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実家に向かう
マリアさんの両親
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僕はミアの耳を持って優しく揉み込んでいく。
ルパほどモフモフしている訳じゃないが、ミアの耳も十分ふわふわで柔らかいので感触が気持ちいい。
「ぁ、ぁぁ……、耳……、じんじんします……。眼が冴えてきました……。すごい……」
耳を揉んであげているとミアは腰を抜かしてしまい、床に座り込む。
「はぁ、はぁ、はぁ……。あ、ありがとうございました。腰が抜けちゃって立てなくなっちゃいましたけど、眼は覚めました……」
ミアは息を荒くしつつゆっくりと立ち上がる。
「大丈夫? 立てそう?」
「は、はい……」
ミアは脚を震わせながら立ち上がる。そのまま僕に笑みを見せて来た。健気で撫でたくなる。
ミアの頭を撫でてあげると目をギュッと瞑り、はにかんだ。ルパと同様にミアも撫でられるのが大好きで何時間でも撫でられていたいと言う。
撫でられると何がいいのか僕にはさっぱりわからないが、安心感が得られるのがたまらないと言った。
「じゃあ、僕達も結婚式の準備に行こうか」
「はい! 寝坊してしまった分、しっかりと取り返します」
「うわぁ~ん! ニクス~! ミートが顔になんか塗ってくる~!」
僕が部屋を出て皆のところに行こうとしたら扉が開き、ルパが戻って来た。
「ちょ、ルパちゃん。大丈夫だよ。ただの化粧だから何も怖くないよ」
ミートさんがあとを追っかけてきてルパに語りかける。
「顔、ベタベタで気持ち悪い。あと、なんか臭い。この匂い嫌い」
「えっと……、ルパはまだ子供ですし、化粧はしなくてもいいんじゃないですか?」
「まぁ、そうかもしれないけど……。ルパちゃんなら普通に似合うと思うだよ。大人っぽくなってもっと可愛くなれるのに……」
ミートさんの言うこともわかる。ルパが化粧をしたらさぞかし可愛いだろう。だが、本人がしたくないといっているのだから、させるわけにはいかない。
「ミートさん。ルパ本人がしたくないと言っているので、今回は本格的な化粧は無しでいいんじゃないでしょうか」
「そう……。じゃあ、顔の化粧は落としましょう」
ミートさんは化粧水をしみこませた布でルパの顔を拭く。ついていた化粧が取れた。特に何かが変わったわけではないのでルパの肌が化粧品にも負けていないと言うことだろう。
「ルパちゃん、唇にクリームだけでも塗ろう。それならいいでしょ」
「うぅ……。ニクスにしてもらいたい……」
「わかった。じゃあ、ニクス君。蜜蝋と植物性油を混ぜたクリームをルパちゃんの唇に塗ってあげて。少しでも十分伸びるから、取りすぎないようにね」
「わかりました」
僕は小さな容器を受け取り、小指で少量掬ってルパの唇に当てる。綺麗な赤色の唇に黄色っぽいクリームが乗る。薄く薄く延ばしていき、ルパの唇を纏わせる。
「よし、出来た。どう、ルパ。気持ち悪くない?」
「うん。ハチミツのにおいがしてまだまし……。でも、今のクリームで何か変わったの?」
「見てみる?」
ミートさんは手鏡を取り出し、ルパに見せた。
「うわ……、唇がテカテカしてる。なんかぷるぷるしているように見えるよ~」
ルパの唇はゼリーのように湿っており、とても柔らかそうだ。
「これだけでも印象が大分変るでしょ。じゃあ、ミアちゃんは化粧をどうする?」
「お願いします。私、昔から化粧してみたかったんです」
「よし、腕によりをかけて可愛くしちゃうぞ~」
ミートさんはミアの顔にクリームや液体、粉などを塗り重ねていった。完成すると、いつものミアよりも大分大人っぽくなり、服装に負けていなかった。
「お~。ミア、すごい……。いつものミアじゃないみたい……」
ルパもミアの代わりように、驚いていた。
「ミア、よく似合っているね。いつもより大人っぽい雰囲気になった」
「ありがとうございます。ちょっとばかり大人になった気分です」
