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第三章 領地開発
第57話 エルフからのオファー
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なぜ! そうなる!
俺の頭の中は『?』マークで一杯だった。
俺とルーナ先生が結婚する事になった。それは、なぜですか?
会議の場は混乱している。
事情を知っているエルフたちは手を叩いてルーナ先生を祝福しているが、じいやジョバンニは眉根を寄せて困惑顔だし、黒丸師匠やホレックのおっちゃんは口を開けてポカーンとしている。
「あの! ルーナ先生! 俺とルーナ先生が結婚するのですか?」
「そうだ」
「それは……なぜ?」
「嫌なのか!」
ルーナ先生がギロリと俺を睨んだ。
物凄い迫力……ドラゴンも裸足で逃げるとはこの事、いや、ドラゴンはもちろん裸足だが。
ルーナ先生と結婚するのは嫌ではない。
美人のハイエルフと結婚するなんて、異世界ロマンの塊だ。
嫌どころかむしろ望むところ。
それにルーナ先生は何気に面倒見が良いし、料理も上手だ。
尻には敷かれそうだが、良い奥さんになってくれると思う。
俺も今は十才だが、そのうち結婚に相応しい年齢になるだろう。
長命種のエルフ族はなかなか老化せず、いつまでも美しいそうだ……まあ、あれだ、楽しめるよ。
「嫌ではないですよ。ルーナ先生と結婚できるなら嬉しいですよ」
「そうか。そうか」
ルーナ先生の表情は変わらないが、喜んでいるのが丸わかりだ。
子供みたいにピョコピョコと左右に頭を揺らすのは止めて欲しい。
「ただ、突然の事で驚いています。事情をちゃんと説明して下さい」
「うむ。まずエルフ族全体として今回の件は非常に感謝している」
「奴隷だったマリー・ギルベンダさんを俺が買い取って、エルフの里に帰した事ですね?」
「そうだ。マリーのご両親は涙を流して喜んでおられた。これはギルベンダ家からアンジェロへの感謝の手紙だ」
ルーナ先生は、丸められた羊皮紙を差し出した。紐で閉じられ赤いロウで封がしてある。赤いロウには立派なデザインの紋章が押されていた。
「その紋章はギルベンダ家の家紋で、炎の精霊を表している」
家紋が押してあるって事は、この手紙はギルベンダ家からの公式な文章という事だ。
手紙を開いてみると丁寧な文章で今回の礼が述べられ、ギルベンダ家は俺に力添えをすると書かれていた。
手紙をじいに渡して他のメンバーにも見せろと指示する。
ただ、これだけでは、俺とルーナ先生が結婚する事情は読み取れない。
「ギルベンダ家が喜んでくれて良かったです。それから?」
「ギルベンダ家と私はエルフの里の長老会議に、この件を報告した」
「長老会議?」
「エルフの里の有力者の集まりで、エルフ族の意思決定機関だ。エルフ族の重要事項は長老会議で決められる」
ルーナ先生は淡々と報告しているが、随分と大事になったみたいだ。
「エルフが奴隷にされるのは、それだけ大変な事と……」
「そうだ。エルフの里には、大きな衝撃だった。長老会議では今回の事が話し合われた。私も参加した」
「ルーナ先生も?」
「当然だ。私も長老会議のメンバーだ。まあ出歩いてばかりでエルフの里にはいないが」
ルーナ先生はエルフの上位種ハイエルフだから、長老会議のメンバーなのは当然と言えば当然か。
ルーナ先生はさっきとは別の羊皮紙の手紙を俺に渡して来た。
「そして長老会議でこの手紙の内容が決定した。この手紙はエルフ族からアンジェロへの公式な通知であり契約となる」
受け取った羊皮紙の手紙は、ギルベンダ家からの手紙と同じくロウで封がしてある。今度は緑色のロウだ。風や木のモチーフの紋様がロウに押されている。
手紙を開き、二枚の手紙を一読する。
すぐにじいに手紙を回す。
「――これは!」
じいは驚き手紙を手に持ったまま凝視している。
じいの周りに他のメンバーが集まって来て、じいの手元の手紙を覗き込み次々と驚きの声をあげた。
「なんと!」
「ええ!」
ルーナ先生が説明を続ける。
