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第1章 この度、伯爵令嬢になりました。
32*みんなで海に出るのです。
しおりを挟む皆様こんにちは。ティナ・エヴァンスです。
ただいま、私は、海のど真ん中に、釣りに来ています。
潮風に吹かれて、とても気持ちいのですが日焼けしない様に日傘は必須です。
事の始まりは、朝。お父様と、お爺ちゃんと、レイ兄様との4人で視察に行く事になっていた私は、指定された朝日が昇るくらい朝早い時間から港へ連れていかれました。
「よし、チャコ。今日は、お爺ちゃんがいっぱいでっかい大物を釣ってやるからな!」
そう言われて連れてこられたのは、大きめのクルーザーです。
視察は?と思ういましたが、多分、程のいい言い訳としての視察だったのでしょう。
レイ兄様も釣りは初めてなのか、珍しくワクワク顔です。‥‥やべ、可愛い。
「レイ兄様、船酔いとかは大丈夫ですか?」
「船酔い?」
「はい、船は海に浮いているので陸にいる時と違って常にユラユラしているので酔いやすいんですよ。」
「そっかぁ。でも、僕、船は初めて乗るから酔いやすいかわからないな‥‥」
「そうですよねぇ。私も、初めてなんですよね‥‥」
うーん、前世では、クルージングにみんなで行ったりダイビングしたりしたから、毎年何回かは船に乗っていたけど‥‥こっちの世界に来てからは初めてなんですよね。何より、島国じゃなくて大陸だから海に面している土地も少ないですし。だから、今日は少し楽しみです。
「チャコ、レイ、足下気をつけて乗れよ~」
お父様が手を引いて乗せてくれました。
お父様のラフな姿はあまり見ないのでとても新鮮です。‥‥カッコいい!
あ~‥‥でも、髪をきっちりしすぎてるなぁ。もう少しだけ崩して襟立てて‥‥
「お父様!こっちにちょっと座ってくださいませ!」
「ん?なんだ?」
首を傾げながらも言われた通りに椅子に腰をかけてくださいました。
「今日のお父様、とってもかっこいいんですけど‥‥」
「おお!カッコいいか!ふふん。」
「でも、すこーし、惜しいんですよねぇ。」
顎に手を当てて、ふぅとため息を吐くと、お父様はえぇ!っと嘆き出します。ぷぷ。
「だから、ちょっと私がいじってもいいですか?すこーしだけですので!」
「?着せ替え人形ってことか?はは。いいぞ~!チャコの好きな様にしてくれ!」
ニッコリと笑って、お父様は大人しく座っていてくれます。うん、よし。ちょっとぺぺっとしちゃうか。
「この髪をこんな感じに‥‥わぁ!カッコいい!!そして、襟はこんな風に‥‥うんうん。あとは、これをこうして、こう!とってもワイルドイケメン!!!お父様、カッコいいですね!!いかがですか?」
手持ちの鏡を渡してお父様に確認してもらいます。
「うっわ!なんだかいつもと雰囲気違くて‥‥こっちもいいな。あぁ~ミディアに見せたかったぁ~」
「うっふふふ。いいですね、とってもカッコいいです!私も、お義母様にも見せたいです!!あ、ちょっと待ってくださいね、今日は、持って来たんですよ~ふふ」
そういって、自分のカバンを漁ります。
ついに、できたんですよねぇ~~これは、絶対に必要な物です!前世でも、必ずカバンに入っていました。私にとってはなくてはならないものです。
結晶石を想像魔法で一眼レフっぽく練って、SDカードの代わりに記録用の結晶石を差し込むと、一眼レフ風デジカメの出来上がりです!!勿論、動画も撮れますよ!ふふ。これから、時間があるときにコス作って、可愛い子達に着せて写真撮ったりするんだぁ~!あ、あと、ピアノやギターの練習の記録用としても使おうと思って頑張って作りました!試作を作りすぎて、魔力が減ったからなのかその日は熱が出たのはいい経験でした。因みに、部屋にコピー機もどきも作ったので、現像可能です!!さすがに、現代の写真に比べると劣りますけど、一昔前の画素数が低めの時くらいには仕上がっています!これからも要研究ですね!!うふふん。想像魔法、万歳!!ビバ、想像魔法!都合がいいことは全て、想像魔法ですね!へへん
「お父様、此方に立ってください!動かないでね、ブレると嫌なので!はい、チーズ!」
カシャ‥‥
「‥‥で?ちゃこ、それはなんだ??うわっ!」
私が撮れた写真を確認していると、お父様が上から覗いてきました。
「これはね、『デジカメ』って言って、写真が撮れるんですよ!ほら、よく撮れてるでしょう?現像したら、お義母様にあげましょうね!!」
「こ、これは‥‥絵‥‥ではないのか?そっくりそのまま私が写っているが‥‥」
「これは、この資格の画面の景色をそっくりそのまま映し出すことができるんですよ。結晶石と、想像魔法で作ったんです。見てください!これは、動画も撮れるんですよ!!」
そう言ってお父様に短い動画を撮って見せると面白いくらいにまた驚いています。ふふ
「・・・はぁ~~。チャコは本当に想像力が豊かだな。だから、そんな奇跡の様な魔法が使える様になったんだな。」
「せっかく便利な魔法なんだから勿体無くて!これで、いっぱい思い出を記録して行くんです!!想像魔法があることで、便利さはあっても、不便さはありませんからね!!」
「‥‥そうか。はは。じゃあ、現像?が出来たらお父さんに最初にくれ。ミディアには私から渡したいんだ。」
「はい!!もちろん!」
ふふ。お父様がまた頭を撫でてくれました。
大きくて、優しい手はとっても気持ちが良くて安心します。
「ほらー出発の準備ができたぞ!動くからなー」
お爺ちゃんが大きい声で叫んでます。お爺ちゃんは、釣りがとても好きな様で、とても本格的な道具も揃っていました。うん、これはいっぱい釣れるかも!楽しみですね!
