31 / 84
第1章 この度、伯爵令嬢になりました。
31*第◯宇宙に想いを馳せます。
しおりを挟む
「‥‥なんて?」
言われた意味がわからなくて、思わず聞き返してしまいました。
え、ちょっと待って。なんで?どうして?
「だから、暫くはこの領地に住んで、もう少し魔法が上手くなってから王都に戻って来てはどうかと言ったんだ。‥‥チャコは、特殊すぎる。お前は、親の俺にも『何か』を隠しているだろう?」
ドキン‥‥と大きく心臓が音を立てました。唾を飲み込んで喉が動くのが伝わります。
お父様に、バレてる?いや、多分、『前世』なんて思ってないとしても、私の事は不思議に‥‥いや、不気味に思うに決まってます。教えてもない、この世界にないはずの知識や、歌や料理を知っていて、6歳と言うには無理がある言動、行動をとる。そりゃ、隠したくなりますよね。‥‥当たり前です。
「それだけじゃない。チャコのその力が、想像魔法が、王族にでも知れてみろ。必ず、無理やりにでも手に入れようとするだろう。下手したら、軍事兵器として使われたりしてしまうかも知れん。それを防ぐにも、今は王都ではなく、しばらく領地で過ごして力を隠せるくらい、魔法が上手くなってから帰ってくるのが安全だと思うんだ。」
「・・・」
私は黙ってしまいました。眉間に皺が寄ってしまっているのがわかります。
目に涙が浮かんで来ます。みんなと別れるのが辛い。毎年、誕生日はお祝いしようねって言ったのに。ディナンにも、離れないって言ったのに。自分の力不足でこんなにすぐ約束を破るなんて‥‥。お父様が、私のことを思って言ってくれているのはわかりますが、やっぱり心は追いつきません。・・・秘密基地に行きたい。
「いきなりで、混乱するのも、友達と別れたくないのも分かる。‥‥お父さんの力不足でチャコを守りきれないのが悪いのも分かっている。でも、これが一番最善な方法だと思うんだ。こっちには、チャコのことを知っている人も少ないし、王都よりも伸び伸びと過ごせると思うんだ。」
「‥‥お父様の言いたい事は分かりました。‥‥でも、少し考える時間が‥‥欲しいです。」
「‥‥そうだな。うん。夜に呼んで悪かったな。」
俯いたまま、首を横に振りました。
「失礼しました。‥‥お休みなさい。」
そう言って、お父様の部屋を出ます。廊下で一人、トボトボと俯きながら自分の部屋を目指します。
・・・私が、領地に住む?全然考えもしなかったことだから?なんでこんなに混乱しているんだろう。領地に住んでも、自分が変わるわけじゃない。胸にぽっかりと穴が空いたような感覚。‥‥あぁ、そんなにジョーとディナンは私にとって大きい存在になってたんだ。
この一年で、色んなことができるようになりました。そして、いつもそれを最初に見てくれて、喜んでくれたのは二人だったんです。楽しい時はもちろん、悩んだ時も、怒った時も、いつも一緒にいてくれた、本当に大切なお友達です。だから、離れて疎遠になってしまうかもしれないと思うと怖いです。
そうか。怖いんです。忘れられちゃうかもしれない。そう思うと、怖くて居場所が一気になくなったような気がして心細いんです。‥‥中身は29歳だと言うのに。情けない。どんだけ二人に依存してたんだか。ショタに依存とか、犯罪ですよ。ほんと、ダメな大人。‥‥いや、いまは大人じゃないけど、心的にね?
