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第三章 領地開発
第55話 砂竜戦後半
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「アンジェロ! 起きて! しっかりして!」
「あーんじぇろ! しっかりするだあ!」
「うお!」
やばい、気を失っていた。
目の前には白狼族のサラと熊族のボイチェフがいる。
どうやら二人が砂に埋まった俺を助け出してくれたらしい。
「俺はどれくらい気を失っていた?」
「数分だよ。アンジェロが空から落ちて砂に埋もれたけど、私とボイチェフが直ぐに駆けつけたんだ」
「ありがとう。助かった!」
顔を上げると黒丸師匠が低空で飛び回って砂竜たちの注意を引き付けてくれている。
早く戦線に戻らないと……。
いや、しかし――どうやって戦う?
土属性の砂竜だが、風魔法は効かなかった。
実は土属性じゃないとか?
それとも魔法自体にレジスト、抵抗力があるのか?
黒丸師匠の攻撃も効いてない。
じゃあ、物理攻撃に耐性もあるとか?
クソッ! 事前情報が少ないのが仇になった。
雷魔法を撃つか?
ああ、砂漠の日差しが暑い。暑さで考えがまとまらない。
突然ボイチェフが悲鳴を上げた。
「ギャアー! 助けてくれえ! こいつら噛みついて来るだあ!」
「ボイチェフ!」
ボイチェフを見ると小さな灰色のトカゲが無数に体にへばりついている。
小さなトカゲは砂地から湧き上がり、ボイチェフの体をどんどんよじ登っている。
ボイチェフの茶色い毛皮が胸元まで灰色に見える。
胸元まで小さなトカゲが取り付いているのだ。
サラが慌てて駆け寄り手で叩き落としているが、ボイチェフの体をよじ登って来るトカゲの数が多くてとても間に合わない。
これは……、砂竜の眷属、手下の魔物か!
「サラ! 下がって! 水魔法で洗い流す!」
サラがボイチェフから飛びのいたのを見て、俺は水魔法を発動した。
「ウォーターフォール!」
滝がボイチェフの頭上の空間に現れ、ボイチェフの体にへばり付いた灰色の小さなトカゲを瀑布が洗い流す。
水は俺の足元まで流れて来た。
水と一緒に流されてきた灰色の小さなトカゲは、ピクピクと体を痙攣させている。
中には息絶えたと思える個体もいる。
サラがショートソードで、流されて来た灰色の小さなトカゲに止めを刺している。
しばらくして何か思いついたらしい。
「アンジェロ! 効いてるよ! こいつらひょっとして水が弱点じゃない?」
「えっ!? 水が!?」
「だって、水をかぶっただけで、こんなに弱ってるよ。中には死んでるのもいる。絶対水が弱点だよ!」
そうなのか?
砂竜は土属性だとミスルの冒険者ギルドで説明を受けた。竜種の眷属は、必ず同じ属性の魔物だ。ならば、そこの灰色の小さなトカゲ型の魔物も土属性のはずだ。
土属性が苦手なのは風、土属性が強いのは水。
土属性の魔物が水に強いなんてあるのか!?
「アンジェロ! とにかく水をバーッとぶっ掛けて来なよ! 出来るでしょ!」
俺が考え込んでいるとサラが怒鳴りつけて来た。
ボイチェフの体からはすっかり灰色の小さなトカゲは流れ落ちて、ボイチェフは周りのトカゲをいまいましそうに踏みつぶしている。
そうだ。考え込んでいてはいけない! 今は戦闘中だ!
理屈に合わないと言っても、現に灰色の小さなトカゲに水魔法は効果があった。
やってみる価値はある。
「オッケーだ! サラの言う通りにやってみる!」
地面を蹴って飛行魔法で再び空に舞う。
高度を取ると砂竜が十匹がかりで黒丸師匠を追い込もうとしているのが見えた。
「この野郎! アクアウェイブ!」
中級の水魔法を発動した。
右手に意識を集中し、海の大波をイメージする。
魔力を眼下の砂地に放つと荒れ狂う大波が砂竜たちに襲い掛かる。
砂竜の動きは鈍い、一匹、二匹、三匹と大波が砂竜を飲み込んでいく。
「黒丸師匠! 上空へ逃げて!」
「わかったのである!」
黒丸師匠が上空へ離脱して、こっちに向かって来た。
二人並んで水魔法を浴びた砂竜を観察する。
「何であるか……。水魔法が効いているように見えるのである……」
黒丸師匠も俺と同じ疑問を感じている。
ポカンと口を開いて砂竜のやられっぷりを見ている。
土属性の魔物なのに、水魔法に弱い。
これまでの常識とは違う状況が眼下に広がっているのだ。
「理屈はわかりませんが、効くみたいです! 削れるところまで、水魔法で削ります!」
「頼んだのである!」
「アクアウェイブ!」
両手を突き出し魔力の波を送り込む。
俺の大量の魔力を注ぎ込んだ水魔法は、砂漠に海を出現させた。
十匹の砂竜は、四方から大波に揉まれ悲鳴を上げている。
