223 / 358
第九章 グンマー連合王国
第223話 異世界スキル:お仕事丸投げ
しおりを挟む
――グンマー連合王国の首都キャランフィールド。
スラム出身の冒険者ミディアムは、冒険者ギルドのホールで悪態をついた。
「チッ! まったく……黒丸の旦那は……。面倒な仕事を持ち込んでくれたな!」
ホールに置かれた丸テーブルには、黒丸からの手紙が広げられていた。
手紙の出だしには、こう書かれていた。
『悪党どもを、そちらに送ったのである。ミディアムが中心になって、彼らを鍛えるのである。再教育をして、使える人材に生まれ変わらせるのである』
――面倒な!
ミディアムは、心底うんざりした。
ミディアム自身がスラムのチンピラ上がりなので、悪党を更生させる難しさをよくわかっていたのだ。
ミディアムは、黒丸の手紙を続けて読もうとしたが、内容が難しく理解が出来なかった。
ミディアムの後ろに立つ仲間――冒険者パーティー『砂利石』のメンバーも黒丸からの手紙をのぞき見るが、よく意味がわからなかった。
彼らは、読み書きを習っている最中なので、難しい内容は分からないのだ。
「続きは……えーと……」
ミディアムが頭をひねっていると、隣に座るミシェル(冒険者パーティーエスカルゴのリーダー)が、文章の続きを要約して聞かせた。
「冒険者ギルドとして請け負った仕事だから、『砂利石』、『エスカルゴ』、『白夜の騎士』で協力して上手くやれとさ。他の冒険者パーティーを使っても良いと」
「上手くヤレって……。黒丸の旦那もいい加減だな!」
ミディアムは下顎を突き出し、黒丸の『お仕事丸投げ』に抗議する。
ミシェルは、ミディアムの言うことに同意し苦笑した。
「まあ、信頼してもらっていると考えよう。えーと……それから……。訓練が終わったら、適正に応じて兵士、文官、土木作業など仕事を振り分けるそうだ。ただし、五年間は無給か……。ちょっと気の毒かな……」
「ミシェルさん。そいつらは馬賊や盗賊だったんでしょ? なら、死罪にならないだけマシってモンですよ!」
「それもそうか。なら、遠慮は無用だな」
その後、白狼族のサラたち『白夜の騎士』も混ざり、ミディアムたちは、『逮捕した悪党たちをどう鍛えるか?』を打ち合わせた。
*
――翌日!
「走れ! 走れ! 走れー!」
翌日、ミディアムたちは、キャランフィールドの訓練場で、逮捕した悪党たちをしごき始めた。
ミディアムたちの方針はシンプルだ。
『何も考えられなくなるくらい運動させる』
ミディアム自身の経験上、疲れれば反抗する気力を失うし、筋肉痛で脱走も出来ない。
演台の上からにらみをきかせながら、ミディアムは独りごちる。
「初日はたっぷり走ってもらうぜ……。夜、ベッドに入ったら、速攻でオネンネって寸法よ!」
悪党たちは、訓練場の中を、ひたすらグルグルと走り回る。
悪党たちを先導するのは、白狼族のサラだ。
サラはかなりゆっくり走っているつもりだが、あくまで獣人基準だ。
走らされる悪党たちは、人族なのでサラのスピードについて行けず、皆アゴが上がり必死で走っている。
悪党たちの後ろから、サラのパーティーメンバーの白狼族が槍で武装し、走らない悪党の尻をつつく。
悪党たちは、合計二百五十人。
黒丸たちが逮捕者を増やせば、二百五十人から更に増える可能性がある。
ミディアムたち『砂利石』、ミシェルたち『エスカルゴ』、サラたち『白夜の騎士』だけでは、手が足りず、他の冒険者パーティーも二組配置していた。
教官役のミディアムたちの人数が悪党たちに対して少ないが、武装しているので、万一悪党たちに反乱されても制圧出来る自信がミディアムにはあった。
(ふむ……。意外と素直じゃねえか……。筋金入りのワルって訳じゃねえな。まあ、徴兵された農民や下級貴族が多いって話だからな……)
ミディアムは、じいことコーゼン伯爵から今朝聞いた話を思い出していた。
これなら『教育』は、難しくないかもしれない。
そんなことを考えていると、一部の悪党たちが反発しだした。
「いつまで走らせるんだ!」
一部の悪党は、訓練所に座り込み動こうとしない。
「やれやれ……出番だな……」
ミディアムは、のっそりと、座り込んだ悪党たちの元へ向かった。
スラム出身の冒険者ミディアムは、冒険者ギルドのホールで悪態をついた。
「チッ! まったく……黒丸の旦那は……。面倒な仕事を持ち込んでくれたな!」
ホールに置かれた丸テーブルには、黒丸からの手紙が広げられていた。
手紙の出だしには、こう書かれていた。
『悪党どもを、そちらに送ったのである。ミディアムが中心になって、彼らを鍛えるのである。再教育をして、使える人材に生まれ変わらせるのである』
――面倒な!
