ、農地の拡張もどこかの時点でかならず着手して頂きたいです」
「うん。わかった。じいは農地の拡張にこだわるみたいだけれど、その理由は?」
「はい。万一ですが……。あくまで万一ですが……。第一王子派閥が手をまわして、商業都市ザムザで物が買えなくなったらいかがいたしますか?」
なるほど……、塩止めってヤツだな。
確かに他所から食料品を買う以上、そのリスクは付きまとう。政治的な理由で食料品の販売を拒まれたり、不作だったりするとアンジェロ領内が干上がる。
「それは確かに困るな。転移魔法で他の都市で買い付ける事も出来るけれど……。大陸北西部エリアで大規模な飢饉が起これば、それも難しいな」
「ご理解を賜りありがとうございます。アンジェロ様の計画は面白うございますが、今お話しになったような危険性もございます。ですので、領内の農地をしっかりと整備する事も大切です」
「わかった! それは肝に銘じよう。ウイスキー作りと飛行機開発に余裕が出来たら農地開拓に手を付けるよ」
「ありがとうございます。そのお約束をいただければ、わたくしも異論はございません!」
「よし! じゃあ、これからみんなで力を合わせて、領地を発展させよう!」
「おう!」
「おう!」
「おう!」
「おう!」
俺たちは台地から、海が見える場所へ移動した。
俺の考えた領地開発の方向性を説明するには、ここが良いのだ。
「じゃあ、北部王領……、いや、もう、アンジェロ領だな。領地の開発について話をする」
じい、ジョバンニ、ルーナ先生、黒丸師匠が、俺を見る。
「まず知ってもらいたいのは、この領地で飛行機を作るのが俺の目標だ。そこが今目指しているゴールだ」
ジョバンニにも飛行機の話はしてある。
全員コクリとうなずいた。
王都の後宮にいた時は、遠慮もあって自分の好きには出来なかった。
だが、今は自分の領地がある。異世界飛行機を開発するのに、誰に遠慮する必要もない。
「飛行機を作るには、人も雇わなくちゃならないし、色々お金がかかる。その為に、領地を開発し領地経営を安定させるつもりだ」
そう、あくまで領地を開発するのは手段であって、目的じゃない。
目的は異世界飛行機の開発だ。そこはブレないようにしたい。
「それを踏まえてなんだが、俺は特産品を作ろうと思う」
「特産品ですか! 良いですね!」
商人のジョバンニが反応した。
金の匂いに敏感だな。
「具体的には酒、ウイスキーだ」
「う、うい?」
「ウーイスキ?」
「ういすき?」
「アンジェロ少年、ウイスッキとは、それはどんな酒であるか?」
うん。みんなちゃんと発音出来てないね。
そこはスルーして話を進めよう。
「ウイスキーは、アルコール度数が高い、つまり酒精が強い酒です」
全員の目がキラリと光った。
ルーナ先生と黒丸師匠は、間違いなく酒好き。冒険の後は必ず居酒屋で打ち上げ飲み会をやっていたからね。
じいとジョバンニもここ数日の居酒屋会議で見ていたけれど、結構イケル口だ。
「アンジェロ、ういすき、についてもっと具体的に説明せよ。魔法の師匠命令だ!」
ルーナ先生もそんなにがっつかないで下さい。
「ウイスキーは、大麦が原料のお酒です。大雑把に言うと、エールを作って、そこから『蒸留』という作業を行います。『蒸留』した酒を樽に入れて、寝かせると……。あーら不思議! 香り豊かで強い酒が出来上がるのです!」
「おおお!」
「おおお!」
「おおお!」
「おおお!」
皆の反応が凄く良い。
これはウイスキーが出来上がっても、皆に飲まれないように気を付けなくては。
エールというのは、この世界のビールだ。
厳密に言うとウイスキーとビールでは、使う酵母が違うらしい。
だが、そこまでのクオリティは俺も異世界では求めない。
アルコール度数の高い酒をこの異世界に誕生させて儲けるのが大事だ。
「アンジェロ少年は、ウイスッキを寝かすと言っていたのであるが、どれ位寝かすのであるか?」
「最低でも三年。長い物は十年以上寝かしますね」
「そんなに待つのであるか!?」
