ハイスペック隠れ腐女子が異世界に転生しました。~二度目の人生全力で楽しみます!~

なーさん

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第1章 この度、伯爵令嬢になりました。

28*【ジョー目線】

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【ジョー目線】

チャコが急に領地へ旅立ってから数日が過ぎた。

・・・そろそろ、領地についている頃かな。今夜、手紙書こう。

剣の稽古をしつつ、特に代わり映えしない日々。チャコが王都にいない、結晶石で連絡が取れない、声が聞けないだけで、こんなにも退屈な日常になるんだな。なんでいきなり領地なんかに?あー早く帰ってきてほしい。チャコ曰く、何か大事な話があるとかなんとからしいけど‥‥今年の冬はあっちに行っているらしい。本当につまらない。

「ジョー、そろそろ出るぞ。」

兄上に呼ばれた。5歳上の兄上は、この国の第一王子と友達らしい。
将来は、第一王子の護衛になるために、今から剣の腕を磨いている。

俺も、このまま行くならディナンの護衛になるのか?‥‥まぁ、いいけど。

最近は、騎士見習いとして、王宮の騎士棟の訓練場で訓練をさせて貰ったりしている。
俺もここ1年で忙しくなったけど、チャコも、最近すごく忙しくなったらしい。
今までの勉強に加えて、夏の終わりからは魔法も習い始めた。
あと、何故か護身術も習い始めたらしい。その、護身術がとても本格的で、冒険者になるのか?というくらい、俺にもきついメニューをチャコは不思議に思わずにしている。

・・・あの時、ちゃんと俺がチャコの事守ってれば。

この前、異国の子供を助けるためにチャコが無理をした。
結果的には、2人とも無事だったけど、次の日にはチャコが熱を出した。
あの日、俺は何もできなかった。
チャコの手を引いてたのは俺だったのに。
手を離されて、一瞬何が起きたか分からなくて追いかけるのを躊躇った。躊躇ったら、すぐにチャコの背中が見えなくなった。‥‥チャコがどんどん遠くへ行ってしまうような気がして怖くなった。

「ジョー、今日も稽古に付き合え。」

ぼーっとしていたら、いつの間に来ていたのか、ディナンに模擬刀を渡された。
あの日から、ディナンも必死に剣の腕を、魔法の力を磨くようになった。
ディナンも思うところがったんだと思う。‥‥こいつも、チャコのことが好きだから。
チャコを守れなかった俺たちは、お互いに今、必死で努力している。

ディナンは、もともと魔法もすごく上手で、最近は身体強化しながら剣を振るったりしてもブレなくなってきている。‥‥身体強化って、扱いが難しくて集中しながら剣を振るうのはとても大変なのに、ディナンはちょっとづつ上達しているのがわかる。俺も、少しづつやるようにはしているけど、なかなか両立して出来ない。

「チャコ、今頃はもう領地に着いたかね?」

休憩中、ディナンが話しかけてきた。

「‥‥出発して3日だから、そろそろ着くんじゃない?予定では、昼過ぎには着くって言っていたと思うけど。」

「私にもっと魔力があったら、チャコの領地でも結晶石で連絡できたんだがなー」

「受け取れても、返せなかったら意味ないでしょ。」

「ふは。確かにな。‥‥無事に着いててくれるといいが‥‥」

「だな。」

数年前、チャコは領地に行った帰りに家族で事故に遭い、重体な怪我を負った。
それで、チャコのお母さんが死んじゃったし、おじさんは抜け殻のようになって仕事をしなくなった。カートは骨折くらいで、比較的すぐに意識も取り戻したけど、チャコは一週間くらい意識不明になって、意識を取り戻したと思ったらまた倒れた。その後、起きたらチャコは今までのただの小さいだけのチャコじゃなくなってた。大人びた話し方になって、周りの大人はビックリしていた。

あの時くらいから、チャコが知らない歌を歌うようになった。

あの時期は、昔から親友だった俺の父上と、よく様子を見にチャコんちに行っていた。
途方にくれてるおじさんを支えて、悲しんでるカートを支えて、チャコは、1人で笑っていた。

『今は、一人でも笑ってないと…!頑張ってこの家を支えないと。私にはこれくらいしか出来ないから…。』

って笑いながら話してくれた。私には、笑って励ますしかできないからって寂しそうに、悲しそうに笑ってたんだ。その顔が、とても見てられなかった。

たまたま、庭でチャコを見つけた。その時、俺はちょっと、驚いたんだ。
…チャコが泣いていたから。
おばさんが亡くなってから、誰にも悲しんでる姿を見せないから、チャコは悲しくないんだと思っていた。そんなわけないのに。

