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第2章この度、学生になりました。
9*放課後デートをするんです。
しおりを挟む放課後、久々にアランのところに行ってみましたが残念ながらいなかったのでまたにして、買い食いをしながら秘密基地に来ました。
うん。放課後デートって感じです。学生万歳!
「このコロッケ美味しいねぇ~肉屋のおじさん、腕あげたねぇ~」
「え?どれ?」
私は、持っていたコロッケをジョーに差し出すと、パクッと一口食べました。
「あ、ほんとだ。うま。次から俺も買お。」
「ね?」
ジョーと、他愛もない話をしていると、ジョーが不意に手を繋いで来ました。
なんか、気になって繋いだ手をジッと見てしまいます。
「ん?どした?」
ジョーは、何でもない様に首を傾げました。
確かに、手を繋ぐなんていつもしている事です。だから、そんなに気にした事無かったのですが‥‥
「‥‥なんか、ジョーの手が大きくなってる。」
「え、そう?」
そうです。いつの間にか、フニフニ柔らかい手でもなくなり、私よりも一回り以上大きい手になっています。‥‥なんか、
「大人の人の手みたい。」
ポツリと本音が溢れました。
いつの間にか、ジョーが握っていたはずの手は、私がジョーの手をニギニギしていました。
「‥‥それは、いい事?なのかな?」
「も、もちろん!なんか、ジョーは体温も暖かいから包まれてる感がすごいあって、手ェ繋ぐの気持ちいいよ!子供の時みたいにフニフニしてないのは残念な気もするけど‥‥これはこれで‥‥」
小さくて、フニフニの手も捨てがたいですけどね。
ずっと、剣を握って頑張って来たってわかる頑張り屋さんの手です。
嫌なわけありません。
「ちょ、チャコ、擽ったい‥‥」
「え?あ、ごめん。」
あら、無心でサワサワしてしまった様です。失敬失敬。
拒否られたので、手を離そうとしたら一瞬離れた手を強く握りなおされてしまいました。
「んーん。いいの。好きなだけ触って?」
ニコッと小悪魔な笑顔に鼻血が出そうです。
いつの間にそんな技を身につけたの。あー今日もジョーが可愛くて仕方ありません。
「あ、そーいえばね。ちょっと小耳に挟んだんだけど‥‥。」
「ん?何?」
手をニギニギしながらジョーが話を切り出しました。
「チャコに好きな人ができたって。」
「え?」
何のことでしょうか?全然身に覚えがありません。
「嫌ね。ディナンが昨日慌てて連絡くれてさ。焦ってるからよく話が読めなかったんだけど、リリのお兄さんに一目惚れしたって本当?」
「??」
「チャコが?って疑問に思って一応、ジンにも連絡して見たらさ。本当にチャコがリリのお兄さんを気に入ったって言ってたって言うからさ‥‥」
「えぇ!!??あたし、リリのお兄さんの事、好きなの!?」
「え、知らないよ。俺がそれを聞きたいからゆっくり話せるここに来たんだけど‥‥」
気に入ったなんて言ったかしら?
*ー*ー*
「あ~~一億兆年ぶりに出会えた奇跡って感じだわ。」
「‥‥」
「ジン?どうしたの?お腹痛い?」
「お嬢は、そんなにその公爵家の人が気に入ったんですか?」
「え?えぇ、そうね。(声が)気に入ったわ。」
「‥‥そうですか。」
*ー*ー*
うん。言ったわね。言ってたわ。
確かに言いましたね。
「あ、その顔は思い当たることあった?」
さすが幼馴染。もはや話さなくても表情だけで考えてる事がわかる様です。
「うん。確かに、ジンに『気に入った』って言った。」
昨日の会話の様子を思い出してジョーに答えました。
「‥‥そうなんだ。」
キュッと繋いだ手に力が入りました。
ジョーを見ると、少し眉を寄せて辛そうな顔をしていました。
え、誤解してますね!うん。言葉が足りていなかった様です。
「声だけね!声のことを気に入ったって言っただけ!好きとか、嫌いとか、そう言う類の気持ちじゃないかな。むしろ、好き嫌いするくらいお兄さんのこと知らないし、むしろ、声にばっかり気が行って顔もあんまし思い出せないし‥‥リリに似てるって事くらいしか‥‥」
そうなんです。声にばっかり意識がいってしまっていまだにちゃんと顔を見れていません。いや、むしろ推しキャラのお面作るからそれをつけて話してくれたら好きになるかもしれません。うん。絶対なりそうです。
「声だけ‥‥でも、気に入ったんでしょ?」
「まぁ、リリのお兄さんの声は天からの贈り物だと思ってる。」
真顔でジョーに教えてあげました。
ジョーは、キョトンと言葉を失っています。いや、わかりますよ。なぜそんなに声に反応するの?って感じでしょう。でもね、こればっかりは仕方ないのです。好きなものは好きなんですもん。
「‥‥俺は?」
「え?」
「俺の声は、ダメ?」
「ダメじゃないよ?ジョーの声も好きだよ?」
上目使いで、遠慮がちにジョーが言ってきました。
え?ジョーの声?全然、嫌いじゃないし、眠い時のトロンとした様子とか舌ったらずになる所とか、結構ゆっくり話す癖とか大好物です!!