「エルフの里は今回の件を解決するのに尽力したアンジェロに感謝し、『エルフの友』の称号を贈る事となった。この称号はあくまで名誉であって、何か報酬や特典が伴う物ではない」
「それがこの一枚目の手紙ですね」
「そうだ」
「重要なのは二枚目ですね」
「うむ。エルフの里からは、魔道具技術者四名をアンジェロ領に派遣する。またエルフ族はアンジェロ領で魔道具を開発・販売する事を認める。それと引き換えにアンジェロは今後『エルフの友人』として、人族領域において困難な状況のエルフ族を見つけた場合は、保護する事とする」
「じゃあ、ルーナ先生に同行して来たエルフたちは魔道具技術者ですか?」
「そうだ。好きに使うと良い」
これはデカイな。飛行機開発が一気に進む。
魔道具技術者四人はありがたい。
それに魔道具を専売しているエルフ族が、俺に対して魔道具の販売を許可した事も凄い事だ。
飛行機は売る気はないが、他の魔道具を開発出来たら領地の大きな収入源になる。
奴隷になっていたマリー・ギルベンダを救った恩が、何倍――いや、何十倍になって返って来た。
周りを見ると、じいやジョバンニはかなり興奮している。アンジェロ領が大いに発展する可能性が見えたからな。
さて、それはそれとして……。
「ルーナ先生。ここまではわかりました。それで手紙の続きの一文ですが……」
「私の口から話すのは恥ずかしい」
「じい! 読んで!」
「はっ! 『アンジェロ・フリージアは、ルーナ・ブラケットを妻とする』と書いてございます」
ルーナ先生は、両手を頬にあててイヤイヤしている。
だからさ。わかんないよ。
「あの発言をよろしいでしょうか?」
ルーナ先生が連れて来た四人のエルフの内、男性のエルフが手を上げた。
サラサラの銀髪ロングヘアの細身のイケメンだ。
「どうぞ」
「長老会議としては、人族領域でエルフ族が安全に活動出来るようにしたいと考えています。そこでアンジェロ様を味方につけ、今回マリー・ギルベンダを奴隷から開放されたお礼になる事を考えた結果、その手紙の内容になったのです」
「なるほど。魔道具開発販売の件と技術者派遣は、お礼としても、俺がエルフ族を保護する交換条件としてもわかるが、ルーナ先生との結婚は? ルーナ先生を好きにして良いよって意味ですか?」
「いやいや、好きにしてなんて――」
「ルーナ先生、ちょっと黙って!」
ルーナ先生、クネクネするのは止めて下さいよ……。
「ハハハ、まあご結婚されたらお好きになさればよろしいでしょう。アンジェロ様とルーナ・ブラケットの結婚は、いわゆる政略結婚ですね」
「ああ。そういう……。婚姻関係を結ぶことで友好を深める的な?」
「その通りです。これは私の聞いた話ですが……。長老会議ではルーナ・ブラケットがアンジェロ様に便宜を図ろうと、かなりがんばったそうですよ。ギルベンダ家も積極的に賛同し、全体としてはその手紙に書いてある内容でまとまっていたのですが反対派もおりまして」
「反対派?」
「そうです。人族が信用できないとか、そもそもエルフの里から外に出るのが間違っているとか。あくまで少数でしたが」
まあ、そういう主張をする人がいても仕方ないだろう。
現にマリーさんが奴隷にされていたのだから。
「そこで。その少数派を納得させる為に、あれこれ試行錯誤して出て来たのが、アンジェロ様とルーナ・ブラケットの結婚です」
「婚姻同盟みたいなものか」
この世界だと婚姻同盟は割とポピュラーな外交手段だ。
フリージア王国も隣国のニアランド王国と婚姻同盟を結んでいる。第一王子のポポ兄上の母君がニアランド王国の出身だ。
フリージア王国とニアランド王国は仲が悪かったが、婚姻同盟を結んだことでここ十年以上戦争をしていない。
現代日本人の感覚だと婚姻同盟の有効性なんて、今一ピンと来ないけどフリージア王国とニアランド王国の関係を考えると婚姻同盟も案外バカにならないな。
俺が婚姻同盟に思いを巡らせていると、銀髪イケメンエルフが力を込めてテーブルを叩いた。
「それと! その続きが非常に重要なのですよ! エルフ族は期待しておりますし、私たちがここへ来たのもそれが目当てです!」
