追放王子の異世界開拓!~魔法と魔道具で、辺境領地でシコシコ内政します

武蔵野純平

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第六章 二人の王子

第98話 国王からの重大発表

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「戦功第一等! アンジェロ王子!」

「「「「「おお~!」」」」」

 まず、俺の名前が呼ばれた。
 十才で戦功第一等は、異例なのだろう。
 会場がどよめく。

 儀典長は戦功の理由を述べる。

「アンジェロ王子は、先の戦にて、国王陛下の危機をお救いし、卑劣にも裏切ったニアランドとメロビクスを討ち果たしました!」

 貴族たちが拍手をし、俺を褒め称えてくれた。
 会場の騒ぎが一段落した所で、儀典長が続ける。
 ここからが大事だ。

「この戦功に対し、国王陛下はアンジェロ王子に、商業都市ザムザを与える。また、第二騎士団をアンジェロ王子の配下とし、商業都市ザムザに配置する」

「おお!」
「ザムザがアンジェロ様の物に!」
「これは大きい!」
「第二騎士団を従えるのか!」

 これは俺とじいが、国王陛下、アルドギスル兄上――の代理ヒューガルデン伯爵、王宮の役人と交渉・調整をして勝ち取った成果だ。

 商業都市ザムザは、名前の通り商取引が活発な街だ。
 俺たち『王国の牙』が冒険者として活動している拠点で、顔見知りも多い。
 いつか俺の領地になったら良いと思っていた。

 そして何より、商業都市ザムザは交通の要衝、大陸交易路の一大拠点。
 商業都市ザムザから上がる税収は莫大だ。

 王宮側から色々と条件はつけられたが、商業都市ザムザは俺の領地になった。

 第二騎士団は、ローデンバッハ男爵が率いる実戦派の騎士団だ。
 副官のポニャトフスキ騎士爵も一緒に俺の旗下に入って貰った。

 会場の離れた場所で社交をしているじいと目が合った。
 俺とじいは、同時にうなずく。
 交渉で苦労したが、望み通りの報償を得たのだ。

 論功行賞は続く。
 儀典長が羊皮紙を読み上げる。

「戦功第二等! アルドギスル王子! アルドギスル王子には、旧エノー伯爵領を与える!」

 戦功第二等は、アルドギスル兄上だ。
 戦線中央でメロビクス王大国軍とニアランド王国軍の挟撃に遭いながら、『現場死守』を命じたアルドギスル兄上の判断は、軍関係者からも高く評価されている。

 アルドギスル兄上には、亡くなった宰相エノー伯爵の領地が与えられた。
 旧エノー伯爵領は、小領地だがニアランド王国と国境を接し関税収入がある。
 アルドギスル兄上は、良いところを貰ったと言えるだろう。

 周りの貴族がどよめく中、アルドギスル兄上が右手を軽く挙げた。

「はっはー! ありがとう!」

 インチキビジュアル系の外見だが、さまになっている。
 ビジュアル系の前の『インチキ』が外れる日も近いかな?

 それから儀典長が次々と論功行賞を発表した。
 俺とアルドギスル兄上以外は、宝飾品、魔道具、武具防具が報償として渡された。

 これは王宮の役人と交渉した時に、彼らが漏らしていた本音だが……。
 今回の戦争は、お金の面で良いところがなかったらしい。

 今回の戦争で新たに得た領地はない。
 交易が盛んになる訳ではないし、税収が増えるわけではない。

 それに敵国から賠償金を得るのが、難しい見通しだ。
 敵メロビクス王大国とニアランド王国とは、外交を行っている最中だが、相手の姿勢は強硬とか……。

 メロビクス王大国は、宰相ミトラルの息子シャルル・マルテ将軍が戦死したので、一部貴族が好戦的になっている。

 ニアランド王国は、例のアレ……。

『我ら歴史的上位国であるニアランド王国が、ウンヌンカンヌン!』

 もう、死んで欲しい。
 爆死しろ! ニアランド!

 そんな事情があるので、論功行賞は国庫に負担がかからない方針で行われた。
 俺とアルドギスル兄上は、王族なので領地を貰ったが、他の貴族へ領地は与えない。
 他の貴族への報償は、『国庫に負担がかからない』王宮の宝物庫に保管してある物(死蔵を含む)になったのだ。


 論功行賞の発表が一通り終わると、儀典長が姿勢を正し咳払いを一つした。

「それでは……国王陛下から重大な発表があります」

 国王から重大な発表?
 何だろう?

 俺とじいは、報償の交渉はしたけれど、宴の進行にはノータッチだ。
 父上は、何を話すのだろうか?

 宴の会場がざわついたが、父上が奥の席から立ち上がると次第に静かになった。
 会場の注目が集まる中、父上が話し始めた。

「皆の者! この度の戦はご苦労であった。我らは勝利を得た! 国王として皆に感謝する。今日、共に祝えることを嬉しく思う!」

 父上は会場にいる貴族一人一人に語りかけるように、熱量を込めて語る。
 俺も姿勢を正し、拝聴する。

「しかし……良いことばかりでは、なかった。皆が知っての通り、第一王子ポポと宰相エノーが裏切り、第二王子アルドギスルと第三王子アンジェロが暗殺されかけたのだ!」

 国王の口から語られた事実に、貴族たちは衝撃を受けている。

 噂では聞いていただろうが、たった今、フリージア王国が公式に裏切りと暗殺騒動を認めたのだ。

 貴族たちが衝撃を受け止める間を取ってから、父上が言葉を続ける。

「なぜ、このような事件が出来したのか? これは王位継承をしっかりと定めなかったことに原因があるのではないかと余は考えた。そこで――」

 父上はいったん言葉を切って、息を吸った。
 国王が何を言うのか?
 宴の会場らしくない緊張感が満ちた。

「五年後! 五年後に、余は退位する! アルドギスルかアンジェロの、いずれかに王位を譲る!」
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