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第2章この度、学生になりました。
2*いよいよ入学式なのです。
しおりを挟む真新しい制服に袖を通して、新しい革靴を履いて姿見でおかしなところがないか念入りにテェックします。そう、今日はいよいよ‥‥入学式です。
「あー大学以来の学校か‥‥制服とか高校以来だし‥‥やばい、ニヤける。この制服可愛いし。また学校生活ができるとは‥‥楽しみすぎてやばい。」
ぶつぶつと、姿見の前で不敵に笑っているとジンがノックして入って来ました。
「お嬢、そろそろ行く時間です。」
「わかったわ。‥‥ジン、あの、変じゃない?」
久々の制服で、無駄にドキドキしてしまいます。
あー自分的には少し違和感!大丈夫かしら‥‥。
「変じゃないですよ。お嬢はいつもと変わらず可愛らしいです。」
16歳になったジンは、お世辞も照れることもなく言うようになりました。
成長がなんだか、寂しいです。あの照れ顔、本当貴重になってしまいました‥‥。
「‥‥ありがとう。」
「お嬢?」
「ん?行きましょう。ハンク達を待たせるのは悪いから。」
そう言って、私は歩き出します。ジンも、後ろからついて来ました。
「チャコ。制服似合ってるなぁ~もう、学生だもんなぁ‥‥あんなに小さかったチャコが‥‥うっ」
お父様が、感極まって泣き出しそうです。ふふ。本当、親バカですね。
ハンクとレイ兄様が来ました。うわぁ~ハンクの制服が少し大きめなのが可愛いです。
そうです、この、着せられてる感。本当たまりませんね。
「ハンク、制服にあってるねぇ。うふふ」
「え、本当!?よかったぁ~。チャコも、似合ってるよ!」
「うんうん、2人ともとても似合ってるよ。」
ニコニコとしながらレイ兄様が褒めてくれました。うふふ。
お互いを褒めあいながら、兄様達には学園の話を聞きながら車で学園まで向かいます。
学園は、家からそんなに離れた場所にあるわけではありません。
なので、これからは車じゃなくて自転車で行こうとおもいます。うん、絶対そうしよう。
だって・・・
普通なら、家から学園まで歩いて20分なのに車だと40分とか!!渋滞やばいですし!!
なんで!?あ、みんながみんな車で通学しているですね。本当、不便!なんなら、原付みたいなバイクで通おう。うんうん。帰ったら試作ですね。ん?免許?10歳がバイクとかダメ?うーーん。どうしましょうかね?二輪の大型にしてジンに運転させる?あ、それは結構カッコいいかもしれない。でも、乗れるようになるまでが長そうです。明日から乗りたいんだから‥‥やっぱりしばらくは自転車ですかね。
車の中で通学のことを考えてると、バックミラー越しにジンと目が合いました。
・・・あれ?なんだか呆れられたような顔してる?なんで?とりあえず、ニコッと爽やかに返しておきます。うん、まだ自転車のことは悟られてないはず。うん。
領地では、王都ほどあちこちにいろいろなものがあるわけじゃなかったのでよく自転車で遊びに行っていました。それに付き合っていたからジンも、自転車は乗れます。良いじゃないの。健康的にも‥‥あっちほど、坂もないですし‥‥。ふふん。