「続き?」
ああ、そう言えば何か書いてあったな。『結婚』のインパクトが強くて、見落としていた。
じいが続きを読み始めた。
「えー、『アンジェロ・フリージアは、エルフ族に対して地球料理のレシピを提供する。即ちハンバーグ、グリル料理、マヨネーズ、柔らかいパンである。また、追加で三つの地球料理レシピを提供する物とする』」
しまった! エルフ族は、どうやら胃袋で意思決定をしたらしい。
ルーナ先生が胸を張って言う。
「レシピについては、私が既に教えて来た」
「四種類も大盤振る舞いでしたね」
「大好評だった」
まあ、地球料理のレシピは、俺とルーナ先生の共同開発みたいなものだから良いけど。
しかし、エルフ族の連中は俺が異世界から転生した事を信じたのかな? 信じたとしても主に胃袋で信じたのだろうけど。
「続きを読みます。『なおこの契約はエルフ族とアンジェロ・フリージアの間で締結する』。ほう、これは重要な意味がありますな!」
「じい、どういう事?」
「この契約はあくまでもエルフ族とアンジェロ様の間の契約であって、フリージア王国は関係ないという事です。国は横やりを入れられません。魔道具販売の権利を取り上げられないで済みます」
「あっ! そうか!」
「その方が良いだろうと思った。アンジェロはポポと仲が悪い」
「別に兄上とは……。いや、まあ、とにかくルーナ先生ありがとうございました!」
「礼には及ばない。未来の旦那様の為」
今日のルーナ先生は乙女だ。
そして四人のエルフの自己紹介を受けて、今日の会議は解散にした。
会議の後ルーナ先生と二人で話しをした。
「意外でした。ルーナ先生が俺と結婚するとは」
「私はハイエルフ。エルフ族の中でも特異な存在。人族の中で特異な存在のアンジェロと釣り合う」
「ああ、そういう考え方もあるのですね。てっきり美少年趣味なのかと思いました」
「アンジェロは成長すれば私と釣り合う良い男になる。イケメンに成長する事を命じる」
「その命令は、師匠として? 婚約者として?」
「アンジェロを愛する女として」
「では全力でご期待に応えます」
俺の頭の中は『?』マークで一杯だった。
俺とルーナ先生が結婚する事になった。それは、なぜですか?
会議の場は混乱している。
事情を知っているエルフたちは手を叩いてルーナ先生を祝福しているが、じいやジョバンニは眉根を寄せて困惑顔だし、黒丸師匠やホレックのおっちゃんは口を開けてポカーンとしている。
「あの! ルーナ先生! 俺とルーナ先生が結婚するのですか?」
「そうだ」
「それは……なぜ?」
「嫌なのか!」
ルーナ先生がギロリと俺を睨んだ。
物凄い迫力……ドラゴンも裸足で逃げるとはこの事、いや、ドラゴンはもちろん裸足だが。
ルーナ先生と結婚するのは嫌ではない。
美人のハイエルフと結婚するなんて、異世界ロマンの塊だ。
嫌どころかむしろ望むところ。
それにルーナ先生は何気に面倒見が良いし、料理も上手だ。
尻には敷かれそうだが、良い奥さんになってくれると思う。
俺も今は十才だが、そのうち結婚に相応しい年齢になるだろう。
長命種のエルフ族はなかなか老化せず、いつまでも美しいそうだ……まあ、あれだ、楽しめるよ。
「嫌ではないですよ。ルーナ先生と結婚できるなら嬉しいですよ」
「そうか。そうか」
ルーナ先生の表情は変わらないが、喜んでいるのが丸わかりだ。
子供みたいにピョコピョコと左右に頭を揺らすのは止めて欲しい。
「ただ、突然の事で驚いています。事情をちゃんと説明して下さい」
「うむ。まずエルフ族全体として今回の件は非常に感謝している」
「奴隷だったマリー・ギルベンダさんを俺が買い取って、エルフの里に帰した事ですね?」
「そうだ。マリーのご両親は涙を流して喜んでおられた。これはギルベンダ家からアンジェロへの感謝の手紙だ」
ルーナ先生は、丸められた羊皮紙を差し出した。紐で閉じられ赤いロウで封がしてある。赤いロウには立派なデザインの紋章が押されていた。
「その紋章はギルベンダ家の家紋で、炎の精霊を表している」
