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第十一章 文明開化
第327話 異世界の蒸気機関
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ホレックのおっちゃんが開発した機関車は、魔力を使った蒸気機関車だ。
火属性の魔石を使って水を沸騰させる方式だ。
この世界で石炭は見つかっていないので、石炭は使っていない。
試作の蒸気機関車なので、それほど大きいサイズではなく、小ぶりな蒸気機関車だ。
前に車軸が一つ。
後ろにも車軸が一つで、後輪を動かす方式になっている。
俺は日本で大きな蒸気機関車を見たことがあるので、ホレックのおっちゃんが試作した蒸気機関車は小さくてかわいく感じる。
だが、工房に集まった現地人たちは、大きな鉄の塊に大興奮だ。
「凄いな! 巨大な鉄の塊だ!」
「これが動くのか!」
ホレックのおっちゃんが、お弟子さんたちの騒ぎを制して試運転に向けて指示を出す。
「よしっ! タンクに水を入れろ! 水が入ったら火を入れるぞ!」
工房の中が慌ただしくなった。
試作した蒸気機関車に水が入り、ホレックのおっちゃんの指示で、俺が魔力を使って火を入れる。
火属性の魔石が俺の魔力に反応し熱を上げていく。
蒸気機関車を動かせるようになるまで、釜の温度を上げなくてはならない。
現在、待ち時間だ。
手持ち無沙汰で、周りを見ていると工房の入り口に黒丸師匠とルーナ先生が現れた。
「アンジェロ少年が面白そうなことをしているのである! それがしも混ぜるのである!」
「黒丸師匠! 冒険者ギルドは?」
「大丈夫である。ミディアムたちとヴィスに任せてきたのである」
ヴィスのヤツは、さっそくこき使われているな。
ミディアムたちはスラム出身で気が荒いが、ヤンキー気質同士でヴィスとは気が合うだろう。
俺と黒丸師匠が穏やかに話をしていると、ホレックのおっちゃんとルーナ先生がにらみ合いを始めた。
ドワーフとエルフは本当に仲が悪い。
「おう! なんでえ! 何か言いたいことがあるのかよ!」
「魔導エンジンがあるから、こんな鉄の塊は不要。金属の無駄遣い。ドワーフは低能」
「その魔導エンジンのパワーが上がらねえから、蒸気機関を開発したんだろうが!」
「ラッキー・ギャンブルたちが研究している。すぐに、これは鉄クズになる」
「うるせえ! 素人は黙ってろ!」
いかん! ルーナ先生とホレックのおっちゃんが口論を始めた。
エルフもドワーフも技術者ではあるのだけれど、技術体系が全く違う。
ドワーフは鍛冶をベースにした技術者集団で、金属加工に強みがある。
一方でエルフは魔法をベースにした技術者集団で、魔道具の開発生産に強みがある。
両者はライバル関係にあるのだが、あまりケンカはしないで欲しい。
健全な技術競争で勝負してもらいたいモノだ。
「エール樽!」
「牝鹿ババア!」
ルーナ先生とホレックのおっちゃんは、ついに実力行使だ。
ルーナ先生が風魔法をホレックのおっちゃんに放つ。
ホレックのおっちゃんは、手にした大型のウォーハンマーで飛んできた風魔法を叩き潰した。
「チッ! ミスリルか!」
「フフフ……。このウォーハンマーは、こっち側がミスリル、逆側はオリハルコンよ!」
魔法と物理の両方に対応するウォーハンマーか!
ホレックのおっちゃんは、マニアックな武器を作った。
「さすがは、カマン・ホレックである! 二人ともファイトである!」
「まあ、勝手にやらせときますか……」
工房を壊さなければ、ケンカもレクリエーションの範疇だ。
ルーナ先生とホレックのおっちゃんが、やり合う様子を見ていると、黒丸師匠が技術的な話をしてきた。
「さっきのホレックとルーナの議論は、どうであるか? 魔導エンジンでは、ダメであるか?」
「うーん。軽便鉄道やケッテンクラートは、魔導エンジンでイケるのですが、大量輸送……つまり重量のある物を動かそうとすると、今の魔導エンジンよりもパワーが必要です」
「それで、この新しい湯気の出る技術であるか?」
「ええ。蒸気機関といいます」
魔導エンジンの改良はエルフの技術者たちが行っているが、魔導エンジンのパワーアップには時間がかかりそうなのだ。
そこで、蒸気機関!
地球世界でも蒸気機関は使われている技術だ。
魔導エンジンでは動かせない重量物でも、蒸気機関なら動かせる……と、俺とホレックのおっちゃんは期待している。
大量高速輸送の時代へと、この国を推し進めていくためには必要な技術なのだ。
蒸気機関車は、徐々に温まってきた。
あちこちから湯気が上がっている。
釜のそばには、温度や圧力を示すメーターが設置されていて、ホレックのおっちゃんのお弟子さんが、メーターとにらめっこしていた。
しばらくしてお弟子さんが、俺たちに声を掛けてきた。
「温まりました! 行けます!」
「よしっ! 試運転だ!」
俺と黒丸師匠が、蒸気機関車の運転台に乗り込む。
ホレックのおっちゃんとルーナ先生も、ケンカを止めて蒸気機関車に乗り込んだ。
運転席にホレックのおっちゃんが座り、計器を確認しながらレバーを操作する。
プシュー!
蒸気機関車から高圧の蒸気が発せられ、機嫌の良さそうな音をさせる。
これは興奮する!
なかなかカッコイイぞ!
