追放王子の異世界開拓!~魔法と魔道具で、辺境領地でシコシコ内政します

武蔵野純平

文字の大きさ
306 / 358
第十章 レッドアラート!

第306話 星屑のコントレイル

しおりを挟む
 俺たちは、モスクワ強襲作戦を立案した。

 作戦名は『暁の雷撃』。

 早朝、空からグースとブラックホークで兵員を送り込み一次攻撃を行う。
 二次攻撃は、俺が転移魔法で陸上兵力を送り込む。

 この二段構えの攻撃で、モスクワを解放するのだ。

 俺はソビエト連邦の首都モスクワ――旧ミスル王国の王都レーベ――を強襲するために、航空兵力をかき集めた。

 ドクロザワの北に、土魔法で大規模な飛行場を生成し、『イルマー飛行場』と名付けた。

 イルマー飛行場に、各地から異世界飛行機が続々と集まってくる。
 グンマー連合王国のありったけの航空戦力、合計九十機だ。

 連絡・偵察用に用いられている異世界飛行機グースが、五十六機。
 特殊部隊をのせ垂直離着陸が可能な特殊作戦機ブラックホークが、三十四機。

「よーし! グースにシートとステップを取り付けろ! 急げよ!」

 ホレックのおっちゃんの怒鳴り声が、ハンガー内で響く。

 グースには、木製のシートと足を置くステップを取り付けることになった。
 シートといっても、木の板を機体の横に無理矢理取り付けるだけだ。

 発案者は、ホレックのおっちゃん。
 ホレックのおっちゃんによれば――。

「貴族様の馬車じゃねえんだ! 戦場に着くまで、多少乗り心地が悪いのは我慢しろ!」

 ――だそうだ。

 ホレックのおっちゃんたち技術者が突貫工事で、シートの取り付け作業を行っている。

 グースのシート増設は、かなり無理矢理で乗り心地が悪い。
 だが、左に二人、右に二人、合計四人兵士を乗せられる。

 空から送り込める兵力が増えるのは、正直ありがたい。
 グースに乗り込む兵士には、イルマー飛行場からモスクワまで少々我慢してもらおう。


 ――そして、一週間後の五月中旬。

 まだ薄暗い夜明け間近のイルマー飛行場に怒声が響く。

「搭乗せよ!」
「エンジン始動!」

 ひんやりとした空気をプロペラがかき乱し、見送りの兵士たちが歓声を上げる。

 作戦に投入する異世界飛行機は、合計九十機だ。
 離陸準備をしている光景は、壮観の一言に尽きる。

「よし! オマエラ! 行くぞ!」

「「「「「オウ!」」」」」

 サラのかけ声に、白狼族の特殊部隊員たちが、野太い声で応えた。

 ブラックホークには、次々と白狼族の特殊部隊員が乗り込み、白狼族の族長の娘にして俺の婚約者サラが指揮を執る。

 特殊部隊員に混じって、エルハムさんがいる。
 エルハムさんは、元ミスル貴族の女性だ。キャランフィールドで、即製蒸溜酒クイックの生産管理をお任せしている。

 だが、エルハムさんは、今回のモスクワ攻撃に志願した。

『アンジェロ陛下には、大変よくしていただき騎士爵も賜りました。ご恩に報いるために、武勲を立てる機会をお与えください』

『しかし……』

 エルハムさんの戦闘能力は高くない。俺は彼女の作戦参加に躊躇した。
 だが――。

『私の祖国なのです!』

『わかった……。作戦参加を許可する!』

 俺はかなり迷ったが、結局許可を出した。
 祖国での戦いに不参加では、エルハムさんの面子が立たないだろうし、貴族としての矜持があるだろう。

 それにエルハムさんは、ミスル王宮内を知っている。
 特殊部隊の案内役として役立つ。

 軍楽隊のラッパ手が、甲高くラッパを吹き鳴らした。
 出撃だ!

 三本の滑走路から、異世界飛行機グースが次々と飛び立っていく。

 シートを増設したグースは、加速装置をオンにしてプロペラに魔力を流し込む。
 グースの軌跡に、キラキラと輝く魔力の残滓が彩りをそえる。

 ブラックホークは、機首を前へ傾けたヘリコプター機動で空へ舞い上がる。

 俺の隣に立つ黒丸師匠が、気合い十分の声を出した。

「それがしたちも行くのである!」

 黒丸師匠が飛び立つと、続いてルーナ先生が飛行魔法で空へ上がった。

「じい、あとは頼む」

「お任せください、アンジェロ様! ご武運を!」

 俺も飛行魔法を発動して空へと羽ばたく。
 チラリと地上を見ると、見送りの兵士や整備員たちが、大きく手を振っていた。

 ホレックのおっちゃんが、酒の入ったグラスを軽くこちらに掲げて見せた。

 真っ暗な空へ視線を戻す。

 濃い青色をした地平線が、空と地上を隔つ。
 暗い夜空には、まだ沢山の星が輝いている。

 グースとブラックホークが放つ魔力の残滓が、星屑のようだ。

 もう、間もなく陽が昇る。
しおりを挟む
感想 129

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

神の手違い転生。悪と理不尽と運命を無双します!

yoshikazu
ファンタジー
橘 涼太。高校1年生。突然の交通事故で命を落としてしまう。 しかしそれは神のミスによるものだった。 神は橘 涼太の魂を神界に呼び謝罪する。その時、神は橘 涼太を気に入ってしまう。 そして橘 涼太に提案をする。 『魔法と剣の世界に転生してみないか?』と。 橘 涼太は快く承諾して記憶を消されて転生先へと旅立ちミハエルとなる。 しかし神は転生先のステータスの平均設定を勘違いして気付いた時には100倍の設定になっていた。 さらにミハエルは〈光の加護〉を受けておりステータスが合わせて1000倍になりスキルも数と質がパワーアップしていたのだ。 これは神の手違いでミハエルがとてつもないステータスとスキルを提げて世の中の悪と理不尽と運命に立ち向かう物語である。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

処理中です...