「逃がすかよ!」
さらに魔力を注ぎ込み砂漠の中の海を荒れさせる。
砂竜は波に流され中央に固まり、砂竜同士が激突しダメージを増やす。
逃れようともがいても、魔力の海の中で溺れて沈んでいくだけだ。
「アクアスクリュー!」
魔力の動きをコントロールして魔力の海をかき回し渦潮を作り出す。
強力な魔力で作られた水の渦が次々と砂竜を飲み込んで行き、しばらくは渦潮の音と砂竜の断末魔の叫びだけが砂漠に響き渡った。
「もう良いであるな。あの様子では、恐らく息絶えたのである」
「了解」
黒丸師匠の指示で魔力の供給を切断すると、砂漠に現れた海の渦潮は止まり波が収まった。徐々に水が砂漠に吸収され、十分もすると全ての水が砂地に吸われて消えた。
魔法で作った海が消えると砂漠には、変わり果てた姿の砂竜が横たわっていた。
「黒丸師匠! 砂竜って!」
「むうう! 蛇のごとく細い竜種であったか! 体を砂で擬態していたとは!」
上空から見ると蛇に似た細長い竜が十匹横たわっている。
どうやら砂竜が最初に見せたあの圧倒的な巨大な体は、あの細い体に砂漠の砂をぶ厚くまとい擬態した姿だったのだろう。
「魔力で砂漠の砂を体にまとわらせて、体を大きく見せていた……。かな?」
「恐らくそんな所である。どうりで剣の攻撃が効かない訳である」
「ああ、体に見せた砂を叩いていた訳ですか。そりゃダメージが通らない」
「初見の敵は恐ろしいのである。まあしかし、どうやら全部倒せたのであるな。回収を頼むのである」
「了解。回収します」
息絶えた砂竜を次々とアイテムボックスに放り込んでいると、背中にやわらかい感触がした。サラが後ろから飛びついて来たのだ。
「ふふ! すごい魔法だったぞ! オマエは強いぞ! アンジェロ!」
「ありがとう。サラのお陰だよ。水魔法が効いているって教えてくれたでしょ」
「そうか! そうか! 私も役に立ったのだな!」
サラの良い匂いがする。
ミスル国にあまり良い印象はないけれど最後に勝てて良かったし、このサラの良い匂いを嗅いだら何かどうでも良くなって来た。
「帰ろう。アンジェロ領に」
「そうだな。あそこが私たちの家だからな」
後ろから覆いかぶさり抱き着いて来るサラに手をまわして、サラの頭を撫でるとサラが体を預けて来た。
サラの匂いに包まれながら、早く成長してサラよりも大きくなりたいと思った。
「あーんじぇろ! しっかりするだあ!」
「うお!」
やばい、気を失っていた。
目の前には白狼族のサラと熊族のボイチェフがいる。
どうやら二人が砂に埋まった俺を助け出してくれたらしい。
「俺はどれくらい気を失っていた?」
「数分だよ。アンジェロが空から落ちて砂に埋もれたけど、私とボイチェフが直ぐに駆けつけたんだ」
「ありがとう。助かった!」
顔を上げると黒丸師匠が低空で飛び回って砂竜たちの注意を引き付けてくれている。
早く戦線に戻らないと……。
いや、しかし――どうやって戦う?
土属性の砂竜だが、風魔法は効かなかった。
実は土属性じゃないとか?
それとも魔法自体にレジスト、抵抗力があるのか?
黒丸師匠の攻撃も効いてない。
じゃあ、物理攻撃に耐性もあるとか?
クソッ! 事前情報が少ないのが仇になった。
雷魔法を撃つか?
ああ、砂漠の日差しが暑い。暑さで考えがまとまらない。
突然ボイチェフが悲鳴を上げた。
「ギャアー! 助けてくれえ! こいつら噛みついて来るだあ!」
「ボイチェフ!」
ボイチェフを見ると小さな灰色のトカゲが無数に体にへばりついている。
小さなトカゲは砂地から湧き上がり、ボイチェフの体をどんどんよじ登っている。
ボイチェフの茶色い毛皮が胸元まで灰色に見える。
胸元まで小さなトカゲが取り付いているのだ。
サラが慌てて駆け寄り手で叩き落としているが、ボイチェフの体をよじ登って来るトカゲの数が多くてとても間に合わない。
これは……、砂竜の眷属、手下の魔物か!
「サラ! 下がって! 水魔法で洗い流す!」
サラがボイチェフから飛びのいたのを見て、俺は水魔法を発動した。
「ウォーターフォール!」
滝がボイチェフの頭上の空間に現れ、ボイチェフの体にへばり付いた灰色の小さなトカゲを瀑布が洗い流す。
水は俺の足元まで流れて来た。
水と一緒に流されてきた灰色の小さなトカゲは、ピクピクと体を痙攣させている。
中には息絶えたと思える個体もいる。
サラがショートソードで、流されて来た灰色の小さなトカゲに止めを刺している。
しばらくして何か思いついたらしい。
「アンジェロ! 効いてるよ! こいつらひょっとして水が弱点じゃない?」
「えっ!? 水が!?」
「だって、水をかぶっただけで、こんなに弱ってるよ。中には死んでるのもいる。絶対水が弱点だよ!」
そうなのか?
