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第二十八話 幼女たちとのコミュニケーション。
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「御馳走様でした!」
そう言って夕食を食べ終えたリューコは、箸置きへとお箸を戻し、御膳に手を合わせペコリと一礼する。
そして口直しに、モモが新たに淹れ直したハーブティーに口を付けた。暖かい液体が少しずつ彼女の喉を通り過ぎ、胃の府へと流れていった。
二日が経過したからか、リューコの胃は健康を取り戻し、きちんと食物を消化できる状態へと回復していた。
どうやら身体の内部も、長かった奴隷生活から脱却し、新しい生活に慣れて来たのであろう。
そんなリューコの周りを見れば、早食いも芸の一つよと、複数の幼女たちが箸を降ろしていた。彼女たちもリューコ同様、お茶を飲んだり、瞼を閉じて瞑想の真似事をしたりして、夕食が終わるのを持っていた。
その様に、幼女たち余裕を持って夕食後の時間を過ごせたのも、先程食べ終えた食事が久々に満足のいくものであったからだろう。
ここ三週間の間、幼女たちは誘拐によって奴隷身分とされ、碌な食事が与えられない立場へと追いやられていたのだ。
ストライダーIKUMIによって解放されていなければ、彼女たちは今もなお、生きるために味気ない食事を取らされ、望まない生き方を強制されていたことだろう。
実際、奴隷解放がなければ、リューコたち幼女一同は、その地獄で今も亡者の如く蠢いていたことだろう。
それを思えば、今は何と恵まれている事か。
美味しい食事も撮れるし、身体を張って自分たちを守ってくれる異性もいる。
『んふふっ!』
そう小声で呟く様に、リューコは自分の幸せを実感する。
だが、それは彼女に限ったことではない。リューコ同様に夕食を終えた幼女たちの多くも同じ思いであった。
今日のこの日、この幸せを得られたことに、感謝を。
リューコら幼女たちは感謝の思いを込め、大いなる存在たちに手を合わせた。無論、それは個々に心の中で行う行為であったため、彼女たちは露骨に人前で祈りのポーズを取ることはない。
しかし、その行為は確かに、天の神々や大地の精霊たちに捧げられた、感謝の祈りなのであった。
「…」
そんな幼女たちの根源的な祈りを、ストライダーはじっと見守り続けていた。
IKUMIは他人が捧げる祈りを邪魔するほど無粋な男でもなかったし、その邪気のない行為自体、守り伝えていくべき尊いものだと考えていたからだ。
また―――
(純粋な幼女たちの笑顔と、祈りの時間を守ってやるのも悪くない)
―――個人的にそうも思っていたのだった。
だが、そろそろ次にすべきことの時間だともIKUMIは思っていた。この夕食後の時間にも、まだやるべきことが残っているのである。
もちろん、それは労働といった行為ではなく、単純に幼女たちとのコミュニケーションである。
当初からストライダーは、今日一日の最後に、頑張った幼女たちを誉めてやろうと考えていた。
なぜなら、今日一日の行動を褒めて肯定してやれば、幼女たちとの関係を良好に保つことも出来て、彼女たちの自主性を育むことになると考えていたからだ。
(…こちらに召喚される前に、物の本にそう書いてあった気がする………まあ、少なくとも、悪い印象は持たれまい)
IKUMI自身としては、かなり軽い気持ちでの決意であったが、これは実際、一日の最後に行う大事な儀式である。
IKUMIと幼女たちはこれから一緒に共同生活をしていく間柄である。それに際して、互いの意識をすり合わせることは、何にも増して大事なのである。
実際、血のつながった家族であっても、これらの必要な処置を怠ったため、家庭が崩壊したと言う話は古今東西枚挙にいとまがない。
