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鶏を買ったら……知り合いが増えた。
餌付けをされているみたい
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「ニクス、さっきのやつを食べたい。お腹減った」
ルパはお菓子が欲しいと手招きする。
「さっき生肉食べたのにもうお腹空いたの?」
「甘い香りを嗅いだらお腹が空いてきた。お肉より今はお菓子、食べたい」
「別腹ってやつかな。ま、いいか。ルパとの約束だし」
僕は紙袋からカステラを取り出し、周りの梱包を剥がしていく。紙を破き、カステラを露出させた。黄色の生地に茶色の面。匂がすでに美味しそうで、ルパは眼を輝かせていた。
「はいどうぞ。ゆっくり食べるんだよ。あと、紙は食べたら駄目だからね」
「わかってる。さすがに私も紙は食べない」
ルパは僕の隣を歩けるくらいに体力が回復していた。まだ手を握っていないとふら付いて危ないので手は繋いでいる。
ルパはいやいや言いながら仕方なく手を繋ぎ、僕はルパの手を包み込むようにして握っていた。まだまだ小さないなと思いながら笑っていると、彼女は僕の脚を蹴ってくる。
尻尾が揺れているので嬉しいはずなのだが暴力行為に走ってしまう癖がルパにはあるみたいだ。
「は~む……」
ルパはカステラに齧り付いた。大きな耳を動かし、尻尾を盛大に揺らす。
そんなに美味しかったのかと思い、僕はルパの顔を見ると、紙袋を食べるんじゃないかと言う勢いでカステラに齧り付いていた。長さ三〇センチメートルほどあったカステラがルパの胃の中に一瞬で入ってしまった。
「美味しい! 甘くてふわふわしてて、凄く美味しいかった。また食べたい」
「また今度ね。たくさん食べすぎると体調が悪くなるから、ほどほどにしておこう」
「え~。いっぱい食べさせてくれるって言ってたのに。ニクスの嘘つき!」
「そう言っても買ってあげないよ。ルパの健康が悪くなったら美味しい物を食べられなくなるかもしれないし、沢山の辛いことが起るんだよ。お菓子の誘惑に負けると危ないんだ」
「お菓子で幸せになるとその後で不幸せになるの?」
「食べすぎるとね。適量なら幸せだけを感じられるよ。だから、今日はもうおしまい」
「なら、味わって食べたればよかった……。もっと食べられると思って早く食べたのに……」
エナはしょんぼりして歩いていた。
「だから、味わって食べなっていったのに。仕方ないな。今日は戦ってないけど、金平糖を食べていいよ。でも一粒だね」
「いいの?」
「うん。本当は一日一個食べられるはずだから、食べてもいいよ」
「やった。それなら食べちゃうからね」
エナは金平糖の入った瓶を瓶ホルダーから、取り出し、蓋を開けて一粒の金平糖を取り出した。それを口にホイッと放り投げるのかと思ったが、僕に渡してくる。
「食べさせて」
「食べさせて貰ったら何でもおいしくなるわけじゃないよ……。でも、いつも僕があげてるから変わらないか」
僕はエナから金平糖を一粒もらい、手の平に乗せる。
「ルパ、お手」
「ん」
僕はルパの前に左手を出す。するとルパは僕の手に自身の手を置いてきた。
「ルパ、おまわり」
「ん」
ルパはその場で周り、僕の方を見た。ルパはなぜか僕の命令を従順に聞いていた。いったい何が起こっているのかわからなかったが、それほどこの金平糖が食べたいと言うのか。
「ルパ、ちんちん」
「ちんちん? 私、雌だから、そんなの付いてないぞ」
「いや、ごめん。ちょっと言ってみただけ。はい、よく言うこといけました」
僕はルパに金平糖を食べさせる。
「ハム……。うまぃ……。でもこれ、何か餌付けされてるみたいなんだけど……」
「餌付けなんてしてないよ。ルパが食べさせてほしいっていうから食べさせてあげているだけだよ。何もおかしい行動してないでしょ」
「まぁ、してないけど。でも、なんか楽しいかも……。ニクスの命令を聞いて褒められるの……ちょっと癖になりそう」