「ミアちゃんはやっぱり素材がいいから、もの凄く可愛くなった。じゃあ、皆で仕事をしてきてもらおうかな。結婚式の開始時間は午前九時からだから、早めに来た人にはちょっと待っていてもらって」
「わかりました」
僕とルパ、ミアは外に出て、テーブルや席、飲み物、皿を並べていく。家の前に大きな馬車が到着し、扉が開いた。
「おお、ここだ、ここだ」
馬車の中から中年男性が出てくる。きっちりとした正装で、マリアさんと顔が似ていた。
「お父さん~! こっちこっち~!」
家の扉が開き、ウェディングドレスを着ているマリアさんが様子を見に来たと同時に大きな声を出す。
「おお~、マリア! なんて美しい姿なんだ、姫君のようじゃないか!」
どうやら、馬車でやってきたのはマリアさんのお父さんらしい。マリアさんの姿を見て、すでに涙ぐんでいる。
「御父様、ご無沙汰しております」
ガイアス兄さんも白い燕尾服を着て玄関にやって来た。
「ガイアス、いい男になってるじゃないか~」
マリアさんのお父さんはガイアス兄さんの肩を叩き褒めていた。
「もう、あなた。いきなり飛び出したら駄目じゃない。名前を書かないと」
馬車から降りてきたのは綺麗なドレスを着た女性で、マリアさんとどこか似ている。
「あ、お母さん~」
「まぁ~! マリア、なんて素敵なのかしら~」
想像通りマリアさんのお母さんだった。入口に受付があるのに、無視してマリアさんのもとに突っ走る。
「あのぉ……、家名と名前の控えをお願いします……」
クワルツ兄さんが手を上げながら声をかけた。
「おっと、忘れておった」
マリアさんのお父さんの方が名簿に家名と名前を書きに向かった。
マリアさんのお父さんとお母さんは家の中に招待し、父さんと対面した。話には聞いていたようだが、実際に合うのは今日が初めてだと言う。
「初めまして。ガイアス兄さんの弟のクワルツです。よろしくお願いします」
「同じく、ガイアス兄さんの弟のニクスです。よろしくお願いします」
クワルツ兄さんと僕はマリアさんの家族に挨拶をかわす。
「うむ。私の名前はパーズ・カンデリア。そして妻のマール・カンデリア。よろしく」
「よろしくお願いします」
パーズさんとマールさんは互いに頭を下げた。
ルパほどモフモフしている訳じゃないが、ミアの耳も十分ふわふわで柔らかいので感触が気持ちいい。
「ぁ、ぁぁ……、耳……、じんじんします……。眼が冴えてきました……。すごい……」
耳を揉んであげているとミアは腰を抜かしてしまい、床に座り込む。
「はぁ、はぁ、はぁ……。あ、ありがとうございました。腰が抜けちゃって立てなくなっちゃいましたけど、眼は覚めました……」
ミアは息を荒くしつつゆっくりと立ち上がる。
「大丈夫? 立てそう?」
「は、はい……」
ミアは脚を震わせながら立ち上がる。そのまま僕に笑みを見せて来た。健気で撫でたくなる。
ミアの頭を撫でてあげると目をギュッと瞑り、はにかんだ。ルパと同様にミアも撫でられるのが大好きで何時間でも撫でられていたいと言う。
撫でられると何がいいのか僕にはさっぱりわからないが、安心感が得られるのがたまらないと言った。
「じゃあ、僕達も結婚式の準備に行こうか」
「はい! 寝坊してしまった分、しっかりと取り返します」
「うわぁ~ん! ニクス~! ミートが顔になんか塗ってくる~!」
僕が部屋を出て皆のところに行こうとしたら扉が開き、ルパが戻って来た。
「ちょ、ルパちゃん。大丈夫だよ。ただの化粧だから何も怖くないよ」
ミートさんがあとを追っかけてきてルパに語りかける。
「顔、ベタベタで気持ち悪い。あと、なんか臭い。この匂い嫌い」
「えっと……、ルパはまだ子供ですし、化粧はしなくてもいいんじゃないですか?」
「まぁ、そうかもしれないけど……。ルパちゃんなら普通に似合うと思うだよ。大人っぽくなってもっと可愛くなれるのに……」
ミートさんの言うこともわかる。ルパが化粧をしたらさぞかし可愛いだろう。だが、本人がしたくないといっているのだから、させるわけにはいかない。
「ミートさん。ルパ本人がしたくないと言っているので、今回は本格的な化粧は無しでいいんじゃないでしょうか」