IKUMIは、その愚を犯さないために、事前の策を弄するのである。
さて、ストライダーがそんなことを考えていた間にも、夕食の終わりの時間が近付いていた。
「ん…ごちそうさまでした。スズちゃん、ケイトちゃん、私、食べるのが遅くてごめんね。」
「いやいや、気にすることないよ」
「食べるのが早い人もいれば、遅い人もいる。それだけのことだから」
「うっ、うん。ありがと」
見れば、仲良し三人組の一人リチアが、箸を置いて友人二人と会話をしていた。なぜか彼女は、自分の食事時間が長い事にラウマがあるようで、共同生活者たちに対して申し訳のない想いを抱いているようであった。
(そういれば、俺が小学生の頃も、給食を食べるのが遅い子がいて、気にしていたな………まあ、リチアにはスズとケイトがいるからんだ問題はないな………)
リチアの様子を知り、そんな感想を持つIKUMIであった。とはいえ、そんなリチアにはネガティブな思考をケアしてくれるスズ、ケイトが付いている様なので、それほど気には留めなかった。
(…さて、始めるか)
リチアが食を食べ終えたことで、問題なく全員の夕食は終了した。これ以後、IKUMIは予定通りに能動的に行動し、物事を自分のペースで進める心算であった。
つまり、IKUMIが幼女たちの今日一日の頑張りを褒め称える、コミュニケーションの時間になるということだ。
「みんな、そのままで聞いてくれ」
まずそう言って、幼女たちの注目を集めるストライダー。要件を切り出す前の準備である。
(気のせいか、今の俺は学級会を取り仕切る先生みたいだな………まあ、こんな立場も悪くない)
「今日は全員良くやってくれた。みんながそれぞれ与えられた役割を果たしてくれたから、今もこうしてゆっくりとした時間も持てた訳だ」
幼女たち全員は、そんなストライダーの感謝の言葉を、一言一句聞き逃さぬよう素直に聞き入っていた。そのため、ストライダーの演説に余計な邪魔もする者もいなかった。
「まずは、マリティア、モモ、ニコ、ニオ。君たちが家屋内の掃除を立派にやってくれたから、こうして一緒に食事することができた。感謝する」
「あっ、ありがとうございますの。過分なお褒めの言葉を頂いて、返って恐縮ですの」
「え…と、モモは与えられた役目を果たしただけです。でも、ありがとうございます」
「こちらこそ、ありがとうです…ストライダーさまに開放して貰ったから、人並みに暮らせるんですし…」
「私も同じ思いです。奴隷だった頃に比べれば、過分な御言葉だって思います。ありがとうございます」
ストライダーに名指しで褒められて、悪い気はしない四人の幼女たち。投げ掛けられた言葉に照れながらも、そんな感謝の返答をするのであった。
「そうか。そう言ってくれるとこちらとしても助かるぞ………さて、次にスズ、ケイト、リチア」
「はっ、はい!」
「はいぃっ!」
「はいっ!」
「良い返事だ。君たちも三人も、家畜小屋の掃除と牛たちの世話を御苦労だった。これから家畜は労働力として活用していく。そのために家畜の世話は、どんどん必要になってくる。これからも頼む」
「はい。スズは馬周り役の子ですから、家畜の世話は慣れています。そちらは任せてください!」
「ケイトも親は同じです。ケイトは他に山羊の世話、鳥や兎を捕まえる罠も用意できます。もし必要でしたら声をかけて下さい!」
「あの…リチアの親は動物のお医者さんでした。だからリチアも、ちょっとだけ精霊さんを通じて動物さんとお話ができます。そういった仕事があれば、ストライダーさまの御役に立てると思います」
「うむ、三人とも頼りにするぞ。それとリチアは動物と意思疎通できるんだな?」
「はっ、はい!」
「では、それが必要になった時は頼むぞ………では次だ…スノ、カナ」