「ルパ、万歳」
「ん」
ルパは両手を上にあげた。僕はよく出来ましたの意味を込めて頭を目一杯なでる。すると、ルパの顔が少し緩み、尻尾が大きく揺れた。
「ルパ、また尻尾が揺れてるよー。そんなに嬉しいのかな?」
「こ、これは、ちがう……。嬉しいからとかじゃない。誰でも出来るようなことやって褒められて、嬉しくなる訳ない。この尻尾は風に揺られてるだけだから!」
ルパは僕に怒鳴る。それなら命令を聞かなければいいのにと思ったが、習性なのか僕に頭を撫でられるだけで彼女は簡単に尻尾を振ってしまう。他の人間に頭を撫でられた時も尻尾を振るのか検証してみたかったが、さすがに酷なので止めておく。
「さてと、お目当ての物はあるかな……」
「何を探してるの?」
「ルパと一緒に寝る布団を探してるんだよ。もうすぐ寒くなるから、今のうちから買っておかなとなーって思ってさ」
「何で私がニクスと一緒の布団で寝ることになってるの。というか、布団って何?」
「布団は毛布みたいなものだよ。毛布よりも暖かくて包まれていると幸せを感じられるんだ」
「そうなんだ。何が使われてるの?」
「そうだな……。羊の毛とか、鳥の羽とか、綿とかかな」
「なら、においで探す」
ルパは鼻を鳴らし、辺りのにおいを嗅いだ。
「あっちに羊と鳥のにおいがする」
ルパは冒険者ギルドと反対方向を指さした。丁度僕達が歩いている道をさらに真っ直ぐ行ったところにあるらしいい。
「じゃあ、行ってみようか。ルパの鼻は僕以外に良く利くからね」
僕はルパと手を繋ぎながらゆっくりと歩いた。ルパが歩きやすいようにするためだ。少しでも早く動くとルパは体勢を崩してしまう。それなら、僕が背負ったほうが早いのだが、彼女は背負われたくないらしい。周りからの眼が恥ずかしいのかもしれない。
「ほんとにあったね。布団屋さん。さてと……。出来ればいい布団で寝たいよなー。ベッドでもいいけど、ベッドなら作れるし、あとからでもいいや。今は布団の方が大事だ」
僕は羊、鳥、綿の布団をそれぞれ見て、大きな布団で値段を見比べた。すると、綿、羊、鳥の順で値段が高くなっている。
ルパはお菓子が欲しいと手招きする。
「さっき生肉食べたのにもうお腹空いたの?」
「甘い香りを嗅いだらお腹が空いてきた。お肉より今はお菓子、食べたい」
「別腹ってやつかな。ま、いいか。ルパとの約束だし」
僕は紙袋からカステラを取り出し、周りの梱包を剥がしていく。紙を破き、カステラを露出させた。黄色の生地に茶色の面。匂がすでに美味しそうで、ルパは眼を輝かせていた。
「はいどうぞ。ゆっくり食べるんだよ。あと、紙は食べたら駄目だからね」
「わかってる。さすがに私も紙は食べない」
ルパは僕の隣を歩けるくらいに体力が回復していた。まだ手を握っていないとふら付いて危ないので手は繋いでいる。
ルパはいやいや言いながら仕方なく手を繋ぎ、僕はルパの手を包み込むようにして握っていた。まだまだ小さないなと思いながら笑っていると、彼女は僕の脚を蹴ってくる。
尻尾が揺れているので嬉しいはずなのだが暴力行為に走ってしまう癖がルパにはあるみたいだ。
「は~む……」
ルパはカステラに齧り付いた。大きな耳を動かし、尻尾を盛大に揺らす。
そんなに美味しかったのかと思い、僕はルパの顔を見ると、紙袋を食べるんじゃないかと言う勢いでカステラに齧り付いていた。長さ三〇センチメートルほどあったカステラがルパの胃の中に一瞬で入ってしまった。
「美味しい! 甘くてふわふわしてて、凄く美味しいかった。また食べたい」
「また今度ね。たくさん食べすぎると体調が悪くなるから、ほどほどにしておこう」
「え~。いっぱい食べさせてくれるって言ってたのに。ニクスの嘘つき!」
「そう言っても買ってあげないよ。ルパの健康が悪くなったら美味しい物を食べられなくなるかもしれないし、沢山の辛いことが起るんだよ。お菓子の誘惑に負けると危ないんだ」
「お菓子で幸せになるとその後で不幸せになるの?」
