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外伝集
その手を選べ、Femme fatale2
しおりを挟む「ちゃんと眠ってくだせぇ」
「あとちょっとじゃ」
「あんたが倒れちゃ元も子もない。俺が眠れないからお休みしてください」
「おやおや、おぬしは言いたいことをよく言う犬じゃのう」
書類をまとめ上げ、署名をし捺印し、彼女はもう深夜もとっぷり暮れた執務室で笑った。
「あんた歳なんだから」
彼は当たり前のことを言う調子で言ったのだが、女帝はふくれっ面を見せた。
歳と言われて、気分のいい女性はいない。この女帝も同じだったらしい。
彼女は言い返す。
「まだ四十三じゃ」
それに彼は首を振った。どういう意味にとらえるかは、女帝次第だ。
そしてそのため不興を買い、首を落とされる事すら想定済みだった。
「そうは見えねえっての。お願いだから休んでくだせぇよ。倒れたら俺はどうすりゃいいんだ」
この言葉に、女帝は微笑み書類を片付けて寝台に入る。
この女帝は神経が太いのか、彼をあっという間に自分の領域に入れた。そのため彼は、女帝の世話係の一人になっていた。
女帝は次々と勅命を出さなければならず、忙しい身の上だった。何しろ先代である彼女の夫が、あまりにも暴政を強いていたつけである。
その先代を殺したのが、ほかでもないこの女帝だと誰も言わない。
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その真実は闇に隠れているし、彼は知ろうとは思わない。余計な物は知らないに限るのだ。
「のう、わらわのイル・ウルス」
「なんでしょうねえ、お願いですからこの前みたいに、突然不死鳥の丸焼きが食べたいなんて言わねえで下さいよ」
「あれは骨ばっておってまずかったのう」
寝台に入っても笑う女。彼は目を細め、言葉を待つ。
「お願いは一つじゃ、イル・ウルス」
「なんでしょうかねぇ」
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「え……」
「おぬしはわらわの懐刀の一つじゃ。時が来ればわらわのために命を尽くそうとするじゃろう。でものう。わらわはおぬしを好いておるゆえ、先に逝ってほしくないのじゃ」
何をいきなり言い出すのだろう。そんな事を思いながら、彼は言葉を聞いていた。
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後にも思って、彼はそう考える。
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