最初の四人同様、すたライダーに褒められ、嬉しそうに微笑む仲良し三人組。その間にも、話は夕食の調理を担当したスノとカナの二人へと移っていた。
「はい」
「はーい!」
「うむ。今晩は全員の食事の用意、御苦労だった。みんな美味しい食事にあり付けて幸せそうだったぞ。当然、俺も感謝している」
「ありがとうございます。ストライダーさまと、あのTURUGIさまという方が、食材を用意してくださったから、献立の書物通りの料理が作れました」
「カナとしても、良い花嫁修業になりました。これもストライダーさまに自由の身にして頂いたからです。その御恩返しのためにも、微力ながらお役に立っていこうと思います」
「よろしく頼む。みんなが健康的に暮らしていくには、食事の質が重要になる。食材はこちらで何とか準備する。その後は任せる!」
「精一杯、御役目を果たします」
「私もです。御恩返しに誠心誠意、働きます」
「うん、そこまで行ってくれると頼もしいぞ………では、最後にリューコ、ノア、アマナ」
その様に、今日の夕食への感謝と、これからの食事に関する話は終了した。ストライダーとのコミュニケーションを終え、二人共、笑顔だった。
そして最後に、話は村の周辺に土塁を張り巡らすことに貢献した、三人へと移るのだった。
「はい!」
「はい!」
「はい!」
「三人とも、精霊術の件はよく頑張ってくれた。これで外敵の心配は粗方片付いた。夜警のSANSAIはこちらで用意したから、今日は君たちも、他の子たちと一緒にぐっすりと眠ってくれ」
「ありがとうございます。それと今日は精霊術を体験させてくれて、すごく良い経験でした。上手く力を使えるようになったら、ⅠKUMIさんのために頑張ります!」
「ストライダーさま、奴隷から解放してくれるだけではなく、精霊術も使えるように訓練してくださって、本当にありがとうございました。誠心誠意、仕えていきます!」
「IKUMIさん、おかげさまで、無事に喋れるようになれました。またお褒めの言葉を頂けるように、水の精霊術を使って誠心誠意、お仕え致します」
三人は、それぞれの立場からIKUMIへと感謝の言葉を返して、これからも自分の出来ることの範囲で、協力を誓うのだった。
「ああ、頼む。正直な話、君たちには将来的に、この村の守り手になってくれることを期待している。それが、この場に居る他の子たちも守ることになる。解るな?」
そんなIKUMIの念押しに、より生真面目な表情になった三人は無言で肯いて行く。話を真面目に聞いていた他の幼女たちも、自分たちも同様に頑張ると、新たな決意を胸にし、ストライダーを見返すのだった。
(うむ、どうやら今回のコミュニケーションは成功のようだな)
「では、今夜の話し合いはこれでお終いだ。歯磨きや細々としたことを済まして、みんな休んでくれ。今日は本当にありがとう」
IKUMIはそう話を終えた後、最後に幼女全員の顔をそれぞれ見詰め、今晩のコミュニケーションをお開きにした。
「それでは、食器と歯磨きなどが終わりましたら、私は先に休ませて頂きますの」
そうすると、殊勝なことにマリティアがそう言って来た。ストライダーの指示通りに、みんなを引き連れてこ大人しく寝る心算のようだ。
ストライダーも疲れているだろうから、我儘を言ってはいけないという、マリティアなりの配慮であった。
「そうだね、僕も今日は大人しく寝るよ。それとみんな、御花摘みを忘れないでね!」
ドッ!
アハハハハハハハッ!!!!
直球なノアの発言に、幼女たちから笑いが巻き起こった。どうやらノアには、こういう場を茶化して笑いを誘う、ムードメーカーの才能もあるようだった。
「もうっ! ノアったら、なんでIKUMIさんがぼかした表現で言っていたことを言ってしまうんですの!」
ただ、茶化された側のマリティアだけは堪ったものではない。赤面してノアに文句を言うのであった。
アハハハハハハハッ!!!!