真剣な顔のホレックのおっちゃんが、楽しそうに笑顔で俺に振り向く。
「点検ヨシ! アンジェロの兄ちゃん! 試運転と行こうぜ!」
「オッケー! では……出発進行!」
火属性の魔石を使って水を沸騰させる方式だ。
この世界で石炭は見つかっていないので、石炭は使っていない。
試作の蒸気機関車なので、それほど大きいサイズではなく、小ぶりな蒸気機関車だ。
前に車軸が一つ。
後ろにも車軸が一つで、後輪を動かす方式になっている。
俺は日本で大きな蒸気機関車を見たことがあるので、ホレックのおっちゃんが試作した蒸気機関車は小さくてかわいく感じる。
だが、工房に集まった現地人たちは、大きな鉄の塊に大興奮だ。
「凄いな! 巨大な鉄の塊だ!」
「これが動くのか!」
ホレックのおっちゃんが、お弟子さんたちの騒ぎを制して試運転に向けて指示を出す。
「よしっ! タンクに水を入れろ! 水が入ったら火を入れるぞ!」
工房の中が慌ただしくなった。
試作した蒸気機関車に水が入り、ホレックのおっちゃんの指示で、俺が魔力を使って火を入れる。
火属性の魔石が俺の魔力に反応し熱を上げていく。
蒸気機関車を動かせるようになるまで、釜の温度を上げなくてはならない。
現在、待ち時間だ。
手持ち無沙汰で、周りを見ていると工房の入り口に黒丸師匠とルーナ先生が現れた。
「アンジェロ少年が面白そうなことをしているのである! それがしも混ぜるのである!」
「黒丸師匠! 冒険者ギルドは?」
「大丈夫である。ミディアムたちとヴィスに任せてきたのである」
ヴィスのヤツは、さっそくこき使われているな。
ミディアムたちはスラム出身で気が荒いが、ヤンキー気質同士でヴィスとは気が合うだろう。
俺と黒丸師匠が穏やかに話をしていると、ホレックのおっちゃんとルーナ先生がにらみ合いを始めた。
ドワーフとエルフは本当に仲が悪い。
「おう! なんでえ! 何か言いたいことがあるのかよ!」
「魔導エンジンがあるから、こんな鉄の塊は不要。金属の無駄遣い。ドワーフは低能」
「その魔導エンジンのパワーが上がらねえから、蒸気機関を開発したんだろうが!」
「ラッキー・ギャンブルたちが研究している。すぐに、これは鉄クズになる」
「うるせえ! 素人は黙ってろ!」
いかん! ルーナ先生とホレックのおっちゃんが口論を始めた。
エルフもドワーフも技術者ではあるのだけれど、技術体系が全く違う。
ドワーフは鍛冶をベースにした技術者集団で、金属加工に強みがある。
一方でエルフは魔法をベースにした技術者集団で、魔道具の開発生産に強みがある。
両者はライバル関係にあるのだが、あまりケンカはしないで欲しい。
健全な技術競争で勝負してもらいたいモノだ。
「エール樽!」
「牝鹿ババア!」
ルーナ先生とホレックのおっちゃんは、ついに実力行使だ。
ルーナ先生が風魔法をホレックのおっちゃんに放つ。
ホレックのおっちゃんは、手にした大型のウォーハンマーで飛んできた風魔法を叩き潰した。
「チッ! ミスリルか!」
「フフフ……。このウォーハンマーは、こっち側がミスリル、逆側はオリハルコンよ!」
魔法と物理の両方に対応するウォーハンマーか!
ホレックのおっちゃんは、マニアックな武器を作った。
「さすがは、カマン・ホレックである! 二人ともファイトである!」
「まあ、勝手にやらせときますか……」
工房を壊さなければ、ケンカもレクリエーションの範疇だ。
ルーナ先生とホレックのおっちゃんが、やり合う様子を見ていると、黒丸師匠が技術的な話をしてきた。
「さっきのホレックとルーナの議論は、どうであるか? 魔導エンジンでは、ダメであるか?」
「うーん。軽便鉄道やケッテンクラートは、魔導エンジンでイケるのですが、大量輸送……つまり重量のある物を動かそうとすると、今の魔導エンジンよりもパワーが必要です」
「それで、この新しい湯気の出る技術であるか?」
「ええ。蒸気機関といいます」
魔導エンジンの改良はエルフの技術者たちが行っているが、魔導エンジンのパワーアップには時間がかかりそうなのだ。
そこで、蒸気機関!
地球世界でも蒸気機関は使われている技術だ。
魔導エンジンでは動かせない重量物でも、蒸気機関なら動かせる……と、俺とホレックのおっちゃんは期待している。
大量高速輸送の時代へと、この国を推し進めていくためには必要な技術なのだ。
蒸気機関車は、徐々に温まってきた。
あちこちから湯気が上がっている。
釜のそばには、温度や圧力を示すメーターが設置されていて、ホレックのおっちゃんのお弟子さんが、メーターとにらめっこしていた。
しばらくしてお弟子さんが、俺たちに声を掛けてきた。
「温まりました! 行けます!」
「よしっ! 試運転だ!」
俺と黒丸師匠が、蒸気機関車の運転台に乗り込む。
ホレックのおっちゃんとルーナ先生も、ケンカを止めて蒸気機関車に乗り込んだ。
運転席にホレックのおっちゃんが座り、計器を確認しながらレバーを操作する。
プシュー!
蒸気機関車から高圧の蒸気が発せられ、機嫌の良さそうな音をさせる。
これは興奮する!
なかなかカッコイイぞ!
真剣な顔のホレックのおっちゃんが、楽しそうに笑顔で俺に振り向く。
「点検ヨシ! アンジェロの兄ちゃん! 試運転と行こうぜ!」
「オッケー! では……出発進行!」
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