出航して数十分後‥‥
「ふあぁ!!また釣れましたよ!!楽しいですねぇ!」
「う、うん‥‥チャコ、凄いね。」
「レイ兄様?顔色が良くないですから、日陰に入って少し休みましょう?」
「う”‥‥ごめ‥‥」
「はは。いいんです。ほら、この飴ちゃん舐めてると少しだけ楽になりますよ」
お父様とお爺ちゃんは生き生きと釣りを楽しんでいます。今日は、大量の日ですね!
レイ兄様は、船酔いになってしまった様です。ハチミツしょうが味の飴ちゃんと、爽やかな香りのする冷たいペパーミントティーを注いであげて、扇子で扇いであげます。
「チャコ、ごめんね、ありがとう。」
「うふふ。いいえ、弱ってるレイ兄様も可愛くてお世話のしがいがありますよ。」
「‥‥チャコ。はぁ」
「いつもお世話になっているのは私ですから。こんな時くらい頼ってください。」
「うーーん。」
「船酔いには、遠くを見るといいんですよ。何か動かない島とか、水平線を見るのが一番です。または、寝ちゃうのも良いですよ。日陰だから日焼けの心配はありませんしね。」
「うん、ありがとう。。」
レイ兄様は飴ちゃんをコロコロと口の中で転がしながら必死に遠くを見ています。
ふふ。こうしていると、8歳の子供そのままですね。可愛い。
「チャコ!お爺ちゃん、また釣れたぞ!ほら!!」
お爺ちゃんが大きな魚を握ってやってきました。
この船には大きい生簀があるので血抜きをしなくても帰るまで新鮮に釣れてかれます。
お爺ちゃんと話している時、空に影が一瞬出来ました。‥‥はて、何でしょうか。
不思議に思って、空を見上げても今は特に何もありません。お爺ちゃんも何か感じたのか、一緒に上を向いています。
「お爺ちゃん、なんか、通った様な感じがしましたよね?」
「うむ。つばしっこい何かが一瞬通ったよな。‥‥まぁ、気にせんで良いだろう。ほら、そろそろ朝ごはんにしようか。」
「わーいっ!!私、ちゃちゃっと作りますね!」
そう言って、包丁とついさっき取れたばかりの魚やイカ数種類をタタキにして、ネギと生姜を刻んで薬味にして、熱々ご飯の上にのたらだし汁をかけて、即席漁師飯もどきを作りました。うんうん。絶対美味しいやつ!!好みで味噌を入れても良いですね!
「はい、出来ましたよ~~」
「おお!美味しそうな匂いがする!!」
お父様達は顔をキラキラさせてがっつりと食べています。
「レイ兄様、食べれますか?」
「うん、吐き気も収まってきたから‥‥お腹減ったし。。」
「まぁ、空腹の中での船だったので余計に気持ち悪くなってしまったんですかね。汁物だから食べやすいと思うので‥‥でも、無理しないでくださいね?残しても大丈夫なので、ゆっくり食べてください。」
「うん、ありがとう。」
レイ兄様の隣で私も朝ごはんを食べます。うん、美味しい。何杯でもいけますね、あーなめろうにするのも良いなぁ~次はそうしようかなぁ。
ほのぼのとした時間が過ぎて、お日様も高くなってきた頃、レイ兄様も釣りを楽しめるようになってきたようです。うふふ。
キラキラした水面を見つめていると、魚達が泳いでいるのが分かります。
「古いアルバムめくりーー‥‥」
ーー♪
ーーー♪
ーー♪
うん、良い曲。
「それ、初めての曲?」
レイ兄様、いつの間にか聞いてたのか近くに腰掛けていました。
「はい、なんだか海っぽい歌でしょう?ふふ」
「うん、なんとなく・・ね」
レイ兄様とのんびりと話していると、港に帰ってきました。
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