色々と考えていると、車が学園の前で止まりました。
「お嬢、変な事考えるのはやめて、今日を一日大人しく過ごすことを考えて下さいね。」
「なによ、変な事って。失礼ね。通学手段のことを考えてただけだもん。」
ぶーっとした顔をすると、ジンはだと思いました。と呆れながらも手を差し出して車から降りるのを補助してくれました。うん、なんだかんだで侍従らしくなった。
「授業が終わる頃、連絡入れていただけますか?迎えに来ますので。」
「わかったわ。お願いね。」
「くれぐれも、変な男に目をつけられぬように気をつけて下さいね。ジョー様がいるので大丈夫とは思いますが‥‥変な事に首を突っ込んでは行けませんよ?」
「もーしつこいなぁ!大丈夫よ!大丈夫!行って来ます!!」
何回も注意を受けて思わず人の声を吹っ切って来てしまいました。
だって、しつこくありませんか!?ジンは何!・私のオカンですか!?私は思春期の娘ですか!?もー!学校初日そうそう恥ずかしいったらありません。
「チャコ!早いよ。」
レイ兄様が私の手をとって、隣を歩き出します。
「レイ兄様‥‥すみません、ジンがしつこかったので‥‥つい。」
「はは。ジンは本当に心配性だからねぇ。チャコが可愛くて仕方ないんだよね。」
「‥‥わかってます。ちゃんとあとで謝っておきます。」
「ふふ。偉い偉い。」
レイ兄様は私の頭をポンポンと撫でてくれました。
何かにつけて頭を撫でるのは、昔から変わらない癖です。
「ほら、チャコ達はあっちに行ってね。僕達は向こうから行かなきゃだから。」
「はい。ありがとうございます。じゃあ、また後で!」
「うん、何かあったら、すぐ連絡して。」
「チャコ、またなぁ~」
カート兄様と、レイ兄様は自分達の教室へ向かって行きました。
私たちはまず、掲示板に貼られた自分達のクラスの確認です。
わぁ~こんな感じなのは、日本と変わらないんですね。懐かしい~
ハリ◯タみたいに、帽子が決めるとか、不思議じゃないのは、すこしだけ残念ですけど。
「あ、やっぱりハンクとは違うクラスになっちゃったね。」
「まぁ、そうだよな~エヴァンスが2人もいたらややこしいし。じゃ、俺はクラスに行ってみるよー」
「はーい。頑張ってねぇ!」
ハンクと別れ、改めて掲示板を見ます。
やった。リリと同じクラスです!あ、ジョーとも同じクラス!このクラスあたりですねぇ!
「チャコ、おはよう。」
自分の教室へ向かっていると、後ろからジョーが話しかけて来ました。
「ジョー!おはよう。同じクラスで嬉しいよー。」
「俺も、本当嬉しい。これから学園に来れば毎日チャコに会えるのが本当に嬉しい‥‥」
「ふふ。私も嬉しい。」
しみじみと、言ってて、思わず笑ってしまいます。
すると、スッといつものようにジョーが手を繋いで来ました。
ん?これはー‥‥ダメじゃないか?学園内で、こんな事堂々としてたら婚約者とかに思われてしまうんじゃないですか?うーん。でも、いつも振りほどかないのに解いたらジョーのこと傷つけちゃう?どうしよう‥‥
そんなことを思っていると、後ろからドドドドっというものすごい音が聞こえます‥‥なんでしょう?
「チャーーーーーーーコーーーーーーー!!」
「キャア!」
ドシンっ!!
すんごい勢いで突進して来たのは、リリでした。うん、予想してました。
「一緒のクラスだよー!会いたかったよーーっ!!これから毎日の学園が楽しみだよーー!」
「本当にねぇ。嬉しすぎて、一瞬息できなかったよー」
知り合いがいるだけで、本当に違いますよね。うんうん。
「あ、ディナン殿下も同じクラスだったよね。」
「‥‥あ、そうなんだ?私、ディナン殿下の名前は見てなかった。」
「そうなの?まぁ、後で会うしね。久々の再会なんじゃない?」
「あー‥‥うん。6年ぶりだね。こっちに来た時も、連絡取れなかったから‥‥」
そうなんです。ディナンとは、この6年間ずっと連絡を取ってませんでした。
何故か?私にもわかりません。手紙を送っても、こっちに少し帰って来た時に結晶石で連絡しても、連絡は帰って来ませんでした。最初の二、三通だけですね。手紙のやり取りをしたのは。プッツリと、いきなり連絡が取れなくなって、ジョーに聞いても、わからないそうで、でも何故かディナンは私のことを怒ってるらしい?です。そんな別れかたなので会うのは少しだけ、気まづかったりします。
「あ、席は自由席なんだね。チャコ、隣に座ってもいい?」
可愛らしく、リリが上目使いで聞いて来ました。
美少女の制服姿+上目使い、本当に可愛くてハァハァしちゃいます。
「も、もちろん。あ、あの窓際の角に座ろう。」
「えー俺も、チャコの隣がいい。」
「私が先に隣って言ったのよ!」
「でも、俺がチャコの前に座ったらチャコが前見えなくて可哀想だろう?」
「うっ‥‥仕方ないわね。じゃあ、私がチャコの前に座るわよ。もうっ。」
「はは。悪いな。」
・・・なんだか、リリとジョーが仲がよろしいです。
ジョーが、こんなに女の子とよく話しているのを見るのは初めてなのでなんだか不思議です。あれ?そういえば、リリって‥‥
「ディナン殿下!」
「リリ。‥‥チャコ。」
久しぶりに見たディナンは、スラッと背が伸びていて顔付きは私の知っているディナンとは全然違いました。‥‥うわ、王子様です。もともと綺麗な顔つきをしていたけれど大きくなってより男らしくなりました。‥‥浴衣着せて、バンダナとマフラーさせたらあのキャラにそっくりかもしれない‥‥うわわ。やってほしい!‥‥でも。今はそんな事お願いできる間柄ではありません。
「お久しぶりです。‥‥ディナン殿下。」
席から立って、挨拶をしました。
「‥‥あぁ。元気そうで何よりだ。」
冷たい声が耳に響きました。‥‥え?なんで、ディナンが怒ってるの?手紙も連絡も一切無視したのはそっちの癖に。ちょっと、ムッとしてきました。
「ディナン、こっち座れば?」
ジョーが自分の隣を指さします。
「あぁ。そうだな。」
フイッと、ディナンは私を避けるようにジョーの隣に座りました。
なんですか、感じ悪い!ずっと無視した事の謝罪や言い訳でも、一言くらい普通ありませんか!?‥‥ちょっと、イケメンに育ったからって調子に乗って!ふんだ。
「チャコ?さっきからプルプルしてるけど‥‥大丈夫?」
「あ、うん。大丈夫。もう、なんでも無いから。」
そうです。なんでも無いんです。ディナンが可愛く無い子に育ってても、極力私は関わらないようにしていけばいいんです。うんうん。
カンカンカンカン
鐘がなって、先生が教室に入って来ました。
先生は50代ほどの如何にも教師というような厳しそうな顔つきをした厳しそうな方でした。
入学式があるので、先生の指示に従って講堂を目指します。
講堂に入ると、兄様達が見えました。
レイ兄様も、私に気がつくとニコッと笑ってくれました。
その笑顔に癒されて、私も笑い返します。
「チャコ、何1人で笑ってるの?」
リリがコッソリと聞いて来ました。
「1人じゃ無いよ!レイ兄様を見つけたら笑ってくれたから返しただけ。」
「チャコ。」
ジョーに呼ばれて、ジョーを見ると、ニコッと笑って来ました。
・・・ん?これは、なんだ?レイ兄様に対抗しているって事なのかな??
ジョーの顔を見ながら口角は上げながら首をかしげると、ジョーがクスクス笑い出しました。
「チャコ、間抜け面になってる‥‥くく」
「ちょ!失礼ね。ムー」
「はぁ。チャコ可愛い。」
ジョーは、本当に可愛いが口癖ですね。人のこと言えませんけども。
入学式は、特に変わった事もなく校長先生の話が長いのはどこの世界でも一緒なんだなということを知りました。
「あ、次はディナンが話にするみたいよ。」
「あ、本当だ。」
まぁ、この国の王子様ですもんね。1年生なのに生徒会長とかもしなくちゃいけないみたいですし‥‥王子様って大変ですね。
ぼーっと、ディナンのことを見て話を聞いていたら、ディナンがこっちを向きました。
目があったのはほんの一瞬です。でも、そこには昔の少しだけ寂しそうなディナンがいました。
・・・やっぱり、なんかあったのかな?私にも話せないようなこと‥‥?
