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23 ニーン国王
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『お前は、こっちだ!さっさと歩け!』
連れて行かれたのは立派な城の中の、広い部屋だった。
『ほほぅ、こいつがシオンか。』
『誰だ!』
『失礼な事を言うな!!この方はニーン国の国王様だ!』
ニーン国の国王は、でっぷりとした腹に、すごく嫌な目をしたおっさんだ。俺達国民が食べる物もなくて辛い思いをしているのに、なんだあの腹!!アニマ国の王様とは大違いだ!
『ふんっ、あの女は顔だけは良かったからな!お前も顔だけはいいようだ。』
『……あの女?』
『お前の母親だ。わしが可愛そうな女を拾ってやったんだ。なのに、お前が産まれてすぐに逃げ出した。』
『……えっ?』
『お前は、わしの子だ。沢山いた子ども達もいなくなり、残ったのはお前だけだ。必要なかったから放置していたが、跡継ぎがいないのは困るからな。』
『い、嫌だ!!』
『お前に決める権利はない!わしが国民から金を巻き上げ、貴族達と楽しく暮らす為に言いなりになる王子が必要だ。お前はその為に連れてきた。』
『嫌だ!!貴族だけが裕福なのはおかしい!』
『うるさい!わしに歯向かう事は許さん!特別室に連れて行け!!たっぷりとわからせてやる!すぐに言う通りに動くようになる。……はぁ、疲れたぞ。おい、適当な獣のメスを連れてこい!気晴らしにはもってこいだからな!』
『おいっ!俺がニーン国に来たらアニマ国には手を出さないんだろ!だったら牢の中のアニマ国の人達も国に帰せ!』
『誰に向かって口を聞いてる!さっさと連れて行け!目障りだ!』
『おいっ!離せよ!!リナ達を解放しろ!!』
『大人しくしろ!』
厳重に鍵のかけられた部屋に連れて行かれ、大きな機械の真ん中の椅子に縄で縛り付けられた。足も手も縛られていて動けない。
『おい、やめろ!離せ!!』
兵士達は、ニヤニヤしながら頭に前世のバイクのヘルメットのような物を被せ、取れないようにベルトで顎に固定した。締め付けられて少し痛い。
『おい、始めろ!』
いかにも研究者ですといった格好をした人が機械のボタンを押す。
『………うぁ……い、痛い!!やめろ!!やめてくれ!!』
『まだまだこれからだ。この部屋から出すなと言われている、後2時間ほど魔力を搾り取ったら奥の部屋に閉じ込めろ。』
『はい。』
兵士は偉そうに言って部屋を出て行った。
頭が締め付けられるようにギリギリと痛み、目もチカチカしてくる。
研究者っぽい男が機械の操作をしていて、何かぶつぶつと言っているが頭の痛みで聞こえてこない。
脂汗がダラダラと流れ、痛みに耐えきれず気を失った。
気付くと、窓も何もない部屋のベットに寝かされていた。
体がすごく重たい。腕をあげようとするのも一苦労だ。
ゆっくりと顔を横に向け部屋を確認すると、蝋燭が2つあるだけの薄暗い狭い部屋にトイレらしきものが部屋の隅にあるのと、机が一つだけある。
少し体が楽になってきたので起き上がると、部屋の外から話し声が聞こえてきた。
『どうだ?国王様が報告をお待ちだ。』
『は、はい。こんなに沢山の魔力を貯められたのは初めてです。これだけで10年分はあります。』
『ほほぅ。それは凄いな。国王様に報告してくる。』
『あまり魔力を取りすぎると今までのように大変な事になってしまいます。これだけ魔力があるのですから、月に一度、数分で良いのではないでしょうか?毎日では今までと同じ事が起こってしまいます。』
『ふむ……。確かにな。あれが最後だと言っていたし、今までのように廃人になられても困るが……。よし、国王様にお伺いしてみよう。』
『よろしくお願いします。』
戸が閉まる音と鍵をかける音がして足音が遠ざかる。
『ふぅ……。可哀想に、まだ子どもなのに酷い事をする。私はこんな事をする為に魔力の研究をしているのではないのに……。あぁ家に帰りたい。ライナとリリーは元気だろうか?本当に給金が渡されているのだろうか……。はぁ…………。』
連れて行かれたのは立派な城の中の、広い部屋だった。
『ほほぅ、こいつがシオンか。』
『誰だ!』
『失礼な事を言うな!!この方はニーン国の国王様だ!』
ニーン国の国王は、でっぷりとした腹に、すごく嫌な目をしたおっさんだ。俺達国民が食べる物もなくて辛い思いをしているのに、なんだあの腹!!アニマ国の王様とは大違いだ!
