追放王子の異世界開拓!~魔法と魔道具で、辺境領地でシコシコ内政します

武蔵野純平

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第十章 レッドアラート!

第272話 爆弾の中身は、なーんだ?

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 地上に落ちた樽爆弾が、次々と爆発した。

 パアーン!

 パアーン!

 パアーン!

 予想より小さな爆発に、俺は眉をひそめる。

「あれ? 爆発が小さい? 失敗か?」

「アンジェロ少年。あれを……。煙……であるか? 爆発したら何か出たのである」

 黒丸師匠のいう通りだ。
 よく見れば、爆発が起きた地点を中心にガスが湧いている。

「ゲホッ! ゲホッ! ゲホッ!」

「グエエ!」

 ガスに触れた人たちは、咳き込み、涙を流し、鼻からも……。
 顔面が大変気の毒なことになっている。

 俺はルーナ先生が改造した爆弾の正体がわかった。
 催涙弾だ!
 爆弾の殺傷力を抑えて、嫌がらせ力をアップさせたわけだ。

 いかにもルーナ先生らしい。

 俺は飛行速度を上げて、前を飛ぶルーナ先生に並び問いかけた。

「ルーナ先生! あの爆弾は? 涙が出る爆弾ですよね?」

「そう。クリスマスチキンに使うコショウや大ゲジゲジをすりつぶした粉末が入っている」

「それは吸い込みたくないですね……」

「そろそろ次の種類」

 次の種類?
 催涙弾にも違う種類があるのか?

 地上を見ていると、服を脱ぎ出す人が出始めた。
 男性も女性も服を脱ぎ、体をかきはじめたのだ。

「えっ!? あれは!?」

「カイカイ爆弾」

「体がかゆくなるのですか?」

「そう」

「ヒドイですね!」

 地上を見ながらルーナ先生は、ゲラゲラ笑っている。
 ヒドイ! マッド過ぎる!
 爆弾の材料が何かは、聞きたくもない。
 どうせ、ロクデモナイ物が材料なのだろう。

 あれ?
 待てよ……。
 フライドチキンに使うコショウは、輸入品でそれなりに高価なのだけれど……。

「ルーナ先生……。コショウは、高かったと思いますが……?」

「火薬の研究開発予算を、きれいに使い切った」

「ちょっと! 何をやっているのですか!」

 使い切るなよ!
 まったく!

 地上は大混乱になっている。
 ルーナ先生の光魔法から、催涙弾、カイカイ爆弾の爆撃だ。
 後一押しすれば、撤退に持ち込めるだろう。

「アンジェロ! 火魔法を発動!」

「了解!」

 ルーナ先生から指示が来た。
 俺は火魔法を発動する。

「ファイヤーウォール!」

 発動した魔法は、大した魔法ではない。
 魔法で火の壁を生成する初級火魔法のファイヤーウォールだ。

 ただし、つぎ込む魔力が多いので、火の勢い、高さ、範囲が尋常ではない。

 ソ連軍が蝟集している丘陵地帯の三方を囲むビルのような高さの火の壁が出現した。

 ゴウッ!

 と、派手な音が、ここまで聞こえてくる。

 俺は火の壁が途切れないように、魔力を広範囲に流し続けた。

 するとルーナ先生が風魔法を発動し、自分の声を拡散させ、ソ連軍に聞こえるように怒鳴りだした。

「敵の攻撃だ! 逃げろ! 逃げろ! 逃げろ!」

 ルーナ先生の声にあおられて、ソ連軍は火の壁がない方向、つまりソ連領の方へ一斉に逃げ始めた。

「どうやら上手くいったのである」

 黒丸師匠が横に並び、嬉しそうに話しかけてきた。

「ええ。ここまで混乱したら、立て直すことは出来ないでしょう。彼らは撤退します」

「あとは、後ろから煽り立てるだけであるな」

「イセサッキたちで、追いかけまわす」

 黒丸師匠とルーナ先生が、イイ笑顔を見せた。

 これで敵は撤退だと判断し、異世界飛行機グースたちを帰投させることにした。
 一番機が翼を振って、ベロイア王宮に向かって飛んでいく。

 これで終わりかと思っていると、戦場に異変が起きた。

 敵が退却しようとしているが、敵軍の最後尾が詰まっているのだ。
 そして詰まった箇所で、次々と人が倒れていく。

「何だ!?」

 ルーナ先生と黒丸師匠も異変に気が付いた。

「同士討ち?」

「いや……、督戦隊である!」
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