チャコの隣に座って、チャコのことをギュウってしたら、ワンワン泣き出したのを見て、守ってあげたくなったんだ。小さい手が、俺の服をギュウって掴んで、とても愛おしくなった。大事にしたくなった。その時から、チャコは俺の中で特別な子になったんだ。


それなのに、肝心な時に俺は役に立たなかった。


「ジョー、お前、最近どうした?」

「え?」

何を言われたのか分からなくて、眉間に皺を作ってしまった。

「‥‥お前、あの日らへんから変だぞ?」

「‥‥」

己の無力さや、ディナンへの劣等感、チャコに頼られたいのに、自分の役不足感。
いろんなことを思っているけど言葉にするには難しかった。だから、黙ってしまうのも仕方ないと思う。

「俺は‥‥チャコが好きだ。」

分かり切ってることを言った。

「あ、あぁ。知ってる。」

「ディナンにも、誰にもチャコを渡すつもりはない。」

「うっ。わ、私だって!同じ気持ちだ。」

「‥‥でも、チャコはそれを望んでいない。」

「っ!」

「今の俺が、チャコの近くにいても良いのか、俺は、どうしたら良いのか、分からなくなってる。正直、チャコに信頼されてて、甘えられてるお前が羨ましい。チャコはいつも俺を守るけど、守らせてはくれない。チャコに俺は必要ないのかもって思ったらなんか‥‥」

ライバルのディナンにこんなこと言うなんて、どうかしてる。分かっているのに、止められなかった。ギュッと握った拳が震える。

「‥‥私は、逆にジョーが羨ましいけどな。」

「は?どこが。」

吐き捨てる様に言ってしまったのは、しょうがないと思う。
でも、ディナンは意に介した様子もなく続ける。

「あの時、チャコが危険を知らせたのはジョーだった。『最初』に頼られたのは、ジョー、お前だった。今までだって、チャコはジョーの事を、一番に気にしていたと思う。初めて会った時も、ジョーはチャコの事をわかってて、チャコはジョーの事を分かってる。そんな二人の関係性がとても羨ましく感じた。いまも、それは変わらない。親同士が仲が良くて、幼馴染で、私の知らないチャコを知っていると言うだけでも羨ましすぎて嫉妬する。」

「確かにあの時は俺に連絡来たけど、それは、ディナンと一緒にいるのが分かっててだと思うし、ディナンは下町の店とか把握してないから、俺に知らせただけだと思うし。」

「それでも、ジョーなら分かってくれる、来てくれるって信じてくれたから連絡が来たんだろう?それで十分じゃないか?」

「っ!」

「それに、チャコをあの時、守れなかったのは私も一緒だ。守れもせずにチャコ一人に無茶させた。‥‥二度と、あの様な気持ちになりたくない。チャコを失いたくない。ちゃんと、大切な者を守れる様になりたい。ジョーも、同じ事を思ってるから、稽古をこれまで以上にしているのだろう?」

「‥‥あぁ。」

「チャコは、守られるだけのお嬢様じゃないのは、私も分かっている。でも、なるべく危険から守りたいのは、多分、チャコが好きだからなのだろうな。」

ディナンは、勝手に言ってて照れたのか耳が赤い。同じ年の男に、それも同じ女の子を好きな奴に、こうも慰められるとは。こいつ、ライバルに塩を送るってどうなんだよ?余裕か?

「ふっ」

思わず笑ってしまった。

「わ、笑うな!」

「あーごめん。ディナンがなんか恥ずかしい事言ってるからさ?くく」

「なっ!!なんだと!」

「チャコが聞いたら、どんな反応するかね?チャコも、絶対笑うと思うけど。ディナン、悪いけど。‥‥俺は、恋なんかじゃないよ。とっくに、恋の時期なんか過ぎてる。『好き』だけでなんかこの気持ちは収まらないからな。」

そうだ。これは、『恋』じゃない。俺は、チャコを心から『愛してる』んだ。
チャコを傷つけるものから、危険なものから守りたい。でも、チャコの事を思うと、守るだけが正解じゃないのも分かってる。

