ハイスペック隠れ腐女子が異世界に転生しました。~二度目の人生全力で楽しみます!~

なーさん

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第1章 この度、伯爵令嬢になりました。

3*下町って、いい人ばかりなのってデフォみたいです。

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私はいま、下町に遊びにきました。

 貴族特有の服装は脱いで下町に行くための平民服に着替えて。

 お散歩がてらフラフラしてるといつもの本屋のお婆ちゃんが店先で日向ぼっこしながら店番してます。

「おばあちゃん、こんにちは」

「おや、チャコちゃんか。今日は寄ってかないのかい?」

「昨日も寄ったからまた今度にする~。なにか面白い本が出たら教えてね!」

「はいよ。チャコちゃんはこの店一番のお得意様だからねぇ~。いつでも来てね。」

 本屋さんを超えてまっすぐ坂を下りてしばらく行くと、市場があってとても賑やかでいつもお祭り騒ぎです。そこにも毎週のように行くと、顔を覚えてくれて、とても良くしてくれる人ばかりでお散歩するのがとても楽しいです。

 どこかのスピーカーからは、陽気な歌が流れていてついつい口ずさんでしまいます。

「よう!チャコ!今日はこねぇのか?」

「アラン。うーん、一曲だけならいいよ?」

 真っ赤な髪に正反対のブルーの瞳を持つ、とても目立つ色彩のこの男の子は、市場の奥の噴水前でよくストリートライブをしている子です。とっても声が良くて、聞き惚れてしまいます。歌っていた歌を口ずさんだら一緒に歌おうってなってから、よく一緒にストリートライブをすることがあります。

「チャコがいる日といない日だと全然客の反応が違うんだ!財布の紐も緩くなるみたいだしな。来てくれるとありがたい!」

「うまいなーー!はは。アランの声のがとても綺麗だし、ギターも上手いんだからお世辞言われても間に受けらんないよ~。」

「本当なんだって~!じゃあ、あれ歌おうぜ!お前が教えてくれたやつ!えーーっと、そうだ!さくらんぼ!」

「さくらんぼね、いいよー!」

 トン、トン、トン、トン

 ーーーー♪

 ーーー♪

「手のひらで‥‥♪」

 やっぱり、アランと歌うのは気持ちがいいです。

 だって、何も教えてないのにすごく綺麗にハモってくれて、聞いてくれてる人も私も、自然と笑顔になって行くのがわかるから。

 ワァ・・パチパチパチ

 いつの間にか多くの人が、足を止めて私たちの歌を聞いてくれたみたいでした。

 アランと顔を見合わせて自然と笑い掛け合います。

この世界に来て本当に思います。

 前世の歌は本当にすごい。だって、歌詞にこんなに気持ちがこもっていて、いろんな音が重なり合っていて…綺麗な音や、激しい音。全ての音が混ざり合っているのに、乱れたような音にはならなくて。不思議なくらい自然と体が動いてしまう。この世界にはオペラみたいなすごいのもあるけれど、私はそっちよりもこっちの歌のがやっぱり好きです。

 太鼓とギターとボーカル、後はラッパや横笛、庶民には手が出せる楽器はこのくらいだけど、いつか私のピアノを入れて本格的なライブして見たい。・・・まぁ、カバーライブですけど。

 本当は、カラオケでいいんだけどね。

 でも、こんな拍手もらったり歓声を聞くと…ちょっとだけ欲張ってしまいます。

 まぁ、できるかどうかもわからないですけどね。

 ーーーーー・・・・ん?

 なんか、すごく見られているような‥‥いや、沢山の人から見られて居るんだけども。それとは違う、なんか観察されて居るような‥‥辺りを見渡してみても特に変な人が居るように見えないけど‥‥なんか、違和感ありました。なんでしょう、勘違いです、かね‥‥?

 アランとはお別れをしてまた歩き出します。

 私にはみんなが知らない秘密基地があるのです!市場を超えて、噴水のある広場の小道を上へ歩くと殆ど人が寄り付かない遺跡後みたいなところがあります。そこから見る景色はこの町1番だとおもいます!とても綺麗でそこで思考の海に浸ったり、思いっきり歌ったりするんです。思いっきり趣味の場なので、一緒に見つけた幼馴染以外には内緒の場所です。

「やっぱり~ここは落ち着きますねぇ。」

 うふふのふ。さて、先にアレやりますか。

『アレ』とは・・もちのろん!今日あったカート兄様とハンクのお姫様抱っこの事を書き留めておくのです!BのL寄りな思考の日記だとでも思っていただければと思います。だって、この世界には腐った方達が居ないし・・ココはチイッターや、コミケなどが無いので、仲間を探すことも出来ないので、書きながらニヨニヨするしかないのです。スマホなどという便利なものはありませんからね。

