若頭が異世界でお嬢を溺愛するお話

なーさん

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28*雛の過去②

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「雛、話があるの」


珍しく夜のお仕事から少し早めに帰ってきてお母さんに起こされた

「なに?」

眠い目をこすりながら居間に行くと男の人が座っていた

「あのね、少し前からお母さん、この人とお付き合いしていてね、紹介しておきたくて」

頬を赤くして照れたように話すお母さんはとても幸せそうで私まで嬉しくなった



でも、それは間違いだった




「おい、お前、あの客と寝てんだろう!?」

「そんなわけ‥‥」

バチン

「お母さん!!!!」

「あ”ぁ?ガキはあっちに行ってろ!!!」

男の怒声が部屋に響くビクっとしてもお母さんを叩くなんて許せない。
男を睨みつけてお母さんを庇うように立ち上がる

「なんだその目はぁ!!??」

どす

ガシャン


思いっきりお腹に蹴りを食らってテーブルに吹き飛ばされた

「やめて!!!!雛に手を上げないで!!私が悪かったから!!!」

「お前、誰のおかげで飯が食えてんだ?おめぇみたいな女を囲ってやってる俺のおかげだろうが?あぁ?」

「ごめんなさいごめんなさい」

「俺はお前と別れてもいいんだぜ?それを嫌がるのはおめぇだろ?それに、浮気したのもおめぇだろ?全部お前のせいだろ?」

「ごめんなさいごめんなさい」

お母さんは泣きじゃくって震えて男にすがりついている

くるしくて立ち上がれない
またお母さんが殴られる
やめさせなくちゃ
そんな気持ちで精一杯男の事を睨みつける

「このガキまだ立場がわかってねぇんだな?」

何発か殴られても睨む事を辞めなかった
男はしびれを切らしたのか髪を思いっきり掴んで引きずってベランダに捨てるように投げた


「ここでちゃんと反省しろ」



ガラガラピシャン


お母さんが窓越しに何か言っている
でも、お母さんには笑って大丈夫って言った
男にカーテンを閉められ一晩中薄着でベランダで過ごした



次の日、朝学校があるからなのか部屋に入れてくれた
お母さんは何回もごめんねと言ってくれた


「おまえ、この事学校に言おうとか思ってないだろうな?そんなことしてみろ。おめえの大事なお母さんがどうなっても知らねーぞ?」

ニタァと汚い笑みを浮かべて言われた

「言わない。」

「物分かりのいい娘でよかったなぁ?」

「雛‥‥ごめんね‥‥」

「私は大丈夫だよ。行ってきます」



その日の体育の時間、私は倒れた



保健室で目が覚めて先生が心配そうに顔を覗き込んできた


「梅垣さん‥‥ちょっと、話聞いてもいい?」

(あ、体見られた?)

「もしかして‥‥お家の人に、暴力とか‥‥振るわれてる?」

直球で言われて少し戸惑ったが男の言葉を思い出して先生に笑顔を作る

「あー、いや、これは、階段でこけたんですよ~~最近寒いから氷張ってるじゃないですか!それでツルーンって滑っちゃって!お母さんとはとっても仲良しですよ!」

「あ、そうなの?」

明らかに嘘ってわかるくせに。
面倒ごとは嫌だもんね。
知らないふりしてくれたらいい。
大丈夫、私は。大丈夫



それからも頻繁に暴力を振るわれることが多くなって行った


でも、誰にも相談しなかった。
言っても仕方ないってわかってたから


その日は、家に帰ると男だけが部屋にいた



ランドセルを置きに自室に行くとなぜか男が入ってくる


「おまえ、本当に母ちゃんのこと好きだよな?」


「‥‥好きだけど?」


「じゃあ、母ちゃんのためならなんでもできるよな?」


「‥‥は?」




グイ


男に腕を取られて畳まれている布団に投げられる

男は酔っているのかお酒くさい

男が上に被さってきて何をされるのか察した




絶対、嫌だ!!!



「やめて!!どいて!!!!」

「うるせぇ!!!」

バチン

「気持ち悪い!!!いや!!!!」

「へへ、あの女のガキなだけあって‥‥」

男が顔を近づけてきて咄嗟に

「やだーーーー!!!!」


頭突きして思いっきりお腹を蹴り飛ばす




男がよろけた隙に立ち上がって靴も履かずに外に飛び出した






家からどのくらい走ったのかわからない

ここがどこなのかも分からない

河原の橋の下に身を隠して声を殺して泣いた



このまま私は死んじゃった方がいいんじゃないか




そうしたら、お母さんは少しでも悲しんでくれるかな?

‥‥いや、ホッとするんだろうな

なんでお父さんはいなくなっちゃったんだろう

なんで私ばっかりこんな目に合わなきゃいけないの?

もう嫌だ。辛い。悲しい。



お母さんは謝るだけであいつと別れてくれない

お母さんが幸せならって思ってたけどもう無理だよ‥‥




誰か助けて‥‥



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