砂竜は土属性だとミスルの冒険者ギルドで説明を受けた。竜種の眷属は、必ず同じ属性の魔物だ。ならば、そこの灰色の小さなトカゲ型の魔物も土属性のはずだ。
土属性が苦手なのは風、土属性が強いのは水。
土属性の魔物が水に強いなんてあるのか!?
「アンジェロ! とにかく水をバーッとぶっ掛けて来なよ! 出来るでしょ!」
俺が考え込んでいるとサラが怒鳴りつけて来た。
ボイチェフの体からはすっかり灰色の小さなトカゲは流れ落ちて、ボイチェフは周りのトカゲをいまいましそうに踏みつぶしている。
そうだ。考え込んでいてはいけない! 今は戦闘中だ!
理屈に合わないと言っても、現に灰色の小さなトカゲに水魔法は効果があった。
やってみる価値はある。
「オッケーだ! サラの言う通りにやってみる!」
地面を蹴って飛行魔法で再び空に舞う。
高度を取ると砂竜が十匹がかりで黒丸師匠を追い込もうとしているのが見えた。
「この野郎! アクアウェイブ!」
中級の水魔法を発動した。
右手に意識を集中し、海の大波をイメージする。
魔力を眼下の砂地に放つと荒れ狂う大波が砂竜たちに襲い掛かる。
砂竜の動きは鈍い、一匹、二匹、三匹と大波が砂竜を飲み込んでいく。
「黒丸師匠! 上空へ逃げて!」
「わかったのである!」
黒丸師匠が上空へ離脱して、こっちに向かって来た。
二人並んで水魔法を浴びた砂竜を観察する。
「何であるか……。水魔法が効いているように見えるのである……」
黒丸師匠も俺と同じ疑問を感じている。
ポカンと口を開いて砂竜のやられっぷりを見ている。
土属性の魔物なのに、水魔法に弱い。
これまでの常識とは違う状況が眼下に広がっているのだ。
「理屈はわかりませんが、効くみたいです! 削れるところまで、水魔法で削ります!」
「頼んだのである!」
「アクアウェイブ!」
両手を突き出し魔力の波を送り込む。
俺の大量の魔力を注ぎ込んだ水魔法は、砂漠に海を出現させた。
十匹の砂竜は、四方から大波に揉まれ悲鳴を上げている。
「逃がすかよ!」
さらに魔力を注ぎ込み砂漠の中の海を荒れさせる。
砂竜は波に流され中央に固まり、砂竜同士が激突しダメージを増やす。
逃れようともがいても、魔力の海の中で溺れて沈んでいくだけだ。
「アクアスクリュー!」
魔力の動きをコントロールして魔力の海をかき回し渦潮を作り出す。
強力な魔力で作られた水の渦が次々と砂竜を飲み込んで行き、しばらくは渦潮の音と砂竜の断末魔の叫びだけが砂漠に響き渡った。
「もう良いであるな。あの様子では、恐らく息絶えたのである」
「了解」
黒丸師匠の指示で魔力の供給を切断すると、砂漠に現れた海の渦潮は止まり波が収まった。徐々に水が砂漠に吸収され、十分もすると全ての水が砂地に吸われて消えた。
魔法で作った海が消えると砂漠には、変わり果てた姿の砂竜が横たわっていた。
「黒丸師匠! 砂竜って!」
「むうう! 蛇のごとく細い竜種であったか! 体を砂で擬態していたとは!」
上空から見ると蛇に似た細長い竜が十匹横たわっている。
どうやら砂竜が最初に見せたあの圧倒的な巨大な体は、あの細い体に砂漠の砂をぶ厚くまとい擬態した姿だったのだろう。
「魔力で砂漠の砂を体にまとわらせて、体を大きく見せていた……。かな?」
「恐らくそんな所である。どうりで剣の攻撃が効かない訳である」
「ああ、体に見せた砂を叩いていた訳ですか。そりゃダメージが通らない」
「初見の敵は恐ろしいのである。まあしかし、どうやら全部倒せたのであるな。回収を頼むのである」
「了解。回収します」
息絶えた砂竜を次々とアイテムボックスに放り込んでいると、背中にやわらかい感触がした。サラが後ろから飛びついて来たのだ。
「ふふ! すごい魔法だったぞ! オマエは強いぞ! アンジェロ!」
「ありがとう。サラのお陰だよ。水魔法が効いているって教えてくれたでしょ」
「そうか! そうか! 私も役に立ったのだな!」
サラの良い匂いがする。
ミスル国にあまり良い印象はないけれど最後に勝てて良かったし、このサラの良い匂いを嗅いだら何かどうでも良くなって来た。
「帰ろう。アンジェロ領に」
「そうだな。あそこが私たちの家だからな」
後ろから覆いかぶさり抱き着いて来るサラに手をまわして、サラの頭を撫でるとサラが体を預けて来た。
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