追放王子の異世界開拓!~魔法と魔道具で、辺境領地でシコシコ内政します

武蔵野純平

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第九章 グンマー連合王国

第240話 まあ、昼の決闘! ~テイマー対テイマー

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 イセサッキに乗ったルーナ・ブラケットとサーベルタイガーを従えたイネスがにらみ合う。

 場所はキャランフィールドの冒険者ギルドの真ん前の大通りだ。
 何事かと野次馬が集まり、冒険者たちが『危ないから下がれ!』と声をからす。

 その騒ぎを、二頭の魔物の咆吼が静めた。
 グンマークロコダイルのイセサッキが低く唸れば、サーベルタイガーのラモンが力強く吠える。

 季節外れの北風が通りを吹き抜け、どこからか一枚の布が舞い降り両者の視界を遮った。

「イセサッキ!」

「ラモン!」

 ルーナとイネスは、同時に動いた。

 グンマークロコダイルのイセサッキは、姿勢を低く素早く地を駆ける。
 ルーナは、イセサッキの背に伏せた。

 一方のイネスは、初期の立ち位置から一歩も動かず、頬に笑みをたたえている。

 ルーナが不審に感じた瞬間、斜め上からサーベルタイガーのラモンが襲いかかった。
 ラモンは通りの左右に立ち並ぶ建物の壁を蹴って、立体的に動いたのだ。

「クッ!」

 ルーナは、とっさにイセサッキの背中から飛び退いた。
 地面を転げ回るルーナ。

 先ほどまでルーナがまたがっていた、イセサッキの背中にラモンの前足が振り下ろされ、鋭い爪が背中の皮に食い込む。

「グアア!」

 イセサッキの叫びは、痛みからか、主を襲撃された怒りからか。
 叫ぶと同時に太く重いイセサッキの尾が、ラモンの横腹を叩いた。

 吹っ飛び壁に激突するラモン。
 たまらず声を上げる。

「ギャイン!」

 ルーナは、自分がイセサッキにまたがったままでは、イセサッキの動きを阻害すると判断した。
 戦闘はイセサッキに任せ、自分は邪魔にならないように後ろに下がった。

 通りの中央では、二匹の魔物が壮絶な戦いを繰り広げる。

 サーベルタイガーのラモンは、速度と跳躍力を武器に。
 グンマークロコダイルのイセサッキは、パワーと頑丈さを武器に。

 一進一退の攻防が続く。

 しかし、戦う場所――つまり、跳躍するのに地面と壁を使えるラモンの方に、やや分があった。

 ラモンは立体的な動きで優勢を保ち、ジリジリとイセサッキを後退させることに成功した。

 突如方角を変えたラモンは、ルーナに向かって襲いかかった。
 地面を蹴り、壁を蹴り、空中を舞うようにルーナに迫る。

 だが、イセサッキも黙っていない。
 最短距離で移動し、ルーナに襲いかかろうとするラモンに体当たりをかました。

 吹っ飛ぶ二頭の魔物。

 だが、そのシチュエーションこそイネスの狙いだった。

 二頭がルーナの眼前で交差し、ブラインドになった間隙を突いて、一気に距離を詰めた。
 ルーナは、目を見開き驚く。
 お構いなしにイネスは、右拳を振りかぶる。

「ハッ!」

 二頭が吹っ飛んだ次の瞬間、ルーナの視界には拳を構えたイネスが見えた。
 右手にはメリケンサックが握られている。

 脇の下から空手の正拳突きに似た動きで、一直線に突き出された拳がルーナの顔面を襲った。

(よけきれない!)

 とっさにルーナは、顔をそらしながら後方へ飛んだ。
 横面に痛みを感じながらも、飛ぶことでダメージを減らした為、失神せずに済んだ。

「へッ!」

 勝ちに乗ったイネスの短いつぶやきを聞きながら、ルーナは腰にぶら下げたマジックバッグから、長い杖を取り出した。

 魔法使い用の杖だが、接近戦では打撃武器として使用できる。

 ルーナは、地面を転げながらも杖を横に払うことで、イネスの追撃を退けた。

 立ち上がり、イネスをにらみつけるルーナ。

 手元で杖を素早く回転させながら、イネスへと迫る。
 イネスもボクサーのようにコンパクトな構えをとり、体を左右に揺すりながらイネスに近づく。

 ルーナは、右、左と杖を繰り出し、イネスは繰り出された杖をよけ、または拳で払い間合いを詰める。

 イネスの拳が再びルーナの顔面をとらえるが、ルーナの杖もイネスの側頭部をとらえた。

 二人が同時に崩れ落ちる。

 そこへ、駆けつけた黒丸が割って入った。

「そこまでである!」

 黒丸は、オリハルコンの大剣を振り下ろし、道路をたたき割った。
 立ち上がり再び襲いかかろうとしたイネスは、黒丸の勢いに押しとどめられた。

 一方、グンマークロコダイルのイセサッキとサーベルタイガーのラモンは、血を流しながら取っ組み合いの死闘を演じていたが、二匹の間にアンジェロが雷魔法を落とした。

 危険を察した二匹は飛び退き距離を取り、二匹の間にアンジェロが割って入った。

「ルーナ先生! ダメじゃないですか!」

 アンジェロは、ルーナに苦情を申し立てたのであった。
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