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第2章この度、学生になりました。
10*【ジョー目線】その1
しおりを挟む【ジョー目線】
『チャコがフィンに一目惚れしたかもしれない。』
ディナンの焦ってる声が送られて来た。
チャコが一目惚れ?は?俺が稽古に行ってる間にどんな事になってんの?は?(2回目)
ってか、とりあえず
「‥‥‥‥フィンって誰だよ。」
自分が思っているよりも数段低い声。
結晶石の向こうでディナンが唾を飲む音が聞こえた。
『フィンって、リリの兄さんだよ。』
「で?どうしてそうなった?どんな状況なわけ?ディナン、今日は委員会で学園にいたんだろ?なにかわかんねぇの?」
『うーん。私が、委員会が終わってまだチャコが食堂でリリと話してるって聞いたから迎えに行ったんだ。そしたら、チャコが立ち尽くしてて、顔見たら泣いてたから声をかけたんだ。』
「え?チャコ、泣いてたの?」
『泣いた経緯はリリもフィンもよくわからないらしいんだが‥‥それで、なぜ泣いてるんだって聞いたら「声が良すぎて感動した。ディナンのバカー」って叫んで帰ってしまった。顔を真っ赤にして、明らかにいつものチャコとは違ったぞ。』
「‥‥ふーん。声、ねぇ。」
『その後、フィンもリリも唖然としてたから本当に訳がわからないようだった。』
「そうなんだ‥‥。」
『でも、真っ赤になったチャコ、あの感じを見ると本当に一目ぼ‥‥』
ブチ
最後まで聞くのが癪で連絡を切ってしまった。まぁ、ディナンだし、大丈夫だろう。
チャコが一目惚れか。それは予想外だったな。誰かに惚れられても、チャコから誰かに惚れるってことは考えてなかった。いや、しかしディナンのあの感じだとなんか腑に落ちないな。
「ジンに確かめておくか。」
善は急げだ。すぐに連絡を入れる。
『‥‥はい。』
ん?元気がない?
「あ、ジョーだ。聞きたいことがあるんだけど。」
『お嬢のことですか?お嬢は、今は宿題をされていますが‥‥』
こいつ、泣いてたのか?声が震えてる気がする。
「お前、泣いてたのか?」
『なっ!!泣いてなんかいません!!なんですか!?冷やかしですか!?切りますよ!?』
・・・いや、明らかに泣いてただろ。なんか、嫌な予感しかしないな。
「待て、切るな。聞きたいことがある。」
『‥‥なんですか?』
明らかに不貞腐れた態度だが、まぁここは仕方ない。
「チャコが、一目惚れしたって本当か?」
『‥‥‥‥情報早いですね。そうですよ。お嬢は、何処ぞの公子様を気に入ったそうです。』
「っ!!!ディナンの話は本当だったのか。」
『はい。とても可愛らしく頬を染めていらっしゃいました。』
「‥‥‥‥そうか。わかった。ありがとう。教えてくれて。」
『はい。』
ブチ
足元から体の力が抜けて行くような虚無感に襲われる。
チャコが、リリの兄さんを好きになる?まさか、そんな事って思ったが、ジンのあの感じだと本当らしい。
「‥‥まさかな。」
信じたくない。でも、ディナンの話も本当らしいし、ジンのあの様子も、失恋した奴みたいだった。‥‥嘘だろ?告白もせずに終わるのかよ。
「それはぜってぇ嫌だな。」
家に帰って来て、風呂に入って頭を冷やすと、やっぱりあのチャコが一目惚れしたなんて思えなくて。ぐるぐる考えてしまった。
「明日、ちゃんと話聞こう。」
それが一番確実だ。チャコの気持ちはチャコにしかわからないんだから。
◇◆◇◆◇◆
「あれ、チャコは?」
昼休みに、チャコと一緒にご飯を食べようと思ってたのにトイレに行っている間に居なくなっていた。
「んふふ~♪私のお兄ちゃんの所に行ってますよ。」
「リリの兄さんのとこ?なんで?」
「なんでも、昨日の非礼を謝りたいみたい。まぁ、お兄ちゃん、面白がっても気にしてなかったけどね。でも、チャコはもしかしたらお兄ちゃんの事‥‥ふふ。そしたら私達、姉妹になるわ~~♪嬉しい!」
「‥‥なる訳ないでしょ。チャコは俺のお嫁さんになるんだから。」
「それは、わからないわよ?チャコ、結構お兄ちゃんの事気に入ってくれてるみたいだし。チャコの気持ちがあってこその結婚でしょ?」
「‥‥絶対させない。認めない。」
「そんなの、ジョーには関係ないじゃない。チャコの保護者でもないんだし。」
「‥‥」
正論を言われて言葉が出ない。悔しい。
リリと俺が睨み合ってるのを、ディナンは気にせず弁当を食べていた。
「‥‥ディナンは、それでいいのかよ。」
