左遷されたオッサン、移動販売車と異世界転生でスローライフ!?~貧乏孤児院の救世主!

武蔵野純平

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第六章 スタンピード

第104話 発見!

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 俺は移動販売車を走らせながら、カーナビを見る。
 カーナビには三階層の入り口と出口――転移魔法陣と大まかな地形が示されている。

 出口、つまり四階層に転移する魔法陣の奥のエリアがくさいと俺たちはアタリをつけた。

 カーナビによれば、俺たちは奥のエリアを走っている。
 周りの風景は今までと変わらず草原に緩やかな丘陵、時々森だ。

 移動販売車の天井でハインリッヒさんが、風魔法を使って探知を行っているが、リックとマルテは発見できない。

「もっと奥の方にいるのかな……?」

 ソフィーがグッと目元に力を寄せつぶやいた。
 リックとマルテが見つからないので、ソフィーもヤキモキしているのだ。

 俺はソフィーを励ます。

「大丈夫! きっと見つかるよ!」

「そうだよね! うん! 見つかる!」

 俺が声を掛けたことで、ソフィーの気持ちが切り替わったようだ。
 落ち着いた表情で窓の外を見て、再びリックとマルテを探し始めた。

 俺は運転をしながら、色々なことを考えていた。

 ここまで時間は掛かっているが、五組の冒険者パーティーのうち四組を発見した。

 風魔法を使って探知をしているハインリッヒさんを消耗させてしまったが、移動販売車でゴブリンをはじき飛ばしているので、参加メンバーの魔力や体力を温存できているのは大きい。

 他の階層も探知を終え、地上への出口がある一階層はガイウスたち『豪腕』が抑えている。

 抜けはない。
 後は、リックとマルテを連れ帰るだけだ!

「うっ! この臭いは!」

 外からハインリッヒさんの声が聞こえた。
 俺は移動販売車を停止させて窓から身を乗り出し、荷台の上に立つハインリッヒさんに声を掛けた。

「ハインリッヒさん。どうしたんですか?」

「オークの臭いだ! オークが三階層に上がってきたんだ!」

「えっ!?」

 もう、三階層に上がってきたのか!?

 聖サラマンダー騎士団団長のフレイルさんが緊迫した声を上げた。

「ハインリッヒ! 急げよ!」

「了解です……しばらくお待ちを……」

 俺は移動販売車から降りて、ハインリッヒさんを見上げた。
 ハインリッヒさんは荷台の箱の上に立ち風魔法を操っている。
 ピアニストが難曲に挑むような真摯な表情だ。
 もの凄く集中しているのが嫌でもわかる。

 風の音が聞こえ、転調するように高くなり低くなる。

「もう、ここは階層の端に近い……必ずこの辺りに……。ここにもオーク……。ここも……。もっと奥の方へ……」

 ハインリッヒさんのつぶやきから察すると、あちこちにオークが出没しているようだ。
 俺はジリジリしながらハインリッヒさんの探知結果を待つ。

「オークが多い……。ここも……。いや! 待て! もう一度だ!」

 ハインリッヒさんが何かを探知した!
 ハインリッヒさんは、遥か先を見ながら両手を動かし風魔法を操作する。

「いたっ! いたぞ! 人の気配だ! 右斜め前方! この角度だ!」

「了解! 移動するぞ!」

 ハインリッヒさんは、右前方四十五度を指し示した。
 俺は移動販売車の運転席に飛び乗り、ハインリッヒさんが示した方向へハンドルを切った。

「お父さん! 急いで!」

「任せとけ!」

 ソフィーが急かす。
 俺は事故らないギリギリの速度で移動販売車を走らせる。
 頼むぞ! 相棒! リックとマルテのところに、俺たちを運んでくれ!

 助手席のシスターエレナが叫ぶ。

「前方! オークの集団です!」

 大量のオークが丘の向こうから湧き出てきた。
 近づくにつれ、十匹、二十匹とオークの数は増えていく。

「押し通る! つかまってくれ!」

 俺は大きな声で同乗者たちに注意するとアクセルを踏んだ。

 ドッ! ドドド! ドン! ドドド!

 次々とオークをはね飛ばし、俺は移動販売車を強引に進ませた。
 窓を開け、荷台のハインリッヒさんに大声で聞く。

「ハインリッヒさん! 方向はあってますか?」

「正解だ! もう、そろそろ見える頃だ!」

 ハインリッヒさんの言葉を聞いて、俺、ソフィー、シスターエレナが前方に目をこらす。

「いた! リックお兄ちゃんとマルテお姉ちゃんだ!」

 ソフィーが両手を上げて喜ぶ。
 だが、リックとマルテの状況は良くない。
 俺にも見えたが……。

「オークが! リックは怪我をしています!」

 シスターエレナが悲鳴を上げた。

 リックとマルテは、オークの集団に追われていた。
 リックはマルテを逃そうと殿を務めているが、頭から血を流している。

 リックは剣を振り回しオークたちを牽制するが、オークはゲラゲラと笑う。
 弱い獲物を追い回して楽しんでいるように見える。

「うおおおおおおお!」

 俺はグッとハンドルを握って、オークの集団に移動販売車を突っ込ませた。

「ブヒッ!? ブー!?」

「ブ!? ブブ!?」

 巨体のオークが相手でも、移動販売車の障壁の敵ではない。
 驚くオークを移動販売車は、次々とはじき飛ばしリックとマルテに迫る。

「シスターエレナ! ドアを開いて! リックとマルテを!」

「了解です!」

 リックとマルテは、俺たちに気が付いた!
 移動販売車を見て驚くとともに、笑顔になった。
 リックが叫ぶ。

「おっさん!」

「リック! マルテ! 乗れ!」

 一瞬、移動販売車を止めると、リックとマルテは素早く車内に乗り込んだ。
 シスターエレナがドアを閉める。

「出して下さい!」

「了解! 撤収だ!」

 俺はハンドルを切り、転移魔法陣がある出口へ移動販売車を向かわせた。
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