「そっかぁ‥‥。会えなくなるんだ‥‥。」
ポロポロと涙がこぼれて、止まらないです。俯いていたから、床に涙がポトポト落ちて行きます。その場にしゃがみ込んで、声を殺して泣いてしまいました。うぅ。
「・・・チャコ?」
暗い廊下の奥で、優しい声が聞こえました。
でも、返事をすると泣いているのがバレてしまうので声が出せません。急いで立ち上がり、涙を服の袖で拭います。その間にも、足音はどんどん近付いて来ています。
私の前に立ち止まったのは、やっぱり、心配そうな顔をしているレイ兄様でした。
「チャコ?泣いているの?どうしたの?」
「‥‥へへ、ただの、ホームシックです。何でもありませんよ。」
明るく笑って見せると、レイ兄様は何か見つけたのか眉が寄りました。
優しい指が私の目元に触れます。泣いてたのがバレたのが恥ずかしくてパッと顔をそらしてしまいました。
「れ、レイ兄様、私、今日はいっぱい動いたので疲れてしまいましたから‥‥もう部屋に戻りますね。‥‥お休みなさい」
早口で言い切って、足早に立ち去ります。
しかし、そんなことできるはずもなく、レイ兄様に手を取られて動けなくなりました。
「‥‥チャコ?なんで、隠すの?僕は、そんなに信用ない?」
「そんな!‥‥事はないです。ただ、私も混乱していて‥‥」
「‥‥ちょっと、来て。」
レイ兄様が私の手を取って歩きだします。どこに行くのでしょうか?
廊下を二人共黙って歩きます。
・・・着いたのはいつもギターの練習をしている庭のベンチでした。
二人で腰掛け、夜空を見上げます。うわぁ。結構、星が見えるんですね。綺麗。
「こっちに来て、初めてこっちに来た日の夜にね、寝れなくてベランダに出たんだ。そしたら、星がとっても綺麗だったのに気付いたんだ。‥‥チャコにも教えたかったんだけど、タイミングがなくてね。ちょっとした気分転換にはいいでしょう?」
「はい!とっても綺麗ですね。うわー王都でも、結構見えるなーって思ってましたけど、こっちは別格ですねっ!」
ふわぁーーっ!!すごい。街灯が一つもないし、窓からは適度に離れてるから空が真っ暗で星と月の光だけがキラキラしています。‥‥この宇宙の何処かに、地球があるのか、それとも、別の空間とか‥‥ドラ◯ンボールみたいに、第◯宇宙とかの存在があるのか。そしたら、何処かに第7宇宙があって、そこには17号(ドラ◯ンボールでの私の推し)がいるのか。いるなら、会いたい。そして、一度でいいから家族幸せに暮らしているところを見て見たい。17号が普通の幸せを噛み締めてる、いいパパしてるところを見て見たい。いや、家族団欒に参加したい。そんな事したら殺されるか?いや、今なら結構丸くなってるから、むやみやたらに殺したりしないだろうから、ワンチャンいけるか?‥‥いや、話が逸れましたね。すみません。
「チャコ、今日、父上に呼ばれたんだろう?」
「え?」
第7宇宙に想いを馳せていたら、レイ兄様に話しかけられて一瞬なんのことかわからなくなってしまいました。うん、気分転換しまくってます。
「ごめん、僕は昨日それ聞いてて‥‥」
「あ‥‥はい。」
そっか。レイ兄様は知ってたんですね。だから、今日はこんなにベッタベタに甘やかしてくれてたのですね。妙にストンと腑に落ちました。膝の上に置いた手をギュッと握りしめました。
「チャコが、嫌なら‥‥僕からも父上に言うよ?」
レイ兄様の言葉に、ちょっと頷きそうになってしまいました。でも、そんなことさせられません。
「‥‥いいえ。大丈夫です。ただ、やっぱりずっと一緒にいてくれた友人に会えなくなるのが寂しくて、悲しくなってしまっただけです。やっぱり、ちょっとした旅行とは訳が違う感じがして‥‥。でも、お父様の言っていることは、分かっているつもりです。‥‥私が特殊なのも。そのせいで、いらない気苦労をかけているのも。だから、私は、お父様に従うつもりです。‥‥でも、やっぱりお別れも言えないままなのは嫌なので、出来れば一度は‥‥王都に帰りたいなって思ってしまいますけど‥‥。」
私のわがままで、お父様達に迷惑をかけちゃいけないですから。領地で暮らすのはいいのです。領地が好きなのは変わりません。やっぱり、気になるのは友達の事。ジョーやディナンだけじゃないです。アランや、リリ、師匠やロンくん。みんなと離れ離れになってしまうのはやっぱり、とても寂しいです。‥‥多分、カート兄様もハンクも、レイ兄様もお父様や、お義母様もリアも。みんな王都に帰るのでしばらく会えなくなるのです。一人だけとり残されてる様な気がして、とても心細いんです。