「そう……。じゃあ、顔の化粧は落としましょう」
ミートさんは化粧水をしみこませた布でルパの顔を拭く。ついていた化粧が取れた。特に何かが変わったわけではないのでルパの肌が化粧品にも負けていないと言うことだろう。
「ルパちゃん、唇にクリームだけでも塗ろう。それならいいでしょ」
「うぅ……。ニクスにしてもらいたい……」
「わかった。じゃあ、ニクス君。蜜蝋と植物性油を混ぜたクリームをルパちゃんの唇に塗ってあげて。少しでも十分伸びるから、取りすぎないようにね」
「わかりました」
僕は小さな容器を受け取り、小指で少量掬ってルパの唇に当てる。綺麗な赤色の唇に黄色っぽいクリームが乗る。薄く薄く延ばしていき、ルパの唇を纏わせる。
「よし、出来た。どう、ルパ。気持ち悪くない?」
「うん。ハチミツのにおいがしてまだまし……。でも、今のクリームで何か変わったの?」
「見てみる?」
ミートさんは手鏡を取り出し、ルパに見せた。
「うわ……、唇がテカテカしてる。なんかぷるぷるしているように見えるよ~」
ルパの唇はゼリーのように湿っており、とても柔らかそうだ。
「これだけでも印象が大分変るでしょ。じゃあ、ミアちゃんは化粧をどうする?」
「お願いします。私、昔から化粧してみたかったんです」
「よし、腕によりをかけて可愛くしちゃうぞ~」
ミートさんはミアの顔にクリームや液体、粉などを塗り重ねていった。完成すると、いつものミアよりも大分大人っぽくなり、服装に負けていなかった。
「お~。ミア、すごい……。いつものミアじゃないみたい……」
ルパもミアの代わりように、驚いていた。
「ミア、よく似合っているね。いつもより大人っぽい雰囲気になった」
「ありがとうございます。ちょっとばかり大人になった気分です」
「ミアちゃんはやっぱり素材がいいから、もの凄く可愛くなった。じゃあ、皆で仕事をしてきてもらおうかな。結婚式の開始時間は午前九時からだから、早めに来た人にはちょっと待っていてもらって」
「わかりました」
僕とルパ、ミアは外に出て、テーブルや席、飲み物、皿を並べていく。家の前に大きな馬車が到着し、扉が開いた。
「おお、ここだ、ここだ」
馬車の中から中年男性が出てくる。きっちりとした正装で、マリアさんと顔が似ていた。
「お父さん~! こっちこっち~!」
家の扉が開き、ウェディングドレスを着ているマリアさんが様子を見に来たと同時に大きな声を出す。
「おお~、マリア! なんて美しい姿なんだ、姫君のようじゃないか!」
どうやら、馬車でやってきたのはマリアさんのお父さんらしい。マリアさんの姿を見て、すでに涙ぐんでいる。
「御父様、ご無沙汰しております」
ガイアス兄さんも白い燕尾服を着て玄関にやって来た。
「ガイアス、いい男になってるじゃないか~」
マリアさんのお父さんはガイアス兄さんの肩を叩き褒めていた。
「もう、あなた。いきなり飛び出したら駄目じゃない。名前を書かないと」
馬車から降りてきたのは綺麗なドレスを着た女性で、マリアさんとどこか似ている。
「あ、お母さん~」
「まぁ~! マリア、なんて素敵なのかしら~」
想像通りマリアさんのお母さんだった。入口に受付があるのに、無視してマリアさんのもとに突っ走る。
「あのぉ……、家名と名前の控えをお願いします……」
クワルツ兄さんが手を上げながら声をかけた。
「おっと、忘れておった」
マリアさんのお父さんの方が名簿に家名と名前を書きに向かった。
マリアさんのお父さんとお母さんは家の中に招待し、父さんと対面した。話には聞いていたようだが、実際に合うのは今日が初めてだと言う。
「初めまして。ガイアス兄さんの弟のクワルツです。よろしくお願いします」
「同じく、ガイアス兄さんの弟のニクスです。よろしくお願いします」
クワルツ兄さんと僕はマリアさんの家族に挨拶をかわす。
「うむ。私の名前はパーズ・カンデリア。そして妻のマール・カンデリア。よろしく」
「よろしくお願いします」
パーズさんとマールさんは互いに頭を下げた。
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