ミディアムは、心底うんざりした。
ミディアム自身がスラムのチンピラ上がりなので、悪党を更生させる難しさをよくわかっていたのだ。
ミディアムは、黒丸の手紙を続けて読もうとしたが、内容が難しく理解が出来なかった。
ミディアムの後ろに立つ仲間――冒険者パーティー『砂利石』のメンバーも黒丸からの手紙をのぞき見るが、よく意味がわからなかった。
彼らは、読み書きを習っている最中なので、難しい内容は分からないのだ。
「続きは……えーと……」
ミディアムが頭をひねっていると、隣に座るミシェル(冒険者パーティーエスカルゴのリーダー)が、文章の続きを要約して聞かせた。
「冒険者ギルドとして請け負った仕事だから、『砂利石』、『エスカルゴ』、『白夜の騎士』で協力して上手くやれとさ。他の冒険者パーティーを使っても良いと」
「上手くヤレって……。黒丸の旦那もいい加減だな!」
ミディアムは下顎を突き出し、黒丸の『お仕事丸投げ』に抗議する。
ミシェルは、ミディアムの言うことに同意し苦笑した。
「まあ、信頼してもらっていると考えよう。えーと……それから……。訓練が終わったら、適正に応じて兵士、文官、土木作業など仕事を振り分けるそうだ。ただし、五年間は無給か……。ちょっと気の毒かな……」
「ミシェルさん。そいつらは馬賊や盗賊だったんでしょ? なら、死罪にならないだけマシってモンですよ!」
「それもそうか。なら、遠慮は無用だな」
その後、白狼族のサラたち『白夜の騎士』も混ざり、ミディアムたちは、『逮捕した悪党たちをどう鍛えるか?』を打ち合わせた。
*
――翌日!
「走れ! 走れ! 走れー!」
翌日、ミディアムたちは、キャランフィールドの訓練場で、逮捕した悪党たちをしごき始めた。
ミディアムたちの方針はシンプルだ。
『何も考えられなくなるくらい運動させる』
ミディアム自身の経験上、疲れれば反抗する気力を失うし、筋肉痛で脱走も出来ない。
演台の上からにらみをきかせながら、ミディアムは独りごちる。
「初日はたっぷり走ってもらうぜ……。夜、ベッドに入ったら、速攻でオネンネって寸法よ!」
悪党たちは、訓練場の中を、ひたすらグルグルと走り回る。
悪党たちを先導するのは、白狼族のサラだ。
サラはかなりゆっくり走っているつもりだが、あくまで獣人基準だ。
走らされる悪党たちは、人族なのでサラのスピードについて行けず、皆アゴが上がり必死で走っている。
悪党たちの後ろから、サラのパーティーメンバーの白狼族が槍で武装し、走らない悪党の尻をつつく。
悪党たちは、合計二百五十人。
黒丸たちが逮捕者を増やせば、二百五十人から更に増える可能性がある。
ミディアムたち『砂利石』、ミシェルたち『エスカルゴ』、サラたち『白夜の騎士』だけでは、手が足りず、他の冒険者パーティーも二組配置していた。
教官役のミディアムたちの人数が悪党たちに対して少ないが、武装しているので、万一悪党たちに反乱されても制圧出来る自信がミディアムにはあった。
(ふむ……。意外と素直じゃねえか……。筋金入りのワルって訳じゃねえな。まあ、徴兵された農民や下級貴族が多いって話だからな……)
ミディアムは、じいことコーゼン伯爵から今朝聞いた話を思い出していた。
これなら『教育』は、難しくないかもしれない。
そんなことを考えていると、一部の悪党たちが反発しだした。
「いつまで走らせるんだ!」
一部の悪党は、訓練所に座り込み動こうとしない。
「やれやれ……出番だな……」
ミディアムは、のっそりと、座り込んだ悪党たちの元へ向かった。
31
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
神の手違い転生。悪と理不尽と運命を無双します!
yoshikazu
ファンタジー
橘 涼太。高校1年生。突然の交通事故で命を落としてしまう。
しかしそれは神のミスによるものだった。
神は橘 涼太の魂を神界に呼び謝罪する。その時、神は橘 涼太を気に入ってしまう。
そして橘 涼太に提案をする。
『魔法と剣の世界に転生してみないか?』と。
橘 涼太は快く承諾して記憶を消されて転生先へと旅立ちミハエルとなる。
しかし神は転生先のステータスの平均設定を勘違いして気付いた時には100倍の設定になっていた。
さらにミハエルは〈光の加護〉を受けておりステータスが合わせて1000倍になりスキルも数と質がパワーアップしていたのだ。
これは神の手違いでミハエルがとてつもないステータスとスキルを提げて世の中の悪と理不尽と運命に立ち向かう物語である。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる