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第十一章 文明開化
第323話 神封じ二千年
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女神ジュノーは、挙手して発言の許可を求めた。
進行役の鹿型の神は、女神ジュノーに発言の許可を与える。
「女神ジュノーの発言を許可します。地球の神々は、黙るように! 会場の皆さんも静粛に! 静粛に!」
鹿型の神が、毅然と対応したことで、地球の神はシブシブながら沈黙し、会場に座る他の世界の神々も静かになった。
女神ジュノーは立ち上がり、会場中によく聞こえるように声を張った。
「私は証人の召喚を要求します! 赤獅子族のヴィスを召喚して下さい!」
赤獅子族のヴィスは、地球の神々によって女神ジュノーの世界に送り込まれた転生者である。
だが、アンジェロと意気投合しアンジェロの協力者になった。最期はスターリンを道連れにして砂漠の砂となった。
地球の神々は、とぼけた顔をして女神ジュノーの発言を聞いていたが、内心ではニヤニヤと笑っていた。
地球の神の一人が、誰にも聞こえないような小声でボソリとつぶやいた。
「愚かな……。赤獅子族のヴィスは、既に死亡している。召還は叶わぬ!」
進行役の鹿型の神は困惑した。
なぜなら、ここは神の世界である。人が立ち入ることは出来ない。
「女神ジュノー。ここは神の世界だ。神以外の生者を連れてくることは出来ぬ。ましてや、赤獅子族のヴィスなる者は、先ほどの話によると死んでいるのではないか?」
「ええ、赤獅子族のヴィスは、死亡しておりますわ」
鹿型の神と女神ジュノーのやり取りを聞いていた地球の神々は、女神ジュノーを嘲る。
「死者を証人とは!」
「笑わせる!」
「時間の無駄だ!」
女神ジュノーに、地球の神々から罵声が浴びせられ、女神ミネルヴァと神メルクリウスは額に血管を浮き上がらせんばかりに怒った。
いっそここで地球の神々と刺し違えるか……と。
しかし、二人は、女神ジュノーの様子を見て、ギリギリで自制する。
女神ジュノーは片頬だけ微かに笑み、何かまだ手がある様子なのだ。
女神ジュノーは、ゆったりとした白い服の中に手を入れると、何か光る物を取り出した。
魂の欠片である。
人は死んでも、すぐに存在が消失するわけではない。
精神エネルギー体である魂が、たゆたうのだ。
女神ジュノーは、笹舟が小川で揺らぐように漂っていた赤獅子族のヴィスの魂を回収してきたのだ。
だが、既にエネルギーを消失し始めていたヴィスの魂は十全ではなく、魂の欠片となっていた。
女神ジュノーは、そっと優しく両手で包むようにヴィスの魂の欠片を持ち、鹿型の神に示した。
「ここに赤獅子族ヴィスの魂の欠片からございます。始祖の神様のお力で、この場に召還を!」
「むっ……! それは……!」
肉体が死亡して間もない魂を復活させたり、転生させたりすることは、ここにいる神なら誰でも出来る。
だが、肉体が死亡して時間が経ちエネルギーを消失し始めた魂の欠片を人として再生することは、ここにいる神々では出来ない。
始祖の神だけが、出来る至上の御業なのだ。
鹿型の神が迷っていると、会場中に優しく響く声が聞こえてきた。
始祖の神の意志である。
「女神ジュノーの要求を是とする」
女神ジュノーの手の中で弱々しく光っていたヴィスの魂の欠片から強烈な光が溢れた。
光は神々しく、全てを癒し許すかのようだ。
光が収まると赤獅子族のヴィスが女神ジュノーの前に立っていた。
女神ジュノーは、全て終わったとばかりに、さっさと席に着いた。
会場からは感嘆の声が上がり、赤獅子族のヴィスは自分の体を触り、手を握ったり開いたりしている。
鹿型の神が赤獅子族のヴィスに問いかけた。
「赤獅子族のヴィスだな? 状況はわかるか?」
「ああ。わかる。そこの偉い神様に呼ばれた」
「うむ。君に起ったことを話して欲しい。特に転生してからのことを」
「わかった」
赤獅子族のヴィスは、淡々と身の上に起きたことを語り出した。
人とは違う種族に転生し苦労したことから始まり、地球の神の使いとの交流、他の転生者の話と続いた。
地球の神々の顔色がドンドン青くなる。
女神ミネルヴァと神メルクリウスは、地球の神々の様子を見て一種の爽快感を覚えていた。
これまでやり込められてた相手がやり込められるのを眺める快感は、神といえどもあがらえるものでは無かった。
赤獅子族のヴィスが話し終えると、鹿型の神は始祖の神に向いた。
「始祖の神様。赤獅子族のヴィスによる証言が得られました。地球の神々は、一線を越え、してはならぬことをしたと愚考いたします。始祖の神様のご判断を頂きたく存じます」
地球の神々が慌てふためく。
「お待ちを!」
「違うのです!」
「ウソです! やつは虚言を弄しております!」
女神ジュノーは思った。
誰でも追い詰められると、平凡な言葉しか口に出来ないモノだと。
始祖の神が座っている場所から、静かな波動が発せられた。
「この度の騒動の原因は地球の神々にある。女神ジュノーは無罪。地球の神々は有罪。よって地球の神々は、二千年の神封じとする」
「お待ち下さい!」
「お許しを!」
「お慈悲を!」
「審判は下された! その方ら見苦しいぞ!」
地球の神々が涙を流しながら始祖の神に許しを請う。
女神ミネルヴァは胸のすく思いだった。
地球の神々に復讐が成った! 地球の神々に倒された仲間の神たちを思いだし、目に涙を浮かべた。
女神ミネルヴァが、ふと女神ジュノーを見ると、女神ジュノーは底冷えのする目で、まるでゴミを見るように地球の神々を見ていた。
会場の床から無数の黒い手が伸び、地球の神々を拘束する。
「ギャー!」
地球の神々が悲鳴を上げるが、黒い手は地球の神々を拘束し、口を塞ぎ、地の底へと引きずり込む。
地球の神々は、あの禍々しい黒い手に捕らわれたまま地の底で二千年過ごすのだ。
いかに神といえども二千年は、相当長い時間である。
身じろぎ出来ず、声を発することも出来ず、神ゆえに死ぬことも出来ない。
地球の神々にとって、拷問に等しい二千年が始まった。
――こうして地球から神は消えた。
進行役の鹿型の神は、女神ジュノーに発言の許可を与える。
「女神ジュノーの発言を許可します。地球の神々は、黙るように! 会場の皆さんも静粛に! 静粛に!」
鹿型の神が、毅然と対応したことで、地球の神はシブシブながら沈黙し、会場に座る他の世界の神々も静かになった。
女神ジュノーは立ち上がり、会場中によく聞こえるように声を張った。
「私は証人の召喚を要求します! 赤獅子族のヴィスを召喚して下さい!」
赤獅子族のヴィスは、地球の神々によって女神ジュノーの世界に送り込まれた転生者である。
だが、アンジェロと意気投合しアンジェロの協力者になった。最期はスターリンを道連れにして砂漠の砂となった。
地球の神々は、とぼけた顔をして女神ジュノーの発言を聞いていたが、内心ではニヤニヤと笑っていた。
地球の神の一人が、誰にも聞こえないような小声でボソリとつぶやいた。
「愚かな……。赤獅子族のヴィスは、既に死亡している。召還は叶わぬ!」
進行役の鹿型の神は困惑した。
なぜなら、ここは神の世界である。人が立ち入ることは出来ない。
「女神ジュノー。ここは神の世界だ。神以外の生者を連れてくることは出来ぬ。ましてや、赤獅子族のヴィスなる者は、先ほどの話によると死んでいるのではないか?」
「ええ、赤獅子族のヴィスは、死亡しておりますわ」
鹿型の神と女神ジュノーのやり取りを聞いていた地球の神々は、女神ジュノーを嘲る。
「死者を証人とは!」
「笑わせる!」
「時間の無駄だ!」
女神ジュノーに、地球の神々から罵声が浴びせられ、女神ミネルヴァと神メルクリウスは額に血管を浮き上がらせんばかりに怒った。
いっそここで地球の神々と刺し違えるか……と。
しかし、二人は、女神ジュノーの様子を見て、ギリギリで自制する。
女神ジュノーは片頬だけ微かに笑み、何かまだ手がある様子なのだ。
女神ジュノーは、ゆったりとした白い服の中に手を入れると、何か光る物を取り出した。
魂の欠片である。
人は死んでも、すぐに存在が消失するわけではない。
精神エネルギー体である魂が、たゆたうのだ。
女神ジュノーは、笹舟が小川で揺らぐように漂っていた赤獅子族のヴィスの魂を回収してきたのだ。
だが、既にエネルギーを消失し始めていたヴィスの魂は十全ではなく、魂の欠片となっていた。
女神ジュノーは、そっと優しく両手で包むようにヴィスの魂の欠片を持ち、鹿型の神に示した。
「ここに赤獅子族ヴィスの魂の欠片からございます。始祖の神様のお力で、この場に召還を!」
「むっ……! それは……!」
肉体が死亡して間もない魂を復活させたり、転生させたりすることは、ここにいる神なら誰でも出来る。
だが、肉体が死亡して時間が経ちエネルギーを消失し始めた魂の欠片を人として再生することは、ここにいる神々では出来ない。
始祖の神だけが、出来る至上の御業なのだ。
鹿型の神が迷っていると、会場中に優しく響く声が聞こえてきた。
始祖の神の意志である。
「女神ジュノーの要求を是とする」
女神ジュノーの手の中で弱々しく光っていたヴィスの魂の欠片から強烈な光が溢れた。
光は神々しく、全てを癒し許すかのようだ。
光が収まると赤獅子族のヴィスが女神ジュノーの前に立っていた。
女神ジュノーは、全て終わったとばかりに、さっさと席に着いた。
会場からは感嘆の声が上がり、赤獅子族のヴィスは自分の体を触り、手を握ったり開いたりしている。
鹿型の神が赤獅子族のヴィスに問いかけた。
「赤獅子族のヴィスだな? 状況はわかるか?」
「ああ。わかる。そこの偉い神様に呼ばれた」
「うむ。君に起ったことを話して欲しい。特に転生してからのことを」
「わかった」
赤獅子族のヴィスは、淡々と身の上に起きたことを語り出した。
人とは違う種族に転生し苦労したことから始まり、地球の神の使いとの交流、他の転生者の話と続いた。
地球の神々の顔色がドンドン青くなる。
女神ミネルヴァと神メルクリウスは、地球の神々の様子を見て一種の爽快感を覚えていた。
これまでやり込められてた相手がやり込められるのを眺める快感は、神といえどもあがらえるものでは無かった。
赤獅子族のヴィスが話し終えると、鹿型の神は始祖の神に向いた。
「始祖の神様。赤獅子族のヴィスによる証言が得られました。地球の神々は、一線を越え、してはならぬことをしたと愚考いたします。始祖の神様のご判断を頂きたく存じます」
地球の神々が慌てふためく。
「お待ちを!」
「違うのです!」
「ウソです! やつは虚言を弄しております!」
女神ジュノーは思った。
誰でも追い詰められると、平凡な言葉しか口に出来ないモノだと。
始祖の神が座っている場所から、静かな波動が発せられた。
「この度の騒動の原因は地球の神々にある。女神ジュノーは無罪。地球の神々は有罪。よって地球の神々は、二千年の神封じとする」
「お待ち下さい!」
「お許しを!」
「お慈悲を!」
「審判は下された! その方ら見苦しいぞ!」
地球の神々が涙を流しながら始祖の神に許しを請う。
女神ミネルヴァは胸のすく思いだった。
地球の神々に復讐が成った! 地球の神々に倒された仲間の神たちを思いだし、目に涙を浮かべた。
女神ミネルヴァが、ふと女神ジュノーを見ると、女神ジュノーは底冷えのする目で、まるでゴミを見るように地球の神々を見ていた。
会場の床から無数の黒い手が伸び、地球の神々を拘束する。
「ギャー!」
地球の神々が悲鳴を上げるが、黒い手は地球の神々を拘束し、口を塞ぎ、地の底へと引きずり込む。
地球の神々は、あの禍々しい黒い手に捕らわれたまま地の底で二千年過ごすのだ。
いかに神といえども二千年は、相当長い時間である。
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