おじさんは言ってた。約束してくれた。
『チャコが、惚れた奴と結婚させる』って。
だから、惚れさせないといけないんだ。守るだけじゃ、チャコは鬱陶しく感じて逃げてしまうだろう。‥‥なにか、策を練らないと。まだ時間はある。大丈夫、ゆっくり確実にチャコを落としていこう。

「んな!!恋の次があると言うのか!!なんだそれは!?」

思考の海に入っていたのに間抜けな声が呼び戻した。

「ん~それは、自分で気づくものでしょ?教えないよ。内緒。」

「ず、ずるいぞ!!慰めてやったのに‥‥くそ、ジョーはチャコ以外には本当に意地悪だ!」

「当たり前でしょ?チャコだけが俺のお姫様だもん。さ、稽古始めよーよ。ほら、ボサッとしてないで!」

「ぐぬぬ。ジョーめ、泣かしてやる・・・」

「‥‥ふ。できるならどうぞ?」

少しだけ、体が軽くなった気持ちで剣を握る。
いまは、自分のことを磨かないと。チャコの隣にいても恥ずかしくない様に。



◇◆◇◆◇◆



「今日はここまで!」

兄上の声が聞こえて、剣を振るっていた手を止める。タオルで汗を拭く。水分を取ろうと水筒のある所に行く。

「こんにちは」

いきなり後ろから声をかけられて、肩が跳ねた。‥‥この場所で、女の子に話しかけられることなんかないから、ビックリした。

「‥‥リリア嬢。」

「ちょっと、ディナン殿下に用事があったんですけど、ジョー様が見えたから来ちゃいました!」

「あ、あぁ。そうなんですね。」

ぎこちなくなってしまうのは、俺があまり女の子が得意ではないからだ。
勿論、チャコは別だけど。

「そんなに警戒しないでくださいませ。ちょっと、聞きたいことがあっただけですわ。最近、チャコとは会っていますか?私、またチャコとお茶会をしたいんですけど、なかなか予定が合わなくて‥‥」

「あぁ、チャコなら、今は領地へ行っていますよ。多分、この冬はあっちで過ごすことになりそうだ、と言っていたので、お茶会は早くても春になるんじゃないかな?」

「あら‥‥それは、すごく残念ですね‥‥。チャコとのお茶会は楽しくて楽しくて、仕方ないんですの。毎日でもやりたいくらいなのに‥‥はぁ。」

「・・・リリア嬢とチャコは、どんな話をするんですか?そんなに楽しいお茶会なら、僕も混ぜてほしいな。」

「え”!!い、いや‥‥その‥‥」

目に見えて、リリア嬢が狼狽え出した。ん?変な事、言ったか?

「えーっと、チャコと私だけの秘密の話なので!殿方は絶対、絶対に参加できませんの!!」

『チャコとリリア嬢だけの秘密』?ふーん?
女の子の秘密って言えば、恋の話だろうけど、チャコが恋の話をしているのが想像できない。‥‥いや、女同士だからするのか?そしたら、俺の知らない、チャコの情報を持っているんじゃないか?

「‥‥リリア嬢、もしかして、チャコの、好きな人って知ってたりする?」

「っ!!!!し、知りませんわ!!知ってても、言いませんわよ!」

反応から察するに、リリア嬢はチャコの好きな人を知っているな。
さて、どう言えば話してくれるだろうか‥‥。

「ジョー!まだここに居たのか!探したぞ!あれ、リリも一緒だったのか。」

俺の戻りが遅かったからなのか、ディナンが寄って来た。
いや、待てよ?ディナンと、リリア嬢は仲が良かったはず。ディナンなら、リリア嬢に何か聞けるかもしれない!ディナンの力を借りるのは癪だが、背に腹は変えられない。‥‥よし。

「ディナン。ちょっと。」

ディナンの腕を引っ張って、リリア嬢から少しだけ離れて背を向ける。

「ど、どうした?」

「リリア嬢は、チャコの好きな奴を知っているかもしれない。‥‥好きな奴じゃなくても、俺らの知らないチャコの恋愛に関する情報を持っている可能性が高い。」

「ほ、ほんとうか!!」

「しっ!声がでかい。」

離れたディナンを再度引っ張って自分に寄せる。ディナンの耳元に顔を寄せた

「でも、俺だとリリア嬢は警戒して話してくれないんだ。ディナン、どうにか聞いて見てくれないか?」

チラリとリリア嬢の方を向きながら小声で話す。

「あ、あぁ。わかった!」

ふっ。チョロナンだぜ。‥‥ん?リリア嬢の様子が‥‥?

