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第十章 レッドアラート!
第280話 ドラゴニュートとソースカツ丼
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赤獅子族のヴィスの事情聴取が終わった時は、もう夕方だった。
ソ連のこと。
ヨシフ・スターリンのこと。
カタロニアのこと。
そして、地球の神様のこと。
長時間だったので、ヴィスは途中で飽きていたし、疲れていた。
どうやらヴィスの中身は、日本の高校生のままなので仕方がないことだ。
ケーキを食べさせたり、フルーツジュースを飲ませたりして、ご機嫌を取りながら話を聞き出しだ。
ヴィスには、『カタロニアへの支援の有無は明日返事をする』と伝え、今夜は泊まってもらうことにした。
風呂もあるし、晩飯にはカツ丼を用意させた。
泣いていたよ。
晩飯がカツ丼だって伝えたら。
異世界で苦労したみたいだし。
先の戦争ではウチのケッテンクラートに追い回されて、夜も眠れたかったらしいし。
まあ、『ドンマイ。元気出せよ』的な感じだ。
俺たちは、執務室に食事を運んでもらって、食べながら話しをすることにした。
俺は、カツ丼。
ルーナ先生は、カツカレー。
黒丸師匠は、ソースカツ丼。
じいは、焼き魚定食。
じいもそれなりの年齢になってきたらしく、あっさりした和食が美味しいらしい。
がんばって港を作って良かった。
じいが、焼き魚を箸で器用にほぐしながら上機嫌で話し始めた。
「色々と収穫がありましたな」
「そうであるな。しかし、イネスの立場は、少々危険である」
黒丸師匠がソースカツ丼のカツをキャベツの千切りと一緒に口に放り込む。
もきゅもきゅと美味そうに食うなあ……。
俺もソースカツ丼だったかな……。
イネスは、カタロニア独立組織の代表者になっていた。
だが、王族の血を引いていることが、アダモヴィッチとメドベジェンコにバレたらしい。
アダモヴィッチとメドベジェンコは、ソビエト中央委員会から派遣された人物で、王族や貴族が大嫌い人間だそうだ。
イネスに対するあたりが、かなりキツくなっているとか。
「早めに対処しないと危ないですね。イネスはもちろん、カタロニア地方が飢饉になれば人死にも出るでしょう」
「そうであるな。幸い中央委員会とやらから派遣された人間は少ないのである。アンジェロ少年が支援を決めれば、イネスたちだけで何とかなるのである」
「ドラゴニュート殿のいう通りですじゃ。しかし、あの赤獅子族の坊主は、イネスに懸想しておりましょう。ふふふ……」
「バレバレなのである」
じいと黒丸師匠は、楽しそうだ。
おじさんたちは、他人の青春にのっかるのが好きだなあ。
赤獅子族のヴィスは、イネスのことになるとムキになっていた。
もう、見ていてこっちが恥ずかしくなるくらい。
同じ転生者だし、俺に味方してくれるみたいだから、上手くいって欲しい。
「ルーナ先生。イネスさんは、ヴィスみたいなタイプはどうなのでしょう?」
「……」
ルーナ先生がカツカレーを食べる手を止めた。
眉毛がハの字になっている。
ダメなのか?
そうなのか?
「ヴィスは、イネスの好みのタイプじゃありませんか?」
「えーと……」
ルーナ先生の額から汗がしたたり落ちているのは、カレーを食べているせいだろうか。
それとも、気まずさからだろうか。
「イネスから……。エルフの魔法使いでイイ人がいたら紹介しろと言われたことがある……」
「それは……」
望み薄だな。
ヴィスは、赤獅子族で、マッチョな肉体の獣人だ。
分類するならワイルド系。
エルフの魔法使いといえば、細身の美形で頭が良い。
分類するなら正統派美男子。
赤獅子族のヴィスは、イネスの好みからもっとも遠いところにいるということか……。
ド……ドンマイ!