「‥‥チャコが決めた事なら応援する。」
「そうか。」
「‥‥」
「後悔してもしらねぇからな。」
「‥‥」
何を思ってんのか、黙々と食べ勧めているディナンが面白くなくて椅子を下から蹴ったら、流石にディナンもイラっとしたのか睨みつけて来た。
「不敬罪になるぞ。」
「ん?ディナンはそんなちっさい男じゃないの知ってるから。」
ニヤリと笑うと、眉間にシワを作りつつもまた弁当を食べ始めた。
予鈴がなる頃に、チャコがレイと一緒に教室に戻ってくる。
レイは、いつも通り優しいお兄さんって雰囲気だったから何かあった感じはなさそうだ。‥‥良かった。
「チャコ。今度の週末、久々にウチでお茶でもしない?」
リリが、俺のことを見てフフンと鼻で笑ったのがわかった。
・・・なにか、企んでるな。チャコは、何も気にせずに意気投合してるし。本当、警戒心がないのは困る。
本鈴が鳴って直ぐに先生が来た。‥‥話す時間もないな。あ、そうだ。
「ジョー、教科書忘れたの?」
何も疑うことなくチャコが聞いてくる。ノートはあって教科書だけ忘れる訳ないのにな。
「そう。だから、チャコ、見して?」
「良いよ。」
嫌なそぶりを一切見せずに、当たり前のように教科書を真ん中に置いてくれる。
「チャコ、今日は何か予定ある?」
「ん?特にないよ。」
「じゃあ、久々に秘密基地行かない?」
「いいね。行きたい。あ、久々にアランにも会いたいなぁ。少し、寄ってもいい?」
「いいよ。俺もチャコの歌聴きたい。」
「ふふ。ありがとう。」
「じゃあ、今日は一緒に帰ろうね。」
「うん。約束。」
本当に、可愛いな。チャコは。黒板を見る横顔も、見過ぎって照れるのも、たまに変な声で笑ってるのも全てが可愛いな。持って帰りたい。なんでこんなに可愛いんだろうな。何食べてるんだろう。あ、お昼は三年のクラス行ってたんだよな。ちゃんと昼飯食ったのかな?もし食ってないなら後で何かあげないと。チャコが好きなのまだ食堂残ってるかな。
「‥‥‥‥ジョー?ほんと、見過ぎだよ?黒板見よ?」
あぁー困ったように笑ってるのも可愛い‥‥あーまじ、やばい。絶対誰かになんか渡したくねぇ。
「‥‥ちゃこ、お昼は食べた?」
「先に少し食べたから大丈夫だよ。」
「少し?それだと、後二時間はきつくない?授業終わったら速攻なんか買ってくるね。」
「ん?あー‥‥そしたら、後で秘密基地行くときにちょこっと何か買おう?その時に一緒に食べよう。」
ニコッと笑ってくれたのが可愛すぎる。はぁ、天使。
あぁ、後二時間。そしたらチャコとは放課後デートだ。頑張ろう。
改めて、黒板をちゃんと見ると隣のチャコが小さく笑ったように感じた。‥‥見たかった。
◇◆◇◆◇◆
「あれ、これ乗ってくの?」
「うん。その方が早いし。」
チャコは、当たり前のように自転車をカバンから出して来てビビった。
そんな所に、自転車を入れてるとは、誰も思わないだろう?
「ジョー、ほら、乗って。」
「え、俺が後ろ?」
「え、だって自転車乗れないでしょ?」
「ふふ。実は、乗れるようになったんだ。」
そう。チャコの領地に行った時、自転車で行動して屈辱ながらジンの後ろに乗せられた。だから、帰って来てから猛練習したんだ。
「え、なんで!この前は乗れなかったのに!」
「それはもう、二年も前の話でしょ?ほら、チャコが後ろに乗って。」
チャコを後ろにずれるのを待って自転車に跨ると噴水前に向かって自転車を走らせた。
うん。いいな。二人乗り。なんだか特別感。なにより、チャコが後ろから抱きつく感じがいい。背中に神経が集中してるのがわかる。‥‥まだ、車の運転が出来ないからな。遠くまでは行けないけど‥‥今度、本当にどこか2人で行きたいな。
噴水前でアランを探したが、残念ながらいなかった。とりあえず、市場の方へ行ってなにか食べれる物を探索しようって事になった。うん。これは、まさしくデートだな。
「ここのコロッケがねぇ、とっても美味しいんだよ。この前、ジンが買い食いしてたの味見したら美味しくてそれからちょっとハマってるの。」
「そうなんだ。」
ん?ジンと半分こしたってことか?ジンのやつ、チャコと間接キスしたってことか?くそ、羨ましい。
「ジョーにも、後で一口あげるね。」
屈託無く笑ってるあたり、チャコはなんにも思ってないんだろうな。
うん。俺も後で間接キスしよう。
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