異世界では人間以外が日本語でした

39 家族探し

　ニーナは張り切って野菜スープを作るとキッチンに走って行った。
　夜には、ニーナがナーナさんに野菜スープを作ったから食べてと口までスプーンを運ぶと美味しい美味しいと泣きながら、食べてくれたらしい。
　明日も朝からニーナが作った料理を持ってくるから、しっかりと寝て、いっぱい食べてと言われ、嬉しそうにしていた。

　次の日、畑も気になるけど先にニーナのお父さん探しだ。


　アニマ国の人達は、メイトさん一家のように同じ羊人族で結婚する人、別の種族で結婚する人がいる。
　別の種族の場合、子どもはお母さんの特徴を持って産まれてくるそうだ。
　たまに、お父さんの特徴が出たり、混ざる事もあるらしい。本当に珍しい事らしく魔力量が関係しているのでないか？と言われているらしい。お母さんの魔力が、とても少なく、お父さんの魔力がとても多い時に、起こる事らしい。例えば、アニマ国の王様。お母さんは白虎なんだそうだ。お父さんが獅子だったらしい。
　
　ニーナはナーナさんが同じ猫人族で、お父さんは犬人族。名前は、ニールさん。

　とにかく、お弁当を持って出かけようとしたらコインさんが案内してくれるからと一緒に来てくれた。

「まず、先に牢にいた人達の所に行きたい。」
「わかった。こっちだ。」

　15分ほど歩いて着いた。

「リナって女の子、ここにいる？」
「あぁ、はい。1番奥の部屋です。」
「ありがとう。」

　ノックをしてから入った。

「リナ、大丈夫か？」
「………シオン？」
「うん。助けるのが遅くなってごめん。」
「……うぅっ……シオン、助けてくれて…あ、ありがとう。」
「俺は何も出来なかったよ。このコインさんが頑張ってくれたんだ。」
「ううん、シオンが助けるからって言ってくれたから、耐えることができたんだ。」
「やっぱり辛い目に合ったんだな……。」
「………うん。まだ身体中傷だらけで動くのも辛いんだ。」
「そうか……。」
「でもね、途中からお金の使い道が変わったとか言って、牢に戻る事ができたんだ。あの最低野郎には殴られたけど何回も噛みついてやった！」
「強いなリナは。俺、この町の孤児院にいるから元気になったら会いに来て。俺も、またお見舞いに来る。」
「うん。待ってる。」
「リナは家族はいないのか？」
「お父さんとお母さんと妹がいたんだけど、同じ時に拐われて妹が先にあいつに連れて行かれたんだ。それから会ってない。お父さんとお母さんは別の場所に連れて行かれた。」
「俺、今から他の逃げ出して来た人達の所を回るんだ。リナの両親と妹の特徴や名前を教えて。もし、会えたらリナがここにいるって伝えるから。」
「本当？？……嬉しい。また家族に会えるかもしれないんだね。」
「うん。きっと会える。」

　リナは、元気そうに振る舞ってたけど体中包帯が巻いてあったし、顔にも傷があった。尻尾も毛が毟られて包帯には所々血が滲んでいた。
　リナが1番酷い状態で、牢に戻った頃は精神的にもおかしくなっていて、コインさんやポンタさんが近くだけで、怯えて震えていたそうだ。最初、食事を口に入れても吐いてしまい、大丈夫か？と駆け付けると気を失ったりする事が度々あったそうだ。
　療養所に向かうのに、馬車を出してくれたコインさんが色々と教えてくれた。
　
　最初の療養所は、門の近くにあり、先にニーン国の人達の様子を少し見に行った。

　沢山のテントが並んでいて、炊き出しが行われていた。
　少し、柔らかな表情になった人達が順番に並んでご飯をもらっている。小さな子が、嬉しそうにパンを食べて、その横で母親が赤ちゃんにミルクを飲ませている。
　コインさんが、まだ栄養状態が良くないから母乳が出ないんだと教えてくれた。まだ余裕はあるけど、食料も増やさないとな。
　それに、そろそろニーン国が何かして来そうだ。

　療養所に行き、リナの家族とニーナのお父さんの名前を伝えたが、ここにはいなかった。