家紋が押してあるって事は、この手紙はギルベンダ家からの公式な文章という事だ。
手紙を開いてみると丁寧な文章で今回の礼が述べられ、ギルベンダ家は俺に力添えをすると書かれていた。
手紙をじいに渡して他のメンバーにも見せろと指示する。
ただ、これだけでは、俺とルーナ先生が結婚する事情は読み取れない。
「ギルベンダ家が喜んでくれて良かったです。それから?」
「ギルベンダ家と私はエルフの里の長老会議に、この件を報告した」
「長老会議?」
「エルフの里の有力者の集まりで、エルフ族の意思決定機関だ。エルフ族の重要事項は長老会議で決められる」
ルーナ先生は淡々と報告しているが、随分と大事になったみたいだ。
「エルフが奴隷にされるのは、それだけ大変な事と……」
「そうだ。エルフの里には、大きな衝撃だった。長老会議では今回の事が話し合われた。私も参加した」
「ルーナ先生も?」
「当然だ。私も長老会議のメンバーだ。まあ出歩いてばかりでエルフの里にはいないが」
ルーナ先生はエルフの上位種ハイエルフだから、長老会議のメンバーなのは当然と言えば当然か。
ルーナ先生はさっきとは別の羊皮紙の手紙を俺に渡して来た。
「そして長老会議でこの手紙の内容が決定した。この手紙はエルフ族からアンジェロへの公式な通知であり契約となる」
受け取った羊皮紙の手紙は、ギルベンダ家からの手紙と同じくロウで封がしてある。今度は緑色のロウだ。風や木のモチーフの紋様がロウに押されている。
手紙を開き、二枚の手紙を一読する。
すぐにじいに手紙を回す。
「――これは!」
じいは驚き手紙を手に持ったまま凝視している。
じいの周りに他のメンバーが集まって来て、じいの手元の手紙を覗き込み次々と驚きの声をあげた。
「なんと!」
「ええ!」
ルーナ先生が説明を続ける。
「エルフの里は今回の件を解決するのに尽力したアンジェロに感謝し、『エルフの友』の称号を贈る事となった。この称号はあくまで名誉であって、何か報酬や特典が伴う物ではない」
「それがこの一枚目の手紙ですね」
「そうだ」
「重要なのは二枚目ですね」
「うむ。エルフの里からは、魔道具技術者四名をアンジェロ領に派遣する。またエルフ族はアンジェロ領で魔道具を開発・販売する事を認める。それと引き換えにアンジェロは今後『エルフの友人』として、人族領域において困難な状況のエルフ族を見つけた場合は、保護する事とする」
「じゃあ、ルーナ先生に同行して来たエルフたちは魔道具技術者ですか?」
「そうだ。好きに使うと良い」
これはデカイな。飛行機開発が一気に進む。
魔道具技術者四人はありがたい。
それに魔道具を専売しているエルフ族が、俺に対して魔道具の販売を許可した事も凄い事だ。
飛行機は売る気はないが、他の魔道具を開発出来たら領地の大きな収入源になる。
奴隷になっていたマリー・ギルベンダを救った恩が、何倍――いや、何十倍になって返って来た。
周りを見ると、じいやジョバンニはかなり興奮している。アンジェロ領が大いに発展する可能性が見えたからな。
さて、それはそれとして……。
「ルーナ先生。ここまではわかりました。それで手紙の続きの一文ですが……」
「私の口から話すのは恥ずかしい」
「じい! 読んで!」
「はっ! 『アンジェロ・フリージアは、ルーナ・ブラケットを妻とする』と書いてございます」
ルーナ先生は、両手を頬にあててイヤイヤしている。
だからさ。わかんないよ。
「あの発言をよろしいでしょうか?」
ルーナ先生が連れて来た四人のエルフの内、男性のエルフが手を上げた。
サラサラの銀髪ロングヘアの細身のイケメンだ。
「どうぞ」
「長老会議としては、人族領域でエルフ族が安全に活動出来るようにしたいと考えています。そこでアンジェロ様を味方につけ、今回マリー・ギルベンダを奴隷から開放されたお礼になる事を考えた結果、その手紙の内容になったのです」
「なるほど。魔道具開発販売の件と技術者派遣は、お礼としても、俺がエルフ族を保護する交換条件としてもわかるが、ルーナ先生との結婚は? ルーナ先生を好きにして良いよって意味ですか?」