「ふふふのふ~♪・・・。」

 ーーーーー‥‥やっぱり。なんか見られて居る気がする。

「‥‥誰?どうして後をついてくるの?」

 特にどこに居るか分からなかったけど空中に向かって話しかけて見ました。よく、こうするとシュタッとあらわれたりーーー‥‥

シュタッ

「うわぁ!!」

 本当に出て来た‥‥まさかでびっくりです。

「俺の気配をよくわかったな。」

 中二病のようなセリフを真顔で言い切りました。

 出て来たのは真っ黒な髪色に、赤味がかった黒の瞳が印象的な綺麗な顔をした男の子が立って居ました。

「‥‥広場でもみてたでしょ?なんだか視線が気になったの・・。」

「あぁ。そんな早くに気づかれて居たのか。」

「それで?私に何か用?」

「‥‥いや。別に」

 ・・・・・。いやいや、別にってなんやねん!反応困るわ!ツンデレか!?ツンデレなのか!?人の後つけて来たくせに!用もないって何?…うーん。綺麗な身なりしてるし、貴族かな?うーん。御付きの人とかいないのかな?あ、それはあたしもか。まぁ、抜け出して来たんだから当たり前か。この子も…そしたら同じ感じかな?

「あなた、お名前は?」

座っていたところから降りて、男の子に近づきます。

「ディナン。」

あ、素直に名前教えてくれるんですね。

「ディナン様ね。私はチャコと申します。以後お見知り置きを。」

 一応貴族の礼を取ると、ディナンは驚いたように大きく目を見開きました。

「お前‥‥俺の事が分かるのか‥‥?」

「?ディナン様でしょ?私たちは初対面ですよね?」

 言って居る意味がわからなくて頬に手を添えながら首を傾げてしまいました。

「・・そうだよな。…様はいらない。俺は、只のディナンだ。」

 明らかに命令することに慣れてますって感じだし、高貴なお家の人だとは思うんですけど‥‥。只のディナンがいいなら、ディナンって呼び捨た方がいいのかな。

「‥‥ディナン。これから宜しくね。」

「………おう。」

 そのまま、ディナンは私の横に座って景色を見て居ました。特に話すわけでもなく、ただ隣にいて、時折視線を感じてノートから視線をあげると、視線がぶつかります。子供特有の可愛らしさに頬が緩んでしまいそうです。笑ったら悪いと思って、気づかなかったふりしてまたノートを見つました。

「ディナン。私はもう帰ります。」

「‥‥そうか。」

「はい。では。」

  帰ることを告げて後ろを向くと、何故か手を取られました。

 呆気にとられて居ると、ディナンは気まづそうに視線を彷徨わせました。

「あ‥‥明日も、‥‥来るのか?」

 真っ赤になりながらポツリと漏れたような言葉が聞こえました。

・・・・・・え、何この子、可愛い!!! 照れてるの?ツンデレというやつなの!!??

「明日は予定があるので・・・来れませんね。」

「そうか‥‥。」

 明らかにシュンとしてる!!子犬か!?子犬なのか!?なんなのこの子!!持って帰りたい!

「・・・でも、三日後なら、同じくらいの時間に来ると思います。」

 私の言葉を聞いて、ディナンはバッと顔を上げて、パァっと表情が明るくなりました。

「そうか!」

「また会えると、私も嬉しいです。ディナンといるのは…なんだか落ち着きましたから。」

 ニコっと笑って言うと、ディナンは真っ赤になってワタワタしてしまいました。可愛すぎルゥ~~~

「‥‥じゃあ、三日後の同じ時間だからな。約束だぞ!」

「ふふ。はい、約束です。」

 そう言うと、ディナンはあっという間に姿が見えなくなりました。

「不思議な子。でも、可愛いからいいか。」

 帰り道をルンルンで歩いていると、本屋の辺りで見慣れた人が見えました。

「チャコ!」

「レイ兄様。」

 レイ兄様は私を見つけると、猛スピードでこっちにかけて来てくれました。

「遅いから心配したよ。庭にもいないし‥‥もしかしてと思って噴水まで見に行く所だった。」

「あら。そんなに遅くはないですよ?まだ4時じゃないですか。お夕飯には二時間もあります。」

「それでも。一人で街に出るのはやめてくれよ。本当に心配になるんだ。」

「うーん‥‥それは‥‥、うーーん‥‥。」

「まぁ、自由人なチャコに言うだけ無駄か。いいよ。私がチャコのこと見てるから。自由にしてて。ほら、帰ろ?」

レイ兄様は、諦めたようにため息を吐いて頭を掻きました。

そして、私に手を差し出してくれます。

「ふふ。ありがとうございます、レイ兄様。」

 出された手を繋いで屋敷まで歩きました。

 今日も、夕日がとても綺麗です。

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