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第2章この度、学生になりました。
36*【ジョー目線】その2
しおりを挟む【ジョー目線】
帰り道、フッとあの秘密基地に行きたくなった。
運転手に行き先変更を伝えて、秘密基地に向かってもらう。
「帰るときにまた、連絡するから。いつもの噴水らへんで休憩してて。」
運転手にそう告げて、歩き出す。
あぁ、この道でチャコと駆けっこしたっけ。あの時、俺がこけて泣いて、チャコがお気に入りのハンカチを躊躇なく濡らしてきて、俺の膝に巻いてくれた。
あ、あそこの落書きまだあったのか。
あの辺で昼寝したな。
チャコの寝顔が可愛くて、こっそり頬にキスをしたのを覚えてる。
思い出すのは、チャコとの思い出ばかり。
お互い、よく家を抜け出してここに通い詰めていた。
ある時から、ディナンも来るようになって。
最初は、二人の大事な場所に来られるのが嫌で、でもチャコを悲しませたくなくて嫌々ディナンともあそんでた。でも、いつの間にか3人でいるのが当たり前になってた。
チャコが領地へ行ってしまった時は、寂しくてココでディナンと泣いた。…今思うと、気持ち悪いな。
そう思うのに、笑いがこみ上げて来る。
あぁ、俺、チャコのことも好きだけど、やっぱりディナンのことも好きだなぁ‥‥。
二人が両思いだった事に、最初から違和感がなくて。
不思議と、”嫌だ”とは思わなかった。
悔しかったけど。
ディナンには絶対言わないけど。
でも、それとこれとはやっぱり違って。
俺が、チャコの一番になりたかったし、特別になりたかった。
俺が、チャコを世界一幸せにしたかった。
『『好き』って気持ちを押し殺していい子ちゃんでいることないと思うわよ?そんなの、ジョーらしくないし。気持ち悪い。』
リリの言葉を思い出す。
「確かに、気持ち悪いかも。」
こんなに大好きなのに無理に殺す事ない。
自分を偽ることなんかない。
時間は有限だ。
いまの現状を受け入れて、チャコにとっての幸せを一番に考えてる。でも、俺自身の事を考えないでどうする?このあと数年後に、絶対後悔するように生きたくない。
なら、どうする?
好きなだけ、チャコのことを好きでい続ければいい。
自分が納得するまで。想うだけならいいはずだ。
あぁ、なんだか無性にーーーーー・・・
「‥‥あれ、チャコ、来たんだ。」
居るはず無い。来るはず無い。
そう思ったのに、石垣の下によく見知った女の子の姿があった。
ずっと想ってた人。いま、凄く会いたくて仕方なかった人。
「あ‥‥うん。買い物してたら、懐かしくなって。ジョーは?」
鈴が転がるような澄んだ声で、話してくれる。
「うーん。俺はまだ、たまに来てるよ。ここは、なんだか落ち着くから。」
「そうなんだ。‥‥うん、わかる。落ち着くよね。」
いつもの癖で、チャコの座るスペースを開けた。
ちょっと、汚れていたからハンカチを置いて。
「‥‥」
チャコは多分、すごく気まずいんだろう。
好きって言われて、断った数日後に親友と両思いになった。
でも、そんなに気にしなくても良いのに。チャコが幸せを感じれるならそのままだって良いくらいだ。
「‥‥ディナンと、うまく行ったんだってね。」
「あ‥‥‥‥う、うん。」
唐突に、直球ど真ん中の話題を出したら、チャコは一瞬ビクッとして肩が跳ねた。
その様子が小動物に似ていて、笑いそうになってしまう。
あぁ、やっぱりチャコは可愛いな。つい、意地悪を言いたくなってしまった。
「よかったね。チャコ。」
「あ、ありがとう。」
「あぁ~でもこれで、ちょっとスッキリしたよ。」
どれも、俺の本心だ。
でも、チャコはそんなこと知らない。だけど、敢えて何も言わないでチャコには見せたことない笑いをしてた。そんな俺を見て、チャコは驚いたように目をパチパチとしている。