「いやいや、好きにしてなんて――」
「ルーナ先生、ちょっと黙って!」
ルーナ先生、クネクネするのは止めて下さいよ……。
「ハハハ、まあご結婚されたらお好きになさればよろしいでしょう。アンジェロ様とルーナ・ブラケットの結婚は、いわゆる政略結婚ですね」
「ああ。そういう……。婚姻関係を結ぶことで友好を深める的な?」
「その通りです。これは私の聞いた話ですが……。長老会議ではルーナ・ブラケットがアンジェロ様に便宜を図ろうと、かなりがんばったそうですよ。ギルベンダ家も積極的に賛同し、全体としてはその手紙に書いてある内容でまとまっていたのですが反対派もおりまして」
「反対派?」
「そうです。人族が信用できないとか、そもそもエルフの里から外に出るのが間違っているとか。あくまで少数でしたが」
まあ、そういう主張をする人がいても仕方ないだろう。
現にマリーさんが奴隷にされていたのだから。
「そこで。その少数派を納得させる為に、あれこれ試行錯誤して出て来たのが、アンジェロ様とルーナ・ブラケットの結婚です」
「婚姻同盟みたいなものか」
この世界だと婚姻同盟は割とポピュラーな外交手段だ。
フリージア王国も隣国のニアランド王国と婚姻同盟を結んでいる。第一王子のポポ兄上の母君がニアランド王国の出身だ。
フリージア王国とニアランド王国は仲が悪かったが、婚姻同盟を結んだことでここ十年以上戦争をしていない。
現代日本人の感覚だと婚姻同盟の有効性なんて、今一ピンと来ないけどフリージア王国とニアランド王国の関係を考えると婚姻同盟も案外バカにならないな。
俺が婚姻同盟に思いを巡らせていると、銀髪イケメンエルフが力を込めてテーブルを叩いた。
「それと! その続きが非常に重要なのですよ! エルフ族は期待しておりますし、私たちがここへ来たのもそれが目当てです!」
「続き?」
ああ、そう言えば何か書いてあったな。『結婚』のインパクトが強くて、見落としていた。
じいが続きを読み始めた。
「えー、『アンジェロ・フリージアは、エルフ族に対して地球料理のレシピを提供する。即ちハンバーグ、グリル料理、マヨネーズ、柔らかいパンである。また、追加で三つの地球料理レシピを提供する物とする』」
しまった! エルフ族は、どうやら胃袋で意思決定をしたらしい。
ルーナ先生が胸を張って言う。
「レシピについては、私が既に教えて来た」
「四種類も大盤振る舞いでしたね」
「大好評だった」
まあ、地球料理のレシピは、俺とルーナ先生の共同開発みたいなものだから良いけど。
しかし、エルフ族の連中は俺が異世界から転生した事を信じたのかな? 信じたとしても主に胃袋で信じたのだろうけど。
「続きを読みます。『なおこの契約はエルフ族とアンジェロ・フリージアの間で締結する』。ほう、これは重要な意味がありますな!」
「じい、どういう事?」
「この契約はあくまでもエルフ族とアンジェロ様の間の契約であって、フリージア王国は関係ないという事です。国は横やりを入れられません。魔道具販売の権利を取り上げられないで済みます」
「あっ! そうか!」
「その方が良いだろうと思った。アンジェロはポポと仲が悪い」
「別に兄上とは……。いや、まあ、とにかくルーナ先生ありがとうございました!」
「礼には及ばない。未来の旦那様の為」
今日のルーナ先生は乙女だ。
そして四人のエルフの自己紹介を受けて、今日の会議は解散にした。
会議の後ルーナ先生と二人で話しをした。
「意外でした。ルーナ先生が俺と結婚するとは」
「私はハイエルフ。エルフ族の中でも特異な存在。人族の中で特異な存在のアンジェロと釣り合う」
「ああ、そういう考え方もあるのですね。てっきり美少年趣味なのかと思いました」
「アンジェロは成長すれば私と釣り合う良い男になる。イケメンに成長する事を命じる」
「その命令は、師匠として? 婚約者として?」
「アンジェロを愛する女として」
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