また巻き起こる幼女たちの笑い声。
「ふっ…ではな。俺は夜警がてら、外で休ませてもらう」
そんな幼女たちの笑顔が溢れる家屋から、ストライダーが一言断った後、屋外へと向かおうとする。
「あっ! それじゃストライダーさま…IKUMIさん、お休みなさい!」
「IKUMIさま、お休みなさい」
「お休みですの!」
「殿、お休みなさい!」
「お先に失礼します」
「おやすみなさーい!」
リューコをはじめ幼女たちによって、屋外へと向かうストライダーへと、お休みの言葉次々と送られていった。
「ああ。お休み」
見送る幼女たちに、もう一度そう言って、ストライダーは屋外へと出て行くのだった。
そう言って夕食を食べ終えたリューコは、箸置きへとお箸を戻し、御膳に手を合わせペコリと一礼する。
そして口直しに、モモが新たに淹れ直したハーブティーに口を付けた。暖かい液体が少しずつ彼女の喉を通り過ぎ、胃の府へと流れていった。
二日が経過したからか、リューコの胃は健康を取り戻し、きちんと食物を消化できる状態へと回復していた。
どうやら身体の内部も、長かった奴隷生活から脱却し、新しい生活に慣れて来たのであろう。
そんなリューコの周りを見れば、早食いも芸の一つよと、複数の幼女たちが箸を降ろしていた。彼女たちもリューコ同様、お茶を飲んだり、瞼を閉じて瞑想の真似事をしたりして、夕食が終わるのを持っていた。
その様に、幼女たち余裕を持って夕食後の時間を過ごせたのも、先程食べ終えた食事が久々に満足のいくものであったからだろう。
ここ三週間の間、幼女たちは誘拐によって奴隷身分とされ、碌な食事が与えられない立場へと追いやられていたのだ。
ストライダーIKUMIによって解放されていなければ、彼女たちは今もなお、生きるために味気ない食事を取らされ、望まない生き方を強制されていたことだろう。
実際、奴隷解放がなければ、リューコたち幼女一同は、その地獄で今も亡者の如く蠢いていたことだろう。
それを思えば、今は何と恵まれている事か。
美味しい食事も撮れるし、身体を張って自分たちを守ってくれる異性もいる。
『んふふっ!』
そう小声で呟く様に、リューコは自分の幸せを実感する。
だが、それは彼女に限ったことではない。リューコ同様に夕食を終えた幼女たちの多くも同じ思いであった。
今日のこの日、この幸せを得られたことに、感謝を。
リューコら幼女たちは感謝の思いを込め、大いなる存在たちに手を合わせた。無論、それは個々に心の中で行う行為であったため、彼女たちは露骨に人前で祈りのポーズを取ることはない。
しかし、その行為は確かに、天の神々や大地の精霊たちに捧げられた、感謝の祈りなのであった。
「…」
そんな幼女たちの根源的な祈りを、ストライダーはじっと見守り続けていた。
IKUMIは他人が捧げる祈りを邪魔するほど無粋な男でもなかったし、その邪気のない行為自体、守り伝えていくべき尊いものだと考えていたからだ。
また―――
(純粋な幼女たちの笑顔と、祈りの時間を守ってやるのも悪くない)
―――個人的にそうも思っていたのだった。
だが、そろそろ次にすべきことの時間だともIKUMIは思っていた。この夕食後の時間にも、まだやるべきことが残っているのである。
もちろん、それは労働といった行為ではなく、単純に幼女たちとのコミュニケーションである。
当初からストライダーは、今日一日の最後に、頑張った幼女たちを誉めてやろうと考えていた。
なぜなら、今日一日の行動を褒めて肯定してやれば、幼女たちとの関係を良好に保つことも出来て、彼女たちの自主性を育むことになると考えていたからだ。
(…こちらに召喚される前に、物の本にそう書いてあった気がする………まあ、少なくとも、悪い印象は持たれまい)
IKUMI自身としては、かなり軽い気持ちでの決意であったが、これは実際、一日の最後に行う大事な儀式である。
IKUMIと幼女たちはこれから一緒に共同生活をしていく間柄である。それに際して、互いの意識をすり合わせることは、何にも増して大事なのである。
実際、血のつながった家族であっても、これらの必要な処置を怠ったため、家庭が崩壊したと言う話は古今東西枚挙にいとまがない。