黒丸師匠は、絶対自分が飲みたいだけだな。
そこも考えてあるよ。
「ウイスキーは、最低でも三年寝かさないと味が熟成しないのですよ。けど、味が悪くても酒精が強ければ良いと言う人には、寝かしてないウイスキーも売ろうと思います」
「その方が良いと思います。領地の現金収入は、早い段階からあった方が、経営が安定すると思います」
「ジョバンニの意見は、商人の意見だから尊重するよ。寝かしたウイスキーは物凄い高く、寝かしてないウイスキーは高く売ろうと思う」
「どっちでも高いのですか?」
「そりゃ『蒸留』して『寝かす』からね。手間、暇、時間が掛かるのだから、高く売らないと!」
日本だと数千円だけれど、この異世界にはウイスキーのようにアルコール度数が高い酒はないのだ。
だから相当高くても、貴族や金持ちの商人が買うはずだ。
それにウイスキーの生産方法を確立して、大量生産するまで時間が掛かる。
その間は少数生産品で領地の財政を賄わなきゃならない。
最初の内は、仲の良い人にこっそりと『非常に高い値段で』お分けする事になるだろう。
「まず特産品で考えているのは、ウイスキーだ。他にも特産品は開発していくけれど、まずはウイスキーからやるよ」
じいが心配そうな顔で聞いて来た。
「アンジェロ様、それでは食べ物はどうするのでしょうか?」
「基本的に他所から買う。幸いこの領地は人数が少ない。人を増やすけど、しばらく食料は他所から調達で間に合うだろう。俺が商業都市ザムザからアイテムボックスで運ぶよ」
「なるほど……。その、う……、うい……、ういすきーが売れれば、他所から食料品を買っても黒字になる計算ですな?」
「そうそう!」
「そこまでは良うございます。気になるのは、あの村はどうするのですか?」
「色々面倒は見るが、すぐに拡張はしない。村を拡張するよりもウイスキー作りに注力したい。村、正確には農地だな。農地を広げるのは、ウイスキー作りがうまく行って、人が増えた段階だと思っている」
「なるほど。ドラゴン二匹に戦いを挑む者は、二匹の炎で焼かれる……という事ですな?」
これは『二兎を追う者は一兎をも得ず』と同じような意味のこの異世界の格言だ。
村も大事だけれど、何せ規模も小さい。村の開発に力を入れても、領地全体に劇的な変化は生まれないと思う。それより特産品だ。
「うん。もちろん良い農作物が見つかったら農地を増やす事も考えるけれど、今のところ大麦と限られた野菜しか、ここでは作れないからね」
「何せ寒いですからな……」
「うん、寒いのはどうしようもない。もちろん村からエールに使う大麦は買い上げるけれど、最初は他所からエールを樽で買ってウイスキーを作っても良いと思っているよ。大麦が必要だからって、無理に農地を広げなくて良い」
「それでは村人たちから訴えが来ている件は、いかがいたしましょうか?」
若い村人が出て行ってしまって、畑を耕す人手が足りないって話だ。
そこは農作業を効率化して対応するしかない。
「あそこの農具は木製だろ? 村には鉄製の農具を与えて、今の人数でも畑を維持出来るようにする。鉄の農具以外も考えているから、農作業は何とかなると思う」
「それは良いお考えです! 後は魔物の襲撃ですが、いかがいたしましょうか?」
「俺が土魔法で村の周りに壁を作るよ。そうすれば、魔物の襲撃は防げるだろう」
「そんな事が!? 確かに土魔法で壁が作れる事は存じておりますが、村の周りにというとかなり長い壁になってしまいますぞ」
じいは驚いた顔で俺を見ている。
まあ、仕方ない。じいは俺の魔法をあまり見た事がないからな。
「じい、俺を誰だと思っているの? 魔力量だけなら誰にも負けないよ」
「うむ、じい殿。アンジェロの魔力量は師匠の私よりも遥かに多い。おそらく世界一の魔力量だ。村の周りに壁を作る程度は問題ない」
「失念しておりました。規格外でしたな……」
いや、その人外扱いは忘れて良いから。
さて、もう一つ大事な事を皆に伝えよう。
「それと本拠地はここにする」