「うっはーーーっ!!つ、ついに!囁ききたっ!!!やばっ!やっばっ!!!自然?天然でやってるの?嘘でしょう?やっぱり、ジョーxディナンいいわっ!!最高だわ!!控えめに言って、最&高!!ってか、やっぱりジョーは腹黒ワンコね。あーあの黒い顔いいわーーーっ!!流し目いいわーーー!!!っ‥‥んは!!!」

リリア嬢のあまりの変わり身に、俺とディナンは唖然とした。
いや、仕方ないと思う。いつもは、何を考えてるのか分からない、儚げな女の子って感じだったのだし、こんな、ギラついた目でよく分からない事を言うような女の子では無かったはずだ。・・・・多分。

「リリ?どうした?具合悪いのか?」

リリア嬢がおかしいと感じたのは、やはり俺だけだったわけじゃないようだ。ディナンが純粋に心配してる。

「え、あ、えと、なんでもないですわ。ほほほ。ちょっと、発作がね、いや、ほんと、なんでもないのですわよ?ほほほ」

リリア嬢の後ろに控えている執事はいつもの事なのか、少し呆れた様子だが表情はあまり変わらない。

「コホン、リリ。チャコの、好きなタイプとか、好きな奴がいるとか、何か聞いてないか?」

ディナンが無理やり、話をチャコに持って言ってくれた。うん、ちゃんと聞きたかった事だ。よしよし。

「え‥‥と、好きなタイプ‥‥ですか?うーん、言っていいのかなぁ?でもなぁ?」

何やら悩み出した。もう一押しか?

「リリア嬢、俺はチャコのことが好きなんだ。チャコの為なら、努力したいんだ。なんでもいい、情報をくれないか?」

「うーーん。私の情報が役に立つとは、思えないんですけどねぇ。まぁ、少しだけ、聞いた話ならいいですかね?」

「っ!話してくれるか!ありがとう!」

よかった。チャコの理想に少しでも近づいて、領地からチャコが帰って来たときに少しでも意識させたい。

「えーっと、チャコが萌えるのは、見た目は結構、ガッチリ男らしい筋肉質な方が好きみたいです。でも、太いのはあまり好みではなく、脱いだらすごい!って言うような、ギャップがいいそうです!あとは~‥‥あ、腹黒ワンコは好きだって言ってましたね。あ、でも、お兄ちゃん気質の、面倒見のいい、包容力のある方もいいらしいですわ!あ、あと結構、Sっ気の強い人がいいらしいですよ?あとはー‥‥独占欲も強めで、兎に角、一途な方がいいそうです!」

・・・萌える?ギャップ?腹黒ワンコ?Sっ気?
ところどころ、言っている意味がわからないのがあるが、今は置いておこう。
筋肉質で包容力があって、独占欲強い、一途なひとか‥‥
筋肉と包容力が俺の課題かな。独占欲は人一倍強いと思うし、俺はチャコ一筋だから一途だし。

「ディナン殿下も、ジョー様も、頑張ってくださいね。ふふ」

考え込んでた俺たちに、リリア嬢は意味深な笑顔を向けて来た。うん。なんだかんだ聞けて良かった。

「リリア嬢、ありがとう。頑張るよ。」

「リリ、ありがとう。」

「んふふ。いいものを見せてくれたから、心ばかりのお礼です。」

ん?なにか見せたか?不敵に笑むリリア嬢は思い出しているのか頬が高揚として側から見たらとても、可愛らしく思うだろう。しかし、近くで凝視されているこの状況では、ただ、少しだけ何故か怖いと思ってしまった。

「リリアお嬢様、そろそろ帰られますよ。」

隣にいたリリア嬢の執事に促され、別れの挨拶をした。
俺は、兄上のいる方へ行くためにリリア嬢に背を向けて歩き出すと、リリア嬢が「あ、」と引き止めた。


「ジョー様、『僕』っ子も、チャコは好きですが、『俺』呼びの、素のジョー様も、チャコはもっと好きだと思いますよ?ふふ」


それだけ言って、リリア嬢は歩き出してしまった。

チャコの前では、確かに一人称を『僕』としてる。別に、隠すつもりはないけど、なんとなく『優しい自分』を偽れるから。


・・・『俺』ねぇ。使って見てもいいかもな。


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