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第九章 グンマー連合王国
第224話 ミディアムの成長
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ミディアムは、のそり、のそりと歩みを進めた。
ランニングに音を上げた連中は、全部で十人。
訓練場の真ん中でゴロリと転がり空を見上げている。
「ハア……ハア……ハア……」
息も絶え絶えで、中には吐きそうになっている若い男もいた。
(いきなり、やり過ぎたか……?)
黒丸からは、『鍛えろ』、『再教育して使える人材にしろ』と言われている。
潰せとは言われていない。
(むっ……これじゃあダメか?)
ミディアムは、人を指導する難しさを感じていた。
ミディアムが、『どう指導するか?』を考えながら、ゆっくり歩いていると、ジンジャーがミディアムを走って追い越した。
「こら! テメエ! 誰が休んでイイって言ったよ!? あー!?」
「うるせえ! もう、走れねえよ!」
「走れねえじゃねえよ! 走るんだよ! 冒険者はなあ……足を止めたら死ぬんだ! 立てよ!」
「俺は冒険者じゃねえよ! 馬賊だよ!」
ミディアムは、ジンジャーと音を上げた若い男のやり取りを見ながら、自分が新人だった時の訓練を思い出していた。
(そういや……アンジェロ王が来て、色々説明してくれたな……)
ミディアムは、首からぶら下げた二枚のギルドカードに手を伸ばした。
一枚はミディアムのギルドカード。
もう一枚は、亡くなったハツのギルドカードだ。
左手でチャリチャリと自分のギルドカードとハツのギルドカードをいじりながら、思うことがあった。
(なんかわからねえけど……。こいつらの言い分を聞いて、色々説明してやるか……。納得すれば、こいつらも自分から動くだろう……)
ミディアムが、音を上げた連中の所に着く頃には、ジンジャーがすっかりエキサイトしていた。
若い男の胸ぐらを掴んで無理矢理立たせようとしている。
「テメエ! 立たねえなら、俺が引きずってでも走らせるぞ!」
「うぜえよ! やめろよ!」
「これは、オマエの為なんだよ!」
ジンジャーは、ジンジャーなりに目の前の男たちを、何とか使い物になるようにしようと懸命だった。
だが、その熱意は空回りして、良くない方向へ。
つまり、音を上げた連中にとっては、はなはだしく迷惑な押しつけがましい行為になっていた。
あたりにピリッとした嫌な空気が蔓延した。
(マズイな……)
興奮しているジンジャーは気づいていないが、訓練場にいる二百人を超える悪党たちの目つきが厳しくなっていた。
ミディアムは、すぐに事態に介入した。
「よーし! 休憩だ! きゅーけー! 水も飲んでイイぞ! ミシェルさん! こっちに水をたのんます!」
ミシェルたちエスカルゴが水の入った樽を訓練場の中央に運び込むと、砂糖に群がるアリのごとく、悪党たちが水を求めた。
「オイ! ミディアム!」
白狼族のサラが立腹してミディアムを小突く。
「まだ、まだ、走り足りないぞ! この程度で音を上げていたら、戦場で役に立たない!」
「……」
ミディアムは、迷った。
サラの言うことはもっともで、ミディアムとしても、もっと走らせた方が良いと感じていた。
しかし――。
「まあ、ちょっと待ってくれよ。俺にも考えがあるんだ」
「むっ……そうなのか? なら、任せる」
ミディアムは、自分の考えをまとめようとした。
(ここは、堪えどころじゃねえかな? 俺たち訓練教官が短気を起こしても、こいつらは訓練についてこれねえだろう。それじゃ意味がねえ……)
スラムのチンピラだった男が、冷静に状況判断をしようとしていた。
激発せずに、自分を抑え、最良の結果を導き出そうとする。
それには、何が必要か?
先ほどからミディアムは、何となくだが対話の必要性を感じていた。
(やっぱり……。まず、こいつらの話を聞いてみるか……)
ミディアムは、先ほどまでジンジャーが胸ぐらを掴んでいた男に歩み寄った。
「よお。オマエは、名前なんつーんだ?」
「メトト」
「メトトか。良い名前だな」
名前の響きがミスル王国風で、自分たちとは違うなとミディアムは思った。
「それで、メトトよ。オマエなんで、反抗するんだ?」
「……」
メトトは、そっぽを向いてミディアムと目を合わそうともしない。
ミディアムは、粘り強く話しかけた。
「あのよう……。俺とさっきのヤツ……ジンジャーって言うんだがな……。俺たちは、スラム街で悪さをしててよう。それで、とっ捕まって、ここに送られてきたんだ」
そっぽを向いていたメトトが、ミディアムとジンジャーを見た。
意外そうな顔をしている。
「意外か?」
「ああ……。なんで処刑されなかったんだ? 役人に袖の下でも渡したのか?」
「ちげーよ! ここはとにかく人手不足でな。スラムから沢山の人間が連れてこられたが、誰も処刑されなかった」
「ウソだろ!?」
いつの間にか、訓練場にいる悪党たち全員が、ミディアムとメトトの会話に、耳をそばだてていた。
ランニングに音を上げた連中は、全部で十人。
訓練場の真ん中でゴロリと転がり空を見上げている。
「ハア……ハア……ハア……」
息も絶え絶えで、中には吐きそうになっている若い男もいた。
(いきなり、やり過ぎたか……?)
