いきなり異世界って理不尽だ!

みーか

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ボスの力

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 20分ほどで帰ってきた。さすがオーガ達だ。
 今は、これくらいにして、後は夜にしよう。

 昼ごはんを取りに来た人達に、こっそりと耳打ちをして、夜に逃げるように指示する。
 見張りの人達も逃げてもらう事にした。私とワーガは牢に自主的に残る事にした。快適だしね!

 夜になって、皆んなぞろぞろと村から出ていく。最後に最初の見張り2人が心配そうに私達を見ながら出て行った。

 さーて、どうなるかな。

 次の日、牢から出て温泉を消したり、休憩所を消し、重機を出して牢を壊した。

 さて、そろそろ気付く頃かな?このまま逃げてもいいけど、女の子達が一緒にいるって言ってたから心配なんだよなぁ~。
 どうしよう。

 何の案もないまま、ボスが怒り狂って現れた。

「何故誰もいない!………牢が無くなっている!!」
「皆んな、もっといい暮らしがしたいと他の村に行きましたよ。」
「お前かー!!!!」
「だから言ったじゃないですか、良い暮らしをしませんか?って。」
「よくも村人を騙してくれたな!」
「別に騙してませんよ。自分達が行きたいと言うから手伝っただけです。」
「許さん!!」

 殴りかかってきたから、強度のある壁を出した。
 ぅわ~。ちょっと崩れてる。馬鹿力だ!
 そのまま壁を蹴り崩してしまった。

 さらに向かって来るから、今度は鉄の壁を出した。

 バギーーーーンッ!!!とものすごい音がして、鉄の壁に拳の跡が残ってる。
 ぅわー、ヤバい奴だ。当たったら私なんて骨折どころか即死かも………。ひぇーーー!!

 かなり手が痛かったのか真っ赤に腫れあがってる。
 さらに怒り狂って殴りかかってくる。
 どーしよう……。猛獣には麻酔弾を撃ち込むしかない!!

 よーーし、足辺りに当たる事を願って、撃つ。
 外れた………。今度こそ!!
 また、外れ……。ん?避けてる??どーしようどーしようどーしよう。ワーガもあまりの力と速さに驚いている。ワーガでも勝てないだろう。

 何か良い方法ないかなぁ……このままだとヤバい!
 トラックで轢いてみる?いや、死んでしまったら嫌だし、乗用車くらいなら車が負けそうだし、何かないか??

 もしかしたらいけるかも!!一升瓶に入った日本酒を出して水鉄砲に日本酒を入れて口目掛けて発射!さらにワーガに裏に回り込んで頭から日本酒をぶっかけてもらう。
 フラーっとなった所に一升瓶を口に突っ込んで飲ませた。

 やったーー!!良かった!成功!!オーガはやっぱりお酒に弱い!
 急性アルコール中毒とかになったら、困るからと様子を見たけど大丈夫そうで、グーグーと寝ている。そのまま寝ててくれ!

 今のうちに女の子達を助けに行こう!
 ワーガとボスの家に行くと、若い女の子達が集められていて、大切にされていたようで逃げようと言っても戸惑っていた。
 村に誰もいない事や、家族も避難した事を説明するとなんとか納得してついて来てくれる。
 逃げる途中、ボスが倒れているのを見て駆け寄って心配する人までいる。
「寝てるだけだから心配しないで!」
 とりあえず女の子達をバスに乗せて行ってもらい、ワーガがボスを担いで軽トラの荷台に乗せてユガ村まで行く。

 ユガ村の真ん中辺りに、スケルトンハウスの出口が無い物を出す。強化ガラスだから割れないと思いたい……。
 一応、お風呂やトイレ、ベットなども用意したが、それも透明な壁にしてある。
 他の人がどんな思いで牢に入れられていたか、思い知るがいいわ!!

 しばらくして目が覚めて、暴れまわっていたが、諦めたようだ。

 ユガ村に来た人達は、皆んなお風呂に入って綺麗にして、しっかりと服を着ている。
 ほぼ裸のような格好をしているのはボスだけだ。
 被害にあったアットなど指差してゲラゲラ笑っているし、他の人達も哀れんだ目で見たり、失笑していたり……。
「くっ、なんだその目は!!見るな!!」
 見るなと言われても丸見えだから目に入ってしまう。

 ボスは、しばらく経つとここの場所を見回して驚いているようだった。
 畑には沢山の野菜があり、果物の木もあちこちにある。ジュースを飲んだり、お菓子を食べたりしている子ども達や、見た事もない家が沢山ある。車も走っているし、皆んな靴も履いている。

 呆然と周りを見て静かになった。

 私は、ここに来たオーガ達の為に家をどんどん出したり、食堂やお店を増やしたりと大忙しだ。
 急に家が増えていく様子に開いた口が塞がらないボス。
 ボスの村人だった人達が服を着て、家に入っていくし、畑仕事を手伝ったり見たこともない美味しそうな料理を作ったりしている。

 女の子達も、家族に会えてここの暮らしを知ると手のひらを返したように、ボスに興味を無くしたようだ。
 ………思った以上に気の毒だ。

 一応、トイレの使い方やお風呂の使い方は絵で説明して貼ってある。
 わざわざ外のテーブルで食事をする人達も多く、小さな小窓や換気口から良い匂いが漂っているはずだ。

 ガラスに張り付いてヨダレを垂らすボス。

 アルやナナガ、ルイ君に、さすが陽菜!こんな酷いこと考え付くのは陽菜だけだ!と冷たい視線を送られる……。
 だって、私も同じ目に合わされたんだもん!!

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