だって、あんなに仲良くしてたのに離れて1ヶ月やそこらで音信不通になって王都に帰るたびに連絡しても繋がらなくて、尚且つ、意味わからなく嫌われてるって‥‥色々おかしく無いですか?腑に落ちません。
「ーーこ、チャコ!」
ジョーが心配そうに覗き込んでいます。うわ、やっぱりジョーも顔が良いです。
「え?なに?」
「もう、終わったから教室戻るよ。行こう?」
「チャコ、ぼーっとしすぎ!」
ジョーとリリが手を引いてくれて、教室に戻りました。
うん、一度ちゃんとディナンと話してみましょう。
なにか、行き違いがあったのかもしれないですし。
「ジョーはさ、ディナンと今でも仲良いんだよね?」
「ん~‥‥そうだね。悪くは無いんじゃ無い?」
「‥‥いいなぁ。」
「え?」
「んーん。なんでも無い。」
教室の窓から春の暖かな日差しが入ります。気持ちいい。
「ーー♪ーーー♪」
春の陽気が気持ちよくて、思わず鼻歌を歌ってしまいます。
あ~アラン元気かなぁ~こっちに帰って来てからはまだ、噴水前にはいけていません。
久しぶりに思いっきり歌いたいですねぇ~帰ったら、秘密基地行ってこようかしら。
「チャコ、ご機嫌ね。」
リリが話しかけて来ました。
「うん。だってさ、気付いてた?このクラス‥‥男子率、高くない?」
コソッとジョーにも聞こえない声でリリに言います。そうなんです。多分、学力別でクラスが決まったからなのか、このクラスは35人の生徒がいるにもかかわらず女子は10名程度。これは、逆ハーレムなのです!BのL観察し放題!!うふふふ
「「うふふふふ」」
リリも同じことを思ったのか、私とリリは握手しながら笑いあいました。
「では、本日はこれで終わりとなります。明日からも、しっかりと勉強してください。」
先生の一通りの話が終わって、鐘が鳴ってから、生徒が少しづつ帰っていきます。
・・・私はもう少し居ようかな。渋滞に巻き込まれるの嫌ですし。あー飛んで帰れれば楽なのに。実は、羽が生えてから地道に飛ぶ練習をしていました。今では、だいぶ飛べるようになりましたけど、誰にも見せれないから飛ぶ機会がないんですけどね。はぁ。
「チャコ、帰らないの?」
ジョーが心配そうに聞いて来ました。
「んー、渋滞にはまるの嫌だから、少しだけ時間ずらして帰る。ジョーは用事あるんでしょう?先に帰って良いよ?」
「えー‥‥うん。一緒にいれなくてごめんね、また明日‥‥そっか。明日も会えるんだ。うん。また明日ね」
「ふふ。また明日ね。」
ジョーが帰って、しばらくリリと話していたもののリリもお迎えがきたとのことで別れました。私は1人で学園探索に行きます。流石、王立学園ですね。とっても広くて迷いそうです。
食堂に行って見たり、音楽室に行って見たり、中庭を歩いて見たり。どこも広くてとても綺麗です。歩きすぎて、少しだけ疲れて来ました。ちょうど人もいないので、中庭にある池の前の芝生に腰を下ろしました。
「ふぃ~歩きすぎたなぁ。ここ広すぎる。」
チュンチュン
小鳥が鳴いています。今日は、一年生は午前だけだったのでまだ日は高いところにあります。
「長閑だなぁ~‥‥」
池の水面を見ていると、穏やかな気持ちになりますね。
「ーーNo.1にならなくてもいい‥‥♪」
ーー♪
ーーー♪
「ラララ~♪」
カサっ
えっ!誰かいる!?
大きい声ではなくても思いっきり素で気持ちよく歌ってしまいました。え、恥ずかしい!
ガサガサ‥‥
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