「‥‥そうだよね。じゃあ、一度、王都に帰れる様に父上に言おうよ。それくらいなら、許してくれると思うよ?そうじゃなくても、王都にいたいって言えば、父上は許すと思うけどね。」
「そうですね、多分、お父様は私が本気で嫌がったら王都にいてもいいって言ってくれると思います。でも、お父様の迷惑にしかなりませんから‥‥一度帰ることは言ってみますけど、私は領地に住むことにします。それが一番いいと思いますから‥‥。」
うん、それが一番いい。3月の初めに、ジョーの誕生日があるから、その時は一度帰りたいって伝えようと思います。いや、お父様に反対されても、帰ります。うん。
「‥‥そっか。」
「ありがとうございます、レイ兄様。素敵なもの見せてくれて。おかげで、少し吹っ切れて、スッキリしました!私、ココで一人でもやっていけそうです。ふふ。」
「元気、出た?」
「はいっ!すごく、元気でました。」
「良かった‥‥。」
しばらく、レイ兄様と星を見ながら話して、部屋の前まで送ってもらってその日は寝ることにしました。
◇◆◇◆◇◆
次の日の夜、私はまたお父様の部屋に来ています。
「チャコ、どうかしたのか?」
「はい、お父様と、お義母様にお話があります。」
「何か、あったの?」
お父様もお義母様も、昨日の話だとは思っていても何を言われるかは分かっていない様でした。
「あ、あの、学園に通う様になるまで領地で暮らすというのは、分かりました。その方が安全なら、そうした方がいいと思うので‥‥。ただ、」
「ただ?」
「冬の終わりに、一度王都へ帰りたいです。‥‥みんなにお別れも言えずにこっちに引っ越すのは、寂しいので‥‥。」
スカートを掴む手に力が入って、スカートに皺を作ってしまっています。
やっぱり、王都までの往復はお金がかかるので、ダメと言われるでしょうか‥‥。
いや、でもこれだけは譲れません。ジョーの誕生日をお祝いする為にも、やっぱり一度は帰らないとなのです。
「‥‥あの、やっぱりダメでしょうか?王都は遠いから、そんなに行き来できる様なところじゃないとは分かっているんですけど‥‥でも、やっぱりこのままなのは嫌で。。ワガママなのは分かっているんですけど‥‥。」
「‥‥いや、一度帰ることなんか良いんだ。2月の終わりに帰るのは、みんなで一緒に帰ろう。ただ、チャコが無理してるんじゃないかと思ってね。」
お父様を見ると、とても優しい瞳で見つめられていました。私の考えてることなんかお見通しで、思わず涙がこみ上げて来ます。
「ほ、本当は‥‥みんなと、離れたくない‥‥です。う”ぅ」
「‥‥うん。」
お父様は私のことを抱きしめて、背中をさすってくれました。お義母様も、手を握ってくれています。
「でも‥‥お父様に、迷惑かけたくないし‥‥ぐす。私が‥‥特殊なの‥‥わかってるから、こうするのが一番って、思ってます。でも、やっぱり、寂しい、です‥‥う”ぅ~」
ギュウッと抱きついたら、お父様の着ているシャツにドンドン涙が吸われて広がっていきます。それでも、引き剥がしたりせず、優しく包んでくれて、愛されてる実感が湧いてきます。
「ごめんな、お父さん、ちゃんと守れなくて‥‥ごめんな‥‥。」
苦い顔をして、申し訳なさそうにお父さんが謝ってきました。
私は、お父様の胸を押して、泣きながらもお父様を強く見据えました。
「う、ぐす。いいえ、お父様は、私のことを思って言ってくれてるの分かってますから。だから、お父様の考えに私は従うんです。‥‥私、もっと強くなって、自分の事は自分で守れる様になります。いっぱい勉強して、変な人に使われたり利用されたりしない様に、ちゃんと学びます。こっちでも、私らしくやりたい事をいっぱいやって、こっちで出来る事を全力でやって、楽しんで見せます。だから、私は大丈夫です。領地で一人でも、やっていけます。」
ニッコリと決意を告げると、お父様は嬉しそうに、でも何処か寂しそうに頭を撫でてくれました。
「ふふ。チャコはまた少し、大人になってしまいましたね。」
お義母様も、私の成長が嬉しいとキラキラした笑顔で笑ってくれました。
「あぁ。子供の成長が早すぎて、私は少し寂しいよ。はは。」
ポンポンと頭を撫でられて、クスクスと笑ってしまいました。
「あ、でも、チャコは一人じゃないぞ?父上‥‥お爺ちゃんが一緒だからな。忘れてると、父上が泣くぞ?」
「‥‥あ。」
すっかり忘れてました。あちゃー
言われた意味がわからなくて、思わず聞き返してしまいました。
え、ちょっと待って。なんで?どうして?
