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幕間5
未来
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かみさま。たすけて。それは祈りだった。それはすがる思いだった。誰も助けは来ないと知りながらも、そうすがった。
それなのにどうしてだろう、縋る相手の姿は赤い髪を翻す人間で。
翻った猩々緋の髪の毛は、振り返って手を伸ばしてくれるのだ。
かみさま。かみさま。
たすけて。こんなのはいや、まだしにたくないの、どうしてここで死ななくてはならないの。
涙がこぼれておちていく、祈りも望みも何もかもを体裁をかなぐり捨てて祈る。
たすけて。
「さようなら、バスチアの直系。闇の娘」
剣が振り下ろされる、もうまにあわない、誰も助けは来ない、
かみさま、かみさま
「てめえなんぞの好きにさせてたまるかよ!」
雷光がひらめく。一瞬で相手をひるませた強烈な一撃。石造りの床が砕け散る。
鮮烈な光、不吉な雨雲と共に現れる苛烈な一閃。
「あ……」
声は出てこなかった。どうしてここにいるのか、何でここに来られたのか、分からない。
猩々緋が、炎が、風をびょうと受けて翻る。ひらひらとひらめいている絹糸のような細い髪の毛。それを不作法に長々と垂らして、その人は大胆不敵に笑う。
戦意の塊だった。その人はにいいと唇を吊り上げる事をした。
「やっと見つけた。こんなところまできて女の子を殺そうっていうの?」
口調は聞き知ったものにどこか似ていた。でも声は全然違っていた。
ざらざらとした声変わりの途中の声のようだった。擦れていて聞き取りづらい。
その人は乗っていたものから降り立った。それは剣で、つばの部分に足をかけて乗っていたらしかった。
その件を見た途端、鳥肌が立った。
それは圧倒的な力を宿した剣だった。雨雲を呼ぶ、水の力と、雷鳴を光らせる光の力に満ち溢れていた。
そして、それらが招き寄せる闇を含んだ剣だった。
その人は剣を片手に収めると、皮肉な顔をして笑った。
「いつまでも来ないから追いかけさせてもらった。やっと追いついたのに何、その顔」
「水に光に闇ですかい。これはまた厄介な力をお持ちだ」
「そう。人魚の水と希望の光。バスチアの血のみが継ぐ虚無の闇」
彼らの会話は意味が分からない。二人は意味の分からない言葉を投げあっている。
「あなたに対抗するだけの力は併せ持っているの。終わらせましょう、イリアス」
その言葉は妹の言葉そのものだった。
けれどその人はあまりにも男性的だった。かっちりとした直線的な体。鋭い双眸。巌の厳しさの唇。強固な意志を示す眉。
それらを持ち合わせたその人は、妹にどこか似ていた。けれどあまりにも違っていた。
それでも分かった。双子のつながりが知らせてきているのかもしれない。
この人は妹だ。
「真なる剣をお持ちとは。あんたはつくづく災厄に恵まれている」
「その筆頭があなただとご存知か?」
「まったくで。そうですねぇ、終わらせましょうか、あんたを倒せば六つの力が揃う」
「倒されはしない。倒すのはあたし」
剣が不気味にカタカタと揺れ始める。膨大な力をため込んでいるかのように。
剣が明滅を始める。猩々緋の髪を揺らして、その人が構える。
剣が求めている物は、戦うという意思だとどこかで分かった。
「いざ、参る」
一言何かけじめをつけるようにその人は言って、イリアスと呼びかけた男に剣をぶつけて行った。
それなのにどうしてだろう、縋る相手の姿は赤い髪を翻す人間で。
翻った猩々緋の髪の毛は、振り返って手を伸ばしてくれるのだ。
かみさま。かみさま。
たすけて。こんなのはいや、まだしにたくないの、どうしてここで死ななくてはならないの。
涙がこぼれておちていく、祈りも望みも何もかもを体裁をかなぐり捨てて祈る。
たすけて。
「さようなら、バスチアの直系。闇の娘」
剣が振り下ろされる、もうまにあわない、誰も助けは来ない、
かみさま、かみさま
「てめえなんぞの好きにさせてたまるかよ!」
雷光がひらめく。一瞬で相手をひるませた強烈な一撃。石造りの床が砕け散る。
鮮烈な光、不吉な雨雲と共に現れる苛烈な一閃。
「あ……」
声は出てこなかった。どうしてここにいるのか、何でここに来られたのか、分からない。
猩々緋が、炎が、風をびょうと受けて翻る。ひらひらとひらめいている絹糸のような細い髪の毛。それを不作法に長々と垂らして、その人は大胆不敵に笑う。
戦意の塊だった。その人はにいいと唇を吊り上げる事をした。
「やっと見つけた。こんなところまできて女の子を殺そうっていうの?」
口調は聞き知ったものにどこか似ていた。でも声は全然違っていた。
ざらざらとした声変わりの途中の声のようだった。擦れていて聞き取りづらい。
その人は乗っていたものから降り立った。それは剣で、つばの部分に足をかけて乗っていたらしかった。
その件を見た途端、鳥肌が立った。
それは圧倒的な力を宿した剣だった。雨雲を呼ぶ、水の力と、雷鳴を光らせる光の力に満ち溢れていた。
そして、それらが招き寄せる闇を含んだ剣だった。
その人は剣を片手に収めると、皮肉な顔をして笑った。
「いつまでも来ないから追いかけさせてもらった。やっと追いついたのに何、その顔」
「水に光に闇ですかい。これはまた厄介な力をお持ちだ」
「そう。人魚の水と希望の光。バスチアの血のみが継ぐ虚無の闇」
彼らの会話は意味が分からない。二人は意味の分からない言葉を投げあっている。
「あなたに対抗するだけの力は併せ持っているの。終わらせましょう、イリアス」
その言葉は妹の言葉そのものだった。
けれどその人はあまりにも男性的だった。かっちりとした直線的な体。鋭い双眸。巌の厳しさの唇。強固な意志を示す眉。
それらを持ち合わせたその人は、妹にどこか似ていた。けれどあまりにも違っていた。
それでも分かった。双子のつながりが知らせてきているのかもしれない。
この人は妹だ。
「真なる剣をお持ちとは。あんたはつくづく災厄に恵まれている」
「その筆頭があなただとご存知か?」
「まったくで。そうですねぇ、終わらせましょうか、あんたを倒せば六つの力が揃う」
「倒されはしない。倒すのはあたし」
剣が不気味にカタカタと揺れ始める。膨大な力をため込んでいるかのように。
剣が明滅を始める。猩々緋の髪を揺らして、その人が構える。
剣が求めている物は、戦うという意思だとどこかで分かった。
「いざ、参る」
一言何かけじめをつけるようにその人は言って、イリアスと呼びかけた男に剣をぶつけて行った。
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