黒丸からは、『鍛えろ』、『再教育して使える人材にしろ』と言われている。
潰せとは言われていない。
(むっ……これじゃあダメか?)
ミディアムは、人を指導する難しさを感じていた。
ミディアムが、『どう指導するか?』を考えながら、ゆっくり歩いていると、ジンジャーがミディアムを走って追い越した。
「こら! テメエ! 誰が休んでイイって言ったよ!? あー!?」
「うるせえ! もう、走れねえよ!」
「走れねえじゃねえよ! 走るんだよ! 冒険者はなあ……足を止めたら死ぬんだ! 立てよ!」
「俺は冒険者じゃねえよ! 馬賊だよ!」
ミディアムは、ジンジャーと音を上げた若い男のやり取りを見ながら、自分が新人だった時の訓練を思い出していた。
(そういや……アンジェロ王が来て、色々説明してくれたな……)
ミディアムは、首からぶら下げた二枚のギルドカードに手を伸ばした。
一枚はミディアムのギルドカード。
もう一枚は、亡くなったハツのギルドカードだ。
左手でチャリチャリと自分のギルドカードとハツのギルドカードをいじりながら、思うことがあった。
(なんかわからねえけど……。こいつらの言い分を聞いて、色々説明してやるか……。納得すれば、こいつらも自分から動くだろう……)
ミディアムが、音を上げた連中の所に着く頃には、ジンジャーがすっかりエキサイトしていた。
若い男の胸ぐらを掴んで無理矢理立たせようとしている。
「テメエ! 立たねえなら、俺が引きずってでも走らせるぞ!」
「うぜえよ! やめろよ!」
「これは、オマエの為なんだよ!」
ジンジャーは、ジンジャーなりに目の前の男たちを、何とか使い物になるようにしようと懸命だった。
だが、その熱意は空回りして、良くない方向へ。
つまり、音を上げた連中にとっては、はなはだしく迷惑な押しつけがましい行為になっていた。
あたりにピリッとした嫌な空気が蔓延した。
(マズイな……)
興奮しているジンジャーは気づいていないが、訓練場にいる二百人を超える悪党たちの目つきが厳しくなっていた。
ミディアムは、すぐに事態に介入した。
「よーし! 休憩だ! きゅーけー! 水も飲んでイイぞ! ミシェルさん! こっちに水をたのんます!」
ミシェルたちエスカルゴが水の入った樽を訓練場の中央に運び込むと、砂糖に群がるアリのごとく、悪党たちが水を求めた。
「オイ! ミディアム!」
白狼族のサラが立腹してミディアムを小突く。
「まだ、まだ、走り足りないぞ! この程度で音を上げていたら、戦場で役に立たない!」
「……」
ミディアムは、迷った。
サラの言うことはもっともで、ミディアムとしても、もっと走らせた方が良いと感じていた。
しかし――。
「まあ、ちょっと待ってくれよ。俺にも考えがあるんだ」
「むっ……そうなのか? なら、任せる」
ミディアムは、自分の考えをまとめようとした。
(ここは、堪えどころじゃねえかな? 俺たち訓練教官が短気を起こしても、こいつらは訓練についてこれねえだろう。それじゃ意味がねえ……)
スラムのチンピラだった男が、冷静に状況判断をしようとしていた。
激発せずに、自分を抑え、最良の結果を導き出そうとする。
それには、何が必要か?
先ほどからミディアムは、何となくだが対話の必要性を感じていた。
(やっぱり……。まず、こいつらの話を聞いてみるか……)
ミディアムは、先ほどまでジンジャーが胸ぐらを掴んでいた男に歩み寄った。
「よお。オマエは、名前なんつーんだ?」
「メトト」
「メトトか。良い名前だな」
名前の響きがミスル王国風で、自分たちとは違うなとミディアムは思った。
「それで、メトトよ。オマエなんで、反抗するんだ?」
「……」
メトトは、そっぽを向いてミディアムと目を合わそうともしない。
ミディアムは、粘り強く話しかけた。
「あのよう……。俺とさっきのヤツ……ジンジャーって言うんだがな……。俺たちは、スラム街で悪さをしててよう。それで、とっ捕まって、ここに送られてきたんだ」
そっぽを向いていたメトトが、ミディアムとジンジャーを見た。
意外そうな顔をしている。
「意外か?」
「ああ……。なんで処刑されなかったんだ? 役人に袖の下でも渡したのか?」
「ちげーよ! ここはとにかく人手不足でな。スラムから沢山の人間が連れてこられたが、誰も処刑されなかった」
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