「だから、暫くはこの領地に住んで、もう少し魔法が上手くなってから王都に戻って来てはどうかと言ったんだ。‥‥チャコは、特殊すぎる。お前は、親の俺にも『何か』を隠しているだろう?」
ドキン‥‥と大きく心臓が音を立てました。唾を飲み込んで喉が動くのが伝わります。
お父様に、バレてる?いや、多分、『前世』なんて思ってないとしても、私の事は不思議に‥‥いや、不気味に思うに決まってます。教えてもない、この世界にないはずの知識や、歌や料理を知っていて、6歳と言うには無理がある言動、行動をとる。そりゃ、隠したくなりますよね。‥‥当たり前です。
「それだけじゃない。チャコのその力が、想像魔法が、王族にでも知れてみろ。必ず、無理やりにでも手に入れようとするだろう。下手したら、軍事兵器として使われたりしてしまうかも知れん。それを防ぐにも、今は王都ではなく、しばらく領地で過ごして力を隠せるくらい、魔法が上手くなってから帰ってくるのが安全だと思うんだ。」
「・・・」
私は黙ってしまいました。眉間に皺が寄ってしまっているのがわかります。
目に涙が浮かんで来ます。みんなと別れるのが辛い。毎年、誕生日はお祝いしようねって言ったのに。ディナンにも、離れないって言ったのに。自分の力不足でこんなにすぐ約束を破るなんて‥‥。お父様が、私のことを思って言ってくれているのはわかりますが、やっぱり心は追いつきません。・・・秘密基地に行きたい。
「いきなりで、混乱するのも、友達と別れたくないのも分かる。‥‥お父さんの力不足でチャコを守りきれないのが悪いのも分かっている。でも、これが一番最善な方法だと思うんだ。こっちには、チャコのことを知っている人も少ないし、王都よりも伸び伸びと過ごせると思うんだ。」
「‥‥お父様の言いたい事は分かりました。‥‥でも、少し考える時間が‥‥欲しいです。」
「‥‥そうだな。うん。夜に呼んで悪かったな。」
俯いたまま、首を横に振りました。
「失礼しました。‥‥お休みなさい。」
そう言って、お父様の部屋を出ます。廊下で一人、トボトボと俯きながら自分の部屋を目指します。
・・・私が、領地に住む?全然考えもしなかったことだから?なんでこんなに混乱しているんだろう。領地に住んでも、自分が変わるわけじゃない。胸にぽっかりと穴が空いたような感覚。‥‥あぁ、そんなにジョーとディナンは私にとって大きい存在になってたんだ。
この一年で、色んなことができるようになりました。そして、いつもそれを最初に見てくれて、喜んでくれたのは二人だったんです。楽しい時はもちろん、悩んだ時も、怒った時も、いつも一緒にいてくれた、本当に大切なお友達です。だから、離れて疎遠になってしまうかもしれないと思うと怖いです。
そうか。怖いんです。忘れられちゃうかもしれない。そう思うと、怖くて居場所が一気になくなったような気がして心細いんです。‥‥中身は29歳だと言うのに。情けない。どんだけ二人に依存してたんだか。ショタに依存とか、犯罪ですよ。ほんと、ダメな大人。‥‥いや、いまは大人じゃないけど、心的にね?