「だってさ、これからは堂々とディナンの邪魔できるし?チャコに内緒で色々裏回して良い子ちゃんしなくて良いし。そう思うと、まぁ暫くは、ディナンに任せても良いかなって思えるよ。」
俺は、本当はこんな人間なんだよ。知らなかったでしょ?チャコ。
チャコに嫌われないように、見せないでいたんだ。って、言ったらチャコはどんな反応するかな?嫌うかな?‥‥‥‥いや、怒った後に、面白がるんだろうな。
「え?それって‥‥?」
「諦めるつもり、無いから。チャコのこと。」
さっき決めた決意をチャコに真正面で伝えた。
「‥‥へ?」
「俺が、どれだけチャコのこと好きか知ってる?」
フルフルと、首を横に振った。
「うん。俺も、分からない。でも、無理なんだ。チャコが好きで、大好きで仕方ない。だから、俺の気の済むまでずっと好きでいるから。」
「覚悟して置いて」
そう言って、チャコの手の指先にキスを落とす。
これは、チャコにどれだけ俺が本気か知ってもらうための決意表明だ。
チャコの顔が、みるみる赤くなって言って、夕日に当たって余計に茹でタコのように真っ赤になって口も、パクパクしていて思わず吹き出してしまった。
「ハハハ。チャコ、顔真っ赤!」
「だ、だって!いつものジョーじゃないんだもんっ!!いつの間にそんな‥‥カッコよくなってるのよ‥‥」
すごく小さくて、聞き取り辛かったけど、聞こえてしまった。
「え?なんて?」
敢えて、聞こえなかったふりをした。
教えてしまったら、思わず本当にキスしそうだったから。
なのに‥‥。安心したようにチャコは笑ってて。それがとても綺麗で。
俺は、思わず手を伸ばしてしまった。
が、チャコの執事に邪魔された。
内心、ホッとした。本当に、あのままだったらチャコに不本意な事をさせていたかもしれないから。‥‥まぁ、そんな事言わないけど。
「おい、ジン。ちょっとは空気読め。」
敢えて、トゲトゲしさを抜かずにジンを睨む。
「空気読んでの、これですけどねぇ?仲直りまでは、待ってあげたでしょう?」
ジンは、俺の言いたいことはわかっているようで、黒い笑顔で返して来た。
「‥‥ちっ」
俺が舌打ちをしたことに、すごく驚いているチャコはいつも通りの百面相になっていて見ているだけでホッとして笑ってしまう。だって、溢れんばかりに目を見開いて、すっごくアホヅラなんだから、笑うのは仕方ないと思う。
「お嬢、そろそろ帰らないとまた、怒られますよ?」
「そうね、帰ろうか。ジョーは?」
チャコに誘われたけれど、このままチャコといたらまた、チャコに触れたくなってしまいそうだったから一応、遠慮した。
「んー‥‥俺は、もう少しだけここに居ようかな。」
「遅くなったら、グラムさんも心配するよ?」
人の気も知らないで、本気で心配している。
ジンがいたから抑えれたけど、次こんな機会があったら、本気で唇を奪ってしまうと思う。
「うん、わかってるよ。大丈夫、すぐ帰るから。ありがとう。」
チャコは、見えなくなるまでずっと俺のことを気にしてくれていて、何回も振り返って手を振ってくれた。自転車なんだから危ないから脇見運転しないで欲しい。切実に。そんな事で怪我でもしたら大変だ。あ、ジンに怒られた。その様子に、思わず笑ってしまう。
「あぁー‥‥マジ可愛すぎた。」
夕日を見ながら、あの綺麗なチャコを思い出す。
リップとか何も塗ってないはずなのに艶のある、プルンとした唇。
少し泣きそうになって、潤んだ瞳。
夕日に色付けられた横顔。
何をとっても可愛くて、綺麗で。
ずっと見ていたくなる。
触れたくなってしまう。
「はぁー‥‥「確かに、ティナ・エヴァンスは可愛いわね。」
数メートル離れた所から、誰かに話しかけられた。夕日が陰ってきたからか、顔がよく見えない。
「誰だ?」
「貴方に、いいお話を持ってきたの、聞いてくださらない?」
俺の問いには答えず、赤い口紅をした女がニヤリと口角を上げた。
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