「ここでございますか? 村から離れておりますし、騎士ゲーの領地へ抜ける道からも離れておりますが」
「うん。けど、それはあまり気にしないで良いや」
「気にするなと言われましても……」
「ここに港を作り、船が立ち寄れるようにする。そうすれば船便で大量輸送が出来る」
「確かに商業の点で言うと、港があるのは大きいですね」
じいはここに本拠地を置くのは反対だけれど、ジョバンニは賛成だ。
けど、理由は港だけじゃない。
「うん。そしてこの荒れ地は幸いにも平地だ。飛行機の開発施設……つまり工房を作る。ウイスキーの生産場もこの平地に作る。農地としてダメでも、工房を建てる平地としてなら荒れ地にも使い道がある」
特に飛行機開発は、色々やる事が多い。開発が進めば、飛行場や格納庫も必要になる。
広い平地は大歓迎だ。
「それから飛行機が完成すれば、飛行機で高額な特産品を素早く輸送出来るようになる。内陸部にもウイスキーを素早く届けられる」
この異世界で大量輸送は、海なら船、陸はキャラバン、馬車を連ねた商隊だ。
飛行機が出来ればそれ以外にスピードのある輸送手段が出来る。
ウイスキーを一樽運べるスペックの飛行機を開発できればな。
みんなこの話はピンと来てないみたいだ。
現物の飛行機を見た事もないし、乗った事もないのだから仕方ない。
見ていろよ! 物流革命を起こしてやるから!
「さて、ざっと説明したけど、俺の持っている領地開発のイメージはどう?」
なかなか反応が返ってこない。
たぶん、みんな地道に農地を広げて……とか考えていたのだろうな。
それが見た事も聞いた事も無いウイスキー造りや飛行機開発の話だもの、理解が進まないのも無理はない。
そんな中、ジョバンニが手を上げた。
「私からよろしいでしょうか?」
「うん。商人としてどう?」
「大変面白いですね! その酒精の強いウーイスキという酒も売れると思います。何よりアンジェロ様のお話を聞いていてワクワクしました!」
「ありがとう! ジョバンニは協力してくれるかな?」
「喜んで!」
ジョバンニは十八才と若い。
好奇心が旺盛なのだろうな。
次にルーナ先生と黒丸師匠が賛意を示してくれた。
「良いのではないか。新しい酒が楽しみであるし、私も協力しよう」
「アンジェロ少年は、色々な事を考えるのであるな。新しい事に挑戦するのは、ロマンである! 大いにやるべしである!」
「ありがとうございます。お二方にも色々お願いするので、よろしくお願いします」
残りはじいだ。
さっきから黙って考え込んでいる。
じいは良くも悪くも保守的で、慎重な所がある。
「わたくしも基本的には賛成です。ただ、農地の拡張もどこかの時点でかならず着手して頂きたいです」
「うん。わかった。じいは農地の拡張にこだわるみたいだけれど、その理由は?」
「はい。万一ですが……。あくまで万一ですが……。第一王子派閥が手をまわして、商業都市ザムザで物が買えなくなったらいかがいたしますか?」
なるほど……、塩止めってヤツだな。
確かに他所から食料品を買う以上、そのリスクは付きまとう。政治的な理由で食料品の販売を拒まれたり、不作だったりするとアンジェロ領内が干上がる。
「それは確かに困るな。転移魔法で他の都市で買い付ける事も出来るけれど……。大陸北西部エリアで大規模な飢饉が起これば、それも難しいな」
「ご理解を賜りありがとうございます。アンジェロ様の計画は面白うございますが、今お話しになったような危険性もございます。ですので、領内の農地をしっかりと整備する事も大切です」
「わかった! それは肝に銘じよう。ウイスキー作りと飛行機開発に余裕が出来たら農地開拓に手を付けるよ」
「ありがとうございます。そのお約束をいただければ、わたくしも異論はございません!」
「よし! じゃあ、これからみんなで力を合わせて、領地を発展させよう!」
「おう!」
「おう!」
「おう!」
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