「そっかぁ‥‥。会えなくなるんだ‥‥。」
ポロポロと涙がこぼれて、止まらないです。俯いていたから、床に涙がポトポト落ちて行きます。その場にしゃがみ込んで、声を殺して泣いてしまいました。うぅ。
「・・・チャコ?」
暗い廊下の奥で、優しい声が聞こえました。
でも、返事をすると泣いているのがバレてしまうので声が出せません。急いで立ち上がり、涙を服の袖で拭います。その間にも、足音はどんどん近付いて来ています。
私の前に立ち止まったのは、やっぱり、心配そうな顔をしているレイ兄様でした。
「チャコ?泣いているの?どうしたの?」
「‥‥へへ、ただの、ホームシックです。何でもありませんよ。」
明るく笑って見せると、レイ兄様は何か見つけたのか眉が寄りました。
優しい指が私の目元に触れます。泣いてたのがバレたのが恥ずかしくてパッと顔をそらしてしまいました。
「れ、レイ兄様、私、今日はいっぱい動いたので疲れてしまいましたから‥‥もう部屋に戻りますね。‥‥お休みなさい」
早口で言い切って、足早に立ち去ります。
しかし、そんなことできるはずもなく、レイ兄様に手を取られて動けなくなりました。
「‥‥チャコ?なんで、隠すの?僕は、そんなに信用ない?」
「そんな!‥‥事はないです。ただ、私も混乱していて‥‥」
「‥‥ちょっと、来て。」
レイ兄様が私の手を取って歩きだします。どこに行くのでしょうか?
廊下を二人共黙って歩きます。
・・・着いたのはいつもギターの練習をしている庭のベンチでした。
二人で腰掛け、夜空を見上げます。うわぁ。結構、星が見えるんですね。綺麗。
「こっちに来て、初めてこっちに来た日の夜にね、寝れなくてベランダに出たんだ。そしたら、星がとっても綺麗だったのに気付いたんだ。‥‥チャコにも教えたかったんだけど、タイミングがなくてね。ちょっとした気分転換にはいいでしょう?」
「はい!とっても綺麗ですね。うわー王都でも、結構見えるなーって思ってましたけど、こっちは別格ですねっ!」
ふわぁーーっ!!すごい。街灯が一つもないし、窓からは適度に離れてるから空が真っ暗で星と月の光だけがキラキラしています。‥‥この宇宙の何処かに、地球があるのか、それとも、別の空間とか‥‥ドラ◯ンボールみたいに、第◯宇宙とかの存在があるのか。そしたら、何処かに第7宇宙があって、そこには17号(ドラ◯ンボールでの私の推し)がいるのか。いるなら、会いたい。そして、一度でいいから家族幸せに暮らしているところを見て見たい。17号が普通の幸せを噛み締めてる、いいパパしてるところを見て見たい。いや、家族団欒に参加したい。そんな事したら殺されるか?いや、今なら結構丸くなってるから、むやみやたらに殺したりしないだろうから、ワンチャンいけるか?‥‥いや、話が逸れましたね。すみません。
「チャコ、今日、父上に呼ばれたんだろう?」
「え?」
第7宇宙に想いを馳せていたら、レイ兄様に話しかけられて一瞬なんのことかわからなくなってしまいました。うん、気分転換しまくってます。
「ごめん、僕は昨日それ聞いてて‥‥」
「あ‥‥はい。」
そっか。レイ兄様は知ってたんですね。だから、今日はこんなにベッタベタに甘やかしてくれてたのですね。妙にストンと腑に落ちました。膝の上に置いた手をギュッと握りしめました。
「チャコが、嫌なら‥‥僕からも父上に言うよ?」
レイ兄様の言葉に、ちょっと頷きそうになってしまいました。でも、そんなことさせられません。
「‥‥いいえ。大丈夫です。ただ、やっぱりずっと一緒にいてくれた友人に会えなくなるのが寂しくて、悲しくなってしまっただけです。やっぱり、ちょっとした旅行とは訳が違う感じがして‥‥。でも、お父様の言っていることは、分かっているつもりです。‥‥私が特殊なのも。そのせいで、いらない気苦労をかけているのも。だから、私は、お父様に従うつもりです。‥‥でも、やっぱりお別れも言えないままなのは嫌なので、出来れば一度は‥‥王都に帰りたいなって思ってしまいますけど‥‥。」
私のわがままで、お父様達に迷惑をかけちゃいけないですから。領地で暮らすのはいいのです。領地が好きなのは変わりません。やっぱり、気になるのは友達の事。ジョーやディナンだけじゃないです。アランや、リリ、師匠やロンくん。みんなと離れ離れになってしまうのはやっぱり、とても寂しいです。‥‥多分、カート兄様もハンクも、レイ兄様もお父様や、お義母様もリアも。みんな王都に帰るのでしばらく会えなくなるのです。一人だけとり残されてる様な気がして、とても心細いんです。
「‥‥そうだよね。じゃあ、一度、王都に帰れる様に父上に言おうよ。それくらいなら、許してくれると思うよ?そうじゃなくても、王都にいたいって言えば、父上は許すと思うけどね。」