明日は、お土産にカツサンドを持たせてやろう。
「ところで、アンジェロ……。地球の神様の話は?」
「驚きましたね……。女神ジュノー様たちは、ご存知ないと思いますよ……」
「ハジメマツバヤシも?」
「恐らく、地球の神様が転生させたのでしょう」
「どうする?」
どうするといわれても……。
女神ジュノー様たちには、俺から連絡する方法がない。
あちらが来るのを待つしかない。
「この件は、女神ジュノー様たちが、いらっしゃった時に報告します。心配なのは、地球の神様の使いが、地球の物を持ってくることですね」
「ふむ……。アンジェロ少年の元いた世界から、武器が持ち込まれると厄介であるな」
ハジメマツバヤシが持っていた拳銃は、そのパターンだろう。
「赤獅子族のヴィスから聞いた話では、大きな物は持ち込めないそうですから、武器の持ち込みはそれほど心配していません。怖いのは本、本に書かれた専門知識ですね」
ヴィスいわく、戦車やジェット機は持ち込めないらしい。
手に持てる程度の物しか、地球からこの異世界に運べないのだとか。
ソ連が、火薬や鉄砲を持っているのは、転生者ヨシフ・スターリンが専門書か何かで知識を得て開発生産をしたからだと思う。
「なるほどであるな。新しい武器の開発をされたら面倒であるな」
「ええ。だから、早めにソ連は潰そうと思っています」
地球から物を持ち込むとは、厄介ではあるが、うらやましくもある。
だからといって、毎回焼きそばパンを持ってこさせるヴィスはどうかしているな。
『何で焼きそばパンなの?』
『パシリが買ってくる物は、焼きそばパンと相場は決まってるだろ!』
『パシリなんだ……』
思わず苦笑いだった。
ヴィスとしては、地球の神様の権威を認めたくないのだろう。
だから、パシリ扱いにしているのだと思う。
「じいは、ヴィスをどう思った?」
じいは、潜入工作もしていただけあって、人を見る目がある。
俺はじいにヴィスの印象を聞いてみることにした。
「一見すると悍馬ですが、意外と扱いやすそうに感じました」
「なるほど」
確かにな。
エビフライやカツ丼に大喜びしていたし。
好きな女性の為に単身で乗り込んで来るし。
単純なヤツかもしれない。
「赤獅子族は我らが滅ぼしましたが、ヴィスは赤獅子族に対して思い入れはないようですじゃ」
「人族に産まれたかったと言っていたしね」
「であれば、復讐される危険はないでしょう。彼を味方になさいませ」
「わかった。そうする」
俺としても、同じ転生者で話の通じるヤツと会えて嬉しかった。
ヴィスとは、仲良くしよう。
黒丸師匠が、最後のソースカツを口に放り込んだ。
「アンジェロ少年。それで、ソ連をどんな策でしめあげるのであるか?」
俺は黒丸師匠にニンマリと笑顔を返し、考えた作戦を説明した。
「考えているのは――」
黒丸師匠、ルーナ先生、じいは、俺の作戦を聞いてニンマリ笑った。
さて、対ソ連作戦を始めよう!
同志スターリンには、ご退場をいただこう!
ソ連のこと。
ヨシフ・スターリンのこと。
カタロニアのこと。
そして、地球の神様のこと。
長時間だったので、ヴィスは途中で飽きていたし、疲れていた。
どうやらヴィスの中身は、日本の高校生のままなので仕方がないことだ。
ケーキを食べさせたり、フルーツジュースを飲ませたりして、ご機嫌を取りながら話を聞き出しだ。
ヴィスには、『カタロニアへの支援の有無は明日返事をする』と伝え、今夜は泊まってもらうことにした。
風呂もあるし、晩飯にはカツ丼を用意させた。
泣いていたよ。
晩飯がカツ丼だって伝えたら。
異世界で苦労したみたいだし。
先の戦争ではウチのケッテンクラートに追い回されて、夜も眠れたかったらしいし。
まあ、『ドンマイ。元気出せよ』的な感じだ。
俺たちは、執務室に食事を運んでもらって、食べながら話しをすることにした。
俺は、カツ丼。
ルーナ先生は、カツカレー。
黒丸師匠は、ソースカツ丼。
じいは、焼き魚定食。
じいもそれなりの年齢になってきたらしく、あっさりした和食が美味しいらしい。
がんばって港を作って良かった。
じいが、焼き魚を箸で器用にほぐしながら上機嫌で話し始めた。
「色々と収穫がありましたな」
「そうであるな。しかし、イネスの立場は、少々危険である」
黒丸師匠がソースカツ丼のカツをキャベツの千切りと一緒に口に放り込む。
もきゅもきゅと美味そうに食うなあ……。
俺もソースカツ丼だったかな……。
イネスは、カタロニア独立組織の代表者になっていた。
だが、王族の血を引いていることが、アダモヴィッチとメドベジェンコにバレたらしい。
アダモヴィッチとメドベジェンコは、ソビエト中央委員会から派遣された人物で、王族や貴族が大嫌い人間だそうだ。
イネスに対するあたりが、かなりキツくなっているとか。
「早めに対処しないと危ないですね。イネスはもちろん、カタロニア地方が飢饉になれば人死にも出るでしょう」
「そうであるな。幸い中央委員会とやらから派遣された人間は少ないのである。アンジェロ少年が支援を決めれば、イネスたちだけで何とかなるのである」
「ドラゴニュート殿のいう通りですじゃ。しかし、あの赤獅子族の坊主は、イネスに懸想しておりましょう。ふふふ……」
「バレバレなのである」
じいと黒丸師匠は、楽しそうだ。
おじさんたちは、他人の青春にのっかるのが好きだなあ。
赤獅子族のヴィスは、イネスのことになるとムキになっていた。
もう、見ていてこっちが恥ずかしくなるくらい。
同じ転生者だし、俺に味方してくれるみたいだから、上手くいって欲しい。
「ルーナ先生。イネスさんは、ヴィスみたいなタイプはどうなのでしょう?」
「……」
ルーナ先生がカツカレーを食べる手を止めた。
眉毛がハの字になっている。
ダメなのか?
