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第2章この度、学生になりました。
35*【ジョー目線】その1
しおりを挟む【ジョー目線】
朝、教室へ向かう階段を上がっている時にディナンに会った。
ディナンはなんだか、とっても満足した顔をしていて、ニコニコと意味深な笑いをしている。その笑顔が気に食わないが、『どうしたの?』という言葉が欲しいんだろうことが分かって、絶対言ってやらないと決めた。
「‥‥おはよう、ディナン。」
「あぁ。いい朝だな!ジョー!」
ニコニコニコニコ
「・・・・。」
ニコニコニコニコニコニコニコニコ
「・・・・。」
ニコニコニコニコ
「分かったよ、降参。どうした?なんか、いい事あったの?」
キャラでもないくせに、ずーっと笑顔を絶やさないディナンが痛々しくて聞いてしまった。
「昨日、チャコと両思いになった。」
「‥‥あぁ、そうなんだ。」
俺は、チャコの気持ちを知っていたからそこまで驚かなかった。
あぁ、言ったんだ。くらいにしか思わなかった。
「あれ?驚かないのか?」
「‥‥それ、お前が言う?」
ちょっと、イラっとして睨んでしまった。
「い、いや‥‥あ、それでチャコとあんな気まずい感じになってたのか。」
「‥‥そう。当たり。」
よく出来ました。と言うように少し投げやりに、ため息を吐いて返事をする。
「いつから、ジョーは気づいてたんだ?」
よくもまぁ、無神経な質問をポンポンと‥‥。はぁ。でも、仕方ない。ディナンは、元々が純粋だから悪気がないと分かっているし、ちゃんと現状を知っておきたいんだろう。
「‥‥あの、リリの家に行った日かな。」
公爵の誕生日パーティー。いわば、チャコの社交界デビューの日だ。
あの時のチャコを見ていたら、誰でも気がつくと思うけど。
「そうなのか‥‥。」
「まぁ、でも、このままじゃいけないって分かってるし。チャコとは気まずいままとか嫌だし。近々、ちゃんと話しするよ。」
「そうだな。結構、チャコ、強がってたからな。‥‥頼むぞ。」
「うん。ディナンに言われなくても分かってるし。」
ふて腐れたようになってしまったのは、仕方がないと思う。
・
・
・
お昼休み、チャコとディナンが二人で昼食を取りに行ったのを横目で見ていた。
「ジョー、大丈夫なの?」
唐突に、リリに話しかけられた。
「‥‥なにが。」
「あの二人、くっついたわよ。」
「あぁ。ディナンに朝イチで聞いたよ。」
「あら、知ってたの。」
「チャコの気持ちも、ちゃんと分かってるから。チャコが悲しむようなことはしないよ。」
リリと二人で、食堂に向かいながら話す。
「まぁ、それは当たり前の前提として。でも、自分のこと押し殺す必要は無いんじゃない?」
「‥‥ドユコト?」
リリの言ったことがよく分からなくて、聞き返した。
「だって、ジョー、無理してるでしょ?だから、そんなのする必要無いって言ったの。誰が誰を好きとか、嫌いとか。そんなのその人の自由なんだし。例え、相手が両思いの人がいて、自分が邪魔だって感じてもさ、『好き』って気持ちを押し殺していい子ちゃんでいることないと思うわよ?そんなの、ジョーらしくないし。気持ち悪い。」
「気持ち悪いって‥‥。」
「だって、最近のジョー、ずーっとお面つけてるみたいな笑いしてるか、無表情でどっかに行っちゃってるかで怖いんだもの。」
そう言われて、思わず顔に手を当ててしまった。
そんな風に周りから見られてたのか‥‥。ちょっと、衝撃だった。
「恋なんてね、うまく行くほうが稀なのよ。私たちみたいな貴族じゃ特にね。好きな人ができて、近くに入れるだけでも凄いことなんだから。今だけなんだよ?近くに入れるの。それなのに、悩む時間が勿体なくない?」
「‥‥確かに。」
リリの言いたいことが分かって、少しだけ悲しくなった。
確かに、あと数年もすれば俺も、有無を言わさずに会ったこともないかもしれない令嬢と婚約させられてしまうかも。それ以前に、チャコの近くにいれるのも、あと数年だ。
二人がどうこうなったとしても、ならなかったとしても、今こうやって悩んでる時間が勿体ないのかもしれない。卒業してしまえば、本当に会うことも叶わなくなるかもしれないんだからーーー・・・
「ありがと、りり。ちょっと。吹っ切れた。」
リリは、サンドウィッチを頬張りながら、親指を立てて笑ってみせた。
その笑顔が、ちょっと男らしくて可笑しくて久々に笑えた気がした。
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