「そうですね、多分、お父様は私が本気で嫌がったら王都にいてもいいって言ってくれると思います。でも、お父様の迷惑にしかなりませんから‥‥一度帰ることは言ってみますけど、私は領地に住むことにします。それが一番いいと思いますから‥‥。」
うん、それが一番いい。3月の初めに、ジョーの誕生日があるから、その時は一度帰りたいって伝えようと思います。いや、お父様に反対されても、帰ります。うん。
「‥‥そっか。」
「ありがとうございます、レイ兄様。素敵なもの見せてくれて。おかげで、少し吹っ切れて、スッキリしました!私、ココで一人でもやっていけそうです。ふふ。」
「元気、出た?」
「はいっ!すごく、元気でました。」
「良かった‥‥。」
しばらく、レイ兄様と星を見ながら話して、部屋の前まで送ってもらってその日は寝ることにしました。
◇◆◇◆◇◆
次の日の夜、私はまたお父様の部屋に来ています。
「チャコ、どうかしたのか?」
「はい、お父様と、お義母様にお話があります。」
「何か、あったの?」
お父様もお義母様も、昨日の話だとは思っていても何を言われるかは分かっていない様でした。
「あ、あの、学園に通う様になるまで領地で暮らすというのは、分かりました。その方が安全なら、そうした方がいいと思うので‥‥。ただ、」
「ただ?」
「冬の終わりに、一度王都へ帰りたいです。‥‥みんなにお別れも言えずにこっちに引っ越すのは、寂しいので‥‥。」
スカートを掴む手に力が入って、スカートに皺を作ってしまっています。
やっぱり、王都までの往復はお金がかかるので、ダメと言われるでしょうか‥‥。
いや、でもこれだけは譲れません。ジョーの誕生日をお祝いする為にも、やっぱり一度は帰らないとなのです。
「‥‥あの、やっぱりダメでしょうか?王都は遠いから、そんなに行き来できる様なところじゃないとは分かっているんですけど‥‥でも、やっぱりこのままなのは嫌で。。ワガママなのは分かっているんですけど‥‥。」
「‥‥いや、一度帰ることなんか良いんだ。2月の終わりに帰るのは、みんなで一緒に帰ろう。ただ、チャコが無理してるんじゃないかと思ってね。」
お父様を見ると、とても優しい瞳で見つめられていました。私の考えてることなんかお見通しで、思わず涙がこみ上げて来ます。
「ほ、本当は‥‥みんなと、離れたくない‥‥です。う”ぅ」
「‥‥うん。」
お父様は私のことを抱きしめて、背中をさすってくれました。お義母様も、手を握ってくれています。
「でも‥‥お父様に、迷惑かけたくないし‥‥ぐす。私が‥‥特殊なの‥‥わかってるから、こうするのが一番って、思ってます。でも、やっぱり、寂しい、です‥‥う”ぅ~」
ギュウッと抱きついたら、お父様の着ているシャツにドンドン涙が吸われて広がっていきます。それでも、引き剥がしたりせず、優しく包んでくれて、愛されてる実感が湧いてきます。
「ごめんな、お父さん、ちゃんと守れなくて‥‥ごめんな‥‥。」
苦い顔をして、申し訳なさそうにお父さんが謝ってきました。
私は、お父様の胸を押して、泣きながらもお父様を強く見据えました。
「う、ぐす。いいえ、お父様は、私のことを思って言ってくれてるの分かってますから。だから、お父様の考えに私は従うんです。‥‥私、もっと強くなって、自分の事は自分で守れる様になります。いっぱい勉強して、変な人に使われたり利用されたりしない様に、ちゃんと学びます。こっちでも、私らしくやりたい事をいっぱいやって、こっちで出来る事を全力でやって、楽しんで見せます。だから、私は大丈夫です。領地で一人でも、やっていけます。」
ニッコリと決意を告げると、お父様は嬉しそうに、でも何処か寂しそうに頭を撫でてくれました。
「ふふ。チャコはまた少し、大人になってしまいましたね。」
お義母様も、私の成長が嬉しいとキラキラした笑顔で笑ってくれました。
「あぁ。子供の成長が早すぎて、私は少し寂しいよ。はは。」
ポンポンと頭を撫でられて、クスクスと笑ってしまいました。
「あ、でも、チャコは一人じゃないぞ?父上‥‥お爺ちゃんが一緒だからな。忘れてると、父上が泣くぞ?」
「‥‥あ。」
すっかり忘れてました。あちゃー
0
あなたにおすすめの小説
拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました
星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎
王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝――
路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。
熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。