そうなのか?
「ヴィスは、イネスの好みのタイプじゃありませんか?」
「えーと……」
ルーナ先生の額から汗がしたたり落ちているのは、カレーを食べているせいだろうか。
それとも、気まずさからだろうか。
「イネスから……。エルフの魔法使いでイイ人がいたら紹介しろと言われたことがある……」
「それは……」
望み薄だな。
ヴィスは、赤獅子族で、マッチョな肉体の獣人だ。
分類するならワイルド系。
エルフの魔法使いといえば、細身の美形で頭が良い。
分類するなら正統派美男子。
赤獅子族のヴィスは、イネスの好みからもっとも遠いところにいるということか……。
ド……ドンマイ!
明日は、お土産にカツサンドを持たせてやろう。
「ところで、アンジェロ……。地球の神様の話は?」
「驚きましたね……。女神ジュノー様たちは、ご存知ないと思いますよ……」
「ハジメマツバヤシも?」
「恐らく、地球の神様が転生させたのでしょう」
「どうする?」
どうするといわれても……。
女神ジュノー様たちには、俺から連絡する方法がない。
あちらが来るのを待つしかない。
「この件は、女神ジュノー様たちが、いらっしゃった時に報告します。心配なのは、地球の神様の使いが、地球の物を持ってくることですね」
「ふむ……。アンジェロ少年の元いた世界から、武器が持ち込まれると厄介であるな」
ハジメマツバヤシが持っていた拳銃は、そのパターンだろう。
「赤獅子族のヴィスから聞いた話では、大きな物は持ち込めないそうですから、武器の持ち込みはそれほど心配していません。怖いのは本、本に書かれた専門知識ですね」
ヴィスいわく、戦車やジェット機は持ち込めないらしい。
手に持てる程度の物しか、地球からこの異世界に運べないのだとか。
ソ連が、火薬や鉄砲を持っているのは、転生者ヨシフ・スターリンが専門書か何かで知識を得て開発生産をしたからだと思う。
「なるほどであるな。新しい武器の開発をされたら面倒であるな」
「ええ。だから、早めにソ連は潰そうと思っています」
地球から物を持ち込むとは、厄介ではあるが、うらやましくもある。
だからといって、毎回焼きそばパンを持ってこさせるヴィスはどうかしているな。
『何で焼きそばパンなの?』
『パシリが買ってくる物は、焼きそばパンと相場は決まってるだろ!』
『パシリなんだ……』
思わず苦笑いだった。
ヴィスとしては、地球の神様の権威を認めたくないのだろう。
だから、パシリ扱いにしているのだと思う。
「じいは、ヴィスをどう思った?」
じいは、潜入工作もしていただけあって、人を見る目がある。
俺はじいにヴィスの印象を聞いてみることにした。
「一見すると悍馬ですが、意外と扱いやすそうに感じました」
「なるほど」
確かにな。
エビフライやカツ丼に大喜びしていたし。
好きな女性の為に単身で乗り込んで来るし。
単純なヤツかもしれない。
「赤獅子族は我らが滅ぼしましたが、ヴィスは赤獅子族に対して思い入れはないようですじゃ」
「人族に産まれたかったと言っていたしね」
「であれば、復讐される危険はないでしょう。彼を味方になさいませ」
「わかった。そうする」
俺としても、同じ転生者で話の通じるヤツと会えて嬉しかった。
ヴィスとは、仲良くしよう。
黒丸師匠が、最後のソースカツを口に放り込んだ。
「アンジェロ少年。それで、ソ連をどんな策でしめあげるのであるか?」
俺は黒丸師匠にニンマリと笑顔を返し、考えた作戦を説明した。
「考えているのは――」
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