『ふんっ、あの女は顔だけは良かったからな!お前も顔だけはいいようだ。』
『……あの女?』
『お前の母親だ。わしが可愛そうな女を拾ってやったんだ。なのに、お前が産まれてすぐに逃げ出した。』
『……えっ?』
『お前は、わしの子だ。沢山いた子ども達もいなくなり、残ったのはお前だけだ。必要なかったから放置していたが、跡継ぎがいないのは困るからな。』
『い、嫌だ!!』
『お前に決める権利はない!わしが国民から金を巻き上げ、貴族達と楽しく暮らす為に言いなりになる王子が必要だ。お前はその為に連れてきた。』
『嫌だ!!貴族だけが裕福なのはおかしい!』
『うるさい!わしに歯向かう事は許さん!特別室に連れて行け!!たっぷりとわからせてやる!すぐに言う通りに動くようになる。……はぁ、疲れたぞ。おい、適当な獣のメスを連れてこい!気晴らしにはもってこいだからな!』
『おいっ!俺がニーン国に来たらアニマ国には手を出さないんだろ!だったら牢の中のアニマ国の人達も国に帰せ!』
『誰に向かって口を聞いてる!さっさと連れて行け!目障りだ!』
『おいっ!離せよ!!リナ達を解放しろ!!』
『大人しくしろ!』
厳重に鍵のかけられた部屋に連れて行かれ、大きな機械の真ん中の椅子に縄で縛り付けられた。足も手も縛られていて動けない。
『おい、やめろ!離せ!!』
兵士達は、ニヤニヤしながら頭に前世のバイクのヘルメットのような物を被せ、取れないようにベルトで顎に固定した。締め付けられて少し痛い。
『おい、始めろ!』
いかにも研究者ですといった格好をした人が機械のボタンを押す。
『………うぁ……い、痛い!!やめろ!!やめてくれ!!』
『まだまだこれからだ。この部屋から出すなと言われている、後2時間ほど魔力を搾り取ったら奥の部屋に閉じ込めろ。』
『はい。』
兵士は偉そうに言って部屋を出て行った。
頭が締め付けられるようにギリギリと痛み、目もチカチカしてくる。
研究者っぽい男が機械の操作をしていて、何かぶつぶつと言っているが頭の痛みで聞こえてこない。
脂汗がダラダラと流れ、痛みに耐えきれず気を失った。
気付くと、窓も何もない部屋のベットに寝かされていた。
体がすごく重たい。腕をあげようとするのも一苦労だ。
ゆっくりと顔を横に向け部屋を確認すると、蝋燭が2つあるだけの薄暗い狭い部屋にトイレらしきものが部屋の隅にあるのと、机が一つだけある。
少し体が楽になってきたので起き上がると、部屋の外から話し声が聞こえてきた。
『どうだ?国王様が報告をお待ちだ。』
『は、はい。こんなに沢山の魔力を貯められたのは初めてです。これだけで10年分はあります。』
『ほほぅ。それは凄いな。国王様に報告してくる。』
『あまり魔力を取りすぎると今までのように大変な事になってしまいます。これだけ魔力があるのですから、月に一度、数分で良いのではないでしょうか?毎日では今までと同じ事が起こってしまいます。』
『ふむ……。確かにな。あれが最後だと言っていたし、今までのように廃人になられても困るが……。よし、国王様にお伺いしてみよう。』
『よろしくお願いします。』
戸が閉まる音と鍵をかける音がして足音が遠ざかる。
『ふぅ……。可哀想に、まだ子どもなのに酷い事をする。私はこんな事をする為に魔力の研究をしているのではないのに……。あぁ家に帰りたい。ライナとリリーは元気だろうか?本当に給金が渡されているのだろうか……。はぁ…………。』
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