IKUMIは、その愚を犯さないために、事前の策を弄するのである。
さて、ストライダーがそんなことを考えていた間にも、夕食の終わりの時間が近付いていた。
「ん…ごちそうさまでした。スズちゃん、ケイトちゃん、私、食べるのが遅くてごめんね。」
「いやいや、気にすることないよ」
「食べるのが早い人もいれば、遅い人もいる。それだけのことだから」
「うっ、うん。ありがと」
見れば、仲良し三人組の一人リチアが、箸を置いて友人二人と会話をしていた。なぜか彼女は、自分の食事時間が長い事にラウマがあるようで、共同生活者たちに対して申し訳のない想いを抱いているようであった。
(そういれば、俺が小学生の頃も、給食を食べるのが遅い子がいて、気にしていたな………まあ、リチアにはスズとケイトがいるからんだ問題はないな………)
リチアの様子を知り、そんな感想を持つIKUMIであった。とはいえ、そんなリチアにはネガティブな思考をケアしてくれるスズ、ケイトが付いている様なので、それほど気には留めなかった。
(…さて、始めるか)
リチアが食を食べ終えたことで、問題なく全員の夕食は終了した。これ以後、IKUMIは予定通りに能動的に行動し、物事を自分のペースで進める心算であった。
つまり、IKUMIが幼女たちの今日一日の頑張りを褒め称える、コミュニケーションの時間になるということだ。
「みんな、そのままで聞いてくれ」
まずそう言って、幼女たちの注目を集めるストライダー。要件を切り出す前の準備である。
(気のせいか、今の俺は学級会を取り仕切る先生みたいだな………まあ、こんな立場も悪くない)
「今日は全員良くやってくれた。みんながそれぞれ与えられた役割を果たしてくれたから、今もこうしてゆっくりとした時間も持てた訳だ」
幼女たち全員は、そんなストライダーの感謝の言葉を、一言一句聞き逃さぬよう素直に聞き入っていた。そのため、ストライダーの演説に余計な邪魔もする者もいなかった。
「まずは、マリティア、モモ、ニコ、ニオ。君たちが家屋内の掃除を立派にやってくれたから、こうして一緒に食事することができた。感謝する」
「あっ、ありがとうございますの。過分なお褒めの言葉を頂いて、返って恐縮ですの」
「え…と、モモは与えられた役目を果たしただけです。でも、ありがとうございます」
「こちらこそ、ありがとうです…ストライダーさまに開放して貰ったから、人並みに暮らせるんですし…」
「私も同じ思いです。奴隷だった頃に比べれば、過分な御言葉だって思います。ありがとうございます」
ストライダーに名指しで褒められて、悪い気はしない四人の幼女たち。投げ掛けられた言葉に照れながらも、そんな感謝の返答をするのであった。
「そうか。そう言ってくれるとこちらとしても助かるぞ………さて、次にスズ、ケイト、リチア」
「はっ、はい!」
「はいぃっ!」
「はいっ!」
「良い返事だ。君たちも三人も、家畜小屋の掃除と牛たちの世話を御苦労だった。これから家畜は労働力として活用していく。そのために家畜の世話は、どんどん必要になってくる。これからも頼む」
「はい。スズは馬周り役の子ですから、家畜の世話は慣れています。そちらは任せてください!」
「ケイトも親は同じです。ケイトは他に山羊の世話、鳥や兎を捕まえる罠も用意できます。もし必要でしたら声をかけて下さい!」
「あの…リチアの親は動物のお医者さんでした。だからリチアも、ちょっとだけ精霊さんを通じて動物さんとお話ができます。そういった仕事があれば、ストライダーさまの御役に立てると思います」
「うむ、三人とも頼りにするぞ。それとリチアは動物と意思疎通できるんだな?」
「はっ、はい!」
「では、それが必要になった時は頼むぞ………では次だ…スノ、カナ」
最初の四人同様、すたライダーに褒められ、嬉しそうに微笑む仲良し三人組。その間にも、話は夕食の調理を担当したスノとカナの二人へと移っていた。
「はい」
「はーい!」
「うむ。今晩は全員の食事の用意、御苦労だった。みんな美味しい食事にあり付けて幸せそうだったぞ。当然、俺も感謝している」
「ありがとうございます。ストライダーさまと、あのTURUGIさまという方が、食材を用意してくださったから、献立の書物通りの料理が作れました」
「カナとしても、良い花嫁修業になりました。これもストライダーさまに自由の身にして頂いたからです。その御恩返しのためにも、微力ながらお役に立っていこうと思います」
「よろしく頼む。みんなが健康的に暮らしていくには、食事の質が重要になる。食材はこちらで何とか準備する。その後は任せる!」
「精一杯、御役目を果たします」
「私もです。御恩返しに誠心誠意、働きます」
「うん、そこまで行ってくれると頼もしいぞ………では、最後にリューコ、ノア、アマナ」
その様に、今日の夕食への感謝と、これからの食事に関する話は終了した。ストライダーとのコミュニケーションを終え、二人共、笑顔だった。
そして最後に、話は村の周辺に土塁を張り巡らすことに貢献した、三人へと移るのだった。
「はい!」
「はい!」
「はい!」
「三人とも、精霊術の件はよく頑張ってくれた。これで外敵の心配は粗方片付いた。夜警のSANSAIはこちらで用意したから、今日は君たちも、他の子たちと一緒にぐっすりと眠ってくれ」
「ありがとうございます。それと今日は精霊術を体験させてくれて、すごく良い経験でした。上手く力を使えるようになったら、ⅠKUMIさんのために頑張ります!」
「ストライダーさま、奴隷から解放してくれるだけではなく、精霊術も使えるように訓練してくださって、本当にありがとうございました。誠心誠意、仕えていきます!」
「IKUMIさん、おかげさまで、無事に喋れるようになれました。またお褒めの言葉を頂けるように、水の精霊術を使って誠心誠意、お仕え致します」
三人は、それぞれの立場からIKUMIへと感謝の言葉を返して、これからも自分の出来ることの範囲で、協力を誓うのだった。
「ああ、頼む。正直な話、君たちには将来的に、この村の守り手になってくれることを期待している。それが、この場に居る他の子たちも守ることになる。解るな?」
そんなIKUMIの念押しに、より生真面目な表情になった三人は無言で肯いて行く。話を真面目に聞いていた他の幼女たちも、自分たちも同様に頑張ると、新たな決意を胸にし、ストライダーを見返すのだった。
(うむ、どうやら今回のコミュニケーションは成功のようだな)
「では、今夜の話し合いはこれでお終いだ。歯磨きや細々としたことを済まして、みんな休んでくれ。今日は本当にありがとう」
IKUMIはそう話を終えた後、最後に幼女全員の顔をそれぞれ見詰め、今晩のコミュニケーションをお開きにした。
「それでは、食器と歯磨きなどが終わりましたら、私は先に休ませて頂きますの」
そうすると、殊勝なことにマリティアがそう言って来た。ストライダーの指示通りに、みんなを引き連れてこ大人しく寝る心算のようだ。
ストライダーも疲れているだろうから、我儘を言ってはいけないという、マリティアなりの配慮であった。
「そうだね、僕も今日は大人しく寝るよ。それとみんな、御花摘みを忘れないでね!」
ドッ!
アハハハハハハハッ!!!!
直球なノアの発言に、幼女たちから笑いが巻き起こった。どうやらノアには、こういう場を茶化して笑いを誘う、ムードメーカーの才能もあるようだった。
「もうっ! ノアったら、なんでIKUMIさんがぼかした表現で言っていたことを言ってしまうんですの!」
ただ、茶化された側のマリティアだけは堪ったものではない。赤面してノアに文句を言うのであった。
アハハハハハハハッ!!!!
また巻き起こる幼女たちの笑い声。
「ふっ…ではな。俺は夜警がてら、外で休ませてもらう」
そんな幼女たちの笑顔が溢れる家屋から、ストライダーが一言断った後、屋外へと向かおうとする。
「あっ! それじゃストライダーさま…IKUMIさん、お休みなさい!」
「IKUMIさま、お休みなさい」
「お休みですの!」
「殿、お休みなさい!」
「お先に失礼します」
「おやすみなさーい!」
リューコをはじめ幼女たちによって、屋外へと向かうストライダーへと、お休みの言葉次々と送られていった。
「ああ。お休み」
見送る幼女たちに、もう一度そう言って、ストライダーは屋外へと出て行くのだった。
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