追放王子の異世界開拓!~魔法と魔道具で、辺境領地でシコシコ内政します

武蔵野純平

文字の大きさ
303 / 358
第十章 レッドアラート!

第303話 ブンゴ隊長の意外な活躍

しおりを挟む
 ――四月末。

 俺はじい、ルーナ先生、黒丸師匠を連れて、グンマー連合王国の南東に位置するギガランドへ転移した。

 ギガランドは、現在共産主義国になっておりソビエト連邦を形成している国だ。

 首都タランティ郊外の待ち合わせ場所で、潜入工作や情報収集を行うエルキュール族の工作員から報告を受けた。

「ギガンランド全土で、共産党に対する一層激しい抗議活動が起こっています!」

「よし! よくやってくれた!」

 俺は手を叩いて、工作員たちの活動を褒め称えた。

 ギガランドは、千年戦争と呼ばれた長い戦争を隣国ミスル王国と繰り広げていた国だ。
 元々反ミスルの気風が強い地域で、そこにミスル人が主導する共産党が支配をした。

 工作員は、そこにつけ込み世論誘導を行ったのだ。

「ギガランドの共産党は、どうしている?」

「はっ! ソ連本国に応援を要請しておりますが、ソ連本国も身動きがとれず……。ギガランド共産党の政治将校たちは、王宮に立てこもっております」

「指導者はどうした? ギガランド共産党トップの……、気の毒な人……」

「フルシチョフは、『あれ』以来自室に閉じこもり、何者かに怯えているそうです。既にリーダーとして、機能しておりません」

 ギガランドの共産党トップは、フルシチョフ。
 以前、ルーナ先生と我が国の工作員に『あれ』されて、精神の均衡を失ったらしい。

「フルシチョフさん、かわいそう」

 ルーナ先生が白々しくつぶやく。
 俺、じい、黒丸師匠が、白い目で見るが、ルーナ先生はどこ吹く風だ。

「そういう状況に追い込んだのは、ルーナ先生ですよね?」

「覚えてなーい」

「女装させたゴブリンやオークを、フルシチョフのベッドに放り込んだでしょ!」

「知らなーい」

「その噂を広めたでしょ!」

「わかんなーい」

 相変わらずの悪びれなさ!

 まあ、あの悪質な工作のおかげで、フルシチョフと共産党は、求心力をなくしたのだから、それはそれで、ありがたかったが。

 俺の目の前にひざまずくエルキュール族の工作員が、笑いをかみ殺しているが、君も同罪だからね。

 さて、グンマー連合王国工作員であるエルキュール族たちは、各地で抗議活動が始まったタイミングで、反ソ連・反共産主義組織と接触していた。

 ソ連に不満を持つグループは、ソ連本国からの締め付け、政治将校たちの見回りなどで市民が迫害されることを嫌っている。

 前の王政の方が、戦争はあったけれども、自由もあったというのが、彼らの率直な思いだ。

 工作員が報告を続ける。

「接触した反ソ連グループは、三つです。一つは財産を没収された元商人のグループ。彼らは共産主義自体を嫌っています。次は、ミスル人支配を快く思わない元軍人のグループ。彼らは、ミスル人に支配されることに反発を覚えているようです」

「ちょっと前まで戦争をしていた相手だからね。三つ目は?」

「ブンゴ隊長を支持するグループです」

「「「「えっ!?」」」」

 俺、じい、ルーナ先生、黒丸師匠の声が重なった。

「ブンゴ隊長は、砂漠の狐作戦で義賊を演じてもらっているが……」

「はっ! それが思いのほか効果を上げまして!」

「ブンゴ隊長を支持する市民グループが出来た……? だと……?」

「左様でございます。陛下。ブンゴ隊長は、既にギガランドの半分を解放しております」

「まて! どうなっているの!?」

 エルキュール族の工作員が、懐からギガランドの地図を取り出し、制圧した地域を説明した。

 ケッテンクラート三台、隊員十二名の小部隊なのに、よくこれだけの働きが出来た物だ。

 ちょっと驚きだが、この状況を利用しない手はない。

「じい! この状況を利用してギガランドを奪取したい!」

「はっ! それでは、ブンゴ隊長にギガランドの王宮に攻め込ませましょう。それを、商人のグループと元軍人のグループが支援をするのですじゃ。ブンゴ隊長には、解放者になってもらいます」

「なるほど。グンマー連合王国の女隊長が、ギガランド人と手を携えて、共産主義者どもを蹴散らし、ギガランドを解放する……そんな筋書きだな?」

「左様ですじゃ」

「作戦を了承する。すぐ手配して!」

「承りました」
しおりを挟む
感想 129

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

神の手違い転生。悪と理不尽と運命を無双します!

yoshikazu
ファンタジー
橘 涼太。高校1年生。突然の交通事故で命を落としてしまう。 しかしそれは神のミスによるものだった。 神は橘 涼太の魂を神界に呼び謝罪する。その時、神は橘 涼太を気に入ってしまう。 そして橘 涼太に提案をする。 『魔法と剣の世界に転生してみないか?』と。 橘 涼太は快く承諾して記憶を消されて転生先へと旅立ちミハエルとなる。 しかし神は転生先のステータスの平均設定を勘違いして気付いた時には100倍の設定になっていた。 さらにミハエルは〈光の加護〉を受けておりステータスが合わせて1000倍になりスキルも数と質がパワーアップしていたのだ。 これは神の手違いでミハエルがとてつもないステータスとスキルを提げて世の中の悪と理不尽と運命に立ち向かう物語である。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

処理中です...