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29*雛の過去③
しおりを挟むガサ ガサ
「ひっ!」
な、なに!?
何か来る。
でも何かわからなくて遠くに行くのを声を殺して目を瞑って身を縮めて息を潜める
「あれ?こっちになんかあると思ったんだけど‥‥」
‥‥人?
少し頭をあげてみる
「って、みぃつけた!」
「ひゃうっ!!!」
急に肩を叩かれてビクゥっと体か震える
「あぁ、ごめんごめん。驚かせちゃったね。でも良かった、無事で。」
この男は目を細めて雛の頭を撫でる
「‥‥誰?」
私のことを知っているような口振りにまた身を固くする
「大丈夫、俺は雛の味方だよ。」
「‥‥え?」
無意識にポロポロと涙が溢れて止められない
撫でられた頭が暖かいから。どうしていいかわからなくなった
*****
連れてこられたのは大きいお屋敷。
怖い顔をした人がとても多くて怖い
通された部屋に入ると ーー ・・
「雛、おかえり」
お爺ちゃんがいた
「お、じいちゃん?」
「一年ぶりだもんなぁ~大きくなったなぁ。雛、じぃちゃんの事忘れちまったか?」
「お爺ちゃん‥‥忘れるわけ‥‥うっうっうわぁぁぁああん」
久々に会ったお爺ちゃんは少し痩せててでもいつも通り暖かくて私はお爺ちゃんに縋り付いて今までの事をぶちまけるかの様に泣いた
泣いて泣いて泣いて
泣きつけれてお爺ちゃんの隣で手を繋いでもらって寝た
「‥‥悠二。見つけてくれてありがとうな。」
「とんでもねぇっす。」
「雛‥‥どんだけ我慢したんだろうな。不甲斐ねぇ」
「親父はずっと探していたじゃないですか。諒さんが‥‥」
「雛の前で父親のことは言うなよ。」
「すんません。」
「雛、もっと早くに見つけられてたら‥‥ごめんな。」
大きな手で雛の頭を撫でながら謝られる
翌朝
「雛、今日からお前はここで暮らすんだ。」
「‥‥え?お母さんは?」
「美智子さんはちゃんとわかってるよ。でも、ごめんな、もう無理だって言われちまった。」
「‥‥」
「雛、じいちゃんと暮らすのは嫌か?」
「ちがうの。お母さん、私がいない方が幸せだもん。でも、あいつと別れれないだろうし‥‥また、ぶたれるから‥‥心配‥‥」
「っ!」
(こんな年端もいかない子供がいない方が幸せだなんて‥‥どんな生活してたんだよ。)
悠二は襖ごしに聞いていてギリっと歯を軋ませた
「雛、大丈夫だよ。あの男はもう美智子さんには近づけないから。」
「っ!本当?」
「本当だ。美智子さんも、夜の仕事はもうしないって言ってたしちゃんとした職につくと約束したからね。」
「お爺ちゃん、すごい!どうやったの?私だけじゃダメだった。ありがとう!!!」
「雛は十分頑張ったよ。美智子さんも、俺たちもちゃんと分かってるから。これからは、自分のことを考えていいんだよ。」
「うん、う‥‥ん。ありが・・と。」
涙でぐしゃぐしゃになりながらお礼を言う
「でもな、美智子さんも療養が必要だ。だから、暫くお爺ちゃんと暮らそう?」
「分かった!これから宜しくね!!」
「あぁ、こちらこそ。宜しくな。 ‥‥悠二」
スス‥‥
「はい」
お爺ちゃんが悠二の名を呼ぶと襖を開けて入って来る
「今日から、雛の世話を頼む。」
「わかりました。」
「あ、私!自分でなんでもできるよ!!家事も、ご飯も一通り大丈夫だよ!」
断ろうとすると悠二は片膝ついて目線を合わせてきた
「お嬢、これからは俺がずっとそばに居ます。」
「でも、」
「お嬢のことは何があっても俺が守ります。もう一人で泣かせたりしません。絶対に。一人になんてしませんから。だから、俺のことをそばに置いてはくれませんか?」
悠二がふわっと笑って頭を撫でてくれる
それがとても心地よくて胸が苦しくなる
「でも、迷惑になるんじゃ‥‥?」
「迷惑なんて思うわけないじゃないですか。」
「でも、あたし意外とわがままだし‥‥」
「わがままで良いんです。甘えてください。」
「私のこと、負担になって来る‥‥」
「そんな事はあり得ません。」
「‥‥ほんとうに?」
「はい。」
「私から、離れていかない?」
「嫌がったとしても、絶対に離れません。」
「‥‥。」
「お嬢、俺の事は悠二と呼んでください。」
「ゆ、うじ?」
「はい!」
*****
多分、あの時から好きだったんだと思う。
でも、怪我して帰ってきたり、一緒に出かけた時にとても綺麗な人がよってきた時にキスされてるのを見たり、『保護者』『妹』と言われるとそうなんだろうなって思った。
好きだけど、これは『家族愛』
そう言い聞かせてた。
それに、極道の男を好きになっても大変なだけ。
いつ死ぬかわからない。
聞いた話、お父さんも極道だった。で、いつの間にか蒸発
何があったのかはわからない。
でも、そんな職業の人を好きになってもお母さんと同じ様に泣くことになるだけ
だから、真っ当な堅気の人と恋がしたかった。
悠二のことが好きだけどこの恋は黙ってなきゃいけないと思ったから。
だって、悠二もそれを望んでると思ったから
だから、あの時あんなことしたんだよね?
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