「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」
甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。
よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、
気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて――
しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!?
「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」
年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。
ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。
転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました
空飛ぶひよこ
恋愛
実家の養鶏場を手伝いながら育ち、後継ぎになることを夢見ていていた梨花。
結局、できちゃった婚を果たした元ヤンの兄(改心済)が後を継ぐことになり、進路に迷っていた矢先、運悪く事故死してしまう。
転生した先は、ゲームのようなファンタジーな世界。
しかし、実家は養鶏場ならぬ、養コカトリス場だった……!
「やった! 今度こそ跡継ぎ……え? 姉さんが婿を取って、跡を継ぐ?」
農家の後継不足が心配される昨今。何故私の周りばかり、後継に恵まれているのか……。
「勤労意欲溢れる素敵なお嬢さん。そんな貴女に御朗報です。新規国営牧場のオーナーになってみませんか? ーー条件は、ただ一つ。牧場でドラゴンの卵も一緒に育てることです」
ーーそして謎の牧場経営型乙女ゲームが始まった。(解せない)
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
女性が少ない世界に転生した控えめ伯爵令嬢、なぜか五人の婚約候補に選ばれて少しずつ恋を知っていきます
ノッポ
恋愛
女性が極端に少ない異世界に転生した私は、気づけば伯爵令嬢になっていた。
前世は日本で普通に生きていたせいか、貴族令嬢らしい強気な振る舞いがどうしても苦手。
社交界デビューを迎えても、「どうして私が選ばれるの?」と戸惑うばかりだった。
けれど今年デビューする高位令嬢はわずか三人。
家同士の思惑も重なり、騎士団長家の息子、宰相子息、魔術師団長の息子、幼なじみの侯爵子息、そして英雄騎士――
五人の若きエリートとのお見合いが次々と始まってしまう。
遠慮がちで控えめな性格は、この世界では珍しく、気づけば少しずつ距離を縮めていく彼ら。
異世界での恋愛に戸惑う日々。けれど出会いを重ねるたびに、私は少しずつ変わっていく――。
女性希少世界で、自分の幸せを選べるようになるまでの逆ハーレム恋愛ファンタジー。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【ご報告】
2月28日より、第五章の連載を再開いたします。毎週金・土・日の20時に更新予定です。
また、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。
引き続きよろしくお願いいたします。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!
鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……!
前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。
正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。
そして、気づけば違う世界に転生!
けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ!
私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……?
前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー!
※第15回恋愛大賞にエントリーしてます!
開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです!
よろしくお願いします!!
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる