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第2章この度、学生になりました。
11*【ジョー目線】その2
しおりを挟む【ジョー目線】
コロッケを買って、流石に食べ歩きはしないで秘密基地まで来てからゆっくりコロッケを食べる。チャコの小さい口が忙しなく動いて一生懸命食べてるチャコが天使すぎて辛い。
「このコロッケ美味しいねぇ~肉屋のおじさん、腕あげたねぇ~」
「え?どれ?」
見てるのに気付いたチャコが、ハイっと食べかけのコロッケを差し出して来た。
齧ったところ食べていいのかな‥‥でも、わざと避けて食べるのも変だよな。うん。変だ。それに、あとあと食べづらくなるかもだし‥‥
色んな事をグルグルと考えてチャコがかじった所を少しだけズラして遠慮がちに食べた。
「あ、ほんとだ。うま。次から俺も買お。」
でしょ?と、作った人でもないのに胸を張るチャコがまた可愛くてグッと来てしまった。
チャコに無性に触りたくなって、手を握ったら握った手を凝視されてた。‥‥なんだ?嫌‥‥だったかな。こんな事は初めてだから少し戸惑う。なるべく平常心を保ちながらチャコに聞くと、思っていたよりも何倍も可愛い答えが返って来て、心臓が異常な速さで動いてるのがわかった。
さっきまでは俺がチャコの手を握ってたのに、今は逆転してチャコが俺の手をニギニギと遊んでいる。‥‥なんだろ、この可愛い生き物は。俺をどうしたいのかな?とりあえず、胸が苦しいくらいドキドキしてる。チャコに気づかれないように深呼吸して、なんでもない事のように本題に入る。
「あ、そーいえばね。ちょっと小耳に挟んだんだけど‥‥。」
「ん?何?」
ドキドキと心臓の音が耳に響く。
「チャコに好きな人ができたって。」
「え?」
チャコは、キョトンと言うように目を丸くしている。‥‥ん?思ってた反応と違うな。ほら、チャコなら、真っ赤になるとか挙動不審になるとか‥‥
「嫌ね。ディナンから聞いたんだけど‥‥昨日、連絡もらって。でも、慌てたからよく話が読めなかったんだけど、リリのお兄さんに一目惚れしたって本当?」
「??」
全然わからないのか、首を傾げてしまった。あれ?みんなとの温度差ありすぎないか?
「チャコが?って俺も疑問に思ったんだけど。一応、ジンにも連絡して見たらさ。本当にチャコがリリのお兄さんを気に入ったって言ってたって言うからさ‥‥」
「えぇ!!??あたし、リリのお兄さんの事、好きなの!?」
「え、知らないよ。俺がそれを聞きたいからゆっくり話せるここに来たんだけど‥‥」
思わず、本音が出た。いやいや、チャコ自身の事でしょう!?俺に聞かれても!
でも、この反応だと、やっぱりみんなの言ってたチャコが一目惚れしたっって言うのは違ったみたいだな。‥‥良かった。
チャコは記憶を遡ってるのか頭を抱えてうーんと唸って思い出そうと必死になってる。
暫くすると、小さく「あ、」って声が聞こえてチャコを見ると少しだけ目が泳いでいた。
・・・心当たりはあったか。
「あ、その顔は思い当たることあった?」
なるべく平静を装って聞くけど、どうしても胸の奥がザワザワしてしまう。
「うん。確かに、ジンに『気に入った』って言った。」
うん。それでジンは失恋したと思って泣いてたのか。でも、本当にチャコに気に入られた奴がいたのか‥‥恋じゃ無いとしてもやだな。
「‥‥そうなんだ。」
弱々しい声が漏れてしまった。‥‥チャコが、誰かをそんなに興味を引いた事自体初めてに近いと思うから。やっぱり、どんな理由であれ嫌だと思ってしまう。
「声だけね!声を気に入ったって言っただけ!好きとか、嫌いとか、そう言う類の気持ちじゃないよ。むしろ、好き嫌いするくらいお兄さんのこと知らないし、むしろ、声にばっかり気になって顔もあんまし思い出せないし‥‥リリに似てるって事くらいしか‥‥」
必死に弁解してくれるチャコに、少しだけ嬉しくなる。
そんなに、俺に勘違いされるのは嫌なのかな?‥‥少しでも、チャコに意識させられるなら嬉しい事はない。
「声だけ‥‥でも、気に入ったんでしょ?」
ちょっとだけ拗ねたように言うとチャコは真顔になって肯定して来た。
「まぁ、リリのお兄さんの声は天からの贈り物だと思ってる。」
・・・そんなにかよ。天からの贈り物の声ってどんだけいい声だよ。
チャコって、そんなに声が好きだったのか?
「‥‥俺は?」
少し、聞いて見たくなった。
「え?」
「俺の声は、ダメ?」
「ダメじゃないよ?ジョーの声も好きだよ?」
少しホッとした。‥‥俺でもいいなら、そんなにリリの兄さんのこと気にして欲しくないな。
「そう?‥‥なら、良かった。」
「まぁ、リリのお兄さんは特別なんだよ。なんていうか、a波が出てるというか。誰にも真似できない唯一無二っていうかね。でも、人としてはどうだろうね?」
「ん?なんかあったの?」
知らないところで知らないことが起きてるのは好きじゃない。チャコの事はなんでも知っておきたいのにそうは出来ないのがなんだかもどかしい。
「んー昨日、挨拶もせずに帰っちゃって失礼なことしたから謝りに行ったんだけど‥‥なんか、うーん。黒い人だなぁって思ってね。絶対、弱味見せちゃダメな人って本能で思ったわ。」
「本能って!」
笑っているけど、でも、あながち間違ってはないかも?リリの兄さんって事は、今の宰相の息子って事だし。将来は、宰相狙いだと思うと、腹黒くても違和感ないしな。
「いや、本当に!」
「‥‥でも良かった。チャコが一目惚れしたんじゃなくて。」
本当に、この一言に尽きる。チャコが本気で俺以外の誰かに惚れたらどうしようかと思った。
「リリなんか、チャコと姉妹になれるって喜んでたよ。」
「いやいや、私では家格もなにも合わないでしょうに。まぁ、リリと兄弟になれるのは楽しそうだけどね~」
否定はしているけど、なんか無しって感じでも無いのは少し不安が残るな。
「‥‥ん~美人姉妹‥‥って思うけど、チャコは俺のお嫁さんになてくれるでしょ?」
「‥‥ん?」
・・・やっぱり、チャコは流されては言わないか。
「ジョーとだって、家格合わなくない?それに、ジョーは将来有望なんだからもっと上を目指せるでしょ?私は、ただの幼馴染‥‥」
なんだか、家格家格って、自分の意思が見えないのがモヤモヤするな。
「そんなわけないでしょ。チャコ、俺の気持ち分かってて言ってる?」
少しだけ、ムッとして言ってしまった。チャコが俺の事を「弟」って思ってるのは知ってる。だけど、弟なんかじゃいられない。チャコの、唯一無二の男になりたい。
「‥‥」
困ったように、視線を彷徨わせているチャコが、一度小さく息を吐いた。
何を言われるのか、体に力が入る。
「えっと‥‥「お待たせ」
ゴクッと生唾を飲むと同時にチャコが話そうとこっちを見た。と思ったら、気の抜けたディナンの声が辺りに響く。
「‥‥誰も待ってねーよ。」
思わずチャコにはあまり見せない素の言葉が出た。
「お、お疲れ様。ディナン。」
チャコは、助かったと言うようにニコニコとぎこちなく笑っていた。‥‥まぁ、困らせたいわけじゃ無いしな。まだ、このままでもいいか。
「‥‥タイミング最悪だったか?」
「え、全然!!「最悪中の最悪だよ。」
それでも、一度不機嫌になったら切り替えが難しいのは仕方ないと思う。
「ジョー、機嫌悪!はは。」
笑って済む事じゃねぇ。
まぁ、多分今のままだと振られてたから来てくれて助かったかもしれないが。でも、それとこれとは別問題だ!
「で?どうだった?やっぱり、チャコはフィンのこと‥‥」
「いや、純粋に声だけが好きらしい。人となりは好きでも嫌いでも無いってよ。あ、でも、弱みを見せたらいけない気がするって言ってた。」
コソコソと、情報交換をしているとチャコが神妙な顔になっている。
・・・俺が迫ったからか?そんな顔させたかったわけじゃなかったんだけどな。
うん。まだまだだな。俺は。もっと頑張ろう。
「‥‥大人になるの嫌だなぁ」
ポツリとチャコがこぼした言葉が本音だってわかった。
いきなりどうした?‥‥でも、そうだな。大人になったらこんな風に会うことなんて出来なくなる。俺の父上とクロードさんは結構特別だと思う。それでも、チャコのお母さんとはあまり会わなかったみたいだし。チャコが、他の誰かと結婚したら本当に会わなくなるんだろう。‥‥そんなの、他の誰かの奥さんになんてなって欲しく無いから絶対にチャコには俺の事を好きになってもらいたい。でも、どうやって?‥‥わからない。どうしたら、男として見てくれるんだ?
「‥‥チャコは、やりたいことってないの?」
俺なら、チャコがやりたい事全部、応援も後押しもするのに。
「いっぱいある。でも、全部中途半端になる気しかしない。」
「「‥‥」」
チャコがやりたいことって、なんだろう?
でも、チャコはなんでもできるからな。本当に手広くなんでもやりそうだ。
ディナンも同じ事を思ったのか、顔を合わせて苦笑いした。
チャコが、やりたい事のシミュレーションしているのか一点を見て止まってしまった。これは、チャコが考え込む時の癖だ。
「チャコさーーん??」
ちょっとだけ大きめの声で呼び戻すと、先ほどとは違い力強い目をしている。
あ、なんか思いついたんだなってすぐにわかった。
「んあ!?ごめん、意識飛んでた‥‥」
「いや、なんか思いついた様な顔してたけど‥‥」
「よくわかったね!いやね、将来のこと考えてた!!」
「将来?」
「うん。私、女の人は結婚して子供産むだけが幸せなのかずっと疑問だったんだけど‥‥」
「「う、うん。」」
確かに。チャコは、それだけでは満足はしないだろうとはと思っている。
「私も、働きたい。好きなことして、この先も過ごしたい。まぁ結婚もしたいし、子供も欲しいけど、与えられるだけじゃなくて与えれる人になりたい!」
「そ、そうか。」
ディナンが圧倒されつつ答えると、チャコは一つ息を吐くと前を見据えた。
「うん。だから、私、社長になることにする。」
「「‥‥うん??」」
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