「食べすぎるとね。適量なら幸せだけを感じられるよ。だから、今日はもうおしまい」
「なら、味わって食べたればよかった……。もっと食べられると思って早く食べたのに……」
エナはしょんぼりして歩いていた。
「だから、味わって食べなっていったのに。仕方ないな。今日は戦ってないけど、金平糖を食べていいよ。でも一粒だね」
「いいの?」
「うん。本当は一日一個食べられるはずだから、食べてもいいよ」
「やった。それなら食べちゃうからね」
エナは金平糖の入った瓶を瓶ホルダーから、取り出し、蓋を開けて一粒の金平糖を取り出した。それを口にホイッと放り投げるのかと思ったが、僕に渡してくる。
「食べさせて」
「食べさせて貰ったら何でもおいしくなるわけじゃないよ……。でも、いつも僕があげてるから変わらないか」
僕はエナから金平糖を一粒もらい、手の平に乗せる。
「ルパ、お手」
「ん」
僕はルパの前に左手を出す。するとルパは僕の手に自身の手を置いてきた。
「ルパ、おまわり」
「ん」
ルパはその場で周り、僕の方を見た。ルパはなぜか僕の命令を従順に聞いていた。いったい何が起こっているのかわからなかったが、それほどこの金平糖が食べたいと言うのか。
「ルパ、ちんちん」
「ちんちん? 私、雌だから、そんなの付いてないぞ」
「いや、ごめん。ちょっと言ってみただけ。はい、よく言うこといけました」
僕はルパに金平糖を食べさせる。
「ハム……。うまぃ……。でもこれ、何か餌付けされてるみたいなんだけど……」
「餌付けなんてしてないよ。ルパが食べさせてほしいっていうから食べさせてあげているだけだよ。何もおかしい行動してないでしょ」
「まぁ、してないけど。でも、なんか楽しいかも……。ニクスの命令を聞いて褒められるの……ちょっと癖になりそう」
「ルパ、万歳」
「ん」
ルパは両手を上にあげた。僕はよく出来ましたの意味を込めて頭を目一杯なでる。すると、ルパの顔が少し緩み、尻尾が大きく揺れた。
「ルパ、また尻尾が揺れてるよー。そんなに嬉しいのかな?」
「こ、これは、ちがう……。嬉しいからとかじゃない。誰でも出来るようなことやって褒められて、嬉しくなる訳ない。この尻尾は風に揺られてるだけだから!」
ルパは僕に怒鳴る。それなら命令を聞かなければいいのにと思ったが、習性なのか僕に頭を撫でられるだけで彼女は簡単に尻尾を振ってしまう。他の人間に頭を撫でられた時も尻尾を振るのか検証してみたかったが、さすがに酷なので止めておく。
「さてと、お目当ての物はあるかな……」
「何を探してるの?」
「ルパと一緒に寝る布団を探してるんだよ。もうすぐ寒くなるから、今のうちから買っておかなとなーって思ってさ」
「何で私がニクスと一緒の布団で寝ることになってるの。というか、布団って何?」
「布団は毛布みたいなものだよ。毛布よりも暖かくて包まれていると幸せを感じられるんだ」
「そうなんだ。何が使われてるの?」
「そうだな……。羊の毛とか、鳥の羽とか、綿とかかな」
「なら、においで探す」
ルパは鼻を鳴らし、辺りのにおいを嗅いだ。
「あっちに羊と鳥のにおいがする」
ルパは冒険者ギルドと反対方向を指さした。丁度僕達が歩いている道をさらに真っ直ぐ行ったところにあるらしいい。
「じゃあ、行ってみようか。ルパの鼻は僕以外に良く利くからね」
僕はルパと手を繋ぎながらゆっくりと歩いた。ルパが歩きやすいようにするためだ。少しでも早く動くとルパは体勢を崩してしまう。それなら、僕が背負ったほうが早いのだが、彼女は背負われたくないらしい。周りからの眼が恥ずかしいのかもしれない。
「ほんとにあったね。布団屋さん。さてと……。出来ればいい布団で寝たいよなー。ベッドでもいいけど、ベッドなら作れるし、あとからでもいいや。今は布団の方が大事だ」
僕は羊、鳥、綿の布団をそれぞれ見て、大きな布団で値段を見比べた。すると、綿、羊、鳥の順で値段が高くなっている。
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