「そう?‥‥なら、良かった。」
「まぁ、リリのお兄さんは特別なんだよ。なんていうか、a波が出てるというか。誰にも真似できない唯一無二っていうかね。でも、人としてはどうだろうね?」
「ん?なんかあったの?」
「んー昨日、挨拶もせずに帰っちゃって失礼なことしたから謝りに行ったんだけど‥‥なんか、うーん。黒い人だなぁって思ってね。絶対、弱味見せちゃダメな人って本能で思ったわ。」
「本能って!」
「いや、本当に!」
「‥‥でも良かった。チャコが一目惚れしたんじゃなくて。」
「はは。」
色々と誤解を招いてしまってごめんなさいとしか言えませんね。
「リリなんか、チャコと姉妹になれるって喜んでたよ。」
「いやいや、私では家格もなにも合わないでしょうに。まぁ、リリと兄弟になれるのは楽しそうだけどね~」
「‥‥ん~美人姉妹‥‥って思うけど、チャコは俺のお嫁さんになてくれるでしょ?」
「‥‥ん?」
サラリと言われて思わず頷いてしまうところでした。
「ジョーとだって、家格合わなくない?それに、ジョーは将来有望なんだからもっと上を目指せるでしょ?私は、ただの幼馴染‥‥」
「そんなわけないでしょ。チャコ、俺の気持ち分かってて言ってる?」
「‥‥」
いつもなら、誤魔化されてくれるんですけどね。
真剣な目が私を見ています。これは、茶化したらダメなやつですね。
「えっと‥‥」
「お待たせ。」
真剣に返事をしようと口を開きかけたらディナンがタイミングよく来てしまいました。
「‥‥誰も待ってねーよ。」
ジョーは邪魔されたからなのかいつもよりも辛辣です。
「お、お疲れ様。ディナン。」
パッとジョーと繋いでいた手を離してなんでもなかった様に声をかけました。
「‥‥タイミング最悪だったか?」
「え、全然!!「最悪中の最悪だよ。」
ジョーくーーーん!!??
不機嫌Maxのジョーがいます。怒ったら下唇が出る癖は健在です。うん。可愛い。
「ジョー、機嫌悪!はは。」
ギロッと睨んでも動じないディナンは、面白がってジョーを冷やかしていました。
‥‥あたし、なんて言おうと思ったんだろう。自分の気持ちが自分でわからないなんて不思議です。
でも、まだこのぬるま湯に浸かっていたい気もします。‥‥いつか、終わっちゃうとしても。だって、大人になれば嫌でも、会う時間は減って、話す事もすれ違う事も無くなっていくんです。特に女の子は、結婚して遠くへ嫁ぐのも当たり前だし、王都から離れなかったとしても男性と話すなんて旦那さん以外は使用人が殆どです。あたし達みたいに、3人でなんて到底無理な話。
「‥‥大人になるの嫌だなぁ」
楽しそうに話している2人を見ているとそう思ってしまいました。
この関係が崩れていくのは寂しくてどうしようもありません。
ジョーは、学園を出たら正式に騎士になってディナンに仕えるのでしょう。そしたら2人はずーっと一緒です。‥‥私は?
私は、学園を出たら、何になるのでしょうか。
何もせずに、お嫁さんになるの?‥‥なんだか、腑に落ちません。それが幸せなの?
「‥‥チャコは、やりたいことってないの?」
私の様子が変なのを見て、ジョーが聞いて来ました。
「いっぱいある。でも、全部中途半端になる気しかしない。」
「「‥‥」」
なんだか、センチメンタルになって来ました。
この世界は、男は働いて、女は家庭を支える。そんな世界です。
待ってください?・・・なら、男の人に化ければいいんじゃないですか?
例えば、よくある、ペンネームは男っぽいのに実際は女だったとか、マフィアのボス
が男だと思ったら女だったとかよくありませんか?姿を隠して誰かを隠れ蓑にしたら・・・よし、それで行こう。
「チャコさーーん??」
「んあ!?ごめん、意識飛んでた‥‥」
「いや、なんか思いついた様な顔してたけど‥‥」
「よくわかったね!いやね、将来のこと考えてた!!」
「将来?」
「うん。私、女の人は結婚して子供産むだけが幸せなのかずっと疑問だったんだけど‥‥」
「「う、うん。」」
「私も、働きたい。好きなことして、この先も過ごしたい。まぁ結婚もしたいし、子供も欲しいけど、与えられるだけじゃなくて与えれる人になりたい!」
「そ、そうか。」
「うん。だから、私、社長になることにする。」
「「‥‥うん??」」
ニッコリ笑って見せると、ジョーとディナンは顔を引きつりつつ笑ってくれました。
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